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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第一二七一話、都市戦艦に艦砲射撃


 後方の海氷飛行場群を襲撃した紫光艦隊は撃滅された。

 後顧の憂いが断たれた頃、最前線の地球艦隊は、戦艦群が都市戦艦『ウルブス・ムンドゥス』をその射程に捉えた。

 日本海軍第一艦隊、旗艦『相模』で、新堂 儀一中将は新たな命令を発する。


「巡洋艦戦隊ならびに水雷戦隊は前進を継続。敵艦を牽制せよ。戦艦部隊は面舵をとり、敵都市戦艦に対して同航。艦砲射撃を開始する! 左砲戦、用意!」


 戦艦『相模』以下、9隻にまで減った日本戦艦群が変針し、その主砲を左舷方向へ向ける。


「転移砲は解除。通常砲撃にて遠距離より仕掛ける。どこに当たってもそこは敵総旗艦だ」

「砲戦距離2万8000。仰角上げ!」


 改播磨型戦艦の51センチ連装主砲が発射態勢に移る。都市戦艦の名の通り、その甲板には無数のビル群があり、しかし各所に武装が隠されている。適当に撃ち込んでも、都市や防衛設備を破壊できるだろう。


 問題は、この艦砲射撃がどこまで敵総旗艦に通用するかだ。相手は全長12キロメートル近くもある巨体であった。

 前衛に躍り出た巡洋艦部隊が、敵艦隊を阻みつつ、戦艦部隊は射撃態勢を整えた。


「主砲、全砲門、射撃準備よし!」


 艦長の報告を受け、さらに後続艦からも続々と砲撃準備完了の知らせが舞い込む。新堂は、闇の中に浮かぶ都市戦艦の影を見据えた。


「撃ち方始め!」


 豪砲一発。戦艦『相模』の51センチ連装砲が火を噴いた。転移砲ではない。砲門からは一瞬の炎と黒煙が噴きあがり、雷鳴もかくやの砲声が辺り一面に響き渡った。

 これこそ艦砲だ。ビリビリとした衝撃が窓を震わせた。


「『播磨』、撃ち方始めました!」

「『伊予』、『飛騨』、射撃開始!」


 後続艦も次々に砲撃を始めた。さらに――


「アメリカ艦隊も砲撃を開始しました!」

「おおっ」


 ハルゼーの米太平洋艦隊も、砲撃地点に到着したのだ。戦艦『ニュージャージー』に率いられ、アリゾナ級の18インチ砲、モンタナ級の16インチ砲が、異世界帝国の都市戦艦を襲った。


 日米艦隊の砲撃は、『ウルブス・ムンドゥス』の右舷に突き刺さり、そして爆発した。直撃を受けたビルが砕け、倒壊する。都市に対する艦砲射撃は、その巨大なる都市戦艦に存在する構造物を破壊していく。


「弾着観測機より報告! 都市戦艦は防御障壁なしの模様!」


 通信士官が夜間観測機からの報告を持ってきた。新堂は頷きで答えると、倉橋参謀長が口を開いた。


「第四艦隊の報告は本当でしたね」

「うむ」


 都市戦艦の超兵器であるワーム砲。その破壊のために肉薄した第四艦隊だが、その際『ウルブス・ムンドゥス』の艦載砲と撃ち合った。その時の反撃で都市戦艦の表面、砲や構造物にシールドが張られていないのを確認していた。

 ワーム砲には備えられていたようなので、重要区画にはシールドが張られている可能性はあるが、それ以外は通常の砲撃で通用した。


「もし、障壁が存在しているようなら、より距離を詰めねばならないところだった」


 転移砲による直接射撃。だがその間には割り込んできた敵艦隊があって邪魔であった。ある程度の接近で諦め、遠距離からの通常砲撃に切り替えた理由はそれであった。


「しかし……」


 新堂は顔をしかめる。


「やはり火力が足らんな」

「ここまで削られましたからね」


 本営艦隊との熾烈な砲撃戦により艦隊は沈没、脱落艦が相次いだ。先頭を行き、敵陣を切り崩す手前、そうなるのは半ば予想はされていたが、現実に辿り着いた艦数を見れば、通常の作戦であれば任務中止、撤退の決断をしてもおかしくない被害であった。

 それがなされなかったのは、今回が決戦であり、次はない。たとえ第一艦隊が全滅しても任務は続行される特別攻撃作戦だからである。


「例の魔力砲弾があれば、あるいは……」

「もはや、それしかないだろう」


 新堂は言った。

 米軍の核攻撃、さらに魔石爆弾を活用した作戦は、ムンドゥス帝国側の超兵器によって阻まれた。


「連合艦隊司令部に打電。切り札の投入を具申する」


 今ならば、都市戦艦を砲撃できる。前進を続ける巡洋艦部隊は、ムンドゥス帝国の本営艦隊の増援によって劣勢になりつつある。いずれ第一艦隊戦艦部隊にもその攻撃が届く。艦砲射撃が可能な時間は限られる。むしろ、今を逃すべきではない。



  ・  ・  ・



 第一艦隊からの通信を、連合艦隊旗艦『出雲』は受け取った。

 小沢 治三郎連合艦隊司令長官も、その具申を了承した。


「第二艦隊に打電。突撃せよ」


 通信参謀がただちに小沢の命令を伝えに移動する。これまで空母部隊である第三艦隊の前衛を守り、対空戦闘以外の戦いをしていなかった第二艦隊が、予備部隊として動き出した。


 前衛を務める第一艦隊の転移巡洋艦『浦賀』の中継で、第二艦隊の水上打撃部隊が転移で第一艦隊に合流した。

 戦艦16、大型巡洋艦16、重巡洋艦16、軽巡洋艦8、駆逐艦48が加わる。


 第二艦隊旗艦『高千穂』。第二艦隊司令長官、伊藤 整一中将は静かだが力強く命令を発した。


「目標、正面の敵総旗艦。艦首、全砲門、撃ち方用意!」


 第二艦隊を構成する戦艦は、鹵獲回収したプロトヴォロス級航空戦艦である。その艦名は、初期の砲撃無人戦艦の芦尾型のものを引き継いでいる。


「航空機、特別突撃機を発艦させよ」


 航空戦艦の艦中央からある飛行甲板では、待機していた無人突撃機『桜花』改が駐機しており、これらはレールカタパルトに従い、次々に発艦した。


「桜花、全機発艦完了!」

「第一、第二主砲、発射準備よし!」


 長官――第二艦隊参謀長、森下 信衛少将が頷けば、伊藤もそれに答えた。


「第二艦隊、砲撃開始せよ」


 艦首に二基備えた46センチ三連装砲が、火を噴いた。

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