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魔王を倒した英雄~300年後に飛ばされ世界を統べる~  作者: 乱丸
第二章~王都、旅立ち編~

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不満と嫉妬と不快感

さ~来ましたわよ。

 みなさん、準備は宜しいでしょうか。


ふふふ。私の活躍を見せて上げましょう。


お、クルーシ、気合入ってるな

       私も負けられないよ。


うちの女性達はたくましいな。ベイル

     あれ、どうした。


なんか、俺の立場がさ・・・・


そうだな。お仕置き部屋に、よく連れて行かれてるしな。


!!やな事言うなよ~

  もう、本文行こうぜ。

谷間を進む一行に、周囲の反応が迫って来る。

その中で、魔力の高い者が四方を囲んで止まった。

これは・・・

「アリューシュ。ベイル」

 2人は馬車に馬を寄せる。

「足止めして、魔力封じの結界に閉じ込めるつもりらしい」

「あら、魔法を封じ込めば勝てると思っているのかしら」

「エルフのお前を警戒しているのだろう」

「私を狙っているのかしら。エルフは魔法だけではありませんのに」

 アリューシュの口が尖がっている。

「アリューシュはエマルドさんの馬車を頼む。ベイルはクレイズさんに知らせてくれ」

「了解だ」

「結界が無駄になってしまいましたわ」

 ベイルは駆け出し、アリューシュはプンプン怒りながらエマルドの馬車に向かう。

「クルーシ、魔法使いの皆、しばらくお休みだ」

「えー、お休み。出番はないの」

「魔法封じの結界だ。結界が消えるまで我慢してくれ」

 クルーシも他の魔法使いも不満で、ブーブー文句を言っている。

 うん。うるさい。


四方から細い光の線が空に上った。

 中央で4本の光の線がぶつかり、結界が張られる。

 同時に進路を塞ぐように大岩が現れる。

 一行は岩壁に挟まれた街道に閉じ込められた。

「アリストの言う通りだったな」

 クレイズは部下に指示をだす。

「全員戦闘位置、馬車を守れ。頭上からの攻撃に備えろ」


 馬車から飛び降りたレイラは、上空を見上げた。

「あれが結界」

4人がかりの広範囲魔法封じ結界。なかなかやるな。

「ああ、解除するまで、敵も味方も魔法は使えないな」

「ふ~ん。でもアリスト、クルーシがお休みってだけでしょ」

 レイラは動じない心を持っているな。

「ああ、それだけさ」

 慌てて結界を壊す事もなさそうだ。

 自然に笑みが零れる。


 大勢の気配が崖の上に現れた。

 クレイズが叫ぶ。

「来るぞー」

 頭上に無数の矢が降り注ぐ。

 アリューシュが馬の背を蹴り飛ぶ。

 大鎌を一閃。

 斬撃が飛び、無数の矢を狩り取っていく。

 2射目が放たれる。

 「真空波」

 アリストが放った真空波が2射目の矢を薙ぎ払う。

 左右の崖上から男達が駆け下りて来た。

 護衛団から迎撃の矢が放たれる。

 数人が矢を受け、崖を転がり落ちる。

クレイズの号令が飛んだ。

「迎え撃て」

 剣と剣が打ち合い、火花が散る。

 怒涛の如く押し寄せる、敵集団。

護衛団員が一斉に迎え撃つ。

 馬車を中心に乱戦状態に陥った。


 

「数が多すぎるわ」

 女性剣士は、群がる男達に恐怖を感じた。

 怒号を発し、襲い掛かる敵。

 恐怖で身体が思う様に動かない。


 ダメ、身体が重い。殺られる。


 アリストが目の前に現れた。

「あ・・・」

 アリストの剣が男を斬り裂く。

 女剣士はアリストを見つめる。

「落ち着いて、大丈夫」

 優しい笑みを見せるアリスト。

 女剣士の目は輝いていた。


「はっ」

「どうされました、お嬢様」

「今、ライバルが増えた様な・・・・キィー」

 ハンカチを噛みしめるアルテシアだった。

 恐るべき女のカン。


「魔法を封じれば勝てると思ったか」

 アリストが動く。

 最初の1人を間合いに捕らえる。

「うお」

 驚いた男の上半身が地に落ちた。吹き上がる鮮血。

 隣の男の首が宙を舞う。

 3人目、肩から斜めに切り裂かれた。

 4人目、左肩から先が斬り飛ばされる。

 鮮血がアリストの頬を汚した。

 横から斬り込んで来た男は、両足から体が落ちる。

「ぐあぁぁぁ」

 アリストは向かって来る敵を睨む。

 怯む男達。足元でうめく男。

「足が、俺の足が・・・助けて・・・」

 心に黒いものが広がっていく。

「虫けらが人語を喋るとは、不快だ」

 男達を睨みながら、足元の男に剣を突き刺した。

「ぎやぁぁぁぁ」 

 断末魔が響く。

「次、早くこい。殺してやる」

 恐怖ですくみ上がる敵男達。

 恐怖で震え上がる護衛団員。


「へへへっ、見つけたぜ」

 不快な声に悪寒を感じ、アリューシュは振り向いた。

「お前、やっぱりいいな。我慢できねぇよ」

 ひと際目立つ大男が、アリューシュを見ている。キモイ目で。

 何ですの、あのキモイ男は。

「今度は邪魔者がいねぇし、俺が可愛がってやるぜ」

 大男が仲間を弾き飛ばし、向かって来る。

 更に悪寒が走るアリューシュ。

 大剣がアリューシュを襲う。

 大鎌で大剣を受けた。アリューシュの身体が後方に飛ばされた。

「ばか力です事」

 アリューシュが大地を蹴り、間合いを詰める。

 大男は攻撃を大剣で受け、同時に蹴りを放つ。

 アリューシュは蹴りを蹴りで相殺する。

 ぐらつく大男。

 間髪入れず、斜め下から大鎌を振り上げる。

 迫る大鎌を大剣で弾くと、大男はアリューシュに抱き着いて来た。

 慌てて大男をかわし、距離を取る。

「へへへっ。俺が力負けするとは。いいな。ますます俺好みだ」

 大男の口はしから、ヨダレが垂れた。

 ドン引きのアリューシュ。

「キモイ」

 少し離れた所で戦っていたベイルが異変?に気付き助けに来た。

「アリューシュ、どうした。大丈夫か」

「ベイル。何なんですの、あの変態は。近づくのも不快ですわ」

 アリューシュは何とも言えない表情だ。

 大男がベイルを見て、怒り出す。

「お前、また邪魔するのか。殺すぞ」

 ん、あいつ、見覚えがある。ベイルは考えた。

「あの大男。俺を突き飛ばした、ドランの冒険者だ」

「げぇ」みたいな顔になるアリューシュ。

 おいおい、キレイな顔が台無しだ。などと思うベイルであった。

「こんな所まで。粘着体質の変態ですわね」

「俺がやろうか」

「ベイル。あの変態は女の敵。私が始末致しますわ」

「はいはい。じゃ、俺はその辺の有象無象を倒してくる」


ベイルは乱戦の中に戻って行った。


私の出番がな~い!

  


ちょっと、何とかしてよ~


何ですの~私、変態はイヤですわー!


あの女剣士はなによ~

  急に出て来て!ライバルが増えたじゃないのよ~


おいおい。みんな、落ち着けよ。


イライライラ


そんなにイラ付かなくても、さ。


何よ~

何ですの~

何ですか~


ボカ!

ドゴッ!

ビシッ!


ベイルって女難の相がある。よね。

(レイラ談)

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