混沌への導火線
王宮が戦場になってしまった。
俺はオルオニス。冒険者ギルドマスター。
王国の存亡がかかる一大事。
俺に責任が大きくのしかかる。
どう言う事だ。
なぜ、ただのギルドマスターの俺が。
しかし、相手は魔族。冒険者の敵でもある。
王家も役に立たない。
もしかして、俺が国王になるのか。
うん、それもアリか。むふふふ
マスター、カフィです。
おう。すまんな・・・・ニガッ!
はい、世の中甘くないのですよ。
ロクサーナ、そんな意地悪しなくても。
器の大きさは変えられませんよ。
ごもっとも。
頭を抱え、震えるクセルセス。
「母は殺され、父は化け物に変わってしまった。弟は食われた。ロシタムは魔族なのか。私は悪夢でも見ているのか」
無理もないか。
ここに居るエルフは10人。残りはベイル達と一緒だ。
ルミローネは使えそうだ。
「そこのエルフ」
「はい。私でありましょうか」
ルミローネは姿勢を正し、アリストを見る。手、足、つま先まで一直線だ。
「クセルセス王子を守ってくれ」
「はっ。身命を賭けてお守り致します」
ルミローネはクセルセスを謁見室の外に連れ出し、結界を張った。
「我らは全力で、この者を守るのだ」
アリストは魔族を見る。
「上位魔族。未熟な下位魔族と出来損ないで俺を殺すつもりか」
「クックック。我が名はストラーダ。貴様如き、これで十分だ」
アリューシュの覇気が噴き出し、周囲を圧倒する。
「貴様。黙って聞いておれば、なめた口を聞きおって」
アリューシュ。口調がおかしな事に。
「生意気なエルフが、皆殺しだ」
下位魔族と魔人が一斉に向かって来る。
アリューシュの右手が天を仰ぐ。
怒りの一撃。
「死ね。ストライク・オブ・トロン」
雷鳴が轟き、雷神の鉄槌が王宮の屋根を破壊し落ちる。
「がぁぁぁ」
「ぎゃぁぁ」
轟音と悲鳴が響き、下位魔族と魔人の4体が灰となった。
天井が崩れ落ち、瓦礫が降り注いだ。
下位魔族達の足が止まる。
続いてアリストの魔法が放たれた。
「エクスプローション」
爆炎が猛威を振るう。
4体の魔族、魔人が吹き飛び燃え上がる。
王宮が更に崩れていく。
インフェルノの下位互換魔法。
魔法のランクを落としたが、王宮は崩れてしまった。
オルオニス、すまん。
ストラーダは恐怖を覚えた。
なんなのだ。魔法2つで、8体が一瞬で消された。
あの2人は危険だ。
そんな中、1体の下位魔族がアリューシュの前に立つ。
身体の至る所に目がある、口が無い異形の魔族。
「お前、凄いな。仲間が黒焦げだ」
口が無い。何処から声を出しているのでしょう。
「俺はロニだ。この中では俺が一番強いのだ」
「低俗の争いに興味はないですわ」
「お前を食えば上位魔族になれそうだ。食わせろ。へへへ」
「口がありませんわ、どうやって私を食べるおつもり」
首から上が2つに割れ、大きな口が開いた。
「これの事か」
・・・・・キモイ。
王宮に雷撃が落ちるのが見えた。
オルオニスは天を仰ぐ。
「始まったか。この国の運命が決まる」
他も町のギルドマスターにも連絡は入れた。
魔族は何処まで入り込んでいる。
アイツ等が負けたらこの国は魔族に支配されるのか。
考え込むオルオニスの元に、ロクサーナが報告に来た。
「マスター。神殿にいるターニアから報告です」
「動きがあったか」
「宰相ナディアが神殿を訪れました」
王宮から逃げて来たのか。宰相がこの混乱の黒幕なのか。
「宰相が。目を離さぬ様に伝えろ」
「はい」
なぜ、私が報告を受けているのか。
それは、念話が苦手なのだ。直ぐに途切れてしまう。
なので、ロクサーナに連絡をして貰っている。
仕方なかろう。誰にでも、得手不得手があるだろう。
「マスター?誰と話しているのですか」
ハッ。
恥ずかしい所を見られてしまった。
「ロクサーナ、何でもないぞ」
「はぁ」
「王宮から逃げ出した者は全て捕まえろよ」
「連絡済みですよ」
「そ、そうか。誰が魔族と繋がっているか分からんからな」
「マスター連絡が。兵舎から王宮へ、多くの兵士が向かっています」
「アザードから来た兵士はどうだ」
「まだ、動きはないようです」
「やつらは魔族の手先の可能性が高い。注意させてくれ」
「了解です。兵舎を監視している者に伝えます」
「王宮の包囲は終わっているか」
「第一兵士団長カルサス殿が包囲を完了しています」
「魔族が紛れているかも知れない。気を付けてくれと伝えてくれ」
レオトス、アザードは抑えろよ。魔族に翻弄されるな。
タマの雷撃が魔族を襲う。
「ぐがぁぁぁ」
「とどめだ」
ベイルが魔族を両断した。
「ふー、終わったか。」
ベイルは周囲を見渡す。下位魔族が4体、兵士が50人程倒れている。
エルフにも犠牲が出た。3人が命を落とした。
「タマ、大活躍ね」
「がう」
クルーシに撫でられ、タマは嬉しそうだ。
だが、クルーシの顔は曇っていた。
エルフ達が死んだ仲間に祈りを捧げている。
仲間が死ぬって、悲しいわね。
レイラは座り込んでいた。
「剣を向けなければ、死ぬことは無かったのに」
倒れた兵士を見つめ、虚しさを感じていた。
「レイラ殿」
エルフの男性がレイラの前にしゃがみ込む。
「私はアロスと申します。大丈夫ですか」
レイラは顔を上げた。
「ああ、大丈夫さ」
「魔族に与した者、たとえそれがどんな事情だろうと、敵です」
「分かっているよ」
「洗脳,脅迫、事情がある者もいたかも知れません。ですが、戦わなければ死ぬのは自分ですよ」
「頭ではわかっているんだ。味方も死んだ。でも、悪党でも人を斬るのは気が滅入るよ」
「レイラ殿は優しいのですね」
アロスは優しい笑顔で手を差し伸べた。
「貴方もね。アロスさん」
レイラは差し伸べられた手を取り立ち上がる。
「レイラ、大丈夫」
クルーシとベイルが心配そうに駆け寄って来た。
「ああ、心配ないよ。アリスト達を助けに行こう」
俺達で魔族を倒したぞ。
調子に乗ってはいけないよ。
なんでも、魔族は生まれて数十年は弱いらしいよ。
そうなのか。
ええ、なんでも魔力が低いらしいわ。
なんだ、まだ未成熟って事か。
俺達もまだまだだな。
もっと、強くなるぞー
あらあら、次回も活躍お願いしますわ。うふ




