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永遠の残滓  作者: Mateo
63/85

第63章:中止された祭典

その掲示は、夕食の前に現れた。

告知はなかった。

鐘も鳴らなかった。

訓練場での集合もなかった。

ただ白い紙が一枚、訓練区域と寮をつなぐ廊下の掲示板に貼られていただけだった。

だからこそ、余計に悪かった。

悪い知らせというものは、音もなく届く時ほど、もう決定されているように見える。

悠太がそれに気づいたのは、颯太が掲示板の前で足を止めたからだった。

最初は、新しい時間割か、また別の訓練変更か、あるいは加藤が妙に張り切って作った罰則表でも見つけたのだと思った。

その後、横に健太が立っているのが見えた。

手に火はない。

笑みもない。

それだけで、何かがおかしいとわかった。

「どうした?」と悠太が聞いた。

健太は答えなかった。

村海斗は少し離れた場所に立ち、腕を組み、険しい顔をしていた。石田は黙って掲示を読んでいる。花は原田の後ろにいて、紙だけでなく周囲の反応も見ていた。千穂と結衣が一緒に到着する。陽菜は芽衣と一緒に現れ、芽衣はまだ、存在しない窓でも叩き割りたいような顔をしていた。

悠太は近づいた。

紙にはこう書かれていた。

若き狩人たちの年次祭典――追って通知があるまで中止。

その下にも文章が続いていた。

安全対策。

移動制限。

手順の再確認。

各支部との連絡。

水島香奈の署名。

悠太は二度読んだ。

理解できなかったからではない。

何が重要なのか、理解できているのかわからなかったからだ。

「年次祭典?」と彼は聞いた。

健太が乾いた笑いを漏らした。

「そうだよな。そりゃ、お前も知らないよな」

「新人ってだけで責められるの好きだな、俺」

「新人だから責めてるんじゃない。どうせ質問する顔してたから責めてる」

「それは正しい」

颯太は掲示を見ていた。

「どんな祭典なんですか?」

芽衣が腕を組んだ。

「完全に惨めじゃない、数少ない行事の一つよ」

陽菜が彼女を見る。

「あなたが言うと、ほとんど褒め言葉に聞こえる」

「慣れないで」

石田は脇に抱えていた本を閉じた。

「年次祭典は各支部合同で行われる。東京、名古屋、大阪、京都、福岡、札幌、それに候補者がいる小規模支部の生徒も参加する」

悠太は瞬きをした。

「運動会みたいなもの?」

芽衣は彼を見た。

「怪我が多くて、写真を撮る親が少ない運動会」

「つまり、運営がしっかりしてる」

「そんなことは言ってない」

海斗は掲示から目を離さずに言った。

「通常は個人戦だ。一対一。支部対支部。生徒対生徒」

健太は指を握った。

「今年は面白くなるはずだったのに」

悠太は健太を見た。

「お前にとって? それとも消防隊にとって?」

「俺にとってだ。消防隊は招待されてない」

結衣がため息をついた。

「それは無責任だったと思う」

「そう。だから面白かったんだ」

千穂が掲示を小さく読み上げた。

「“安全確認が完了するまで、生徒の移動を制限する”」

原田は壁に背中を預けた。

「妥当だな」

健太が彼を見る。

「ありがとう、歩く社会的死亡」

原田の表情は変わらなかった。

「静岡の後で生徒を動かすのは愚かだ」

廊下が、少し静かになった。

そこにあった。

静岡。

その意味を、誰も最後まで説明する必要はなかった。

悠太は一部の報告を聞いていた。死者。小規模な監視拠点。切断された通信。意識不明の生存者。残滓の組織はただ攻撃しているのではない。測っているのだという感覚。

颯太は、別の表情で紙を見た。

彼の一部は、祭典という新しい言葉に反応していた。

もう一部は、中止の理由に、あまりにも聞き覚えのあるものを感じていた。

「じゃあ、やりたくないからじゃないんですね」と颯太が言った。

石田は首を横に振った。

「違う」

「できないから」

「すべきではないからだ」と石田が訂正した。

芽衣が舌打ちした。

「その二つの違いって、本当に最悪ね」

陽菜はまだ掲示を読んでいた。

「そんなに大事なものだったの?」

誰より先に海斗が答えた。

「ああ」

大げさな感情はなかった。

だからこそ、はっきりしていた。

「他の支部の本当の実力を知る機会になる。自分の班では見られない術式を見る機会にもなる。一つの支部の生徒が、自分たちだけが世界の中心じゃないと知る機会でもある」

悠太がそっと手を上げた。

「最後のやつ、加藤に会う前に欲しかったかもしれない」

ちょうど廊下の角を曲がってきた加藤が、カップを持ったまま足を止めた。

「聞こえてるぞ」

悠太はゆっくり手を閉じた。

「祭典では遠距離聴力も鍛えるんですね」

加藤は掲示板に近づいた。

最初に悠太を見たのではない。

紙を見た。

表情は大きく変わらなかったが、口元が少し硬くなった。

健太はそれに気づいた。

「知ってたんですか?」

「ああ」

「で、何も言わなかったんですか?」

「掲示されるまでは正式じゃなかった」

芽衣が彼を見た。

「それ、知ってたってことをすごく都合よく言ってるだけでしょ」

「正確な言い方だ」

「今日、本当に感染してるわね、それ」

加藤はコーヒーを飲んだ。

「神崎のせいにしろ」

廊下の奥から、誰も呼んでいないのにバクが現れた。

「正人のせいにするのは嫌いなんだよな。あいつ、十分に騒がしく弁解してくれないから」

その後ろから神崎が来ていた。

「多くの非難は、待っていれば勝手に崩れる」

バクは生徒たちを指した。

「見ろ。娯楽への敬意を持たずに生まれると、こうなる」

健太はバクを見て、それから視線を逸らした。

訓練のあと、まだ彼の目を見るのが難しかった。

バクはそれに気づいた。

何も言わなかった。

それは珍しかった。

悠太も気づいた。

だから余計に悪かった。

反対側の廊下から、香澄が閉じた扇を片手にやってきた。芽衣は彼女を見た瞬間、表情を扉のように閉ざした。

香澄は掲示を見た。

「もう公表したのね」

芽衣は扇を握る指に力を込めた。

「あなたも知ってたの?」

「ええ」

「驚きね。大人たちが何かを知っていて、私たちがいつ知るかを決めてるなんて」

香澄は彼女をしばらく見た。

「時には、そうね」

その返事に毒はなかった。

香澄にしては、それがほとんど危険に思えた。

芽衣は掲示板から離れた。

「最高。祭典は中止。外の支部相手に何かを証明できる場も中止。次は何? 独立心を持って呼吸したら、それも禁止されるわけ?」

陽菜は彼女を見送った。

「芽衣」

「嫌」

「何も言ってない」

「言おうとしてた」

「たぶん」

「じゃあ言わないで」

陽菜は食い下がらなかった。

それは、言われるよりも芽衣を苛立たせたようだった。

健太は拳の側面で壁を叩いた。

強くはない。

だが結衣が睨むには十分だった。

「やっと面白いものがあったのに」

「仲間を燃やさない訓練も面白かったぞ」と悠太が言った。

健太は彼を見た。

「助けるな」

「助けてない。悲劇を飾ってる」

海斗は笑わなかった。

「戦うだけの話じゃない」

悠太は彼を見た。

海斗はまだ掲示を見ていた。

「多くの生徒にとって、祭典は初めて自分たち以外の同類を見る場所だ。他の生徒。他の教師。他の魔力の使い方。支部が世界の全部じゃないと思える」

颯太は視線を落とした。

「それは、いいですね」

「いいものだ」と石田が言った。

悠太は、石田がそのあと何も訂正しなかったことに気づいた。

それが言葉に重みを与えた。

花が後ろから言った。

「それを読んだ時、みんなの声が変わった」

全員が彼女を見た。

花は注目されることに居心地悪そうだったが、それでも続けた。

「競いたかったからだけじゃない。安心した人もいた。失望した人もいた。安心してしまったことに怖がっている人もいた」

原田が彼女を見る。

「妥当だ」

健太が眉を上げた。

「全部が最悪な時に、“妥当だ”以外のこと言えないのか?」

原田は一秒考えた。

「整合性がある」

健太は目を閉じた。

「ありがとう。もっと悪い」

加藤はカップを掲示板の下の縁に置いた。

「廊下を塞ぐな」

芽衣は彼を見た。

「それだけ?」

「今はな」

「なんて安心できる言葉」

「安心させるつもりはない」

「でしょうね」

芽衣がさらに何か言う前に、廊下の端に香奈が現れた。

早足ではなかった。

彼女にはそれが必要なかった。

タツが隣にいて、腕にはファイルを抱えている。その顔は、すでにそのファイルが議論を生むと知っている者のものだった。

生徒たちはほぼ同時に道を開けた。

香奈は掲示を見た。

それから彼らを見た。

「読んだのね」

質問ではなかった。

健太が口を開いた。

結衣が彼の足を踏んだ。

健太が彼女を見る。

「今の何?」

「予防」

香奈は続けた。

「決定は下された。支部間の年次祭典は中止する」

誰も答えなかった。

言いたいことがなかったからではない。

香奈の声が、まだそのための空間を残していなかったからだ。

「生徒の移動は行わない。他支部の招待も行わない。基地外で生徒を集中させることもない。追って通知があるまで、各支部はそれぞれの手順内に留まる」

颯太が唾を飲み込んだ。

悠太はそれを聞いた。

また。

今度は冗談を言わなかった。

香奈は一人ずつ見た。

「あなたたちにとって、これが何を意味するかはわかっている」

芽衣が楽しさのない笑みを浮かべた。

「失礼ですが、そうは思いません」

香澄が一瞬目を閉じた。

加藤は芽衣を見た。

優奈も。

廊下が冷えた。

香奈は怒らなかった。

そのせいで、芽衣が急に若く見えた。

「その通りよ」と香奈は言った。

芽衣が瞬きをした。

香奈は杖に両手を置いた。

「あなたたちと同じようにはわからない。私はもう生徒ではない。その祭典を、何かを証明する機会として、他の支部を見る機会として、勝つため、負けるため、この建物より世界が広いと感じるために待ってはいない」

声は柔らかくなったわけではない。

だが変わった。

少しだけ。

「でも、敵が測っているかもしれない経路に、生徒を乗せることの意味はわかっている」

誰も話さなかった。

「そして、それはしない」

芽衣は視線を逸らした。

受け入れたわけではない。

だが反論もしなかった。

香奈は加藤を見た。

「十分後に会議」

加藤はため息をついた。

「わかった」

「理由を知らないみたいにため息をつかない」

「理由を知ってるからため息をついてる」

バクが手を上げた。

「専門的な混沌を提供する者たちも招待されていますか?」

「ええ」と香奈。

「素晴らしい。役に立たないものと、いくつかの意見を持参します」

神崎は彼の横を通り過ぎた。

「それを逆にすれば十分だ」

バクは彼を指した。

「この男は効率よく傷つけてくる」

香澄は大人たちについて行く前に、最後に芽衣を見た。

芽衣は視線を返さなかった。

だが香澄が去るまで、その場から動きもしなかった。

悠太はもう一度掲示を見た。

祭典中止。

単純な言葉に見えた。

だがその二語の周りには、あまりにも多くのものがあった。

訓練。

死者。

支部。

経路。

勝つことを望む生徒たち。

勝つことの方が、待つことよりわかりやすいから。

加藤はカップを取った。

「夕食に行け」

健太は掲示を見た。

「食欲ないです」

すでに会議室へ歩き出していたバクが、振り向かずに言った。

「感情的な嘘だ。食え、火の少年。空腹でやるドラマは素人だぞ」

健太は歯を食いしばった。

だが答えなかった。

それもまた、新しいことだった。

会議室は、必要以上に明るかった。

だからといって、優しくはならなかった。

テーブルの上には地図、ファイル、生徒名簿、安全報告が並んでいた。タツがすべてを別々の山に整理している。実習の報告書。静岡の資料。支部間通信。年次祭典。

祭典の山が一番薄かった。

だからこそ、一番寂しく見えたのかもしれない。

香奈は上座に座った。

加藤はほとんど空になったコーヒーカップを持ったまま、彼女の左に立った。優奈は反対側に腰を下ろし、背筋を伸ばして腕を組む。鏡は壁に肩を預けた。香澄は必要以上に優雅に座った。バクは椅子に逆向きに座り、タツに見られた。

バクはため息をついた。

「基本的な家具の使い方という暴政」

彼はちゃんと座り直した。

神崎は座らなかった。壁際に立ち、そこから扉と窓とテーブルをすべて見られる位置を選んだ。

誰も理由を尋ねなかった。

全員が知っていた。

香奈は祭典のファイルを開いた。

「年次祭典は、通常形式では中止する」

タツが一枚の紙を中央へ滑らせた。

「各支部には予備通知を送付済みです。表向きの文面では、安全体制の再構築と移動手順の再確認としています」

バクが手を上げた。

「正直版には、“怪物が経路を見ている時に、魔力持ちの十代を一か所に集める気はない”って書いてあった?」

香奈は彼を見た。

「いいえ」

「表向きの文面、もっと個性が必要だな」

壁際から神崎が言った。

「表向きの文面に必要なのは、混乱を起こさないことだ」

「それも個性だ。ただし退屈な個性だ」

優奈は地図を見た。

「移動中止は正しい判断です」

鏡がうなずいた。

「動かせば、目標を示すことになる」

「集中させれば、打撃点を差し出すことになる」と神崎が付け加えた。

バクが舌打ちした。

「“死体候補つきパーティー”を、ずいぶん上品に言うな」

香奈の表情は変わらなかった。

「獅子堂」

「中止に賛成してるんです。ただ語彙が正直なだけで」

香澄が扇を少し開いた。

「問題は移動だけじゃないわ。支部が優秀な生徒を送れば、穴が空く。留めれば、祭典の意味が薄れる。全員が来れば集中しすぎる。少数だけなら、誰が重要かがわかってしまう」

タツがうなずいた。

「加えて、静岡以降、すべての副次経路は再確認中です」

加藤は生徒名簿を見ていた。

支部のファイルではなかった。

地図でもなかった。

名簿だった。

香奈はそれに気づいた。

「言いなさい」

加藤が顔を上げる。

「内部でやろう」

香奈はファイルを閉じた。

「却下」

「まだ何も説明してない」

「あなたが役に立つ愚案を言おうとしている時の顔は知っている」

バクが指を一本立てた。

「それは銀次郎の人生における正式分類だ」

加藤は彼を見なかった。

「祭典には理由がある」

香奈は彼の視線を受け止めた。

「そして今年、その理由は危険より重くない」

「いつも通りやるとは言っていない」

優奈が加藤を見た。

今度は驚いたようではなかった。

数秒前に同じ結論に至り、それを彼に先に言われたことを嫌がっているようだった。

「閉じた形式ね」と彼女が言った。

香奈は優奈へ顔を向けた。

「あなたも?」

「支部間の祭典としてではありません。それは無責任です」

加藤は名簿を指した。

「でも完全に中止することにも代償がある」

鏡が壁から肩を離した。

「士気か」

加藤はうなずいた。

「士気。比較。目標。生徒たちには、次の攻撃を待つこと以外の何かが必要だ」

香奈はすぐには答えなかった。

加藤は続けた。

「通常の祭典は個人を見る。一対一。支部対支部。単純だ。十分な生徒がいて、違う戦い方があって、こちらの癖を知らない相手がいるから機能する」

香澄がわずかに笑った。

「それに、十代は三分間の結果で自分の価値が決まると信じるのを楽しむものね」

バクは胸に手を当てた。

「それは十代だけじゃない。背中が悪くなった大人の中にもいる」

神崎が彼を見る。

「お前の複数の判断の説明にはなる」

「このクソ馬鹿。俺の自伝に精密さを使うな」

加藤は二人を無視して続けた。

「一つの支部だけで個人戦をやると、短い。知りすぎている。予測しやすい」

香奈はファイルに指を置いた。

「なら、意味がない」

「個人戦ではな」

部屋が静かになった。

全員が理解したことを、優奈が言葉にした。

「二対二」

タツが書類から顔を上げた。

鏡の表情は変わらなかったが、注意の向け方が変わった。

香澄は扇を閉じた。

バクは仮面の奥で笑った。

神崎は名簿を見た。

香奈は数秒何も言わなかった。

やがて口を開いた。

「それは祭典を変える」

加藤は首を横に振った。

「違う。測るものを変えるんだ」

優奈はテーブルに腕を置いた。

「この数日の実習で見えたのは、大人を相手にした時の反応です。私たちを相手にすれば、生徒たちは負けるとわかっている。あるいは普通の形では勝てないとわかっている」

鏡がうなずいた。

「守りに入る」

「そう」と優奈が言った。「でも同世代を相手にすれば、勝とうとする」

加藤は名簿を見た。

「そこで別のものが出る」

香奈はまだ彼を見ていた。

「誇り」

「誇り」と加藤は言った。「対抗心。置いていかれる恐怖。目立ちたい欲。間違った守り方。嫉妬。信頼。不信」

神崎が加えた。

「現実的な圧力下での意思疎通」

バクが手を上げた。

「それと、観客つきの馬鹿な行動。観客つきの馬鹿な行動を甘く見るな」

香澄は彼を見た。

「今回は珍しく正しいわ」

バクは両手を胸に当てた。

「この瞬間を箱に入れて抱いて寝る」

「やめろ」と神崎。

「感情的許可は求めていない」

香奈は香澄を見た。

「あなたはどう思う?」

香澄は扇を指の間で回した。

「一対一なら、もっと上手に嘘をつけると思うわ」

優奈が彼女を見る。

香澄は続けた。

「芽衣は速度の後ろに傷を隠せる。健太は火の後ろに。石田は制御の後ろに。天音は即興の後ろに。個人戦なら、勝つか負けるかして、皆が何か明確なことを学んだふりをできる」

加藤は反論しなかった。

「二対二なら?」

香澄は笑った。

「二対二なら、嘘が邪魔になり始めた時、必ず誰かが見る」

その言葉がテーブルの上に残った。

鏡が腕を組んだ。

「空間を譲る必要が出る」

神崎が加えた。

「そして、すべてを占有しない必要もある」

バクが身を乗り出した。

「さらに、十代が誇りで戦いを台無しにするなら、その結果を隣の十代にも味わわせるのは教育的だ」

香奈は彼を見た。

「その言い方は、ほとんど役に立ったわね」

「専門家として成長しています」

「大げさに言わない」

タツは祭典のファイルを確認した。

「運用上は可能です。東京の生徒のみ。外部支部なし。移動なし。メインの訓練場と、補助訓練室二つを会場にできます」

神崎は首を横に振った。

「補助室は使わない」

タツが彼を見る。

「理由は?」

「死角が多い。出入口も多すぎる。メイン訓練場だけ。一試合ずつ。完全監視」

優奈がうなずいた。

「賛成です」

バクがため息をついた。

「悲しいな。混沌の同時進行なし」

「混沌の同時進行はなし」と香奈が繰り返した。

「確定っぽくて痛い」

加藤は名簿に手を置いた。

「祭典らしく見えないと駄目だ」

香奈は目を細めた。

「駄目」

「聞け」

「だいたい私は聞いてから後悔する」

「これをまた別の評価だと感じれば、生徒たちは実習で隠したものをまた隠す。従う。気をつける。失敗しないようにする」

優奈がその続きを言った。

「でも、トーナメントだと感じれば勝とうとする」

「そして勝とうとした時」と加藤が言った。「教官相手に生き残ろうとしていない時の彼らが見える」

香奈は名簿の上に置かれた加藤の手を見た。

「見世物にはしたくない」

「外部向けの見世物にはしない」

「招待客はいらない」

「いない」

「致命的な術式は禁止」

「誰も望んでいない」

バクが手を上げた。

全員が彼を見た。

彼はゆっくり手を下ろした。

「成熟しています」

神崎が言った。

「嘘だ」

「ああ。でも短かった」

香奈は続けた。

「模擬残滓は使わない。妙な課題も使わない。隠し目的も使わない。中止された祭典を、彼らをさらに怯えさせる口実にはしない」

加藤はうなずいた。

「二対二。制御された試合。きれいな場。明確なルール」

「ペアは混成」と優奈が言った。

香奈は彼女を見た。

「どう混ぜる?」

「学年、ブロック、戦闘スタイル。都合のいい組み合わせにはしません」

加藤がうなずいた。

「選ばせれば、亀裂を隠す」

鏡は名簿を見た。

「天音は宮崎を選ぶ」

加藤はすぐには答えなかった。

それが答えだった。

優奈は彼を見た。

「そして、それこそが問題ね」

加藤は顎を締めた。

「わかってる」

バクが仮面を傾けた。

「主人公少年と新入りトラウマ少年を教育的判断で引き離す。なんて美しい行政的苦痛だ」

神崎が言った。

「必要だ」

バクは彼を指した。

「違うとは言ってない。公印つきで痛いと言ってるんだ」

香奈は加藤を見た。

「それを止められる?」

加藤は香奈の視線を受け止めた。

「ああ」

「天音が誤解しても?」

「誤解するなら、なおさら」

部屋が静まった。

優奈は少しだけ目を伏せた。

鏡は加藤をより注意深く見た。

香澄は笑わなかった。

バクも何も言わなかった。

加藤は名簿から手を離した。

「今、悠太と颯太を組ませたら、悠太は前に出ずに守れると証明しようとする。それはもう見た。観客つきで、あいつのお気に入りの失敗を練習させる必要はない」

鏡がうなずいた。

「宮崎には、自分を借りのように見ない相手と動く必要がある」

乾いた言い方だった。

そして正確だった。

加藤は動かなかった。

だが表情に何かが通った。

「ああ」

香奈はファイルに印をつけた。

「では、組み合わせは指導員が決める」

タツが書き込んだ。

「形式は二対二。指定ペア。完全監視。メイン訓練場のみ。外部観客なし」

「生徒は見てもいい」と加藤が言った。

香奈は彼を見た。

「それは観客よ」

「祭典の一部だ」

「見世物にはしたくないと言ったでしょう」

「外部向けにはしないと言った。誰も見ていなければ試験になる。仲間が見ていれば、トーナメントになる」

バクが指を一本立てた。

「そして仲間が見ている場所では、自我がひどい花のように咲く」

香澄が笑った。

「詩的ね」

「ありがとう。ちょっと自分が嫌いになった」

神崎は壁際から言った。

「会場が一つで、観戦者が結界の後ろなら制御可能だ」

タツはまた書いた。

「外周結界。医療班待機。指導員が危険と判断した場合、即時介入」

香奈が加えた。

「そして誰かがこれを戦争ごっこと勘違いしたら、中止する」

バクが手を上げた。

「楽しい偽の戦争と勘違いした場合は?」

「それも中止」

「厳しいが、公平だ」

優奈は名簿を見た。

「あまり大きくはできません。全員を参加させれば長くなり、管理が難しくなる」

加藤は首を横に振った。

「全員じゃない」

香奈が彼を見る。

「誰を?」

加藤は鉛筆を取った。

まだ名前を書き始めはしなかった。

ただ紙の上で止めた。

「すでに実戦任務に近い生徒たち。上位の一年、二年、稼働しているブロック。これが拡大した時、組織が有用な駒と見る可能性のある者たち」

神崎が言った。

「それは祭典ではない。危険度の選別だ」

加藤は彼を見た。

「ああ」

香奈は沈黙を保った。

それから言った。

「その言葉を生徒には使わないこと」

「使うつもりはない」

バクは椅子の背にもたれた。

「俺は使うつもりだった」

「だからあなたは何も説明しない」と香奈が言った。

「また検閲だ」

「予防よ」

香澄は加藤を見た。

「いつ?」

タツが日程を確認する。

「祭典は二週間後に予定されていました。内部形式にするなら、その日程を維持できます。急ごしらえに見えない利点があります」

鏡は首を横に振った。

「二週間は長くない」

「ええ」と香奈が言った。

加藤は名簿を見た。

「それしかない」

その言葉は、必要以上に重く響いた。

誰もトーナメントのことだけを話しているわけではなかった。

全員がそれを知っていた。

優奈は芽衣の名前に指を置いた。

それから、香澄に気づかれたくないように指を離した。

香澄は気づいた。

何も言わなかった。

神崎は名前を、可能な経路のように見ていた。

バクはそれぞれに特有の壊れ方があるかのように見ていた。

鏡は悠太と颯太のところで目を止めた。

加藤も。

香奈は大人たち全員を見渡してから、紙を見た。

「年次祭典は、個人の成長を測るために存在していた」と彼女は言った。「支部を比べるため。誇りを生むため。東京が一人ではないと思い出すため」

タツは書く手を止めた。

「今年、いつも通りに行うのは無責任です」

香奈はうなずいた。

「だから中止する」

加藤は動かなかった。

香奈は杖に両手を置いた。

「でも、すべてを消すことにも代償がある」

バクは冗談を言わなかった。

それだけで、その言葉はより重くなった。

「生徒たちに必要なのは、恐怖と規律と待機だけだとは思わない」と香奈は続けた。「彼らは兵士ではない。そして、守るべき駒としてだけ扱い始めれば、敵が扉を叩く前にこちらが何かを壊すことになる」

加藤は視線を落とした。

優奈も。

香澄は一瞬目を閉じた。

神崎の表情は変わらなかったが、その沈黙は少し違っていた。

香奈は加藤から鉛筆を取った。

新しい紙の上部に書く。

東京内部トーナメント。

その下に。

形式:二対二。

タツがそれを見た。

「では、承認ということで?」

香奈は鉛筆を置いた。

「条件付きで」

バクが手を上げた。

「条件はいつもありますね。呼吸みたいなものだ。ただし、官僚的」

香奈は聞こえていないかのように続けた。

「東京の生徒のみ。招待なし。移動なし。外部支部なし。制御された試合。致命的な術式は禁止。ペアは指導員が指定。外周結界。医療班待機。実際の危険があれば即時介入」

神崎がうなずいた。

「許容範囲だ」

「あなたの承認を求めたわけではない」

「それでも出した」

バクが一度、手のひらで机を叩いた。

「今のはほとんど傲慢だった。誇らしいぞ」

鏡が香奈を見た。

「明日発表するのか?」

「今夜はしない」と香奈は言った。「悪い知らせを抱えたまま一晩寝かせてから、別のものを渡す」

加藤は眉をひそめた。

「必要か?」

「必要よ」

「なぜだ?」

香奈は窓の方を見た。

そこからは訓練場の一部が見えた。

空っぽ。

静か。

香澄の印が切られた場所には、まだ埃の跡が残っていた。

「代替案を知る前に、誰が中止をどう受け入れるかを見たい」

誰もすぐには答えなかった。

最初に理解したのは優奈だった。

「誰が崩れるか。誰が怒るか。誰が安心するか」

「そして、誰が興味がないふりをするか」と香澄が付け加えた。

加藤は名簿を見た。

「訓練していない時まで評価するのか」

香奈は杖を握った。

「戦争は授業開始を待ってくれない」

沈黙が戻った。

心地よくはない。

だが正直だった。

その後、生徒たちはいつもより静かに夕食を食べた。

魔力を持つ十代が集まる支部でそれは、ほとんど異常だった。

悠太はあまり食欲もなく、皿の上の食べ物を押していた。

颯太は向かいに座り、ゆっくり食べていた。石田は本を読んでいたが、ほとんど進んでいない。陽菜は芽衣を席に座らせることには成功したが、話させることには成功していなかった。健太は火を出していない。海斗は近くにいた。自分がそばにいるだけで、健太が自分の頭の中へ沈み込みすぎるのを防げるかのように。

「知らないものを惜しむことになるとは思わなかった」と悠太が言った。

颯太が顔を上げる。

「祭典ですか?」

「ああ」

「僕も知りませんでした」

「じゃあ、共有された無知で惜しんでるわけだ。絆が生まれる」

颯太はわずかに笑った。

石田がページをめくった。

「経験していないものを惜しむことはできない」

悠太は彼を見た。

「できるだろ。俺は普通の生活を惜しんでるけど、それを持ってた時に理解してたかどうかも怪しいぞ」

石田は答えなかった。

その言葉は冗談だった。

ほとんど。

颯太は皿へ視線を落とした。

「僕は、見てみたかったです」

悠太は彼を見た。

颯太はそれを言うことを恥じているようには見えなかった。

ただ悲しそうだった。

「戦うためじゃなくて」と彼は言った。「いや、それだけじゃなくて。他の支部を見たかった。他の生徒も。どんなものなのか知りたかった」

テーブルの反対側から、芽衣が顔を上げずに言った。

「うるさくて、競争的で、みんな自分が実際より落ち着いてるとか強いとか見せようとする場所だったわ」

颯太は彼女を見た。

「それで、いいものだったんですか?」

芽衣は答えるまで時間がかかった。

「ええ」

陽菜がわずかに笑った。

「それ、ほとんど懐かしんでる」

「私の機嫌の悪さを壊さないで」

「あなたがそんなに大事にしてるもの、私には壊せない」

悠太は陽菜を指した。

「今のは良かった」

芽衣は彼を見た。

「励まさないで」

健太が鼻から息を漏らした。

完全な笑いではなかった。

だが近かった。

海斗はそれに気づいた。

何も言わなかった。

時には、それが一番よかった。

数席離れたところに座っていた花が周囲を見た。

「みんな、あまり話していません」

原田が肘をテーブルに置いた。

「大きな中止だからな」

「それだけではありません」と花が言った。

悠太は彼女を見た。

「何が聞こえる?」

花はコップの縁に触れた。

「言葉ではありません。もっと……期待が落ちる音みたいなものです」

誰も冗談を言わなかった。

全員がそれを感じたからだ。

祭典中止は、単なる行事の中止ではなかった。

それは閉じた扉だった。

恐怖へ直接つながっていない、数少ない扉の一つだった。

翌日、二枚目の掲示が一枚目の下に貼られた。

今度は、確かに音が生まれた。

最初は大きくなかった。

まず沈黙。

次に驚きの声。

足音。

そして声。

悠太は走ってきた。大輝はこの支部に関係がなく、そもそもここにいなかったが、噂の可能性に反応する悠太の速度を見たら誇りに思っただろう。

颯太がその後に続いた。

健太はすでに掲示板の前にいた。

芽衣も。

石田は黙って読んでいる。

海斗は腕を組んでいた。

陽菜は驚きよりも注意深さを持って掲示を見ていた。

新しい通知にはこう書かれていた。

支部間年次祭典:中止。

内部行事承認:東京トーナメント。

形式:二対二。

ペアは指導員が指定。

制御試合。

日程:本来の祭典期間を維持。

悠太は「二対二」の部分を三回読んだ。

次に「ペアは指導員が指定」の部分を読んだ。

そしてまた「二対二」に戻った。

「これは新しいな」と彼は言った。

石田がうなずいた。

「通常の祭典は個人戦だ」

颯太は掲示を見た。

「二対二……」

健太が、前の夜以来初めて笑った。

「いいじゃん」

後ろから結衣が言った。

「その笑顔は不安になる」

「お前は何でも不安になるだろ」

「注意しているからよ」

海斗は健太を見た。

「暴走する口実じゃないぞ」

健太は両手を上げた。

「まだ何もしてない」

「予測の練習だ」

「暴走」という言葉に呼ばれたかのように、バクが彼らの後ろに現れた。

「いいこと言うな、村。馬鹿を予測することは、馬鹿を生き延びる第一歩だ」

健太は彼を見た。

「これ、あなたが書いたんですか?」

「違う。俺が書いたなら、もっと感嘆符があって、創造的な脅しが少なくとも一つは入ってる」

その横に神崎が現れた。

「だから彼は書かなかった」

バクは掲示に手を置いた。

「予防的検閲。まただ」

悠太はまだ「ペアは指導員が指定」を見ていた。

それから颯太を見た。

颯太も彼を見た。

どちらも口にしないまま、その考えが二人の間に現れた。

二対二なら、一緒に組める。

悠太が口を開いた。

背後から加藤が言った。

「駄目だ」

悠太はびくりとした。

「まだ何も言ってません」

「顔が叫んでた」

「顔面監視だ」

「経験だ」

颯太は加藤を見た。

「ペアは選べないんですか?」

「選べない」

悠太は掲示を指した。

「指導員指定って書いてあります。技術的には、まだ希望を持てました」

「希望も監視下にある」と加藤は言った。

芽衣は、優奈の隣に現れたばかりの香澄を見た。

「あなたたちが決めるの?」

香澄は笑った。

「一部はね」

「最悪」

「ええ」

「それ、楽しいの?」

「いろいろとね」

陽菜は掲示を見た。

「じゃあ、普通の祭典とは違うんですね」

優奈が答えた。

「ええ。通常の祭典は個人戦を見る。これは別のものを見る」

石田は本を閉じた。

「相性」

神崎がうなずいた。

「共有された判断」

バクが指を一本立てた。

「そして仲間を床の装飾にしない能力」

健太が彼を見た。

「それ、俺に言ってます?」

「聞いてくれるところが好きだ」

海斗はため息をついた。

「全員に言ってるんだろ」

「村が感情的に救おうとする姿、いいな」とバクが言った。「こいつにそれだけの価値はないが、美しい」

健太は口を開いた。

閉じた。

バクは仮面を傾けた。

「見ろ。成長だ。ひどくて、気まずくて、ほとんど見えない。感動する」

健太は話題を変えるように掲示を指した。

「ペアはいつ発表されるんですか?」

加藤はコーヒーを飲んだ。

「近いうちだ」

悠太は彼を見た。

「普通の言語での近いうちですか? それとも大人語の近いうちですか? 永遠に近くて書類つき、みたいな」

廊下をファイルを抱えて歩いてきたタツが答えた。

「午後の訓練前です」

悠太は瞬きをした。

「ありがとうございます。役に立ちました」

タツは頭を下げた。

「環境を補おうとしています」

バクは彼の肩に手を置いた。

「この悲劇に必要な行政の英雄だ」

タツはその手を見た。

バクは手をどけた。

「了解」

香奈が最後にやってきた。

廊下が彼女の存在に合わせて整った。

彼女は二枚目の掲示を見た。

それから生徒たちを見た。

「支部間祭典は中止のままです」と彼女は言った。「これは代替ではありません」

声が低くなった。

「訪問はありません。移動もありません。他支部の代表もありません。東京内部の行事として、完全な監視下で行います」

健太が手を上げた。

結衣が無言の絶望を込めて彼を見た。

香奈が言った。

「有本」

「それでもトーナメントなんですよね?」

「ええ」

健太は手を下ろした。

「なら感情的には生き残れます」

「それも監視対象です」と神崎が言った。

バクは神崎を指した。

「たまに喋るだけで世界から色を奪うな」

香奈は続けた。

「形式を二対二にするのは、今年は通常の祭典と同じものを測るわけではないからです。一人で誰が勝つかを知りたいのではありません」

彼女は全員を見た。

「隣に誰かがいる状態で、その相手を壊さずに戦えるかを見ます」

その言葉ははっきりと落ちた。

悠太は颯太を見なかった。

見たかった。

だが見なかった。

加藤はそれに気づいた。

何も言わなかった。

それが、ある意味では余計に悪かった。

香奈は杖に両手を置いた。

「これはトーナメントです。勝ちたいと思うでしょう。それでいい。勝ちたいと思いなさい」

それに驚いた者は少なくなかった。

芽衣がわずかに顔を上げた。

健太が笑った。

石田の表情は変わらなかったが、より注意深く聞いていた。

香奈は続けた。

「ですが、勝つために相棒を捨てるなら負けです。相棒を言い訳に使うなら負けです。何かを証明しようとして考えることを忘れるなら、得点が別のことを示していても負けです」

バクが手を上げた。

「それ、Tシャツにしてもいいですか?」

「駄目」

「マグカップなら?」

「それも駄目」

「難しい交渉だ」

香奈はもう一度掲示を見た。

「ペアは本日午後に発表します」

廊下がざわめいた。

大きな叫びではない。

囁き。

名前。

計算。

組みたくない相手への素早い視線。

あるいは、組みたすぎる相手への視線。

芽衣は陽菜を見た。

陽菜も見返した。

「ないわね」と芽衣が言った。

「何が?」

「私たち二人」

陽菜は首を傾けた。

「それ、嫌なの?」

「露骨すぎるのが嫌なの」

「ああ」

「それに、叔母さんはきっとわかってる」

数メートル後ろで、香澄が笑った。

芽衣は扇を握りしめた。

「嫌い」

陽菜は香澄を見た。

それから芽衣を見た。

「うん。それも露骨に見える」

石田は規則の一覧を見ていた。

悠太は彼を観察した。

「もう全部の組み合わせを計算してる?」

「している」

「最悪の組み合わせも?」

「特に」

「で、どれ?」

石田は彼を見た。

「各自が制御できると思っている相手だ」

悠太の笑みが少し消えた。

「掲示板の横で言うには、必要以上に深いな」

「場所は精度を変えない」

健太は海斗に近づいた。

「俺たちが組まされたら勝てるな」

海斗は彼を見た。

「俺たちが組まされたら、バクさんが、お前が俺の忍耐を燃やすまで何秒か賭ける」

後ろからバクが手を上げた。

「もう賭けた」

結衣は目を閉じた。

「当然のように賭けてる」

颯太はまだ掲示を見ていた。

悠太は彼に近づいた。

「大丈夫か?」

颯太は答えるまで少し時間がかかった。

「あなたと組みたいって思うんだろうな、と思ってました」

悠太は何も言わなかった。

颯太は彼を見る。

「でも、あなたと組んだら、僕は守られなくても大丈夫だって証明しようとすると思います」

悠太は唾を飲み込んだ。

その答えは、鏡の言葉にあまりにも近く届いた。

「俺は、間違った守り方をしないって証明しようとすると思う」と悠太は言った。

颯太はうなずいた。

「はい」

二人は一秒間、黙っていた。

それから悠太はため息をついた。

「学ぶの嫌いだな」

颯太は少し笑った。

「はい」

加藤は遠くから二人を見ていた。

笑わなかった。

だが表情がほんのわずかに緩んだ。

優奈はそれに気づいた。

「今のは良かったわね」

「ああ」

「誇らしい?」

「技術的観察だ」

優奈は彼を見た。

「私の台詞を盗まないで」

「便利そうだった」

「あなたが言うと悪く聞こえる」

加藤はコーヒーを飲んだ。

「それも技術的観察だ」

香奈は掲示板から離れた。

生徒たちはまだ話していた。

計算していた。

待っていた。

恐れていた。

静岡の攻撃以降、初めて、支部の廊下は悪い知らせを待つ場所のようには少しだけ聞こえなくなっていた。

純粋な喜びではない。

安心でもない。

安全でもない。

だが、動きだった。

そして、自分自身の中に閉じ始めていた支部において、動くということは、時に小さな呼吸だった。

最初の掲示はまだそこにあった。

若き狩人たちの年次祭典――追って通知があるまで中止。

その下の二枚目は、それを消さずに反論しているように見えた。

東京トーナメント。

二対二。

ペアは指導員が指定。

悠太はその言葉を、ただの事務連絡に見えなくなるまで見つめた。

二対二。

それは、誰かが隣にいるということだった。

前ではなく。

後ろでもなく。

隣に。

そして、なぜかそれは、利点というより質問のように聞こえた。

廊下の端から、香奈も掲示を見ていた。

祝祭は見えていなかった。

解決策も見えていなかった。

見えていたのは、あり得る組み合わせ。

あり得る失敗。

あり得る亀裂。

それでも、数日ぶりに、機会に似たものも見えていた。

「勝ちたいと思いなさい」と、彼女は小さく言った。

隣のタツがそれを聞いた。

「何か?」

香奈は掲示板から目を離さなかった。

「勝ちたいと思わせるの。そうすれば、自分たちにできると思った時に何をするのかが見える」

外では、訓練場が空だった。

実習の印はもう見えなかった。

けれど、なぜか全員が知っていた。

それらはまだそこにある。

次の切り口を待っている。

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