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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第一二六六話、因縁のフネ


 超大型戦艦『富士』から打ち上げられた多数の対艦誘導弾は、紫光艦隊の超戦艦『ゴッドウィン・オースティン』とその僚艦に降り注いだ。


 この攻撃を、紫光艦隊司令長官のササ大将は、ショート転移による回避を命じた。結果、『ゴッドウィン・オースティン』、二番艦『アンナプルナ』は直進型転移で誘導を振り切ることに成功した。


 海面にぶつかり次々に爆発する誘導弾。十数発が虚しく浪費されたが、三番艦と四番艦は、転移寸前に誘導弾の直撃を受けた。

 防御シールドの手前で転移した誘導弾は、ゴッドウィン・オースティン級戦艦の上部構造物に連続して直撃し、艦橋、そしてマストを破壊した。


 多数の誘導弾の集中攻撃を受けた二隻は、艦首側に集中した50センチ主砲の装甲こそ抜かれることはなかったが、艦橋や副砲、後部艦載機デッキが破壊され、浮かぶスクラップと化した。


『転移で、海域を移動する』


 ササの指示に、ラングー艦長が振り返る。


「閣下!?」

「離脱するのですか?」


 アンドラス参謀長もまた語気を強めた。仮面の指揮官であるササは、まったく動じる様子もなく告げた。


『我々の作戦目的は海氷飛行場の破壊だ。あのような木偶の坊を相手にしたところで、艦隊決戦に影響しない』


 わざわざ後方を襲撃したのは、明日以降の戦いを優位に運ぶため。地球側優勢の基地航空隊を封じて、艦隊同士の戦いで物量を活かして敵をすり潰すこと。何より、ここで海氷飛行場を叩ければ、夜戦で奮闘する地球人たちの士気を下げることにも繋がる。

 それには、あのレマルゴス級改装の『富士』の撃破は関係がない。むしろあれの撃破にこだわり、敵基地航空隊の飛行場を破壊できねば、この作戦は失敗なのである。


『直進型転移で、次の海氷飛行場を叩く。僚艦にも伝えろ』


 これは撤退ではない。次の攻撃目標への前進だ。


「誘導弾第二波、接近!」


 戦艦『富士』からさらなる対艦誘導弾が飛来する。あれだけの巨艦だ。さぞ大量の誘導弾を搭載しているに違いない。


『転移の準備はどうか、艦長?』

「コースセット完了です。いつでも行けます」


 ラングーが報告し、ササは頷いた。


『転移せよ』


 旗艦『ゴッドウィン・オースティン』、僚艦『アンナプルナ』、直掩隊の重巡洋艦3、軽巡洋艦5、駆逐艦10もそれに従った。

 あっという間に、敵海氷飛行場群の反対側へ。ほぼ瞬間移動なので、辺りの景色が変わる。

 あの忌々しい超大型戦艦の姿は四方にはない。


『右舷方向に見える海氷飛行場に砲撃だ。目標はここだけではないのだからな』


 ササは早々に次の海氷飛行場群を目指すことを考える。まだ地球側には、攻撃を受けていない海氷飛行場が残っているのだ。


「敵夜間攻撃機!」


 海氷飛行場から飛び立ったF6Fヘルキャットの夜間戦闘機型が向かってくる。しかしそちらには紫光艦隊の戦闘機クレックスが襲いかかり、旗艦の上空を守る。

 まだ敵機は少数だが、早いうちに飛行場を潰しておかねば面倒なことになる。ササが内心で思った時、新たな敵が現れる。


「左舷方向に新たな敵艦隊、出現!」


 新たな守備隊が押っ取り刀で駆けつけてくる。地球人も海氷飛行場群を失うことの悪影響を理解しているのだ。

 何が何でも守らねばならない。しかし、前線に戦力を集中したい地球軍に、有力な艦隊をこちらに回す余裕などない。


 それは今ではロートルな長門型や、図体はでかいが艦隊運動が困難なレマルゴス級などで、紫光艦隊を迎え撃とうとしたところからも明らかだ。


「敵は戦艦8、巡洋艦8、駆逐艦10。戦艦は改キイクラス!」



  ・  ・  ・



「前線に向かおうと思ったらこれだ」


 第四艦隊司令長官、佐々山 久雄中将は独りごちた。

 ワーム砲破壊のために壊滅的大打撃を受けた第四艦隊は、後方の予備艦隊に合流。再編成の上、旗艦を『ひぜん』から『かが』に移し、再び戦場へ戻ろうとしていた。

 そこへ海氷飛行場に紫の艦隊が出現したという報告を受けて、駆けつけたのである。


「二度あることは三度あるというが、どうにも縁があるな」

「まったくですな」


 参謀長の平林大佐が頷いた。

 佐々山は、九頭島に現れた紫星艦隊との戦いを思い起こす。もちろん、それがヴォルク・テシスの艦隊で、今回はササの紫光艦隊であることは知らない。紫の艦隊――皇帝親衛軍が、またも同じ手で奇襲してきたくらいの感覚しかない。


「しかも、あの型は……」


 敵が使っている戦艦は、かつての軍令部が研究していた超戦艦案が具現化したものだ。あれがムンドゥス帝国にある理由。転移実験であの世界に飛ばされ、捕虜になった際に引き出された記憶の創造物。


 ――つまりは、おれの不始末ということだ。


 絶対にここで沈めてやる。


「目標、敵戦艦! 砲撃用意」


 8隻の戦艦が横一列に展開し、突撃隊形に並ぶ。それは騎兵のようであった。

 旗艦『かが』の隣では、魔技研が復活させた戦艦『土佐』、さらにその隣に『天城』が航行している。無人艦に改装されたこれらだが、戦艦『かが』と並ぶのが、かつての八八艦隊の艦名で揃うのは、運命的なものを感じる。


「発射準備よし!」

「撃ち方始め!」


 8隻の戦艦は艦首の主砲を一斉に発射した。転移砲によるその砲撃は、たちまち2隻のゴッドウィン・オースティン級戦艦に命中する。

 だが堅牢な装甲は、転移砲弾をもってしても表面を削る程度の被害しか与えられなかった。いくら相手が格上の50センチ砲級戦艦といえど、超至近距離の高初速の40.6センチ砲弾の直撃ならば装甲を撃ち抜けることを期待したのだが……。


 対46センチ砲装甲ならまだしも、対50センチ砲防御――さらに艦首に砲を集めた都合上、集中防御の極地のような超戦艦には、至近距離でも40.6センチ砲弾では不足だったか。


「だったら非装甲部分を破壊してやる! 砲術! 敵戦艦の艦中央から後ろに砲弾を叩き込め!」


 佐々山が声を張り上げた瞬間、ゴッドウィン・オースティン級2隻から光が弾けた。刹那、戦艦6隻が溶けた。

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