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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第一二五八話、倒れる砲台


 竜のように巨大なワーム砲が、真上から多数の光弾を浴びせる。

 狙われた改紀伊型主力戦艦の防御障壁が、光弾の雨に破壊され、無数の光の矢が艦に突き刺さった。

 艦橋が、高角砲が、さらに主砲や甲板がたちまち撃ち抜かれて破壊される。


『「ひゅうが」爆沈!』


 夜目も鮮やかな炎の光が辺りを浮かび上がらせる。

 第四艦隊旗艦『ひぜん』。佐々山 久雄中将は声を張り上げる。


「敵超兵器に攻撃を集中! あと二基だ!」


 戦艦群はすでに半減している。狙われたら、転移で逃げるくらいしか対処法がない。戦艦の防御障壁もまた、光弾の猛連打の前にはたちまちエネルギーを削られ、やられてしまう。

 戦艦『ひぜん』の50口径40.6センチ砲が、巨大ワーム砲の基部へ転移砲弾を撃ち込む。


 当初は光弾を連射しまくる頭を狙ったのだが、そこは砲口を日本艦に向ける際に動き、割と細かな照準の修正を強いられた。だからほとんど動かない基部を破壊し、ワーム砲台を倒そうとするのである。

 しかし、こちらもまた装甲が厚く、中々倒れない。だが倒せないわけではなく、集中砲撃を受けたワーム砲は根元から折れて地面に激突して果てている。


『敵砲台一基、爆発!』

「おう!」


 エネルギー伝達線を破壊したか、砲台の至る所から火を噴きながら崩れていく。


「残り一つだ!」


 その時、『ひぜん』に衝撃が走る。敵はワーム砲ばかりではない。都市戦艦の構造物の中にも対艦対空両用の砲などがあり、こちらとも撃ち合っている。

 障壁を大幅に削ってくる15センチ光弾速射砲は、12.7センチ連装高角砲群が破壊したが、他にも様々な砲が第四艦隊を襲う。


『巡洋艦「みくま」轟沈!』

『駆逐艦「くろしお」より入電。我、操舵不能!』


 巡洋艦の20.3センチ砲が、敵砲台と撃ち合う。超兵器の懐に飛び込んだことで、至近距離での撃ち合いである。

 シールドの消耗も早く、すでに素で殴り合っている艦艇もあった。


「あと一基だと言うのに……!」


 佐々山は歯噛みする。恐るべきはワーム砲の射角の広さ。長い首のような砲台は蛇の頭のように動き、ほぼ下の敵に対しても撃てるなど、安全地帯が射程外以外ないという武器であった。


 囮を兼ねた空母15隻はすでに全滅し、戦艦もまた1分ごとに1隻がやられるような始末。右舷ワーム砲群と引き換えに第四艦隊の水上打撃部隊は壊滅する……。それくらいの勢いがある。

 光弾の嵐は、またも戦艦1隻を完全破壊した。狙われたらほぼおしまいだった。


「倒れろ!……倒れろ!」


 第四艦隊乗組員――特に砲術員の焦燥は大きい。最大火力の40.6センチ砲が瞬時にワーム砲に突き刺さる。

 最後のワーム砲が、戦艦『ひぜん』に向いた。


「来るぞ!」

「防御障壁、出力全開!」


 すでにエネルギーが消耗している防御シールドに、敵光弾が襲いかかる。たちまちシールドがやられ、砲弾が艦橋トップの射撃指揮所を破壊した。司令塔に衝撃が走り、甲板が吹き飛ぶ。


「――ここまでか」


 佐々山が死を覚悟した時、光弾が止んだ。

 参謀長の平林 孝三大佐が窓に駆け寄った。


「長官! 最後の超兵器が倒れますっ!」


 ふだん落ち着いている平林が声を上ずらせた。彼もまたワーム砲に狙われた時点で最期を覚悟したが、まだ生きていることに感情が昂ぶっているのだ。


「やりました! やったぁ!」

「……」


 何とか最低ラインの敵超兵器(ワーム砲)の無力化に成功したようだ。

 だが、日本軍第四艦隊の突撃部隊は、その戦力の大半を喪失した。紀伊計画型こと改紀伊型主力戦艦の残存はわすかであった。


「やることはやった……!」


 佐々山 久雄中将は満足げに言った。

 旗艦「ひぜん」は、敵の猛攻を受けて大破している。艦長が確認したところでは、すでに艦は満身創痍。戦闘は不可能であった。


「長官、転移離脱を進言致します」


 平林は告げた。


「水上打撃部隊はほぼ壊滅しましたが、まだ空母部隊が残っています。旗艦を変更し、作戦指揮を執られるべきです」

「そうだな。まだ殴れる力があるのに、終わった気でいたらいかんな」


 あの皇帝を仕留めるまで、おれの戦いは終わらない――佐々山は、第四艦隊突撃部隊に後方への一時退避を命じた。



  ・  ・  ・



 右舷ワーム砲を全て喪失した。

 都市戦艦側面に飛び込んだ日本軍第四艦隊は、側面のワーム砲の最後の一基を破壊していた。


 根元が折れ、全体が火だるまとなった巨大ワーム砲が、倒壊するタワーよろしく海面に大きな水飛沫をあげた。

 これには総旗艦『ウルブス・ムンドゥス』に座乗するムンドゥス皇帝も、表情に笑みはない。

 さらに凶報は続く。


『帝国第1艦隊、壊滅!』


 その報告に、ムンドゥスは思わず呟いた。


「第1艦隊の壊滅……」


 猛将であるコラッハ大将は戦死した。


「キュウソネコカミとは、地球の言葉だったか?」

「追い詰められたネズミも、ネコを噛むことがある、という(ことわざ)ですな」


 窮鼠猫を噛む――都市戦艦司令官のエイピック元帥は告げた。


「ここまでやるとは……。やはり、手強いですな」


 右舷側のワーム砲を失ったが、肉薄してきた日本艦隊も、大打撃を受けている。突撃した敵戦艦は、残り5隻。巡洋艦5、駆逐艦15。飛び込んできた空母15隻は全て沈んだ。


「今少し時間がありましたらば、艦載砲による砲撃で1隻残らず破壊もできるでしょう」

『敵突撃艦隊、転移!』

「おや、逃げられましたな」


 エイピックは首をかしげる。ムンドゥスは玉座の肘掛けに肘をついた。


「うむ。しかし、防御網の一角に穴が開いたか。さて、ここから敵はどう出てくるか……」

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