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魔王を倒した英雄~300年後に飛ばされ世界を統べる~  作者: 乱丸
第三章~アジミール王国編~

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城壁の攻防戦

城壁の戦い。

 攻める魔族。

 迎え撃つ騎士、兵士達。

 参戦する冒険者。


過酷な攻防戦が繰り広げられる。




「ストーム・ショット」

 クルーシの魔法が戦場を吹き抜ける。

 高速回転の突風が、捕らえた魔族をねじ切る。

「やるわね、クルーシ。私も負けないわよ」

 アニスの炎魔法、ファイアー・ブロー。

 両手から放たれた炎が魔族を飲み込む。

 エルゼリーエが、燃え上がる魔族の首を斬り落とした。

 冒険者達に向かって来た最後の下位魔族を、ラフェスが倒した。

「グライム、これで最後か」

「ここは殲滅した。だが、半数近くが戦死か戦闘不能だ」

「そうか、後は、城壁の魔族だな」

「ああ、城壁が破られそうだ。しかし、数は半数、皆疲弊している」

「じゃぁよ、俺達が先に行ってるぜ」

「ベイル」

「アリストとアリューシュが、上位魔族を相手してくれているんだ。下位魔族ぐらい、俺達で倒さないとな」

「そうだね、もうひと暴れしようか。クルーシ」

「魔力回復ポーションもまだある。問題ないわ、レイラ」

「おい、ベイル。俺達も行けるぜ」

「お、ゼオギース。まだ元気そうだな」

「俺達は、そんなやわじゃねぇよ。ラフェス、エリゼリーエ、回復は頼んだぜ」

「ああ、直ぐに行く。死ぬなよ」

「仕方ないわね。直ぐに行くから頼むわよ」

 2人共力強い目で答えた。

「よし、グライム。先、行ってるぜ」

「おいベイル、ちょっと待て」

 ラタールの翼と、氷結の剣のメンバーは城砦に向かって行った。

「おい、グライム。お前の所の冒険者はすごいな」

「フェルナンド。それ以上言うな。頭が痛くなる」

 フェルナンドは冒険者達を見渡す。

「動ける者は城壁に向かうぞ。俺に付いて来い」

フェルナンドの号令が飛んだ。


城門が破られ、魔族達が場内に進入する。

 騎士、兵士が広場で迎え撃つ。

 魔族が猛威を振るう。

 魔族の魔法攻撃が炸裂。魔力弾が荒れ狂う。

 魔法師団の防御魔法を打ち砕き、兵士達を襲う。

 次々と倒れる兵士達。

「街中に入れるな。ここで食い止めるぞ」

 ユリウスの号令に、全員が奮い立つ。

「騎士団、前へ。魔族を討て」

 騎士団が密集体型で魔族に突撃。魔族を押し戻す。

 ひと際大きい魔族が立ちはだかった。

「生意気な人族だ。大人しく食われろ」

 鋭く長い爪が、騎士を鎧ごと切り裂いた。

 一撃で複数の騎士が吹き飛ばされた。

 騎士達の勢いが止まる。

 人の倍程は大きい下位魔族。

 大きな2本の角と、長い手に剣の様な爪。三つの目に鋭い牙。赤黒い硬質の肌に、背には無数の棘が生えている。

「人族共。俺はザムールだ。他の魔族と一緒にするなよ」

 ザムールは不気味な笑みを浮かべる。

「怯むな、押し返せ。デカいのは私が倒す」

 ユリウスが叫び、ザムールに挑んだ。

 ザムールの長爪と打ち合う。

 ユリウスの攻撃が硬い外皮に阻まれる。

「人族、非力だな」

 ザムールの攻撃を受け止めたユリウスが吹き飛ばされる。

「うお。バカ力め」

 後方から兵士2人が斬りかかった。

 ザムールの背中の棘が伸びる。

 兵士2人は串刺しにされた。

「ガハハハッ。バカめ、後頭部にも目があるのだ。俺に死角はないぞ」

 魔法使いのウインド・スラッシュ。

 硬い外皮が弾く。

「その程度では、俺に傷一つ付かないわ」

 ユリウスが立ち上がり、再び向かって行く。

「バケモノが」

 頭上から迫る長爪を、ユリウスの剣が受け止めた。

「いつまで耐えられる。剣ごと斬り裂いてやろう」

 ザムールが力を込める。

 剣が軋み、膝を付くユリウス。

「グゥッ」

 魔法使いの火炎魔法がザムールを直撃。

 激しく燃え上がる。

「炎か。この程度の炎では、俺の外皮は焼けぬぞ」

 燃えた体のままユリウスに向け、もう一つの長爪を振り上げた。

「死ね」

 動けないユリウス。

 突如飛来した矢が、ザムールの後頭部の目に突き刺さった。

「うがぁぁぁ」

「エディス、流石だ」

 ゼオギースが突撃する。

「氷結斬」

 ザムールの長爪がゼオギースの剣を受け止める。

「知っているか、魔族。熱せられた物を、急激に冷やすとどうなるか」

「何だと」

 炎が消え、ザムールの身体が凍り始めた。

 ゼオギースが剣に力を込める。

「うおぉぉぉ」

 長爪が砕け散る。

「ぬがぁ」

 ザムールは魔力を放出し、身体を覆う氷を解かす。

 同時に硬い外皮にヒビが入る。

「俺の外皮が割れた、だと」

 解放されたユリウスがザムールの足を斬る。

 外皮は砕け、左足が斬り落とされた。

「がぁぁぁ」

 ゼオギースの後方からベイルが飛び出した。

「とどめは貰った」

 戦斧が神速に至る。

「烈派斬」

 ザムールの外皮を打ち砕き、両断する。

「ばかな・・・俺が・・・人族ごときに・・・」

 ザムールは崩れ落ちた。

「俺達は上に行くから、ここは頼むぜ。ゼオギース」

「キサマ~、俺の見せ場を横取りするんじゃねぇ~」

 走り去るベイルの背に、文句を言うゼオギース。


その様子を呆然と見ているユリウスだった。


城壁の上部でも激戦が繰り広げられている。

 上空から迫る下位魔族。

 弓と魔法が上空に放たれ、魔族が一斉に魔法を放つ。

 無数の魔力弾が飛び交う。

 魔力弾に打ち抜かれ、弾け飛ぶ騎士や兵士。

 数体の魔族は被弾し、城壁上に落ちて来る。

「落ちた魔族を掃討しろ」

 エーテリアは命令を下し、魔族に向かって突撃した。

 手負いの魔族達は狂った様に荒れ狂う。

「うがぁぁぁ、人族がぁぁ」

 魔族の1体がもげた腕を振り回し、鮮血を撒き散らす。

 血を浴びた兵士、騎士達の鎧や皮膚が溶けていく。

「うわぁぁぁ」

「ぎゃぁぁぁ」

 兵士達の悲鳴が上がった。

 エーテリアの鎧が血を浴び、白煙を上げ溶け始める。

「なんだ、この血は。酸か」

 魔族が自身の血に魔力を乗せ、生きた蛇の様に操りだす。

 大量の血を浴びた兵士は、全身が溶け崩れる。

「エーテリア団長、あれでは近づけません」

「クッ、魔法師団。ヤツを魔法障壁で囲め」

 魔族の周囲に魔法障壁が複数浮かび上がる。

「結界か。俺の魔法が、動かせない」

 血の蛇が、動きを止めた。

「槍を貸せ」

 エーテリアは槍を取り、飛び上がる。

「うおぉぉぉ」

 頭上から魔法障壁を突き破り、槍を突き立てた。

「うぎゃぁぁぁぁ」

 魔族は崩れ落ち、噴き出した血しぶきはエーテリアの腕を赤く染めた。

 腕の鎧を溶かし、皮膚が溶けだした。激痛が走る。

「ぐわぁぁぁぁ」

 苦しむエーテリアに、魔族が襲い掛かった。

 鋭い爪が鎧を砕き、エーテリアを切り裂いた。

「エーテリア団長!」

 斬り飛ばされたエーテリアを受け止めるベイル。

「おっと。こりゃ酷い。治癒士は何処だ。早く治療を」

 クルーシの攻撃魔法。ソニック・ウェーブ。

 衝撃波が魔族の硬い外皮に亀裂を生む。

「レイラ」

「任せな」

 レイラは大きく飛び上がり、亀裂に剣を振り下ろす。

 外皮が砕け、魔族を斬り裂いた。

 騎士達は驚愕する。

「冒険者なのか」

「あんた達、腑抜けていると死ぬよ」

 レイラに一括される騎士達。

「う、うるさい。我らは名誉ある騎士団だぞ」

 騎士が反発する。

「フン。名誉は守ってくれないよ。気合入れな」

 レイラの鋭い視線。

「侮辱するか」

 騎士達が激高する。

 治癒を受けていたエーテリアが立ち上がった。

「貴様等、その冒険者の言う通りだ」

「しかし、エーテリア団長」

「黙れ。戦場に身分は関係ない」

「うっ」

 エーテリアが剣を掲げる。

「お前達。ドラン騎士団の誇りに賭け、町を守り抜くぞ」

「おー」

 騎士達の指揮が上がる。

「凄いな。流石、騎士団長か。な、レイラ」

「ベイル、感心している場合じゃないよ」

「おう」

 2人は、魔族の中に突撃する。

 続けて騎士、兵士と突撃した。

 上空から、魔族の攻撃が降り注ぐ。

 魔法師団の攻撃が弱まり、防御に傾いた。

 クルーシも攻撃が出来きない。

 ベイルや兵士達を守る為、魔法障壁を展開する。

「虫みたいにブンブン飛び回って、邪魔なのよ」

 クルーシの怒りに火が付いた。

「私が全て叩き落してやるわ」

 クルーシの魔力が上昇する。

「ストロング・ファイヤー・トルネード」

炎の渦が上空に広がっていく。

「おい、クルーシ、その魔法は・・・」

 ベイルが青ざめる。

「もしかして、ワイバーンの時の・・・」

 レイラも青ざめる。

 巨大な炎の渦が、徐々に降下してくる。

「あ~落ちてくる~」

 クルーシも青ざめる。

 騎士、兵士達も青ざめた。

 タマが巨大な炎の渦に雷撃を放射。

「がぉーん」

 雷撃が炎の渦を押し上げる。

 飛び回る魔族達を、炎が飲み込んでいった。

「タマ~。助かったわー、ありがとう」

「がう」

 タマに飛び付くクルーシ。

 照れるタマ。

 次々と落ちて来る魔族。

「レイラ、やるぞ」

「はいよ」

 ベイルとレイラが手負いの魔族を斬り裂いていく。

 

遅れて騎士や兵士が攻撃を開始した。


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