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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第一二六〇話、レマルゴス級を叩け


 新堂 儀一中将の言葉どおり、連合艦隊司令長官の小沢 治三郎中将は夜間攻撃隊を準備していた。


 突撃艦隊が乱戦になり、味方撃ちにならないように控えていたが、第四艦隊がワーム砲を破壊した時点で、第一艦隊、米艦隊が都市戦艦に突入を再開すると考え、攻撃隊を発艦させていた。

 第一艦隊からの援護要請について、言われるまでもないとないとばかりに、夜の空に現れたのだ。


「直掩隊は、敵戦闘機の排除! 攻撃隊は、友軍艦隊の針路上の敵を叩け!」


 夜間攻撃隊指揮官の長谷川少佐は命じた。

 この夜の空にも、敵の防空戦闘機は飛んでいる。


「攻撃隊へ。我々は友軍艦隊の突入支援だ。都市戦艦を叩こうなんて馬鹿な考えは持つんじゃあないぞ」


 昼間、敵旗艦『ウルブス・ムンドゥス』の恐るべき対空能力の一片を地球軍は見せつけられた。

 米軍のB-29爆撃隊、日本軍の星辰戦隊の空中軍艦が全滅した。長谷川ら単発の艦攻の防御能力では、間違いなく返り討ちであろう。


 あそこまで強固な防空網を持っていなければ、艦隊の艦砲射撃の先触れとして、都市戦艦攻撃もできただろうに。


「いや、戦艦の砲撃力も馬鹿にはならん」


 むしろ対地、拠点攻撃において、その火力は陸軍の野戦重砲はおろか、航空機の爆撃よりも投弾量が凄まじい。

 かつては航空機が発達すれば、戦艦など時代遅れの代物になる、などと言われたものだ。しかし戦艦1隻の砲弾全てを用いた破壊力を発揮するのに、空母航空隊はどれくらいの航空機を投じなければいけないか。それを考えれば、使い方によってはまだまだ戦艦にも価値はあった。


「それにしても――」


 長谷川は眉をひそめる。彼の乗る流星改二艦上攻撃機の誉エンジンの轟音の合間合間に、敵戦闘機の立てる甲高い推進音が聞こえてくる。

 嫌な音だ。特に耳につくのは夜のせいもあるのだろうか。あれが攻撃隊に取りつく前に、仕事を終わらせよう。


 光が瞬く。おそらく敵の攻撃だ。それでパッと火花が散った。直掩の戦闘機が被弾し、やられたのだろう。バラバラになって落ちていくのが、千切れ飛んだ機体の断面の炎でわかった。

 暗視ゴーグルで、昼間に近い視野を得られているので、敵味方双方の動きを追うことはできる。だが艦攻隊の目的は、あくまで海上の敵艦艇だ。


「少佐! デカいのが、艦隊の前にいます!」


 操縦士の武部一飛曹が声を張り上げた。


「あれをやりますか!?」

「第一艦隊から叩いてほしいと言ってきたやつだな。ようし」


 長谷川は、デカいの――レマルゴス級超大型戦艦を確認する。


「第一中隊はあれをやる!」


 目標が定まった。長谷川機とそれに続く無人型流星改二が対艦誘導弾の発射位置に移動する。

 下では第一艦隊と、ムンドゥス帝国本営艦隊の艦艇の砲撃戦が続いている。昼間から戦いっぱなしの艦隊乗員たちに同情しつつ、今助けてやるぞと長谷川は奮起する。


『敵機、後方上方より3機』


 無人機の自動コアが、接近する敵機の報告を寄越した。機械音声というのは、いつまで経っても慣れない長谷川だったが、機械が知らせるということはそれだけ危険が迫っていることを意味するから無視もできない。


「直掩機! 敵機を近づけるなよ!」


 怒鳴るように言う長谷川だが、すでに振り返っての確認などしなかった。対艦誘導弾の発射に意識が向いているからだ。


 ――あんなデカ物なら、外しようがないな。


「第一中隊、目標、レマルゴス型。対艦誘導弾、発射!」


 長谷川の命令を受けて、編隊を組んでいる無人流星改二が指揮官機に続いて、四式対艦誘導弾を投下した。

 煙を引いて飛ぶ誘導弾は8発。それらは火山のように真っ赤に燃え上がる敵大型戦艦へと飛んでいく。

 長谷川は、レマルゴス級が煙に包まれる姿に感嘆する。


「凄いな……。さすが100門の40センチ砲を搭載するとかいう超戦艦だぜ」


 艦の砲配置の都合上、全砲門を一目標に向けることはできないレマルゴス級である。しかしそれでも1隻に対して数十門を向けられる。

 それらが一斉に落ちてくれば、命中率の低い砲撃でも数発は当たるだろう。下手な鉄砲も数撃ちゃあたるとはよく言ったものである。


「少佐、敵機が!」


 武部が叫んだ。そういえば敵戦闘機が迫っているのだった。大型戦艦に気をとられて失念していた。


「七番機! やられました!」


 無人型が1機、被弾。翼が吹き飛び、スピンしながら落ちていく。編隊に一撃を浴びせた敵機だが、そこに陣風が襲いかかり、20ミリ光弾機銃6門の猛射を受けた。たちまち火だるまになって墜落する。


 ざまあ、とは思ったが、長谷川はそれを声に出すことはなかった。やられたのが無人機だったからかもしれない。消耗品だ。人間ではない。

 視線を、海上のレマルゴス級へと戻す。敵は誘導弾に気づいたかどうか。近くにいた駆逐艦が対空砲火を放ったのも一瞬で、対艦誘導弾は超大型戦艦にグングン迫る。


 あれだけ主砲を並べれば対空砲に割くリソースもさほどあるまい――長谷川が命中を確信していると、そのレマルゴス級から対空砲火が上がった。

 か細い曳光弾の光は機銃の類いだろう。やはり高角砲や光弾砲の数はさほどでもない。主砲のスペースが優先されたのであろう。


 そして転移。敵シールドなどがあれば回避し、次の瞬間、命中、爆発した。その巨体からすると、大したことがない小さな爆発が八つ。

 傍目には本当に効果があるのか疑わしいほどちっぽけなものだった。が、敵艦内へ移動した誘導弾の爆発は、狙った通り主砲の弾薬庫を吹き飛ばし大噴火の如き爆発へと発展した。


「命中!」


 そして爆発は近場の砲塔にも連鎖した。ただ誘導弾が爆発した程度ならば、こんなことにはならなかっただろうが、弾薬庫の砲弾の一斉爆発は防御をも破壊して、レマルゴス級の艦舷にも大きな穴を開けて、なお連鎖した。


「しこたま大砲を積むからこうなるんだ」


 障害がまた一つ減った。第一艦隊は速度変わらず、敵都市戦艦へ前進を続けた。

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