拘束
何とか、倒したな。
死ぬかと思ったぜ。
私も、危なかったよ。
クルーシ、タマ。助かったよ、ありがとうね。
あたりまえじゃない。ね、タマ。
がう。
展開が、面白くなってきた。
次は何処に行くんだ。
次は、夜の街にくりだそ~
おお、いいね。思いっきり楽しむぞ~!
冗談だ。
へ
やはり、あなたは・・・・・・
えー。これは、罠だー!罠なんだ~
お部屋に、行きましょうか。ベイル
イヤだ~
いつも通りだな。
がう
燃えさかり、崩壊した伯爵邸。
レオトスが駆け付けると、兵士達がすでに集まっていた。
俺は逃げた女性から話を聞いて、直ぐ駆け付けたんだぜ。
こんなに早く兵士が集まるのか。
兵士の中に兵士長を見つけた。
「ルキオス」
「レオトス。お前も来たのか」
「中に魔族がいると、聞いた」
「魔族だと。バカな事を。中にいるのはアザードの悪魔だ」
「アザードの悪魔だと。いや、魔族が伯爵を」
「レオトス。余計な事を言うな」
「余計な事だと」
「中にいるのはアザードの悪魔だ」
「おまえ・・・」
「アザードの悪魔に、伯爵は殺されたのだ」
逃げて来た女性は魔族だと言った。嘘ではない怯え方だった。
アリスト達は何処に行った。何が起きている。
おかしい。
ルキオスの態度も、兵士達も何か違和感がある。
「何故、屋敷の者を助けに行かないのだ。早く踏み込もう」
「もう遅い。もう少し待て」
何を言っている、ルキオス。どこを見ているのだ。
ルキオスの視線の先・・・・
イザース教、司教だ。
なぜ司教がここに居るのだ。
その時、雷鳴が轟き屋敷に巨大な雷が落ちた。
「うわ」
轟音が響きわたる。
集まった民衆からも悲鳴が上がる。
雷撃魔法か。あんな凄い魔法、見たことが無いぞ。
周囲を見渡す。
司祭がいない。消えた、どこにもいない。
なんだ、これは。何が起こっている。
何度か雷鳴が聞こえ、上空に2人の影が見えた。
あれは、アリストか。もう1人は・・・
一瞬だったが、角が見えた気がした。
やはり魔族か。
ルキオスはニヤ付いた表情で、燃えさかる炎を見ている。
2人の影が見えなくなり、屋敷の燃える音だけが聞こえる。
「ようし、アザードの悪魔を捕まえろ。屋敷の崩壊には気を付けろ」
ルキオスが号令を出し、兵士達が屋敷に雪崩込んだ。
「俺も行くぞ」
「レオトス、お前の関わる事ではない。部外者は口をだすな」
「ぐっ」
レオトスは燃え上がる伯爵邸を見つめた。
「アリスト様」
「アリューシュ。皆、無事か」
「ええ、ベイルとレイラが怪我をしましたが、治癒魔法で完治致しましたわ」
「そうか。良かった」
「魔族は何か話しましたか」
「いや、何も言わなかった」
「そうですか。致し方ありませんわ。これから、どうしましょう」
「教団の神殿に乗り込んでみるか」
「良いですわね、つながりがあれば混乱しているはずですわ」
「ベイル。皆は、行けそうか」
「ああ、問題ない・・・お、なんだ」
ベイルが話かけた所に、兵士達が雪崩込んできた。
タマはとっさに小さくなり、アリューシュの影に隠れる。
アリストとアリューシュは、武器を空間収納に放り込む。
偉そうな兵士が叫ぶ。
「こいつ等が、アザードの悪魔だ。捕らえろ」
はぁ。
「おい、アザードの悪魔って・・・え」
オロオロするベイルに手枷がはめられた。
はぁーーーーー
「おい、これはどう言う事だ」
「黙れ、アザードの悪魔」
兵士は高圧的だ。
「あそこに魔族が死んでいるだろう」
兵士はあざけ笑う。
「魔族?何を言っている。お前らが引き込んだ魔物だろうが」
ベイルは呆れ顔だ。
「おーい、アリスト。こいつら叩き潰していいか~」
「ベイル、兵士は普通の人族だ。ここは大人しく捕まろう」
「はぁ~了解だ~」
「レイラ、クルーシ、暴れるなよ」
「は~い」
レイラもクルーシも大人しく捕まる。
「おい、この女、エルフだ」
アリューシュの魔法が解け、エルフ特有の耳が露わになった。
あ、魔法封じの手枷だ。
ま、それはそうだよな。忘れていた。
マズいかな。まぁ、大丈夫か。
俺の髪の色が黒くなる。
「コイツ黒髪だぜ、見た事がない」
「隊長に報告しよう」
兵士達がざわつく。
「アリスト様」
アリューシュの胸の谷間に、タマが隠れている。
上々だ。
ちょっとだけ、うらやましいぞ。タマ。
とても偉そうな兵士がやって来る。
「ほう。エルフに、黒髪か・・珍しい」
俺とアリューシュをにやけた顔で見る。
「黒髪はこの国で見かけない。どこから来た」
「過去から来た」
「ふざけた事を」
本当の事なのだが。
「まぁ、良い。ミルガルドの密偵か何かだろう」
いや、ただ通過するだけだったのだが。
「どうせ、エルフ以外は死刑だからな」
「おい、あそこに転がっている魔族は、どう説明するのだ」
「ここに魔族などいる訳が無い」
「では、あれは何だ」
「あの、くたばった魔物に人を食わせていたのだろう。アザードの悪魔」
「魔物か。面白いな」
「そうだ、魔物だよ」
残った魔族の死体は燃やされている。
「証拠隠滅ね」
「何の事だ」
とても偉そうな兵士はにやりと笑い、部下にに命令する。
「アザードの悪魔を王都に護送する」
外に出ると、民衆の中にレオトスを見つけた。
レオトスはオロオロしている。
「なんで、アイツ等が捕まっている。どうなってんだよ」
仕方ない。状況を伝えておくか。
「王都に連行される。全部繋がっているぞー」
とりあえず、叫んでみた。
「黙れ」
お~お、怖い兵士だ。
レオトスの表情が変わった。目が理解した、と言っている。
頼んだぞ。ギルドマスター、レオトス。
だが、ちょっと不安だ。脳筋ポイよな、あの人。
何故か、捕まっちまったな。
アンタの顔が、悪魔ッぽいからじゃないか。
そうね。うん うん
ひ、ひどい・・・
がう
タマ、慰めてくれるのか。
がう
まぁ、それはどうでもいいとして。
アリスト。お前も酷いな。
いや、まぁ。とりあえず、大人しくしておこう。
タマが何とかしてくれますわ。
ね、タマ。
がるる
やっぱり、会話が出来るのだな。タマ。




