伯爵邸の魔族
この地下道は、アザードの悪魔のねぐらに続いているのか。
いよいよ正体を暴けるな。
腕がなるよ、ぶちかましてやろう。
私の魔法で息の根止めて上げるわ。うふふふ
クルーシがどんどん戦闘狂になっていく。
どうしよう。
あら、頼もしいですわ。
アザードの悪魔など、私のデス・サイズ・グリード(大鎌)のサビにしてあげますわ。
ふふふふふふ
お前の影響か・・・・
がう
(流石、我が主の妹だ)
タマは、分かる雷獣ですわ。
よ~し、よし。なでなで
ごろにゃ~ん
ちっ!
廃屋に現れた地下通路。最近作られた様に見える。
「地下道かよ。どこに繫がっているんだ」
ベイルが覗き込む。
「行くか」
ベイルは行く気満々だ。
「行きましょう。地下迷宮だわ」
いや、クルーシ、違うぞ。ただの地下道だ。
「地下迷宮、お宝があるかも。楽しみだね」
だから、ただの地下道だ。レイラ。
「タマ、お願いしますわ」
タマが最初に地下道に入って行く。
地下道には血痕が続いていた。
真新しい通路から、古い地下道に出る。
古い地下道を進んでいくと、新しく掘られた分岐点が数か所あった。
町の地下に、こんな地下道が張り巡らされているとは。
300年前。町の地下に脱出用に通路を掘った貴族がいた、と聞いた事がある。
エルシアの貴族が治めていた町、アセーナル。それがこの町か。
その地下道ならば、行く先は領主の屋敷か。
新しく拡張した通路は何処に繋げたのだ。
血痕は旧地下道を辿っている。
しばらく行くと、上にいく階段に行き着いた。その先の天井に扉だ。
階段を上り、扉を押し上げる。
そこは薄暗い地下牢。
今は使われてはいない様だが、血だまりと肉片が目に入った。
「食ったか」
アリューシュとタマが頷く。
「食べましたわね」
「がう」
タマ、お前は人語を理解しているのか。
「ひどい・・・・」
クルーシは青ざめ、顔を背ける。
「あまり見るな」
ベイルがそっと受け止めた。
「アリスト。これは、もしかして・・・」
「レイラ、その通りだ」
「本当に人を食べるのね。魔族は」
「ああ、そうだ。だが、聞いていた人数より少ないな」
「はい、半数位のでしょうか。他の者は何処へ行ったのでしょう」
「それは、アリューシュ。アザードの悪魔に聞けばいい」
地下牢を上がると、屋敷内の廊下に出る。
人の気配は無い。
「アリスト、ここは何処なんだ」
「おそらく、伯爵邸だ。ベイル」
「おい、伯爵がアザードの悪魔なのか」
アリューシュが答える。
「正確には、伯爵に成りすました魔族ですわ」
「それじゃ、伯爵はもう・・・」
「伯爵だけではありませんわ。おそらく使用人も」
「食われたのか」
ベイルは肩をすくめた。
「アリューシュ、クルーシ。魔力感知は最小にしてくれ。相手に気付かれる」
「はい」
魔族ならば魔力感知にかかれば気付かれてしまう。
まぁ、それはこちらも同じことだが。
廊下の両側にいくつか扉があるが、人の反応はない。
行く先に反応が2つ。
この先は大広間の様だ。
通路から覗き見る。
メイドが食事の用意をしている。
「お姉様、あれは人なの」
レイラは自分の目を疑った。
「あの首輪は・・・・」
クルーシも驚いている。
「隷属の首輪か。早く助けよう」
ベイルが動こうとすると、タマが行く手を遮る。
「ガルルッ」
「おい、タマ。なぜ止めるんだ」
「ベイル、死ぬところだったぞ」
「アリスト、それは・・・・」
大広間から漂う異様な殺気に青ざめるベイル。
「ほう。この屋敷に侵入者か」
アリストが大広間に足を踏み入れ、殺気と向き合う。
「お前がアザードの悪魔か」
吹き抜けの回廊から見下ろす男が2人。
「これから食事なのだよ。礼儀をわきまえたまえ、下郎が」
バーティス伯爵らしき人物が、不快感をあらわにする。
アリストは不敵な笑みを浮かべた。
「魔族が礼儀だと、笑わせる。で、本物の伯爵はどうした」
「生意気な人族だ。まぁ、よい。伯爵か、この者が食したよ」
横にいた執事がニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「老体は余り美味くねぇんだよなぁ」
「お前がアザードの悪魔か」
「町で騒いでいるあれか。俺の事だよ。アザードの悪魔、良い名前だなぁ」
執事は愉快そうに笑う。
「このバカが我慢できなくてねぇ。少々やり過ぎたか」
伯爵も不気味に笑った。
「魔族、魔力感知から消えたな。どんなカラクリだ。」
「フフッ。気になるか。いいだろう、教えてやる。これだよ」
魔石の入った首飾りを見せた。
あれは以前、盗賊が持っていた物に似ている。
「これは魔力の波動を消す魔道具だ。まだ、未完成なのだよ。魔力を高めてしまうと、消しきれなくてねぇ」
「珍しい物を持っているのだな」
「我が魔族の発明品だよ。我らの技術は素晴らしい。下等な人族には到底、真似の出来ない事だがね。ハハハハハッ」
伯爵は声高々に笑う。
「なぜ、女性に隷属の首輪をはめて生かしている」
「なに、身の回りの世話をして貰うためだよ。自分でやるのは面倒でね」
「隷属の首輪は何処から入手した」
「悪いが、それは秘密だ」
「食ったのは半数はどだろう。他の者はどうした」
「フン、質問の多い人族だ。だいたい、貴様達は何者だ」
「気にするな、ただの敵だ」
「クククッ。そうか、敵か。ならば、アザードの悪魔を倒しに来たのだろう」
2人の身体が魔族に変化していく。
「我らを倒して見ろ。下郎」
回廊から飛び降り、向かって来る魔族共。
「アリューシュ」
アリストが叫ぶ。
アリューシュが飛び出し、大鎌で魔族2体を弾き飛ばした。
魔族は壁を突き抜け吹き飛んだ。
アリストは恐怖に震えるメイド2人を抱え隣接する部屋に飛び込んだ。
「もう大丈夫だよ。動かないで」
メイド2人は震えながら頷いた。
アリストは隷属の首輪に手を添える。
「ディ・スペル」
隷属の首輪が外れ、床に落ちる。
メイド達は驚いた顔をし、涙を流す。
「あ、ありがとう・・・御座います」
「ここから早く逃げなさい。冒険者ギルドに行けば保護して貰えるよ」
「はい」
メイド2人は急いで屋敷を後にした。
魔族よ~魔族よ~
おい、落ち着けよ、クルーシ。
俺達、強くなったから倒せるぜ。
そうだよ。私の剣は限界を超えたのよ。
そ、そうね。落ち着きましょう・・・・・ベイル。
ん
何を見ているの。
いや、あのメイドの服装がさ。
服装がなにかしら。
きわどいな。えへへへ・・・・・・( ゜д゜)ハッ!
へ~、ほ~、ふん~。
いや、冗談だよ・・・
それより魔族だ。気合入れようぜ。
あとで、お部屋にいきましょうね、べ・イ・ル
ひぃ~
何をやっているのだ。
がう
(クルーシは怖い。学習)




