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三国破産清算人:官渡の泥濘から這い上がる、猛将文丑と戦場不良債権の処理記録  作者: 倦犬Kenken


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伍長以上でなければ帯びることを許されぬ佩刀(刀)を手にした

大隊長は無駄口を叩かず、すぐに数人の腹心の親兵を自ら引き連れ、私の案内のもとであの荒廃した古い道観へと急行した。

彼が、面色は蒼白ながらも依然として恐るべき威圧感を放つ巨躯の文丑(ぶんしゅう)の姿を目にしたとき、扑通(どさりと)とその場に膝を突き、平伏した。

彼は確信したのだ。自分に、とてつもない大運が巡ってきたのだと。


片時も躊躇することなく、大隊長と私は力を合わせて文丑をあのボロ引き車(独輪車)の上へと抱え上げた。曹操(そうそう)軍の斥候や、袁紹(えんしょう)軍内部の他の派閥の目に留まらぬよう、大隊長は自ら傍らで馬を牽き、私とその親兵で引き車を押し、隠密な遠回りの路をなぞりながら、幾重もの関門を潜り抜けた。千辛万苦の果てに、私たちはようやく、最も防備の厳重な袁紹の中軍大営へと回り込むことに成功した。

しかしながら、大営内部の空気は想像していたような熱烈なものではなく、むしろ肌を刺すほどに冷え切っていた。


白馬の戦いと延津の戦いにおける連続の大敗は、雲上に座す袁紹から、すでに理智と風度(王者の余裕)を完全に奪い去っていた。中央の大幕(テント)の帳が押し開けられ、袁紹がこの全身血に塗れた、半ば廃人同然となった往時の愛将・文丑を冷徹に見下ろしたとき、その面に九死に一生を得たことへの欣喜は微塵も浮かばなかった。浮かんでいたのは、底の知れない冷漠と厭悪(嫌悪)の色彩だけだった。

「上将の身でありながら、兵を折り、矢を損じ、あろうことかこれほど無様な姿で戻ってくるとは。顔良(がんりょう)はすでに死に、お前だけが生きて帰ってきた。天下の者どもに、この袁本初(えんほんしょ)をあざ笑わせるつもりか?」


袁紹の放った氷のように冷たい言葉は、鈍い刃となって、文丑の胸元へと容赦なく突き刺さった。文丑は歯をきつく食いしばり、一言も発せず、拳を白くなるほどに握り締め、そして力なく無念そうにそれを解いた。彼は袁氏の基業(大義)のために最前線で血を流し尽くしたというのに、戻ってきた彼を迎えたのは、主君からの猜疑と冷遇だけだったのだ。

前世の職場で、責任を部下に擦り付ける無能な経営者を嫌というほど見届けてきた私は、心の中で冷笑を浮かべた。

――袁紹のこれしきの器量では、官渡(かんと)で兵敗れ、最後には身を滅ぼして死に果てる結末を迎えるのは当然の理屈であった。

袁紹はしばらく文丑を凝視していたが、身体を反転させると郭図(かくと)や審配(しんぱい)らと数言囁き合い、最後には不耐そうに大きく手を振った。

「もうよい。己の営房へと戻り、大人しく傷を養うが良い。大営の中で死なれては、晦気(縁起が悪い)だからな」


文丑が担架で大幕から運び出されるその瞬間、彼の絶望に冷え切った二つの眼が、並びいるあらゆる人間を飛び越えて、私の姿を深く、深く射抜いた。

その瞳の奥には、もはや袁紹への忠誠など残されていなかった。そこにあったのは、私に対する純粋な信頼だけだった。なぜなら彼は完全に理解したのだ。この巨大にして虚偽に満ちた袁紹軍にあって、真に自分の命を一つの命として扱ってくれたのは、目の前にいる最底辺の収屍兵(私)だけだったのだと。

文丑と離れる間際、私は懐に忍ばせていた三七(さんしち)や艾葉(ヨモギ)などの薬草を、一抱えにしてすべて彼の担架のなかへと押し込んだ。

「文丑将軍を救出した」というひとまずの奇功により、あの大隊長は昇進を授かり、全軍の収屍隊の副千夫長(副千人隊長)に就任した。そして私は、毎日鞭で打たれ、砂の混じった粥をすすっていた最底辺の収屍兵から、破格の待遇を以て「伍長」へと引き上げられた。

黄皮(こうひ)は依然として左軍の営房に留まり、収屍隊の小隊長を務めているため、名義の上では未だ私の直属の上司のままであった。


わずか五人の部下を管轄する最小の官職に過ぎなかったが、前世において組織の構造管理を精通(マスター)していた私にとって、この乱世をひとまずマシに生き抜くためには、これだけでも十分すぎるほどの足がかりだった。この合法的な身分(伍長)を手に入れたことで、私は一張の相対的に独立した自分だけの営帳(テント)を容身(自分の城)として割り当てられただけでなく、死体を搬送し、伙食(配給)を分配する際、名正言順(大義名分を以て)、他人に傷のつかない範囲でのちょっとした「小細工」を施すことができるようになった。


伍長に就任した私が最初に行った小細工は、あの時、私の危機を冷酷に傍観していた老兵の「老陳」を我が麾下(配下)へと要求し、自分の最初の嫡系(腹心)の部下に仕立て上げることだった。

営帳の内、新しく支給された伍長以上でなければ帯びることを許されぬ佩刀(刀)を手にした私を見つめる老陳の眼から、かつての軽蔑の色彩は疾う(とう)の昔に消滅していた。そこにあるのは、まるで本物の怪物でも見つめるかのような、深い敬畏(恐れ)の念だけだった。


「頭(頭のお頭)……あんたって奴は、いや、伍長様は、本当に神がかっておられる」老陳は生唾を飲み込み、腰を低く屈めて頭を下げた。「文丑将軍や大隊長大人(大隊長様)までもが伍長様の貴人(後ろ盾)になっちまうんだから、俺のこの節穴の二つの眼は、これまで完全に飾りだったってわけだ。これからは、この古い命を丸ごと伍長様に預けやす」

「老陳。私に付き従うのなら、余計な口は少なくし、やるべき仕事を実直にこなせ。これからは、お前が生き残るための活路(仕事)に困ることはさせない」

私は支給されたばかりの佩刀の刃を冷徹に拭いながら、静かに言い放った。

伍長の座に就いてから数日の後、私は暗中に、自らの清算の手腕をじわじわと施し始めたのである。

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