↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三国破産清算人:官渡の泥濘から這い上がる、猛将文醜と戦場不良債権の処理記録  作者: 倦犬Kenken


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/64

この鄴城の監獄にまつわる、極めて巨大な一場の大買賣(大商談)について、腰を落ち着けて精算(相談)を始めたいからだ

天牢の関門を脱したのち、私は即座に老陳へと命令を降し、私たちが搬送してきた大量の金銀や金錁子(金の塊)のストック(資産)を、上から下へいたるまで――牢頭、看守、さらには毎日飯を運んでくる最底辺の獄卒にいたるまで、残さず厚く厚く賞(配分)して回らせた。私の提示した要求はどこまでも具體(実直)であった。――田豊のこの牢内における衣食住、日々の起居のすべてをどこまでも清潔かつ快適に保証させること。底辺にいる小人(悪辣な雑兵)どもの下作な嫌がらせや、不届きな手口によって、彼の身体を胡乱に害すること(中抜きされること)だけは、断じて犯させてはならぬ。


これによって彼の命のセーブデータは完全に防衛された。如何にして彼を完全に調包(脱出)させるかというパズルは、次の段階で精算すべき最大の底牌(切り札)であった。

私は老陳と顧墨の二人を引き連れ、大歩(足早)に大牢を脱すると、再び鄴城の繁華にして、どこか浮躁(浮ついた)な空気の漂う街頭(ストリート)へと帰還した。


周囲に降り注ぐ温かい陽光の熱を感じながら、私は冷徹な手つきで老陳の肩をポンと叩き、声を沈めて吩咐(指示)を飛ばした。

「老陳。お前の張り巡らせている地下の商路(ルート)を使い、この鄴城の現地に深く盤踞している市井の豪侠――すなわち、この城の中で最大の黒社会(闇組織)の頭目を、今晩の刻が訪れる前に、秘密裏に私の元へと呼び出せ。彼らを酒肉の席(宴席)へ招待する」


半時(約一時間)ののち、鄴城のなかで最も豪華でありながらも、同時に最も他人の目を惹きつけぬ隠密な迎賓酒楼の二階の包廂(個室)の内部。

大きな木机の上には、ジリジリと炙り出された熱気あふれる羔羊(子羊)の肉と、幾大壇(数多くの大瓶)に及ぶ斉魯(せいろ)の名酒が整然と並べられていた。私は正座の椅子の中央に腰掛け、顧墨はその傍らで、実直な手つきで碗や器箸(お箸)を机の上へと並べる実務(アシスト)をこなしていた。


老陳が個室の門を静かに押し開けると、その背後から、全身に剽悍(凶暴)な殺気を漂わせ、その眼光を陰鷙(冷酷)に光らせた鄴城の地頭蛇(闇のボス)の老大(老大)が、緩やかな足取りで室内へと足を踏み入れてきた。


私は微笑みを浮かべると、手元の碗の中に烈酒をこれでもかと満たし、その男の目の前へと実直に押し出した。

「――私は左軍の副主将を務める、龍(りゅう)という者だ。本日、掌櫃(お頭)をこの酒肉の席へと招き寄せた理由は他でもない。お前たちと共に、この鄴城の監獄にまつわる、極めて巨大な一場の大買賣(大商談)について、腰を落ち着けて精算(相談)を始めたいからだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。