生意気なSランクパーティー
依頼だってよ。
久々ね。でも冒険者だし、私達。
そうよね。でも依頼を選ぶ権利はあるわ。
Sランクって言っても、同伴者があの人達じゃねぇ。
そうですわね。私達だけで、十分ですわ。
仕方ないさ。ギルド本部のメンツもあるからな。
メンツで命は守れませんわ。
アリューシュはキツイな。
私、傲慢な人族はキライなのですわ。
一撃でケシズミにしてあげますわよ。」
やめとけ。
ギルド内がざわつく中、クイードが俺達を見渡す。
「ほ~う。こいつ等が噂の冒険者か。本当に強いのか」
クイードは見下した笑みを向ける。
まぁ、Sランクだ。調子に乗るのもわかるが、態度がデカいな。
レイラの顔色が変わった。
「フン。アンタらこそ、本当にSランクかい。アリューシュより弱そうだけど。ぷークスクス」
レイラが薄ら笑いを浮かべ、さらに上を行く。
周囲の冒険者達に緊張が走り、息を潜めた。
クイードは怒り、額に血管がうきあがる。
「そのエルフがアリューシュか。フン、 何百年も生きているバケモノと比べても仕方あるまい」
あ、そんな事を言っては・・・
「ゴミムシ。今、何と言ったのかしら」
アリューシュの顔つきが変わり、殺気が放たれた。
レイラは「あ~あ」みたいな顔をして呆れている。
「ゴミムシだと!キサ・・・マ・・・」
言い返そうとしたクイードが、アリューシュの眼光にたじろく。
「ゴミムシには目上に対する敬意と言う物がありませんのね」
アリューシュの魔力が膨れ上がっていく。
クイードは、剣の柄に手をかける。
「ふざけるな、エルフ。やるつもりか」
クイード、声も体も震えているぞ。
冒険者達も震えあがる。
アリューシュの眼光が鋭さを増す。
「その薄汚い口は、永遠に消し去ってあげますわ」
大気が震え、建物が振動する。
「害虫は排除しても宜しいですわね。グランドマスター」
ジェサイスの顔は青ざめ、狼狽えている。
「バカな事を言うな。おい、お前ら。仲間だろう。何とかしろ」
ベイルは両手を上げ、首を振る。
「ムリ」
更に魔力が膨れ上がっていく。
「おい、やめろ」
クイードは青ざめ、腰が砕けた。
冒険者達は固まって動けない。
受付嬢達はカウンターに隠れ、身を潜めている。
マリュシェがアリューシュの前に立った。
「アリューシュさん。すみません。うちのバカが失礼な事を」
マリュシェの顔を見つめたアリューシュの表情が変わった。
「あら。あなた、もしかして」
「はい。私もエルフの血が入っているのです」
アリューシュの魔力が終息していく。
「クイードは口が悪くバカなだけで、根は良い人なのです」
酷い言われようだ。
「謝罪致します。お許し下さい」
アリューシュは優しい笑みを浮かべる。
「冗談ですわ。謝罪は受けますのよ」
「ありがとう御座います」
マリュシェが頭を下げる。
「クイード、アンタも謝りなさい」
「チィ・・・すまなかったよ」
クイードも不満そうな顔だが、頭を下げた。
「彼女に感謝しなさいね」
アリューシュは何事も無かった様に椅子に腰かけた。
やりすぎだが、いいクスリになっただろう。
ジェサイスは気を取り直して俺達を見る。
「うちの冒険者の非礼を詫びる」
ジェサイスが深々と頭を下げた。
「それで、討伐には行ってもらえるのだろうか」
なんだ、ジェサイス。態度が変わったな。
「俺達のリーダーはベイルだ。ベイルの判断に任せる」
ベイルは少し考え、口を開く。
「グランドマスター、被害はどれくらいなんだ」
「3つの村が、やられた。被害は町に近づいている」
「王都の警備隊は」
「知っての通り、アジミール方面に軍が派遣された。辺境の村までは手が回らない」
ベイルは軽く頭を振った。
「なぁ、アリスト。世界も大事だが、目の前の脅威は見過ごせないよな」
「ああ、当たり前だろう」
ベイルは笑顔で答える。
「その依頼、受けるぜ」
「そうか、行ってもらえるか。報酬はしっかり出すからな」
ジェサイスは喜び、安堵した様だ。
しかし、エンジェル・ウィングの面々は不満そうである。
「あんたら、不満そうだね。言いたい事があるなら、言いなよ」
レイラはイラついている様だな。
緑髪の戦士が反応した。
「俺は名はアディール。アリューシュ殿の実力は承知している」
「で、私達が実力不足だと言いたいのかしら」
「まぁ、そうだな。冒険者ランクはなんだ」
「アリストがAで私らがBランクよ。ご不満かしら」
冒険者達がざわつく。
「おいおい、3つのAランクパーティーが全滅したのだぞ」
アディールはあきれ顔だ。
魔法使いの女性も呆れたように言う。
「グランドマスター。この方達では足手まといですよ」
ジェサイスが話をする前に、レイラが反撃の口火を切った。
「ハッ!肩書でしか判断できないなんて、笑っちゃうわ」
女魔法使いが攻める。
「Bランクごときが、生意気なのよ」
「Sランクも質が落ちたのね。それとも過大評価なのかしら」
「他人の手柄を勘違いしているのでしょ。なめた口を聞かないで欲しいわ」
ののしり合いが始まってしまった。
その時、アリューシュの眼光が再び鈍い光を放つ。
「レイラ、およしなさい。品がありませんわよ」
「姉様・・・ごめんなさい」
鋭い眼光は、女魔法使いに向けられた。
「貴方、お名前は」
「な、なによ」
「お名前は・・・」
たじろぎながら、答える女魔法使い。
「ソフィアよ」
「ソフィアさん。私が、認めた仲間を侮辱なさるのかしら」
狼狽えるソフィア。
「いえ、でもそのランクでは・・・」
「ランクだけでは本当の強さを計る事は出来ませんのよ」
アリューシュは俺を見る。
「Aランクのアリスト様は、私の何倍もお強いのです」
冒険者達に、どよめきが起きる。
「ばかな、アリューシュ殿の何倍も強い」
アディールは目を見開き、驚いている。
クイードは信じられないと言う顔だ。
「嘘だ。死神アリューシュより強いなんて」
ベイルが腕を組み、クイードの前に仁王立ちする。
「おい、あんた。アリストは世界最強だ。それとな・・・アリューシュは死神じゃねぇよ。雷神アリューシュだ」
「雷神・・・」
「そうだ。雷神アリューシュだ。よく覚えておきな」
「あら、ベイル。嬉しい事を言ってくれますわ」
「おう、当然だろ。雷神アリューシュ」
ベイルはドヤ顔だ。なんかカッコいいぞ。
「しかし、他の3人のせいで。我々が危険な目に・・・」
クイード達の言う事は当然だろう。
見知らぬ冒険者の実力を簡単に信じる訳にはいかない。生死にかかわる事だ。
しかし、最初の態度が悪かった。
アリューシュは冷静に返した。
「危険・・・私の戦闘について来ましたのよ。実力はSランクですわね、アリスト様」
「ああ、間違いないな」
クイードは言葉を返せない。
後ろから、ムフ、とか、デヘヘ、とか、妙な笑い声が聞こえる。
「ねぇ、私達Sランクの実力だって」
「まぁ、だいぶ強くなった実感はあるけどよ」
「お姉様やアリストに言われると、流石にてれるね」
などと言いながら、ニヤニヤしている。
見なかった事にしよう。
ジェサイスが割って入る。
「クイード大丈夫だ。彼らは下位魔族を何体も倒したと聞いている」
「本当の話なのか」
クイードの驚きが止まらない。
「ああ。確実な情報だ。後、レジェンド・グリフォンも倒したそうだぞ」
クイードは口をパクパクさせている。
「クイードさん。俺達が足手まといになる事はないです。心配でしょうが、大丈夫ですよ」
「アリストと、言ったか。今は、信じよう。だが、実力不足だと分かれば、その時は・・・」
「見捨てて下さい。それで、かまいません」
「フン。覚悟だけは、ある様だな」
クイードは一応、納得した様だ。
強者になると、よくかかる病だな。アイツは。
「他人を見下す」と言う病だ。
まぁ、そのうち治る病だ。より強者に出会うか、死線を越えれば。
ジェサイスが手を二回叩く。
「よーし。話はまとまったな。明日の朝、出発してくれ」
明日出発だと。
準備期間無しか。強引なマスターだ。
冬山討伐戦なんて、何年ぶりだ。
難易度マックスだぜ。
冬山は虫型魔物がいないから、気が楽だわ。
私は寒いのは苦手なのよ。
早く終わらせましょう。
あら、私も寒いのはキライですのよ。
だから、魔法を考えたのです。ご安心を。ニコ
もしかして、イヤイヤ魔法シリーズか。
効果は良いが、名前が・・・・・・・・
それは言わないで下さいまし。




