不満と嫉妬と不快感
さ~来ましたわよ。
みなさん、準備は宜しいでしょうか。
ふふふ。私の活躍を見せて上げましょう。
お、クルーシ、気合入ってるな
私も負けられないよ。
うちの女性達はたくましいな。ベイル
あれ、どうした。
なんか、俺の立場がさ・・・・
そうだな。お仕置き部屋に、よく連れて行かれてるしな。
!!やな事言うなよ~
もう、本文行こうぜ。
谷間を進む一行に、周囲の反応が迫って来る。
その中で、魔力の高い者が四方を囲んで止まった。
これは・・・
「アリューシュ。ベイル」
2人は馬車に馬を寄せる。
「足止めして、魔力封じの結界に閉じ込めるつもりらしい」
「あら、魔法を封じ込めば勝てると思っているのかしら」
「エルフのお前を警戒しているのだろう」
「私を狙っているのかしら。エルフは魔法だけではありませんのに」
アリューシュの口が尖がっている。
「アリューシュはエマルドさんの馬車を頼む。ベイルはクレイズさんに知らせてくれ」
「了解だ」
「結界が無駄になってしまいましたわ」
ベイルは駆け出し、アリューシュはプンプン怒りながらエマルドの馬車に向かう。
「クルーシ、魔法使いの皆、しばらくお休みだ」
「えー、お休み。出番はないの」
「魔法封じの結界だ。結界が消えるまで我慢してくれ」
クルーシも他の魔法使いも不満で、ブーブー文句を言っている。
うん。うるさい。
四方から細い光の線が空に上った。
中央で4本の光の線がぶつかり、結界が張られる。
同時に進路を塞ぐように大岩が現れる。
一行は岩壁に挟まれた街道に閉じ込められた。
「アリストの言う通りだったな」
クレイズは部下に指示をだす。
「全員戦闘位置、馬車を守れ。頭上からの攻撃に備えろ」
馬車から飛び降りたレイラは、上空を見上げた。
「あれが結界」
4人がかりの広範囲魔法封じ結界。なかなかやるな。
「ああ、解除するまで、敵も味方も魔法は使えないな」
「ふ~ん。でもアリスト、クルーシがお休みってだけでしょ」
レイラは動じない心を持っているな。
「ああ、それだけさ」
慌てて結界を壊す事もなさそうだ。
自然に笑みが零れる。
大勢の気配が崖の上に現れた。
クレイズが叫ぶ。
「来るぞー」
頭上に無数の矢が降り注ぐ。
アリューシュが馬の背を蹴り飛ぶ。
大鎌を一閃。
斬撃が飛び、無数の矢を狩り取っていく。
2射目が放たれる。
「真空波」
アリストが放った真空波が2射目の矢を薙ぎ払う。
左右の崖上から男達が駆け下りて来た。
護衛団から迎撃の矢が放たれる。
数人が矢を受け、崖を転がり落ちる。
クレイズの号令が飛んだ。
「迎え撃て」
剣と剣が打ち合い、火花が散る。
怒涛の如く押し寄せる、敵集団。
護衛団員が一斉に迎え撃つ。
馬車を中心に乱戦状態に陥った。
「数が多すぎるわ」
女性剣士は、群がる男達に恐怖を感じた。
怒号を発し、襲い掛かる敵。
恐怖で身体が思う様に動かない。
ダメ、身体が重い。殺られる。
アリストが目の前に現れた。
「あ・・・」
アリストの剣が男を斬り裂く。
女剣士はアリストを見つめる。
「落ち着いて、大丈夫」
優しい笑みを見せるアリスト。
女剣士の目は輝いていた。
「はっ」
「どうされました、お嬢様」
「今、ライバルが増えた様な・・・・キィー」
ハンカチを噛みしめるアルテシアだった。
恐るべき女のカン。
「魔法を封じれば勝てると思ったか」
アリストが動く。
最初の1人を間合いに捕らえる。
「うお」
驚いた男の上半身が地に落ちた。吹き上がる鮮血。
隣の男の首が宙を舞う。
3人目、肩から斜めに切り裂かれた。
4人目、左肩から先が斬り飛ばされる。
鮮血がアリストの頬を汚した。
横から斬り込んで来た男は、両足から体が落ちる。
「ぐあぁぁぁ」
アリストは向かって来る敵を睨む。
怯む男達。足元でうめく男。
「足が、俺の足が・・・助けて・・・」
心に黒いものが広がっていく。
「虫けらが人語を喋るとは、不快だ」
男達を睨みながら、足元の男に剣を突き刺した。
「ぎやぁぁぁぁ」
断末魔が響く。
「次、早くこい。殺してやる」
恐怖ですくみ上がる敵男達。
恐怖で震え上がる護衛団員。
「へへへっ、見つけたぜ」
不快な声に悪寒を感じ、アリューシュは振り向いた。
「お前、やっぱりいいな。我慢できねぇよ」
ひと際目立つ大男が、アリューシュを見ている。キモイ目で。
何ですの、あのキモイ男は。
「今度は邪魔者がいねぇし、俺が可愛がってやるぜ」
大男が仲間を弾き飛ばし、向かって来る。
更に悪寒が走るアリューシュ。
大剣がアリューシュを襲う。
大鎌で大剣を受けた。アリューシュの身体が後方に飛ばされた。
「ばか力です事」
アリューシュが大地を蹴り、間合いを詰める。
大男は攻撃を大剣で受け、同時に蹴りを放つ。
アリューシュは蹴りを蹴りで相殺する。
ぐらつく大男。
間髪入れず、斜め下から大鎌を振り上げる。
迫る大鎌を大剣で弾くと、大男はアリューシュに抱き着いて来た。
慌てて大男をかわし、距離を取る。
「へへへっ。俺が力負けするとは。いいな。ますます俺好みだ」
大男の口はしから、ヨダレが垂れた。
ドン引きのアリューシュ。
「キモイ」
少し離れた所で戦っていたベイルが異変?に気付き助けに来た。
「アリューシュ、どうした。大丈夫か」
「ベイル。何なんですの、あの変態は。近づくのも不快ですわ」
アリューシュは何とも言えない表情だ。
大男がベイルを見て、怒り出す。
「お前、また邪魔するのか。殺すぞ」
ん、あいつ、見覚えがある。ベイルは考えた。
「あの大男。俺を突き飛ばした、ドランの冒険者だ」
「げぇ」みたいな顔になるアリューシュ。
おいおい、キレイな顔が台無しだ。などと思うベイルであった。
「こんな所まで。粘着体質の変態ですわね」
「俺がやろうか」
「ベイル。あの変態は女の敵。私が始末致しますわ」
「はいはい。じゃ、俺はその辺の有象無象を倒してくる」
ベイルは乱戦の中に戻って行った。
私の出番がな~い!
ちょっと、何とかしてよ~
何ですの~私、変態はイヤですわー!
あの女剣士はなによ~
急に出て来て!ライバルが増えたじゃないのよ~
おいおい。みんな、落ち着けよ。
イライライラ
そんなにイラ付かなくても、さ。
何よ~
何ですの~
何ですか~
ボカ!
ドゴッ!
ビシッ!
ベイルって女難の相がある。よね。
(レイラ談)




