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五冊目

〈キミ学〉は2年目へと突入し、慌ただしくも充実した日々は流れるように過ぎてゆく。



新たなクラスメイトたちと日々切磋琢磨し、勉学や社交、さらには教養を身に付けるべく奮闘していれば自然とクラスの中に結束が生まれたりなんかもして。

まあクラスによっては逆にギスギスしてる所もあるらしいんですけれどね。ほらあれですよ、クラスの中で勝手にカースト作ったりなんかしてさらには上位気取っちゃったりする系の人たちっているじゃない? いや~同じクラスじゃなくてよかった!!噂によればCクラス以下でその傾向が強いらしいそうデスヨ!




──そう、この度の進級試験の結果、アリス氏は『()』クラス、そして私は『()』クラスになったってワケ。




はい、今年もクラスでの平和が約束されました。ミアです。

へへ、そうなんですよ。実は私もクラスを上げたんですよ!Aクラスですよ、Aクラス! えっ私ってばすごくない!?


ん?前世の知識があるならSクラスいけよって?


………。


う、うるせえっ!こちとらアリス氏を観察(ストーカー)すんのに忙しかったんじゃいっ!これでも合間を縫って必死に勉強したんだからな!!Aクラスってだけでも結構割と本当にマジですごいんだからなあっ!!


ハァッハァッ…… ったくこれだから素人はよぉ。



とまあそんな茶番はさておき、ここで私の現状を一つ。

一応この【王立ルミナス学園】は、全生徒共通の魔法学や基礎教養学といった授業とは別にいくつかの選択科目が存在する。それが騎士科や領地経営科、文官科だったりするんだけれど、中には侍女科や侍従科なんてものも存在するんですよ。


いやあ、ゲームの中だとただ学力の項目を選択(タップ)すれば勝手にパラメーターが上がっていたんだけれど、そりゃ現実ではそんなはずないですよねぇ。


という訳で私は特に悩むこともなく〈侍女科〉を選択したよね。

まあ卒業したらお嬢様のメイドに戻る訳だし、それならスキルアップはしておきたいよねっていう。それにどうやら私は元々世話好きというか、ややお節介な面があるらしく、この仕事が性に合ってるんだよね。うんうん。


とそれっぽい理由を並べてはみたんだけれど、何を隠そう実はそれだけが理由ではないんだなこれが。


実はこの情報は入学してからゲットしたんだけれど、何と侍女科と侍従科の成績優秀者の生徒は、この学園の全生徒たちの憧れである()()生徒会の侍女・侍従係に抜擢されるんですって!


この生徒会っていうのがまたね~!ポイントなんですよねえ!!



ルミナス学園での生徒会は、選挙じゃなくて“高位貴族や成績優秀者から選出される”っていうシステムなんですけど、だからこそというか この生徒会出身者はもれなく全員将来有望株というか、卒業後は重要なポストに就くことがほぼ決定しているような人たちなんだよね。


だから高位貴族や成績優秀な生徒たちは“選ばれる”ことを目標に頑張るし、爵位が継げなかったり下位貴族や平民の生徒たちは、彼らに“見初められる”ことに躍起になる。とまあそんな感じで生徒会メンバーというのは色んな意味で生徒たちの憧れの存在なのである。


つまりそんな人たちからの覚えが目出度いとなれば、卒業後の就職に有利…どころかワンチャン伴侶になって将来勝ち確ルート開拓の可能性もあるってワケ。そりゃあそんな可能性をぶら下げられたら、メンバーに選ばれるほど優秀じゃない生徒たちからすれば、それはもう血眼になってでもお近付きになりたい訳ですよ。


うんうん、そうだよねえ。高位貴族で更には将来有望とくれば、どう考えたって未来はバラ色だもんね。コネは大事……


あとついでにこの生徒会の任期は一年だけという決まりがある。


だからどんなに人気だったり優秀だったとしても、生徒会に所属できるのはその年の2学期の中頃から次の年の同じ頃までってことになってるんだよね。ちなみにこれを聞くと「年度が変わってすぐ交代じゃないの?」と思われるかもしれないけれど、引き継ぎとか学園のイベントのことだとかを考えると、新しい年度と共に交代してバタバタするよりも比較的落ち着いてる時期に交代した方がいいでしょ、ということらしい。


とそんな事情もあり、じゃあ今年の生徒会は誰になるのかしら?と皆さんも気になっている所でしょう。


まあね、でもね、そんなの……




攻略キャラたちがメンバーになるに決まってるんだよなあっっっ!!!!(大歓喜)




そう、今回の生徒会メンバーは、


会長に第二王子の【ジュリアン・アルフィ・エントミルズ】

副会長にその婚約者であり侯爵令嬢の【カトリーナ・アルドリッジ】

そして会計に1年ながら老舗商会の跡取りである【ティモシー・ハウエル】

さらに庶務には侯爵家四男の【キーラン・レンフィールド】



という豪華ラインナップとなっております。は?最高か???

ちなみに書記なんだけれど、ここはヒロインが生徒会に入る場合はヒロインになっていたんですよね。つまりここにアリス氏が入るということになるんだけれど……


いや選ばれるか???

どう考えても無理じゃない?だってアリス氏Dクラスだよ…?


うぅん、でも《聖女》ということでワンチャン…?

いや生徒会に治癒能力は求められてないか。


ま、まあ選ばれなかったとしても、それはそれでしょうがないよね。

アリス氏がおバカなのが原因なのであって、別に私に非は一切ないのでね。



……どうか八つ当たりされませんよーにっっっ!!




◇◇◇◇




「やあ君たちが今期の侍従・侍女係のジョン・タナーとミアだね。二人ともとても優秀な生徒だと先生方から伺っているよ。よろしくね」



っはあ~~~!! 間近で浴びるジュリアン殿下はたまんねぇなあ!!!心が浄化されちまうぜっっ!!



ハッ…! 失礼、取り乱しました。ミアです。ええ、おぢさんではありません。大丈夫です。


ふう、この1年と数ヶ月の間攻略対象者たちを陰日向から見守っ(ストーカーし)てきてはいましたが、こうも至近距離でそのご尊顔を浴びたことは無かったものですから取り乱してしまいました。


先ほどのセリフからもお分かりかとは思いますが、不肖私ミア、この度無事に生徒会の侍女係をもぎ取ることができました!! いやあ~頑張った!えらいぞ私!


そして現在同じく侍従係となったタナーくんと共に、ジュリアン殿下から生徒会メンバーを紹介して頂いている最中なんですわ。いや本当マジで眼福。ジュリアン殿下は何かもう存在自体が光り輝いてるし、カトリーナ嬢はツンと澄ましたお顔が高貴なネコチャン可愛いすぎワロタだし、ティモシーはニパッとした笑顔がきゃわわでキーランは眼鏡をかけた横顔が美人すぎ。


……ハァ、最高かよ。(n回目)


前世の知識を活かして勉強だけじゃなくて、先生方にゴマを擦りまくっといてよかったぁ~!おもてなしの心は世界を救うって前世から決まってるんですわ。



「ああ、それとあともう一人書記の子がいるんだけれど…」

「ジュリアン、アルヴィナでしたらミラージュ先生から用事を頼まれたらしく遅れて来るそうですわ。」

「またかい? はぁ…ミラージュ先生にも困ったものだね。まあそういう訳だから彼女のことはまた後で紹介するよ。」


「わかりました。/か、かしこまりました。」



間近で浴びる生徒会メンバーの煌めくオーラに目を焼かれながらも、何とか返事を返す。


というか思ってたよりもこの二人仲良いね?

なんかジュリアンのストーリー的にお互いに無関心を貫いてるか、もっとギスギスしてるのかと思ってた。 …いや逆なのかな?実は仲良く見えるように表面上を取り繕っているだけで、水面下では実はバチバチとか…?



「ちょっとジュリアン、この不埒な手はなんですの」

「えっ? 席までエスコートしようかと思って」

「こんな短い距離で必要ありませんわ」

「…………ダメ?」

「~~~~っ! もうっ好きになさったら!?」



はあ~~~??????

んだよ甘えたわんことツンデレネコチャンかぁ?いいぞ、もっとやれ。


……えっ?突然のイチャつきに脳を焼かれそう。てか焼かれた。

えっマジで何?この二人って付き合ってんの?いや付き合うどころか婚約者同士だったわ。 ほな問題ないかぁ…


いやいやいや、待って何もわからない。とりあえずこの二人がめちゃめちゃ仲が良いということしかわからない。えっ本当にここからこの二人って仲違いするの?マ??? 正直私的には全然今のままでも無問題なんですけど、アリス氏的には大問題が発生してそうな予感がそこはかとなく。


というかそもそも“アルヴィナ”ってどちら様なんですかね?

いや多分アリス氏の代わりポジのキャラだとは思うんですけど…



──そう、案の定アリス氏は生徒会メンバーには選出されませんでした。ですよね。

だとしたらやっぱりSクラスの生徒なんだろうか、カトリーナ嬢とも仲良さげっぽいし。というかカトリーナ嬢に友達っぽい存在がいたことに驚きである。


そうして暫くの間生徒会の仕事内容や、侍従・侍女係としての注意事項なんかについてレクチャーを受けていると、コンコンと扉をノックする音が部屋に響いた。


それにジュリアン殿下が返事を返すと、ガチャリとドアが開く音と共に一人の女子生徒が入室してきた。





 「すみません、遅くなりました」





──その少女の姿を目にした瞬間、一瞬だけど時が止まったのかと思った。



「ああ、ミナージュ先生から用事を頼まれていたんだって?連絡は聞いているから問題ないよ。」


「そうですか」



ジュリアン殿下と話すその少女の姿から目が離せない。


流れるようにサラリと揺れる これぞ絹の髪と言わんばかりのコーラルピンクの長い髪。軽く伏せられた目元には長い睫毛が影を落とし、その神秘的なラベンダー色の瞳を隠そうとする様に思わず覗き込みたい衝動に駆られてしまう。


そしてさらに目を惹くのは、まるで内側から発光しているかのようなキメ細やかな真珠肌。 気がつけば吸い寄せられるかのように目が惹き付けられてしまう、不思議な魅力を持った少女だった。



いや、え?待って???

めっっっっっちゃ美人なんだが!?!?!?


マジでオーラがパネェ……。これはジュリアン殿下やカトリーナ嬢と同等か、もしくはそれ以上の──…



ん?


……え?


…──あれ???



「アルヴィナ紹介するよ、今期の侍従と侍女係に任命されたジョン・タナーとミアの二人だ。」

「よろしくお願いします。/よ、よろしくお願いしますっ!」

「……どうも」



いや反応塩ォ!というかアルヴィナさん何気に目が死んでません!?どうしたの!?話聞こか!? でもクッソ美人!!ちくしょう流し目ありがとうございますっっ!!!!


ふぅ。

突然のファンサ(※違う)に心を乱されてしまったが一旦落ち着こう。

ってそれよりもアルヴィナ、だよね? えー…と、アルヴィナアルヴィナ……



──いや、アルヴィナなんてキャラいたっけ?



さすがにこれだけ美人なキャラがいたら絶対に覚えてると思うんだけど…。正直めちゃめちゃ好みだからいたら絶対推してる自信しかないですしおすし。


「ちょっとアルヴィナ、なんなんですのその反応は。自己紹介ぐらいちゃんとなさいな。」

「……ハァ」


ため息を吐く姿も気怠げでイイですね。推せます。


「アルヴィナ・メイナード、家は子爵。よろしく」

「3点ですわね。」

「……」


アルヴィナ氏の面倒臭そうな視線がカトリーナ嬢に突き刺さるぅっ!

っていやそうではなく、


「ふふ、二人とも仲が良いのはいいけれどその辺でね?ほら、タナーとミアもびっくりしてしまっているよ。」

「あら、私としたことが。失礼致しましたわ」

「はぁ…失礼しました」


タナー君と私は二人して「あ、いえ…」という返事しか返せなかったけれど、これは致し方ないだろう。

というかさっきから引っ掛かってはいたんだけれど、ジュリアン殿下とカトリーナ嬢がお互いを名前で呼びあっているのは、お互いが婚約者同士なので何も問題はない。けれど子爵令嬢という貴族階級から見れば下の方にいるであろう一令嬢に対してもまさかの名前呼びである。


これはあれですね、


このアルヴィナ嬢はどうやらお二人の〝お気に入り〟というやつである。

“この子の後ろには自分たちがいるから余計な手は出すんじゃねーぞ?”というアレですね、はい。

というかメイナード子爵家ってどこかで聞いたことがあるような…?



そんなことを考えていると、ふと頭にとあるシーンが甦った。



. .。・.+ .゜。. °


『……あのね、今日私を引き取りたいっていう人が来たんだって。』

『え…?』

『だから明日にはもう孤児院(ここ)を出て行かなきゃいけないの。』

『な、なんで!?ずっと一緒にいるって約束したじゃん!』

『……うん、ごめんね。』

『…い、いやだよ!そうだ、そんなの断っちゃえばいいんだよ!』

『私を迎えに来た人はお貴族様なんだって。……断ったら、ダメなんだって…』

『そ、そんな…』


。 . .。・.+ .゜。.゜ °



これは懐かしき前世の記憶───というか〈キミ学〉の過去回想エピソードである。


これは確かヒロインの幼馴染み枠であるヴァルハルトのルートを進めると見れるエピソードで、過去同じ孤児院で育った彼らの別れのシーンだ。


そう、そうだ、それでこの後ヒロインが()()()()()子爵領へ行ってしまうことを知ったヴァルハルトが、「必ず迎えに行くから!」とヒロインに約束する。という流れだったはず。



うんうん。そうそう、そうだった!

いやあ~すっかり忘れてたよね!あったわ~そんなシーン。やっぱ幼馴染みって王道よな~最高やんって思った記憶がありますわ。


……ふむ。


つまり、ということはですよ?



否が応でも惹き付けられる容姿に、どこかで見たようなカラーリング。そしてヒロインが行ったはずの領地の名前をファミリーネームに持つ少女。しかし同時に頭に浮かぶのは、この学園に来て同室となったもう一人の少女の姿。



というか今気づいたんだけれど、〈キミ学〉は割と王道を行くタイプの乙女ゲームというか、「あ~あるあるだよね~」という設定が結構盛り込まれたゲームだったんですよね。

例えば中世ヨーロッパ風の世界観とか、メインヒーローは金髪碧眼だとか。あとは……ヒロインは()()()()()()()()()()()()───とか、ね?


そして実際に身分制度があるこの世界では、貴族と平民の間には割としっかりとした線引きがある。


だから貴族と平民が同室になるっていうのは、基本あり得ないんだよね。まあ今更思い出しといてアレなんですけど…


つまりいくら侯爵家で働いているとはいえ身分的にはただの平民の私と同室ということは、アリス氏もまた()()だということになる訳で。



……うん。

いやまさかね、まさかとは思うんだけれど、あの……


もしかしてアリス氏って───……








「ヒロインじゃ ────────ない?」


■ミア'Sメモ


▪【クライヴ・ミナージュ】

▼魔法学教師

▼子爵家次男(長男が亡くなったため次期当主候補)

▼属性:水、土、風


・白緑色の髪に金色の瞳

・研究に没頭するあまり、常に寝不足のためどこか気だるげ。だがそこがエロいと人気。

・兄が亡くなったため次期当主候補とされているが、本人は研究に没頭したいらしく否定的。本人は親戚に譲りたがっているとの噂。



アリス氏への現在の好感度:5%



ミア「研究の手伝いとか言って生徒連れ込んでめちゃくちゃ喰ってそう。…ハッ!そうするとアルヴィナ氏にもその毒牙が!?ゆ、許せん…っ!!」

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