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魔王を倒した英雄~300年後に飛ばされ世界を統べる~  作者: 乱丸
第四章~混乱の大陸~

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久々の依頼

帝国が戦争に参戦するらしいな。

  東の国とも揉めているらしいな。

   大陸はどうなっちまうんだろうな。


そうね、魔族も動き出しているものね。

  戦争なんてしている場合じゃないのに。


アジミールでも魔物が活性化しているらしいわよ。


あらあら、大丈夫ですわ。

 アジミールにはルミローネ達エルフの戦士がいますもの。


ルミローネ・・・何となく不安だが、他のエルフがしっかりしていた。

   大丈夫だろう。きっと・・・・

早くエルフの国に行って、俺の秘密と魔族対策をしなければ。

 帝国は野心むき出しだ。他国と連携するつもりはないらしい。

         ミルガルド王国だけでは魔族は防げないからな。


魔族の思い通りにはさせん。

 みんな、気合を入れて行くぞ!


おおー


先に来た男に続き、血だらけの男を抱えた者達が入って来た。

「誰か、早く治癒魔法を頼む」

 数人の冒険者が駆け寄り、治癒魔法を施した。

 傷が酷い。片足も失っている。

 あれでは上級治癒魔法では無いと助からないだろう。

「さっきレイラが言っていた、討伐隊の方かしら。酷い怪我」

「そうみたいね。あの傷では、クルーシでも難しいだろうね」

「そうね。残念だけど私が加わっても、助けられないわ」

「討伐隊は全滅ね。依頼を受けた本人の責任だし、仕方の無い事よ」

「もう、レイラはそう言う所が冷たいのよね」

「いいや、クルーシ。レイラの言う通りだよ。悲しい事だが、俺達は危険の対価として報酬を貰っている。誰もが納得して冒険者になったのだから」

「そうね。レイラ、ごめんね」

「いいのよ。それでも、冒険者が命を落とすのは悲しい事だからね」

「そうだな」

 そこに、奥から体格の良い男が数人を伴い慌て出て来た。

「マイラス、戻った者は何処だ」

「マスター。ケイズが、酷い怪我だ」

 あの男がグランドマスターか。戦士の様に見えるが、魔力量も多いな。

「そこをおどきなさい」

 グランドマスターの隣にいた女性が人垣をかき分けて、怪我人の横に屈んだ。

 白金の長い髪にエルフの様な白い肌。青い瞳が印象に残る女性だ。

 神官の様な服装だ。治癒魔導士か。

 倒れているケイズに手を掲げ、目を閉じる。

 魔力が上昇し、掲げた手に集約されていく。

「パーフェクト・ヒーリング」

 眩く温かみのある光が生じ、深い傷が塞がっていく。

 欠損していた足が再生された。

 最上級治癒魔法。数人しかいないと言う治癒魔導士か。

あの若さで最上級を使えるとは。エルフには見えないが、人族だろうか。

 人魔大戦時の友達に匹敵する魔導士が、この時代でも出会えるとは。

「アリューシュ、あの女性は何者だ」

「彼女はSランク冒険者のマリュシェ・レイース。神の使い、と呼ばれる人族ですわ」

 神の使い・・・か。

「我がエルフの英雄エルリース様と同じ二つ名ですわ」

 そう、エルリース。彼女の治癒魔法は人類最高だった。

 エルフ特有の精霊魔法と治癒魔法。彼女を超える者はいなかった。

 最強の魔導士ヨシュアでさえ、舌を巻いていた。

 まぁ、ヨシュアも規格外の魔導士だったが。

「彼女の後ろにいるのがSランクパーティー、エンジェル・ウィングですわ」

 天使の翼などと、たいそうな名のパーティー名だ。

 剣士、戦士、魔法使い、神の使いと呼ばれる治癒魔導士の4人か。

「アリスト様、彼らよりも気になる物がありますわ」

「戻った冒険者に付いている糸か」

「はい。魔族領の奥、北の山脈に生息する魔物」

「それが帝国領内に出現したか」

 300年前に、見た事があったな。魔族すら襲う、魔物だった。

 マリュシェの治癒魔法でケイズは回復した。意識もはっきりしている様だ。

「ケイズ、何があった」

「グランドマスター、あれはヤバイ。あんなの見た事が無い」

 ケイズの顔は怯え切っている。

「蜘蛛の魔物が・・・あんな魔物は初めてだ」

「何だと、蜘蛛の魔物だと」

 グランドマスターは驚愕した。

「ああ、スパイダーやアラクネがいたんだ。他の魔物まで食い散らかしていた。そこに、現れた・・・」

「何が出たのだ。他の奴らはどうした」

「バケモノが現れた。巨大な蜘蛛、あれは伝説のクイーン・タランティーノだ」

「ばかな、そんな魔物がいるはずが・・・」

 グランドマスターは言葉を詰まらせる。

 周囲の冒険者達は静まり返る。

「うそじゃねぇよ。ヤツは突然現れた。気が付いたら何百と言うスパイダーやアラクネに囲まれて、仲間達は次々に・・・・」

 ケイズは「うわぁぁぁぁ」と叫び声を上げ、頭を抱えうずくまってしまった。

「誰か、ケイズを別室で休ませてやれ」

 グランドマスターの指示で、ケイズは運ばれていった。

「ジェザイス。こんな事は初めてね。3つのAランクパーティーが全滅よ」

「ああ、信じられん。アイツ等が全滅するなんて。済まない事をした」

「仕方がないわよ。想定外の魔物、伝説の、上位魔族級のバケモノだわ」

「クソ!バカな権力者が戦争など始めるからだ。騎士団がいれば!」

 ジェサイスは悔しさを滲ませ、拳を床に叩き付けた。

「魔物討伐は私達の仕事。泣き言を言っても始まらないわ」

「すまんな、マリュシェ。やはり、お前達のパーティーが戻るのを待てばよかったか」

「話が本当なら、倒せたとしても死人は出ているでしょうね」

 栗毛色の髪に、鋭い目を持つ男が頷いた。

「マリュシェの言う事は正しい。これから俺達が向かっても、流石に伝説級の魔物と手下が数百も居たら厳しいだろう」

 冷静な判断だ。この男がリーダーか。レイラと互角位の実力だな。

「そうだな。奴らは集団で襲うと聞いたことがある。やはり人数が必要か」

 次に発言したのは、緑がかった短髪で、体格の良い男だ。

 戦士か、ベイルといい勝負だな。

「だけど、村や町に被害が出る前に何とかしないとね」

 最後に、金色の巻き髪で、貴族令嬢の様な魔法使いが会話に加わった。

 中々の魔力量だ。

 魔力量ならクルーシが上だ。

 ・・・・・

 ・・・・・んっ。

 こいつ等,Sランク冒険者だよな。ベイル達はBランク冒険者。

 おかしい。実力が拮抗している。

 もしかして、ベイル達はSランクに匹敵するくらい成長したのか。

 確かに、ここ数ヶ月で急激に強くは、なった。

 ゴブリン・ロードを倒して以来、昇級依頼は受けていない。

 もしかして、このSランク達は大して強く無い。とか・・・

 いやいや、それはないだろう。

 ベイル。お前達も規格外だったな。


グランドマスターのジェザイスが周りの冒険者を見渡す。

「しかし、お前達と同行出来る者が・・・」

 ジェザイスに見られ、目を背ける冒険者達。

 俺と目が合った。合ってしまった。

 嫌な予感が・・・

「黒い髪とエルフ・・・だと」

 そう呟いて、歩み寄って来た。

 アリストの前に仁王立ちするジェザイス。

「黒い髪の貴様。名は」

「アリスト」

 ジェザイスの鋭い眼光が光る。

「俺はグランドマスターのジェザイスだ。隣にいるのがSランクのアリューシュだな」

「あら、私も有名になりましたのね」

「貴様達・・・良い所に来たではないか。ウワッハハハハッ」

 ジェサイスは大声で笑いだした。

「オルニオスから聞いているぞ。上位魔族を単独で倒した英雄だな」

 ギルド内がざわつき始めた。

「お、後ろにいるのは、お前のパーティー仲間だな。全員強者だと聞いている」

「おい・・・」

 ベイルを見る。

「アリスト。面倒な事になりそうだ」

 ベイルも見るからに嫌そうな顔をしている。

 そんな俺達をよそに、ジェサイスは満面の笑みだ。

「クイード!同行パーティーが見つかったぞ」

 クイードと呼ばれた剣士と仲間が俺達を見る。

 あからさまに不満顔だ。随分と、反感的な視線を向けて来る。

 ジェサイスは意に介さず、言い放つ。

「おい、貴様等。ギルドからの依頼だ。エンジェル・ウィングと共に、クイーン・タランティーノ討伐に行け」

 

こいつ等とか!本当に間が悪い。


新章が始まり、早々に依頼かよ。

 魔族の動向も気になるし、エルフの国に急いでいるのにな。


でも、魔物も放置出来ないわよ。


そうだよな。

 俺達は強者らしいしな。むふふふふ。


あら、ベイル。調子に乗ってはいけませんのよ。

          私に勝てる様になるまでは、ね。


それは、ムリだろうよ~

 

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