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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第一二九〇話、殴り込む第五艦隊


 敵エースを撃墜した。やり方はまっとうなものではなく、翼をぶつけた体当たりのようなものであったが、撃墜は撃墜だ。


 宮内 桜大尉はガタつく紫電改三を操るが、そこを別の敵戦闘機が襲いかかってきた。

 ここまで邪魔が入らず一対一の空中戦を演じられたが、それもそのはず、第三中隊の井口タキ大尉が、青いクレックス戦闘機――エレミア・アグノスと戦う宮内機の後背につこうとした敵機を優先して撃ち落としていたからだった。


「同期は大事にしないとね」


 ほぼ同数の航空戦だったために、カバーはできたが、敵はさらに増援を寄越してきた。

 空母に着艦を始める戦闘機隊は、順番が来るまで空母の上空を周回するものだが、その中で武器、燃料に余裕のある隊が迎撃支援にやってきたのだ。


 宮内機を除き3機にまで減った紫電改三は、これら敵――11機を迎え撃った。だがさすがに、宮内機の援護に手が回らず、ついに敵機が片翼を損傷した紫電改三に狙いを定めてダイブに移った。

 それが、エレミアのクレックス戦闘機が墜落した直後に、宮内本人も気づいた敵機であった。


 機動の制限のある宮内機に、これを回避するのは難しい。相手は新鋭のクレックス戦闘機。その所属は、帝国総司令部直属の特務艦隊である紅蓮艦隊の戦闘機隊である。


 入隊条件は、5機以上敵戦闘機を撃墜していること。つまりエースパイロットの基準――奇妙なことに5機撃墜でエースとなるのはムンドゥス帝国でも同じだった――を満たしていることにある。


 ムンドゥス帝国における5機エースの始まりは、一つの戦いで5機を撃墜したパイロットが取材を受けた際にとられた写真で、右手の指5本を広げたポーズからきているとされていたりする。……閑話休題。


 これはさすがに絶対絶命かと、宮内は敵機を睨んだ。最後の一瞬でも回避できる隙がないかと注視していたら、その後ろにもう1機ついているのに気づいた。

 クレックスではない。陣風艦上戦闘機だった。


 20ミリ光弾機銃が、敵機に吸い込まれ、狙われたクレックス戦闘機はスピンし爆発しながら落ちていった。


『七九一航空隊のパイロット! こちら『鳳翔』航空隊。無事か?』


 通信機から聞こえた声に、宮内は目を剥いた。


「お前、ジロウか!?」

『おや、よく見たら隊長機じゃないですか、宮内大尉』


 相手は、開戦以来の歴戦のパイロット。第一航空艦隊時代からの生え抜きである須賀 義二郎大尉だった。


『ひょっとして、やられたりしてます?』

「うっせ! やられてねぇ! やったんだよ!」


 体当たりのようなもの、と言うのは気恥ずかしくなったので宮内は言わなかった。


「まあ、何にせよ。助かったよ、あんがとよ」

『大尉がお礼を言うなんて!』

「お前、あたしを何だと思ってんだ!」


 とっさに文句が出る。周りには陣風や暴風戦闘爆撃機が飛んでいて、援軍がこの場に到着しているのがわかる。


『いつぞやの礼ですよ。ようやく返すことができた』


 須賀は言った。開戦直後、零戦を駆っていた須賀を、九九式戦闘機で助けたことがある宮内である。思えばそれが始まりであった。


「遅ぇよ。もう戦争終わっちまうじゃねえかよ……」

『終わる前に返せたというところですよ。貸し借りは好きではないので』

「ちっ、生意気な奴だ。――それはそれとして、何でお前がここに来ているんだよ?」


 記憶違いでなければ、須賀は第五艦隊の所属で、増援が駆けつけるなら第三艦隊からだと思っていた。違うところで戦っているはずの第五艦隊航空隊が何故、ここにいるのか?


『俺たちは、主力が戦場に戻るまで敵戦力の漸減(ぜんげん)を命じられているんですよ――』


 ムンドゥス帝国軍が、マリアナ諸島攻撃の際にやむを得ず置いてきた精鋭戦闘機隊を収容するために空母部隊を動かす。

 そう読んだ連合艦隊司令部は、第五艦隊にこの空母部隊の収容時を狙って攻撃するように命じていた。


 命令を受けた第五艦隊司令長官の神明 龍造少将は、収容ポイントに少数の空母だけを送るのではなく、以後の作戦のための航空戦力の再編ポイントとして利用する可能性を考えた。


 マリアナ諸島で取り残された艦隊の救援か、あるいは地球艦隊への報復のための航空隊の発進海域になるかもしれない――攻撃思考のムンドゥス帝国がこのままやられっぱなしではないと見た彼は、空母戦力の大部隊がいた場合に備え、第五艦隊の使える戦力を投じることとした。



  ・  ・  ・



 最初は空母4隻の小規模機動部隊と思われた。しかし魔法陣型ゲートで出現したところで、対遮蔽装備を搭載した巡洋艦が全速力で北上を開始した。

 すべては日本軍の奇襲攻撃隊に備えてのものであったが、この時、まだ対遮蔽装備は稼働していなかった。


 何故なら、遮蔽で隠れている味方空母群の姿をさらすわけにはいかなかったからだ。

 敵が4隻の空母群を発見して攻撃隊を送ってくるのは、まだ先の話だ。それまでに対遮蔽装備の範囲外に快速の巡洋艦を走らせる算段だったのだ。


 だが、日本軍の反応は早かった。

 空母『赤城』の彩雲艦上偵察機が『空母部隊、発見!』の通報をした時、第五艦隊司令部がただちに彩雲に、転移ブイの投下を要請。


 第三艦隊は、マリアナ諸島の二個戦闘群と交戦しており、すぐに部隊を送ることができなかった。だから第五艦隊がただちに行動に移ったのだ。

 転移ブイから戦艦『大和』『武蔵』らが出現。その艦尾カタパルトから紫電改三が発進。転移した水上機母艦『早岐』『音戸』からも転移爆撃装置付き航空機を射出し、これらは転移爆撃装置で、展開していた『翔竜』『鳳翔』『龍驤』ほかレキシントン戦隊攻撃隊を転移で呼び寄せた。


 今朝、ムンドゥス帝国軍の空母機動部隊を襲撃したのと同じ手で航空機を増やすと、戦闘機を収容している途中のムンドゥス帝国空母に襲いかかったのである。

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