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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第一二七九話、奇襲! 第五艦隊


 攻撃隊は放たれた。

 空母『翔竜』『鳳翔』『龍驤』に加えて、レキシントン戦隊の『レンジャー』『コンステレーション』『コンスティチューション』『ユナイテッド・ステーツ』から、艦載機が発進。

 陣風戦闘機、暴風戦闘爆撃機、暁星艦上攻撃機、彩雲改二偵察機、そして五式艦上攻撃機が飛び上がり、上空待機を行う。


 水上機母艦『早岐』『音戸』、編入された『千歳』『千代田』『日進』からは、紫電改三、暁星改、飛雲水上偵察機がカタパルトにて順次射出されていく。


 その頃、転移中継装置を装備した潜水艦『呂401』『呂402』『呂403』は、都市戦艦『ウルブス・ムンドゥス』の周りに展開する三つの艦隊にそれぞれ一隻ずつ忍び寄った。


 それらは、特に空母が密集している部隊の南側に近づいた。これらはマリアナ諸島へ向かった艦隊に所属する空母部隊であると推定されており、真っ先に叩くべきものとして第五艦隊の標的となっていた。


 そして時間がきた。

 転移中継ブイを射出する呂号潜水艦。ブイは海上に向かって打ち上げられ、それは空母部隊の近くにて展開した。


『転移マーカー、作動を確認!』


 戦艦『大和』の魔核制御室の管制官が声を上げる。神明 龍造少将は短く命じた。


「転移」


 その瞬間、新たに発生した転移中継ポイントへ、第五艦隊特別攻撃隊が瞬間移動する。

 電探を監視していた電測員は表示が一気に敵だらけになる瞬間を目撃した。


「転移しました! 敵艦隊、北方に集中! 距離15000!」

「主砲、一番、二番! 撃ち方始め!」


 有賀 幸作艦長が叫んだ。戦艦『大和』の46センチ三連装砲が轟いた。転移を外しての通常砲撃。砲術を担う正木 初子少佐は能力者としての力を用いて6発の砲弾をばらまくように弾道を操作する。

 それらは、空母部隊の中央のゲート艦と近くの空母に吸い込まれ、そして爆発した。


 解放される凄まじいまでの光。放たれた砲弾は、魔石砲弾。戦艦用砲弾なので核兵器ほどの威力はないが、広範囲に広がったそれは周囲の空母とその護衛艦艇を襲った。

 計6発の爆発は、ムンドゥス帝国艦の防御シールドを瞬時に引きはがして、それぞれに熱と衝撃波が襲いかかった。


 リトス級大型空母、アルクトス級中型高速空母の飛行甲板に並べられた航空機が一瞬で吹き飛び、ついで膨大な熱に飲み込まれた。


『ゲート艦消滅。転移魔法陣の範囲にいた空母40隻の消滅を確認』


 初子の報告に、艦橋の神明は頷いた。


「航空隊発進。残っている空母を攻撃しつつ、次の目標へと移動準備」

「カタパルト、艦載機を打ち出せ!」


 有賀が命じると、大和の後部甲板から待機していた紫電改三が射出された。飛び上がった紫電改三は、転移爆撃装置を起動。予めセットされていた物体を投下する。

 それは暁星艦攻。爆弾代わりに転移した暁星もまた転移爆撃装置を使い、別の機を転移で呼び込む。


 それは瞬く間に倍、倍、倍に増えていく。紫電改三、暴風戦爆、最後に陣風艦戦が現れ、あっという間に一大攻撃隊が敵艦隊に迫った。

 これらは別の場所で発艦、空中待機していた第五艦隊航空隊だった。それらは魔石砲弾の爆発によって混乱するムンドゥス帝国艦隊に襲いかかる。


 砲弾の爆発の衝撃は、一時的な通信、索敵不調を引き起こしていた。混乱する帝国艦隊に対して、第五艦隊攻撃隊が攻撃を開始する。

 衝撃波でシールドが剥がれた艦にトドメが刺される。暁星艦攻が対艦誘導弾を投下。五式艦攻が対艦誘導弾に加え、光弾砲で掃射をかけ、魔石砲弾の衝撃波だけであおりを食らっていたアルクトス級空母が直撃弾に飛行甲板や艦尾を吹き飛ばされる。


 近隣の巡洋艦に対して、陣風艦戦がロケット弾を撃ち込み、艦橋やマストを破壊すれば、暴風戦爆がロケット弾に加え、500キロ誘導爆弾を叩き込んで護衛の巡洋艦を大破、漂流に追い込む。


 電光石火の早業であった。機数自体は実はさほど多くない。しかし装備する転移爆撃装置は、母艦や弾薬供給艦から爆弾や対艦誘導弾を転移させる。これにより一機が複数回の対艦攻撃が可能となる。


 その効果は、劇的だ。たった1機の攻撃機が、一度の戦いで空母3隻を撃沈したとか、駆逐艦5隻を葬ったとか、まるで戦闘機対戦闘機のような戦果を叩き出すことができるからだ。


 事実、試作機段階の暁星艦攻は、単機で二桁の敵艦を撃破したこともあるし、今は円盤兵器アステールの装甲を持ったミニ・アステールとも言える五式艦攻が、活発な対空砲火を浴びせられても無傷で、敵艦を仕留めていった。

 少数の上空直掩機も陣風に加え、紫電改三に阻まれ、次々と撃墜された。


 特に攻撃を受けた本営艦隊戦闘群は、マリアナ諸島に向かった水上打撃部隊に合流する予定で、いつ呼ばれてもいいように艦載機を甲板で即時発艦待機させていた。だがその結果、航空機を飛ばしていなかったのである。


 機体を飛ばしていたら、それを収容しなければ転移できない。それは『いつ呼ばれても即時転移』できないことを意味する。日本軍と違い、航空機が転移離脱装置で母艦へ転移できないムンドゥス帝国軍である。

 さらに不運だったのは、魔石砲弾の爆発効果で指揮・通信系統が一時的に不通となったことであろう。


 三つの戦闘群は、それぞれ第五艦隊の転移襲撃を受けて、空母部隊の中枢は魔石砲弾によって壊滅し、残った範囲外の艦もしばし通信障害で独自に判断をしなければならず、統制が取れなかったのだ。


「報告です。武蔵隊、蝦夷隊も、主な敵空母部隊を殲滅したとのことです」


 戦艦『大和』。神明のもとに田中通信参謀が告げた。


「通信が繋がったということは、もう通信障害は消えたな」


 敵も通信機能が回復しただろうが、その行動が統制されたものになるのはどれくらい先か。

『呂401』の転移中継ブイで移動した『大和』を中心とした大和隊。『呂402』が武蔵隊、『呂403』が蝦夷隊をそれぞれ転移誘導した結果、これで三つの戦闘群が航空戦力を半壊したことだろう。


「よし、ひとまず奇襲としてはこんなものだろう。一度退避し、次の攻撃に備える」


 敵もいつまでもグダグダではない。通信が回復したなら、この少数の奇襲部隊に報復を仕掛けてくる。

 それにまともに付き合う必要はない。

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