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隣で「おはよう」と笑う君を見たいから  作者: 山田 太郎丸
第四章 君の隣でどこまでも歩み続ける

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81.閉幕

更新遅れてすみません。

 



 グラウンドには、開門と同時に行列が作られていた。前日の盛況ぶりが話題になり、来客は我先にとグラウンドに駆け出していったのだ。


 しかしながら緊急で行なった対策が功を奏し、それほど客を待たせることなく品物を提供出来ていた。




「皆んな、まだまだいけるわよね?」


「当然!桜ちゃんのためにもへばってられないよ!」


「頼もしい言葉だけれど、無理をしては本末転倒よ。限界が来たらすぐに申告してちょうだい」




 幸いだったのは、この言い付けを全員が守っていたこと。

 猛暑の中で長時間の作業は、高校生の未完成の身体では負担が大きい。だが適度に休憩を摂ることで、効率的に行列を捌けていた。


 それは綾乃とて同じ。桜が不在の中で実質的に責任者となっていた彼女は、自分も休まなければクラスメイトも休まないかもしれないと考え、体力に余裕はあっても休憩するようにしていた。




「お疲れ様、優心。レジも結構忙しそうね」


「そりゃあね。昨日よりお客さんは沢山来てるし、焼く人は増えてもこっちは変わらずだからね。その方が効率が良いのは分かってるから文句言うつもりはないよ」


「苦労を掛けるわね。もうじきお昼も過ぎるし、ラストスパート、頑張りましょう」


「ああ。気合い入れていこう」



 優心はこんな時でも優しいのね。その言葉通り、文句ひとつ言わずに自らの仕事をこなしてくれているのだもの。後で何かご褒美でもあげようかしら。


 他の皆んなだって、こんなに暑いのによく動いてくれているわ。今日はトラブルも起きていないようだし、このまま最後まで走り抜けたいわね。




 綾乃は額から流れ落ちてくる汗を拭い、再び調理場へと戻るのだった。










 それから二時間後。全校放送によって、文化祭終了が知らせられた。これから売り上げの集計に入るため、生徒たちはその時間で片付けに取り掛かる。


 優心たちは片付けが比較的少なく、借りてきた机や椅子を元あった場所に運んだり、機材の返却準備を進めたりしていた。

 皆一様に疲労困憊の様相を呈していたが、それと同時にどこかやり切ったような表情でもあった。


 片付けの最中、集計が完了したとのアナウンスが。運命の結果発表の時間だ。学年関係なく全ての出し物の中から順位が決まり、先ほどと同じように全校放送で結果を伝えられる。




『それでは第三位からの発表です。第三位は———1年4組!』



 へぇ、1年生のクラスがランクインしたのか、凄いな。4組っていうと、俺と綾乃も行った手作りアクセサリーの所か。楽しめたけど、俺たちのセンスが絶望的すぎて碌な完成品にならなかったんだよ。

 まあ、これも良い思い出ってことで。



『1年4組のみなさん、おめでとうございます!続いて第二位の発表です!』



 第二位。優勝を目指している俺たち2年3組はまだ呼ばれるわけにはいかない。



『第二位は———2年1組!惜しかったですねー』



 ホッ。2年という言葉が聞こえて思わずドキッとしてしまった。でもここで呼ばれなかったってことは、もしかしたらもしかするのか?



『そして栄えある優勝に輝いたクラスは———2年3組です!おめでとうございます!』




「…………え、マジ?」




 誰かがそう呟いた。瞬間、全員の喜びが爆発し、グラウンドが歓声で満たされる。すぐに先生がやって来て、近所迷惑になるから静かにするよう諭されたが。


 中でも真田さんは、笑顔ながらも涙を流していた。




「やった、やったよぉ………!」


「桜、お疲れ様」


「うえぇぇぇん、可奈ちゃあぁぁん………!迷惑かけてごめんねえぇぇ………!」


「よしよし。全然迷惑じゃなかったし、桜はよく頑張ったよ」


「そうだよ!桜ちゃんがいなかったら優勝なんて絶対無理だったって!」


「真田さんが一番の功労者だって!胴上げでもする?」



 あまりの褒められように、真田さんは照れまくっていた。相川さんも真田さんを撫でながら自分のことのように嬉しそうにしている。他の皆んなもその喜びによって、お互いがお互いを称え合っていた。


 クラスが一つになったと思ったその時、肝心の優勝賞品についてのアナウンスが入る。



『見事優勝した2年3組の皆さんには優勝賞品として、体育館が打ち上げ場所に提供されます!それに加えて、ジュースやお菓子なども用意されるので、クラスの代表者は都合の良い日時を決めておいてください!』




 おお、太っ腹だな。学校の体育館じゃケチっぽいって言う人もいるけど、俺はむしろ達成感を感じられていいと思う。それだけ学校で思い出が出来たってことだからな。

 というか今からやるんじゃないんだな。確かにもうすぐ日は沈むけど、それは放課後の時間でもあまり変わらない。こっちの予定に配慮してくれたってことか。


 賛否はあるけど、貰えるだけありがたいよ。頑張ってよかったって思えるし。




 これにて文化祭は閉幕。ずっと慌ただしかったけど、それだけ価値あるものだった。こんなに忙しく動いたのは初めてだし、筋肉痛で身体中痛い。

 でも、楽しかった。文化祭ってこんなに楽しいものだったんだなぁ。綾乃や春馬にそのことを話したら、『ズレてる(わね)』って言われたけど。


 文化祭が終われば、次に待ち構えているのは期末テスト。憂鬱だけど、その後にはクリスマスが待ってる。そういえば去年のクリスマスも色々あったような記憶があるな………。


 何はともあれ、また思い出が増えそうだ。そんな、確信にも似た予感がする。




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