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くまさん  作者: きーぼー
6/9

OL時代 その2

 初めて雑居ビル内にある、優ちゃんの作った会社、「司馬SSSカンパニー」のオフィスに行った時、愛子ちゃんは、びっくりしました。

ちなみに司馬というのは、優ちゃんの名字です。

なんと、そのオフィスには、優ちゃんだけではなく、あの良夫くんもいたからです。

そう、高校時代に愛子ちゃんが、手ひどく振った、あの良夫くんです。

良夫くんは大学時代、優ちゃんと一緒にサークル活動をしており、その縁で、この会社に入ったのでした。

愛子ちゃんと良夫くんの間に、気まずい空気が流れます。


「や、やあ・・・。久しぶり・・・」


「う・・・うん・・・」


そんな二人の様子を優ちゃんは、少し離れたデスクに座り、ニヤニヤ笑いながら見ていました。

愛子ちゃんは優ちゃんに、主に商品開発と、営業回りの仕事を任されました。

元々、優ちゃんは、愛子ちゃんのセンスの良さに目をつけており、特に若い女の子向けの商品開発に、それを生かしてもらいたいと思っていたのです。

愛子ちゃんは、優ちゃんの期待に応えて、色々な商品を作りました。

小学生や、中学生の女の子向けの、文房具やファンシーグッズなどです。

どれも低額商品で、しかもその利益の一部が、途上国の恵まれない子供達のために使われるので、正直あまり儲かりません。

でも愛子ちゃんは、営業で行ったお店で、自分の考えた商品が売られ、小さな女の子達が乏しいお小遣いの中から、それを買っていくのを見ると、何故かとても嬉しく、誇らしく感じるのでした。

そして、鉛筆や消しゴムもまともに買えない、貧しい国の女の子達の、日々の暮らしに思いを馳せました。

こうして愛子ちゃんは、優ちゃんの作った会社「司馬SSSカンパニー」で、一生懸命働いていたのですが、最初はお互い気まずかった良夫くんとも、徐々に打ち解けていきました。

営業担当の良夫くんは、愛子ちゃんと一緒にお店を廻る事も多く、彼の誠実な人柄に、愛子ちゃんは、次第に好意を抱くようになっていたのです。

高校時代は、見向きもしなかったのに、勝手なものですね。

彼のもっさりとした、全体的にクマを思わせる素朴な風貌も、今では好ましく思えました。

彼がまだ、自分の事を好きなんだと感じた事もあって、愛子ちゃんは、いつしか、良夫くんと結婚を前提として、付き合いたいと思うようになっていました。

そこで愛子ちゃんは、良夫くんに対して、積極的にアピールをし始めました。

一緒に歩いている時に、いきなり腕を絡めたり、二人で話している最中に、腰をくねらせたり、上目遣いで、じっと見つめたりしました。

優ちゃんは、そんな愛子ちゃんの様子を、呆れ顔で見ていました。

そして、会社の風紀が悪くなるのを心配して、とうとう愛子ちゃんの頭を、ペシリと、書類のバインダーではたきました。


「何やってんのよ!!この痴女っ!!」


さんざんな、言われようです。

しかし、こんなにも努力したのに、良夫くんは顔を赤くするばかりで、中々、愛子ちゃんの誘いには乗ってくれません。

怒った愛子ちゃんは、優ちゃんと二人で飲みに行った時、ビールジョッキを片手に、親友に不満をぶつけます。


「全くなんなの!?良夫くんはっ!わたしの事、好きなくせにっ!あの臆病者っ!!ホントに、チ○ポついてんのかっ!?」


優ちゃんは、焼き鳥を食べながら、なんて下品なんだろうと思いました。

そして、たぶん良夫くんが、恋愛に消極的なのは、昔、愛子ちゃんが手酷く振ったのが、トラウマになっているのだと考えました。

つまり、愛子ちゃんの、自業自得というわけです。

しかし、二人をひき会わせた以上、自分にも、ある程度の責任はあると優ちゃんは思い、結局、2人をくっつけるキューピッド役を、引き受ける事にしました。

もちろん、愛子ちゃんは大喜びです。

優ちゃんの優秀な頭脳が、高速回転を始めます。


ポクッ・・・

ポクッ・・・

ポクッ・・・

ポクッ・・・


チーン!!!


シーン3


優ちゃんの考えた作戦とは、結局、2人が素直にお互いの気持ちを打ち明けられる場所を、設ける事でした。

すでに、お互いに相手に好意を抱いているのはわかっているので、あとひと押しすれば、この恋愛はうまくいくはずです。

優ちゃんは、近場のレストランを予約して、愛子ちゃんと良夫くんを誘って、3人で食事をする事にしました。

そして、3人で一つのテーブルに座り、食事をしている最中に、優ちゃんは、いきなり良夫くんに言いました。


「ねぇ、良夫くん。愛子ってば、あなたの事好きなんだって。付き合ってあげたら?」


その言葉を聞いた、良夫くんと愛子ちゃんは、耳まで真っ赤になりました。

さらに優ちゃんは、今度は、愛子ちゃんに聞きました。


「愛子、良夫くんと付き合いたいのよね。結婚を前提として」


顔を真っ赤にした愛子ちゃんは、その言葉を耳にすると、両手で顔を覆い、激しく首を横に振って、いやいやをしました。


優ちゃんは、もう一度、愛子ちゃんに聞きました。


「昔の事は、水に流して欲しいのよね?」


愛子ちゃんは、両手で顔を覆ったまま、さらに激しく首を振り、いやいやをします。


優ちゃんは、ちょっとイラッとしながらも、再び、愛子ちゃんに聞きます。


「良夫くんと、結婚したいんでしょ?」


またまた、いやいやと、首を左右に振る愛子ちゃん。

さながら、風車の如しです。

何を、今更、カマトトぶってるんだ、このバカはと、優ちゃんは思いましたが、このままでは、ラチがあきません。

仕方なく優ちゃんは、今度は良夫くんの方へ、話を振ります。


「良夫くんは、どう?このバ・・・いや、愛子の事をどう思ってるの?」


その言葉を聞いた良夫くんは、顔を赤くしながらも、意を決して、愛子ちゃんに言いました。


「僕は、やっぱり君の事が好きだ。あらためて、僕と付き合って欲しい。結婚を前提として」


そしてー。

愛子ちゃんは、相変わらず両手で顔を隠しながらも、初めてコクリと頷きました。


こうして、色々あった2人ですが、ようやく互いの思惑は一致して、結婚を前提に、付き合う事になったのです。

それから暫くして、良夫くんは、愛子ちゃんに指輪を贈り、プロポーズをしました。

愛子ちゃんは、それを受け入れて、とうとう2人は、正式に結婚する事になったのでした。

優ちゃんも、その話を知らされると、すごく喜んで、お祝いに、2人のお給料を上げてくれました。

めでたし、めでたし・・・。


[続く]

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