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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第一二七二話、都市戦艦、大炎上


 改敷島型航空戦艦16隻、46センチ砲6門、計96発の砲弾の最初の砲撃は、一式障壁砲弾だった。

 それらは着弾とともに障壁を展開し、ビル群を切断、なぎ倒した。


 夜の中にあっても青みを帯びた光は、弾着観測機の目にもよく見えた。砲弾のばらつき、弾着位置に関する報告の合間に、突撃機の桜花改が、敵迎撃艦隊をすり抜ける。


 砲撃戦に注力していたムンドゥス帝国本営艦隊は、ロケットの如く通過する桜花改に対する迎撃もできなかった。

 これらは低空を掠め飛んだこともあり、『ウルブス・ムンドゥス』からの対空砲に引っかかることなく、砲撃にさらされた都市へ突っ込むことに成功した。


 そして、大爆発を起こした。内蔵された爆薬の中身は魔石爆弾のそれ。その破壊力は建物を範囲内のものを根刮ぎ焼き、消滅させた。巨大な都市戦艦の規模から見ても引けを取らない大爆発が連続した。


 桜花改50機。50発の魔石爆弾の攻撃は、都市戦艦の構造物をことごとくを破壊し、焼け野原へと変える。

 夜の闇を昼へと変えたような閃光が広がり、全長12キロメートルもの巨艦を満遍なく吹き飛ばす。


「まるで島だ……」


 第二艦隊旗艦『高千穂』の艦橋で様子を見守っていた伊藤 整一中将は、その光景に目を庇う。

 魔石爆弾の攻撃を受けて、しかしまだ都市戦艦は浮いているようだ。


「次弾より弾種は魔石砲弾になります!」


 航空戦艦『高千穂』艦長、今村 虎次郎大佐が報告した。森下 信衛第二艦隊参謀長は口を開いた。


「ビル群は吹き飛ばせたようですが、土台ともいうべき艦体はまだ残っています。トドメとして撃ち込んでおきますか?」

「うむ、念の為だ。やろう」


 伊藤の判断を受けて、改敷島型航空戦艦の主砲が発砲。16隻から放たれた大威力の魔石砲弾が『ウルブス・ムンドゥス』に撃ち込まれた。

 1.4トン砲弾96発の命中は紅蓮の太陽を生み出したように辺りを照らした。圧倒的な破壊力は、島にあるものを飲み込んだように見えた。

 光が消えた後、しばし前方を監視した伊藤は呻くように呟いた。


「……まだ影が見える」


 都市戦艦『ウルブス・ムンドゥス』、その長大な艦体はまだ浮いているようだった。しかしそこにあった都市はきれいさっぱりなくなり、それまで見えていた明かりも消え失せた。


「どうなった……?」


 やったのか、否か。


「観測機! 報告を」


 上空には弾着観測機が飛んでいたはずだ。それを守る戦闘機と共に。敵もまたそれを撃墜しようと戦闘機を送りだし、空中戦が所々で展開されている。

 通信士官が最新の報告を持ってきた。


「都市戦艦は、艦上構造物は全て消滅しました。艦体のほうは依然として健在ですが、設備などは破壊されており、戦闘能力は見られずとのこと」

「……つまりこれは、やったのか?」


 都市を一掃し、その戦闘力、旗艦としての機能を奪い去った。


「皇帝を打倒できたのか?」

「わかりません」


 森下は正直だった。


「陸軍に要請し、艦内に兵を送って調べるしかないのではないでしょうか」


 浮いている巨大な艦体のほうに皇帝がいたとすれば、もしかしたら……。

 直後、近くで水柱が上がった。都市戦艦を守る本営艦隊の艦艇が、第二艦隊へ砲撃をしているのだ。


「まずは敵艦隊を叩かねばならないようだ」


 旗艦がまだ健在なのかそうでないのかわからないが、護衛艦隊はまだ戦うつもりのようだ。総旗艦の指示なのか、あるいは皇帝が戦死しそれに逆上しているのかはわからないが。

 必要以上に旗艦に近づかないように第二艦隊は転進しつつ、敵艦艇を迎撃する。これに第一艦隊、米太平洋艦隊も加わり、第二艦隊を援護した。



  ・  ・  ・



「つまり、明るくならねば、よくわからんということだな」


 連合艦隊司令長官、小沢 治三郎中将は、第二艦隊からきた山本 祐二先任参謀からの報告に頷いた。


「現在、帝国艦隊がなおも戦闘を継続しており、安易に近づけない状態です」

「皇帝の戦死は確認されていない」

「はい。都市戦艦が沈めば、死亡の可能性はかなり高いと判断できたのですが、艦体がまだ浮いている状態ですから、もしその内部に重厚な防備を固めた司令部が存在しているとすれば……」

「いまだ戦闘を指揮している可能性もあるわけだ」


 小沢は、草鹿 龍之介連合艦隊参謀長を見た。


「これは、最終手段として準備していた陸軍の出番と見るか?」


 艦隊でどうにもならなければ、陸軍が上陸して都市戦艦を占領する――そういうプランはあった。

 だがここで、最終プランとしてではなく、皇帝の生存を確認する都市戦艦の掃討作戦としての陸軍投入の時ではないか。


「調査だけなら、特殊部隊を上陸させれば事足りますが――」


 草鹿は真顔で答えた。


「懸念の通り、浮いている艦内の大部分が生きている場合、多数の敵兵、迎撃兵器が存在しているはずです。沈められない以上、陸軍に制圧を要請するのは正しいかと考えます」

「うむ。奇襲部隊を上陸させるだけならば、今でもできようが、大規模上陸となると、敵の護衛艦隊を排除せねばなるまい」


 小沢は苦虫を噛み潰したような顔になる。


「前線の艦隊も、明るくなって以降の継戦は無理だろう。ここまで確保したのに引くのも癪な話ではあるが」

「兵の疲労も限界でありましょう」


 草鹿は言った。


「弾も燃料もギリギリでしょうから、ここはしっかり準備して、朝以降の攻撃に繋ぐべきかと」

「……ハルゼー大将に具申するとしよう。まだ生きているよな? あの御仁は?」


 常に最前線を突っ切っていた男である。アメリカ人ながら天晴れな戦いぶりを示したが、これまでの被害を考えれば、実は戦死していましたなんてこともあり得る。日本海軍も、第四艦隊司令長官だった佐々山 久雄中将が司令部ごと戦死している。

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