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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第一二六五話、不沈艦『富士』


 超大型封鎖戦艦『富士』は、第九艦隊に所属し、他の封鎖戦艦――海防戦艦改装部隊と共に、海氷飛行場防衛任務に割り当てられていた。

 かつてはゲート防衛用に配置されたりしたものの、艦艇自体の速力の遅さもあって、最近ではほとんど出番がなかった。


 その間、内地にあって実験部隊である第九艦隊で、装備の改装やら検証に利用されたが、それでも艦自体を動かしてまでやるものは少なく、暇をもてあましていた。

 しかし今回の決戦にあって、使えるものは何でも使うという方針から、『富士』にも防衛任務への出撃が命じられた。……この裏には、マーシャル諸島でS艦隊、T艦隊が戦っている頃、補給拠点としていた九頭島が攻撃されたことも関係している。


 かくて、海氷飛行場への奇襲を仕掛けた紫光艦隊に対して、『富士』はその能力を発揮する時がきた。


「敵戦艦、変針!」


 封鎖戦艦『富士』の戦闘艦橋に響く報告。艦長の古葉 真蔵少将は、攻撃続行を命じた。


「せっかく装備した転移光弾砲だ。このまま先頭の戦艦を叩け!」


 遮蔽装置で隠れていた封鎖戦艦戦隊である。戦艦『富士』は、50口径40.6センチ三連光弾砲を、敵戦艦――『ゴッドウィン・オースティン』に向けて撃ち込む。それは奇襲であったが、異世界帝国の超戦艦に対してさほど効いていないようであった。


 富士から見れば、およそ半分の300メートル級だが、装備している砲は1ワンク、もしくは2ランク上の可能性がある。


「さすがに、標準型の41センチ砲級では抜けないか……!」


 アメリカのアイオワ級、モンタナ級、もしくは異世界帝国のオリクト級に匹敵する主砲であるが、敵がそれより上の砲を装備しているなら、装甲防御もまたそれに合わせていると考えるのは妥当だ。


 であるならば、『富士』の主砲では分が悪い。命中精度の高い光弾砲だが、貫通力に関しては通常の徹甲弾に比べてもそれほど変わらないので、装甲の差は如何ともしがたい。

 そして『富士』の主砲が有効でないなら、他の封鎖戦艦の砲は子供の玩具も同然だった。

 ならば――


「出し惜しみはなしだ。対艦誘導弾をありったけ使うぞ。目標、敵の四戦艦!」

『誘導装置作動。目標に誘導弾の照準を合わせます!』

「敵艦の主砲が発光!」


 観測員の報告と共に、『富士』の正面に激しく閃光が走った。


「障壁に被弾の模様! 敵の転移砲!」

「フフン、この『富士』の防御性能を舐めるなよ」


 古葉は口元を緩めた。


「こいつは、おたくらの旗艦級戦艦の多重シールド防御を採用しているんだ。そっちの攻撃は通らないぞ」


 より正確には、キーリア級旗艦級大型戦艦が採用していたものを改良したものになる。外部からの攻撃に加え、転移砲による艦内への攻撃にもシールド装甲を挟み込んで対応している。


 多重シールド防御には、その分多くのエネルギーを必要とし、艦内のスペースをかなり取るため、キーリア級のような大型の艦体でなければ収まらない。しかしレマルゴス級超大型戦艦には、搭載された多数の砲をある程度撤去すれば、収めるスペースには困らない。


 かくて改装の際、主砲の数を大幅に減らした『富士』に、多重シールド防御システムが搭載され、強力な防御力を手に入れた。

 戦艦『薩摩』、『長門』『陸奥』を大破させた敵超戦艦の攻撃に対しても、『富士』の鉄壁のシールドが艦体に触れさせなかったのである。


 シールドに光が弾ける。敵超戦艦――ゴッドウィン・オースティン級4隻が、側面を向けて四連装三基、十二門の転移砲をぶつけてきているのだ。

 だが『富士』は、まったく動じない。


「いいぞ、そのままこちらを狙え」


 他の封鎖戦艦では、一撃で轟沈だろう。敵の攻撃が『富士』に集中すれば、その分、封鎖戦艦戦隊が生き残る可能性は上がる。

 何せ遮蔽による奇襲と、シールドを貫通する三連光弾砲に特化しており、速度も装甲も大したことがない。防御シールドはあるが、転移砲の前では無力であり、撃たれればあっさり火だるまだ。


「艦長。対艦誘導弾、照準よし!」

「ようし、障壁は前方に集中。それ以外は解除。誘導弾、発射せよ!」


 古葉は命じた。転移砲と違い、艦から撃つ誘導弾はシールドに干渉してしまう。多重シールドを敵戦艦の方向に展開。艦上方をクリアし、『富士』は次々と対艦誘導弾を打ち上げた。


 全長600メートル越えの艦艇の至るところからロケットの噴射とその光に反射した煙が浮かび上がる。

 未来ではありふれたミサイルプラットフォームとして、多数の対艦誘導弾が放たれる。

 それらは、ゴッドウィン・オースティン級戦艦それぞれの上空から猛スピードで迫った。



  ・  ・  ・



 時間は少し舞い戻る。

 大型戦艦『富士』の出現に、『ゴッドウィン・オースティン』のクルーたちは衝撃を受けた。

 ササ大将は、ただちに転移加速砲による攻撃を指示した。


『あれがレマルゴス級の改装艦ならば、艦内は弾薬庫の集まりだ。一度誘爆させられれば、連鎖反応を起こして沈めることもできよう』


 もちろん、シールドが艦内にも内張りされていればその限りではないが。だがシールド外の部分が爆発で損傷させることはできる。

 そして最大出力の加速砲を撃ち込んだのだが、50センチ加速砲は、『富士』の多重シールド防御によって阻まれてしまった。


「新兵器がこうもあっさり防がれてしまうとは……」


 アンドラス参謀長が唸る中、例によって仮面で素顔のわからないササは告げた。


『あれだけの巨艦だ。丁寧に改装をしたのだろう。……しかし、動きは鈍そうだ』


 その時、『富士』艦上で噴煙がいくつも湧き起こった。突然のことにラングー艦長やアンドラスが目を丸くする中、多数の誘導弾が発射され、それらがゴッドウィン・オースティン級戦艦に向かってきた。


「これは……!」


 ラングーは顔面蒼白になる。数十を超える誘導弾が向かってくる。防御シールド――はおそらく日本軍の誘導弾ならば転移で抜けてくる。あんなものが連続して命中すれば、沈むかは別としてゴッドウィン・オースティン級といえど艦上構造物が無茶苦茶に破壊されてしまうだろう。


『艦長』


 ササは鋭い声を発した。


「直進型ショート転移。600メートル前方に転移せよ! 急げ! 僚艦にも伝えろ」

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