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永遠の残滓  作者: Mateo
37/39

第37章:存在するから

東京本部の本館はその朝のものではなくなっていた。

壁には時間が作った亀裂ではなく衝撃が作った亀裂があった。魔力が一点に集中して十分な力で解放されたとき、受け取る素材がそれをどう扱えばいいかわからなくなる種類の亀裂だった。

床には跡があった。

奥の高い窓はガラスを失っていた。

そして様々な方向から館に続く廊下からは、他の場所でまだ続いているものの音が聞こえていた。

叫び声。

打撃音。

爆発。

起きていてはいけないのに起きているものの特有の音。

その廊下の一つから残滸が来ていた。直近の一時間戦い続けた何かの様子はしていなかった。あるいはそういう様子をしていたとしても、することのコストを感じるものがそれを示す方法では示していなかった。

背が高かった。二メートル以上。その体格は筋肉質と別の何かの間だった。人間の形は出発点に過ぎず最終的な結果ではなかったかのように。肌は暗く、灰みがかって、より深く見える区域があった。その下に本来あるべきでない層があるかのように。目は白かった。瞳孔なし。

その名は絶縁だった。

絶縁は館の中央に立っていた。

向かいに加藤弘と井上龍一がいた。

弘は右脇腹に傷を負っていた。活発には出血していなかったが、每回の動きがそのことを思い出させた。

龍一はまだ背筋を伸ばして立っていた。姿勢は敵に渡さない情報と決めた人間の特有の姿勢で。

絶縁は二人を見た。

「最後の防衛線にしては物足りないと思っていた」

「まだ立っている」

龍一は言った。

絶縁はわずかに頭を傾けた。

「それも修正できる」

________________________________________

弘が最初に入った。

打つ前に接続を与えるために戦うスタイルではなかった。

各動きの結果をすでに計算していたから、どれも示すことに費やさないスタイルだった。

足取りは直接的だった。

拳の角度は正確だった。

距離は的確だった。

魔力を完全に起動させた一撃が絶縁の胸に届いたとき、何かの表面に衝撃が当たるときに起きることが起きなかった。

絶縁の体は内側から揺れた。

最初に短い震動が来た。

次に乾いた音が来た。

それから皮膚に亀裂が現れた。

深くはなかった。

決定的でもなかった。

でも見えた。

絶縁は一歩後退した。

自分の胸を見た。

これが弘の圧縮衝撃の始まりだった。

表面を壊そうとするのではなかった。魔力を極小の一点に集中させて、接触の瞬間に正確に解放することで、すべての力が内側に向かうようにした。密度の高い皮膚に対して。天然の甲殻に対して。耐久性の高い体に対して。

外側がどれだけ耐えても、一撃が下にあるものを見つければあまり関係なかった。

絶縁は顔を上げた。

「面白い」

弘はわずかに笑った。

「まだ何も見ていない」

龍一が入った。

龍一から放たれる魔力は一点には集中しなかった。

分かれた。

最初に二つの断片に。

次に四つに。

それから八つに。

小さな魔力の塊が戦場の周囲に浮かんでいた。それぞれが独自の密度を持ち、それぞれが別の意図で動いていた。

これが龍一の魔力分断の問題であり利点でもあった。

多く作れば多くの空間を制御できた。少なくすれば一つひとつの力が強くなった。

断片の一つが絶縁の顔に向かった。

別のが脚に。

別のが背中を探した。

一つが弘の近くに留まった。

二つが上に浮いた。

残りは待った。

絶縁はかわせるものはかわした。

かわせないものは壊した。

龍一はまた分割した。

弘は横目で見た。

「いつも全部の場所にいたがる」

「誰かがしなければならない」

「息子も同じことを言う」

龍一はわずかに見た。

「十歳だ」

「そうだ」

龍一はほぼ笑った。

ほぼ。

絶縁は二人を観察した。

「二人とも喋りすぎる。まだ何と戦っているかわかっていないのに」

弘はまた構えた。

「では説明してくれ」

絶縁は見た。

「何?」

「何者か」

沈黙。

「何を求めているか」

龍一は断片を周囲に保った。

「なぜ拠点を攻撃した」

絶縁はすぐには答えなかった。

館を見た。

体を見た。

壁を見た。

壊れた場所を見た。

それから二人を見直した。

「また同じ質問か」

弘は目を細めた。

「前にもされたのか」

「負けていると感じるとき、人間はみんな同じことを聞く」

「では答えろ」

龍一は言った。

絶縁は笑った。

「何のために?理解すれば何か有利になるとでも思っているのか?」

「いいえ」

弘は言った。

「なぜ殺さなければならないかを知るために」

絶縁は見た。

そして笑顔が変わった。

残酷さを楽しむものの笑顔ではなかった。

質問に答えがあり、その単純さそのものが侮辱的だと思っているものの笑顔だった。

「存在するから」

沈黙。

「それで十分なはずだ」

________________________________________

弘が突進した。

圧縮衝撃。

同じ胸の場所に。

亀裂が少し開いた。

絶縁は後退した。

龍一は六つの断片を異なる角度から放った。

二つが上から。

二つが脇から。

一つが下から。

一つが待った。

絶縁は手を上げた。

断片が消えた。

爆発はしなかった。

力で壊されたのでもなかった。

ただ応答しなくなった。

龍一と断片の絆が切られたかのように。

龍一は止まった。

「何が……」

絶縁は指をわずかに動かした。

断片は方向なく浮かんだ。

死んだ状態で。

絶縁の絆断絶は魔力を破壊しなかった。

技術と使い手の間の繋がりを断ち切った。四肢と魔力の中心の間を。流れとそれが依存する場所の間を。繋がっていなければならないものすべてが中断できた。

「繋がっているものすべて」

絶縁は言った。

「断ち切れる」

龍一は消えた断片を見た。

絶縁は続けた。

「そしてお前は多すぎるものを繋ぎとめることに依存している」

龍一は息を吐いた。

それから減らした。

すべてを取り戻そうとはしなかった。

四つの断片だけ。

より密度が高く。

より強く。

一つはブロックした。

一つは攻撃した。

一つは足場として機能した。

一つは待った。

絶縁は攻撃した方を壊した。

龍一は隠していたものを使った。

断片が背後から届いた。

命中した。

絶縁が前に出た。

弘はすでにそこにいた。

胸への拳。

圧縮衝撃。

絶縁の体が奥の壁に飛んだ。

埃。

石。

沈黙。

弘は見た。

「俺たちはそんなに簡単に折れない」

絶縁は瓦礫からゆっくり出てきた。

「まだな」

________________________________________

龍一はまた魔力を分割した。

絶縁は観察した。

「面白い」

「何が」

「誰かを救おうとするたびに力が弱くなる」

龍一は答えなかった。

弘は答えた。

「気にするな」

絶縁は続けた。

「抱えようとすればするほど、各部分の力が弱くなる」

断片を見た。

「それでも分割し続ける」

龍一は歯を食いしばった。

「まだ生きている人がいるから」

絶縁は頭を傾けた。

「では逃げろ」

沈黙。

「助けに行け」

龍一は動かなかった。

「でも行けば……」

絶縁は弘を見た。

「彼が死ぬ」

弘は鼻から息を出した。

「大げさだ」

絶縁は見た。

「すべての絆は同じ終わり方をする」

沈黙。

「どちらかがもう一方を失う」

しばらく誰も話さなかった。

それから弘は一歩踏み出した。

「一つだけ正しいことを言っているかもしれない」

絶縁は見た。

「すべての残滸が同じではない」

龍一も見た。

弘は続けた。

「誰も殺していないものもいるかもしれない。何かを覚えているものもいるかもしれない。名前を持つものもいるかもしれない」

絶縁は動かなかった。

「でもお前は今日他のものたちと来てこの拠点を死体で埋めた」

弘は拳を上げた。

「だから犠牲者として扱ってくれとは言わせない」

絶縁は笑った。

「言っていない」

________________________________________

戦いが再び始まった。

龍一は四つの断片を放った。

弘が正面から入った。

絶縁は一つをブロックした。

別のを切断した。

三つ目を受けた。

弘が打った。

絶縁が返した。

衝撃で弘が二歩後退した。

絶縁は戦いながら話した。

「あなたたちは俺たちを化け物と呼ぶ」

別の断片をブロックした。

「追いかける」

弘の一撃を逸らした。

「狩る」

龍一は繋がりを取り戻そうとした。

絶縁がそれを断った。

「壊す」

弘がまた胸を攻めた。

絶縁はかろうじてかわした。

「全員が殺したからではなく」

龍一が角度を変えた。

「全員が同じだからではなく」

また断片が来た。

また切断された。

「存在するから」

弘が一秒止まった。

絶縁はそれを見た。

「そしてハンターと名乗る」

沈黙。

「処刑に清潔な名前をつけても、それが何かは変わらないかのように」

龍一が話した。

「すべての残滸が無実ではない」

絶縁は見た。

「すべての人間もそうではない」

龍一は黙った。

「それでもあなたたちは、少数の犯罪のせいに自分たちの種全体を絶滅させようとする組織を作らなかった」

弘が一歩踏み出した。

「人を殺す残滸がいる」

「人を殺す人間もいる」

「違いは、俺たちが来るとき大抵すでに死者がいることだ」

絶縁は笑った。

「あなたたちが来るとき、常にその後に死者がいる」

弘は答えなかった。

龍一は答えた。

「では何が望みだ」

絶縁は二人を見た。

「ハンターがいなくなること」

沈黙。

「存在すべきでない」

龍一は目を細めた。

「残滸は存在していいのか」

「残滸は何かが残ったから存在する」

絶縁の声が変わった。

大きくなったのではなかった。

より深くなった。

「痛み」

約束。

「恐れ」

名前。

「終わりきらなかった人生」

手を伸ばした。

「そしてあなたたちはその後に現れてそれすべてを消すべきだと決める」

弘は見た。

「いつもそうではない」

「俺たちにとってはそうだ」

「すべての残滸の代わりに話せない」

「あなたたちはすべての代わりに決められるのに」

沈黙。

それは何かに触れた。

弘が同意したからではなかった。

問いがそれほど簡単ではなかったから。

絶縁はそれを見た。

「それがあなたたちの問題だ」

龍一を見た。

「守ることが決める権利を与えると思っている」

弘を見た。

「危険なものを殺すことが正義を与えると思っている」

弘は拳を握った。

「お前は人間を殺すことが優越性を与えると思っている」

「いや」

絶縁は笑った。

「対等にしてくれると思っている」

________________________________________

東の方から爆発が来た。

見えなかった。

感じた。

建物が振動した。

龍一は廊下の方に頭を向けた。

「東に仲間がいる」

弘は見た。

「こっちに集中しろ」

「助けが必要だ」

「俺たちはボスと戦っている」

龍一はさらに二つの断片を作った。

廊下に向けて送り出した。

弘は見た。

「龍一」

「対処できる」

「対処できるかとは聞いていない」

「死なせるわけにはいかない、何かできるなら」

弘は一秒目を保った。

「息子が愚かなことをする前に同じことを言う」

龍一は見た。

「息子は十歳だ」

「そうだ」

弘は遠ざかる断片を顎で示した。

「お前は違う」

龍一は答えなかった。

弘は声を少し下げた。

「全員のために何かしようとして、誰のためにも何もできなくなることになる」

絶縁は観察した。

笑わなかった。

必要がなかった。

ちょうど何かを理解したところだった。

________________________________________

拠点の別の区画では、华さんはまだ前進していた。

瓦礫相手に断絶切りを使った手がまだ震えていた。

多くではなかった。

十分に。

床に倒れているハンターが多すぎた。

数えなかった。

時間がなかった。

続けた。

咳が聞こえた。

半開きのドアから。

华さんは入った。

男が壁に寄りかかっていた。

灰色の髪。

胴体の傷。

ほぼ使えなくなった腕。

それでもまだ動かせる手に、小箱を持っていた。

小さかった。

暗い色だった。

記号で覆われていた。

华さんは顔を完全に処理する前にそれを認識した。

「大吾」

荒木大吾は目を開けた。

「遅かった」

华さんは膝をついた。

「まだ生きている」

大吾はごく小さく笑った。

「降参するタイミングがいつもわからなかった」

华さんは傷の確認を始めた。

大吾は手首をつかんだ。

「時間を無駄にするな」

箱を見せた。

华さんは表情が変わった。

「だめだ」

「华さん」

「だめ」

「聞いてくれ」

「それは禁じられている」

大吾は箱を見た。

「絶縁が拠点を壊すことを許すのも禁じられている」

华さんは止まった。

「絶縁?」

「他の残滸がそう呼んでいた」

呼吸のために間を置いた。

「これを指揮しているものだ」

华さんはもう一度箱を見た。

空の箱。

うつろの箱。

保管場所から出るべきでなかったもの。

普通の方法では殺せないものがあるから正確に存在するもの。

「どうなるかわからない」

华さんは言った。

「使わなかった場合の結果はわかる」

沈黙。

「全員が死ぬ」

华さんは答えなかった。

大吾は続けた。

「十分に弱ったものを封じることができる」

苦しい呼吸をした。

「でも魔力が必要だ」

近接が必要だった。

時間が必要だった。

そしてその過程で封印を開いたまま維持しようとする誰かが必要だった。

华さんは見た。

「誰がここに持ってきた」

「俺だ」

「なら今日こうなることがわかっていたんだ」

大吾はわずかに笑った。

「いつか何かが強すぎるものになることを知っていた」

华さんは箱を見た。

「そしてそれを待ちながらこれを保管していたのか」

「一度も見ないことを願いながらな」

沈黙。

华さんはうつろの箱を取った。

大吾は見た。

「使うつもりなら……」

「使うとは言っていない」

大吾は笑った。

「では取らなかった」

爆発が建物を揺らした。

天井から埃が落ちた。

华さんは存在感を感じた。

音ではなかった。

動きでもなかった。

存在感だった。

重く。

広く。

圧力として空間を通り抜ける何かだった。

絶縁。

华さんは立ち上がった。

「华さん」

向いた。

大吾は见た。

「殺そうとするな」

华さんは答えなかった。

「できない」

沈黙。

「封じることしかできない」

华さんは箱を握った。

________________________________________

本館では、絶縁が変わっていた。

外形的にではなかった。

魔力の使い方が変わっていた。

もはや一点を探していなかった。

広がっていた。

空間内に存在するすべての繋がりを読もうとするかのように。

龍一の呼吸が速くなっていた。

弘は血が出ていた。

断片は前より少なかった。

いくつかは壊された。

いくつかは切断された。

いくつかは遠くに送られた。

絶縁は周りを見た。

「今この瞬間何人が死んでいるか」

龍一は答えなかった。

「十人か」

沈黙。

「二十人か」

龍一は二つの断片を放った。

絶縁が断った。

「助けに行けばいい」

「聞くな」

弘は言った。

絶縁は続けた。

「でも行けば、死ぬ」

龍一は歯を食いしばった。

「そして行かなければ……」

絶縁は弘を見た。

「彼も死ぬかもしれない」

弘は息を出した。

「そのフレーズは試した」

「まだ効く」

龍一はまた爆発を聞いた。

別の区域。

さらに多くの仲間。

さらに多くの存在感。

さらに多くの魔力が消えていく。

弘はそれを見た。

「だめだ」

龍一は答えなかった。

「龍一」

断片をさらに作った。

「生きている人がいる」

「絶縁がここにいる」

「両方できる」

弘は見た。

「それがお前の問題だ」

龍一は断片を外に送り出した。

絶縁は笑った。

満足した誰かのようにではなかった。

仮説を確認した誰かのように。

「面白い」

龍一は見た。

「誰かを救おうとするたびに、殺されやすくなる」

龍一は拳を握った。

「黙れ」

絶縁は両腕を広げた。

「いや」

魔力が広がった。

繋がりが振動した。

龍一の断片たち。

弘の流れ。

すべてが。

絶縁は顔を上げた。

「さあ」

二人を見た。

「何が最初に折れるか見てみよう」

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