↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王を倒した英雄~300年後に飛ばされ世界を統べる~  作者: 乱丸
第四章~混乱の大陸~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
89/91

帝都

アジミール王国との開戦から3ヶ月。

 季節は廻り、冬になる。

 雪が降る中、ミルガルド軍の侵攻は続いた。

 この3ヶ月で、ミルガルド軍はアザードを占領。

 更に北上し、王都に次ぐ大都市バサルーダを攻略。占領下に置く。

 この時、すでにクセルセスが新国王を宣言。停戦命令を発していた。

 しかし、指揮系統の取れない前線に命令は行き届かなかった。

 そして、ミルガルド軍は王都イスファンに向け進軍を開始。

 アジミール軍はここまでに、6割の兵力を失っていた。

 ミルガルド軍6万が迫る中、王都を守るアジミール軍は1万5千。

 指揮を取るのは、将軍カルサス。

「ミルガルド軍が侵攻を開始しました。王都まで3日の距離です」

「カルサス、私の停戦命令が行き届かなかった。最悪の状況だ」

「前線の部隊は魔族の策謀に乗せられ、ミルガルド軍に攻め込んでしまいました。申し訳御座いません」

「カルサス。お前の責任ではない」

「この王都でミルガルド軍を撃退し、停戦交渉に持ち込む事が出来れば」

「カルサス。本心で言っているのか。相手は帝国さえ躊躇する強国だ。意気込みだけでは勝てぬ」

「しかし、このままでは」

「そうだ。このままでは王都を守り切れん。王都が落ちれば、もう反撃は無理だ。我が王国は崩壊する」

「帝国が援軍を申し出て来ていると、お聞き致しました。帝国の手を借り得れば、ミルガルド軍を押し返す事も可能かと」

「そして、帝国の支配されるのか」

「そ、そんな」

「ミルガルドを追い出し、我が王国を手に入れるつもりだ」

「しかし・・・」

「あの欲深い皇帝の事だ。適当な理由を付けて軍を動かす。我が領土を拠点に、あわよくばミルガルドをも奪い取るつもりであろう」

「そんな・・・」

「ミルガルドに滅ぼされるか、帝国に支配されるか。どちらにしても我が王国は滅亡する」

「しかし、帝国がそこまでするのでしょうか」

「する。あの皇帝はそういう男だ。防ぐには速やかな停戦とミルガルドとの交渉しかない。しかし・・・」

 クセルセスは頭を抱える。

「我が王家はミルガルド王家と長年争っていた。王都まで攻め込まれた今、対等な交渉などに応じてはもらえん。どうすればよいのだ、私は・・・」

苦悩する、クセルセス国王であった。


その頃、アリスト達はキルディア帝国帝都ベオグラードにいた。

「今日は、ここまでにしよう」

「すみません、アリスト様」

「アリューシュ、仕方ないさ。転移魔法は、魔力も精神力も負担が大きい」

「そうだぜ、無理はダメだぜ。俺達は色んな町に滞在出来て、楽しんでいるからよ」

「ベイル。ありがとう」

 ドランの戦後処理で時間を要したが、転移魔法でエルフの国を目指す事にした。

 やはり不毛地帯は魔素と瘴気が濃い為、転移魔法が上手く発動しない。

 王国内の転移魔法も地形的に、長い転移は不毛地帯の影響を受けてしまう。

 短い転移を繰り返し、アジミールの王都まではたどり着いた。

 俺の転移魔法なら全員一度に転移出来る。

 だが、転移は自身が行った事のある場所にしか行けない。

 その為、俺を連れアリューシュが転移する。

 戻り、俺の転移魔法で全員転移する。

 この繰り返しで帝国まで来た。

 しかし、この方法はアリューシュの負担が大きい。

 なので、一日で多くは使いたくはない。

 徒歩や馬車で移動できる時は、極力使う事にしている。


「さすが人族一の大国だ。デカい建物ばかりだな」

「凄いな。私もこんな町、初めてだよ」

 ベイルとレイラは大はしゃぎだ。

「クルーシ、あの店のドレス、綺麗だよ」

「まぁ~本当だわ。見たことの無いデザインね。きれ~い」

 クルーシも大はしゃぎだった。

「それにしてもよ、お前の銅像がないな。アリスト」

「本当ね。今まではどの町にもあったのに」

「ベイル、クルーシ。それは、皇帝一族がアリスト様を嫌うクズだからですわ」

 おい、アリューシュ。帝都のど真ん中で皇帝をクズ呼ばわりとは。

「お~、なるほどな。アリストを嫌うなんて、クズだな」

「なんだ、クズの国か。はしゃいで損したね、クルーシ」

「ホント、クズの国らしく品の無い町だわ」

 何だ、この変わりようは。

 まぁ、嬉しくなくもない。

「なぁ。今、戦争しようとしている国の中心にいるんだぞ。緊張感を持てよ」

「アリスト様。冷たい様ですが私、人族の争いには興味がありませんの」

 アリューシュは涼しい顔で、町を眺めている。

「国同士の事は、俺達じゃどうにもならない。戦争は悲しい事だけどよ」

「だよね、ベイル。私達で戦争を止める、なんて出来ないしね」

「レイラの言う通りだわ。だけど、魔族の仕業だとギルドから報告しているのでしょ。それを利用するなんて、酷い話だわ」

 確かに、その通りだが。

「帝国は長年、ミルガルドを敵視していましたわ。帝国にとっては、絶好の機会なのでしょう。10年前は帝国が参戦する前に、終わってしまいましたから」

「アリューシュ、詳しいのね」

「クルーシ。私、エルフですのよ」

「そうだったわね。流石、長寿の種族ね」

「年齢は聞かないで下さいまし。これでも気にしているのですよ」

 アリューシュは恥ずかしそうにはにかんだ。

「私達には目的がありますのよ。それに、敵は魔族と魔物ですわ」

「そうだな、アリューシュ。俺達は冒険者だからな」

「その通りだぜ、アリスト。先ずは腹ごしらえだ」

 ベイルが一軒の店を指さす。

「皇帝はクズだが、食い物は別だな。美味そうな物が沢山あるぜ」

 ベイルに引かれて、見た目の立派な飲食店で帝国料理を満喫した。

 翌日、情報を得る為、冒険者ギルドに行くことにした。


この帝都には、冒険者ギルドの本部がある。

 アジミールの町で貰った冒険者証なら、帝国でも怪しまれない。

 まぁ、オルオニスかグライム辺りが連絡しているだろう。

 帝都の中心街の一画に、冒険者ギルド本部がある。

 流石に本部だけあって、立派な建物だ。

 中も広く、多くの冒険者で賑わっている。

 人族同士の争いなど魔物には関係無い様だ。

 掲示板には多くの討伐依頼が張り出されている。

「賑わっているな。強そうなのが結構いるぜ」

「あら、ベイル。あなた達より強い方は、ここにはいませんわ」

「アリューシュ、褒めすぎだぜ」

 嬉しそうな顔で照れるベイル。

「まずは、近況の情報が欲しいな」

「私に任せなよ、アリスト」

 レイラはニコっと微笑んだ。

「受付嬢は口が堅いからね。アイツ等がいいかも」

 レイラがベテランらしい冒険者に近づいていく。

「ハーイ。お兄さん達、景気良さそうね。もしかして高ランク冒険者かい」

 髪をかき上げながら声をかけるレイラ。

「ねぇちゃん、新顔かい」

「帝都には来たばかりでさ、色々教えてくれないかしら。うふっ」

「なんだよ。俺達で良ければ、色々教えてやるぜ」

「あ~ん。ありがとう」

 レイラの破壊力抜群の笑顔が炸裂。

 冒険者達は、あっという間に鼻の下が伸びた。

 凄い。完璧な魅了攻撃(色仕掛け)

「さすがレイラね。見事だわ」

 クルーシは当然と言う顔で、頷いている。

 しばらくして、レイラが戻って来た。

 冒険者達は残念そうにレイラを見て「くそ、男入りのパーティーか」とか「仲間にしたかったな」などと言っている。

「ホント、単純な男が多い事」

 レイラは涼しい顔だ。

 アリューシュも深く頷いている。

 レイラの聞いた情報によれば、帝国は戦争の介入を決定した様だ。

 近日中にアジミール王国に援軍と称して、進軍を開始する。

 狙いはアジミール王国の実質支配だと、噂になっているらしい。

 ただ、帝国の西に隣接する王国が不穏な動きをしているそうで、西側の町々は警戒を強めている。

 強国ミルガルドに対するため、アジミール国境周辺の町々から多くの兵士が徴収された。

 そうした事情があり、町の防衛が手薄になり魔物討伐が追い付かないと言う事だ。

 しかも最近、帰らずの森の中央にそびえる魔の山に大物が現れた。

 魔物が活性化し、被害が増えている。

 討伐隊が組まれ向かったが、帰ってこないと言う事だった。

「まぁ、戦争が起きると魔物が活性化する。昔から言われる事だな」

「そうなのか、ベイル」

「ああ、10年前もそうだったしな」

 戦争と言う狂気と、屍から生じる瘴気が魔物を刺激するのだろうか。

「それに、ボス的な魔物が現れたのでしょう。二つ重なれば、そうなるね」

 レイラも納得している。

 アリューシュも頷いた。

 そこに、男が飛び込んで来た。

「おい!グランドマスターはいるか!討伐隊が一人戻って来たぞ」

 ギルド内は騒然となり、受付嬢が慌てて奥に駆け込んで行った。


なんだか、日が悪かった様な気がして来た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。