鍛冶師ガルフ
今回はガルフの勧誘だ。
でも、頑固なんだよな~
どうするんだい。
エマルドさんのお願いですからね。
何とかしないと。
困ったな。
仕方ありませんわ。最終兵器をだしますわ。
私の色仕掛けで落として見せましょう。ですわ、うふっ。
ワシはドワーフの女以外、興味無し。じゃが。
チィ、じじいが。
アリューシュ・・・・イメージ、イメージ。
( ゜д゜)ハッ!
おほほほほほほほ、もう、いやですわね。
翌日、王都に到着した。
王都にはカミール商会本店とエマルド一家の本邸がる。
アルテシアに宿泊先をしつこく聞かれ困ったが。
アジミール王国に出発するのは20日後。条件は3日以内にガルフを勧誘する事だ。
昨日はギルドに行き、依頼完了の報告と魔物の売却を行った。
良い報酬額になり、皆大喜びだ。
夜は、ガルフ勧誘作戦の会議?だ。
ダルーシには転移で行く事しか決まっていない。
何故か、俺が説得する事になった。
おかしい。俺一回しか会っていないのだが
。
今は宿屋の食堂で、朝のカフィをベイルと飲んでいる。
2人共、癖になってしまった。流石だ、エマルド。
とりあえず、ガルフさんに会いに行かないと。
「ベイル、ガルフさんに会いに行くぞ」
「転移だろ。複数人は無理だろ」
「いいや、余裕で全員いけるよ」
「マジか。転移出来るのも凄いが、複数を同時に転移出来るなんて聞いたことが無いぞ」
なるほど、だから俺が説得する事になったのか。
「そうか、アリューシュも出来るぞ、たぶん」
「あら、私は3人までですわ。それ以上ですと、歪んだ時空に挟まれて死にますわ」
「アリューシュいたのか」
しかし、サラっと怖い事を言う。
ベイルが青ざめているぞ。
「そもそも今の時代、転移を使える者はそれほどいませんのよ。アリスト様」
「そうなのか。魔力の消費量は多いが、あの頃は沢山いたぞ」
「そうですわね。大戦以降、魔法技術は発展致しましたわ。ですが、個々の魔法能力は後退しているかも知れませんわ」
「そうだな」
あの頃の仲間達は皆、凄かったのだな。英雄と呼ばれていない者も転移を使えていたしな。
「それでは、全員で行くか」
「本当に、大丈夫か。アリスト~」
びびっちゃたったよ。
「大丈夫だ、ベイル。信用しろ」
「お、おう。じゃ、レイラとクルーシを呼んでくるな」
全員が揃い、宿の外に出た。裏路地だ。
アリューシュが言うには、転移を使えると知られれば有象無象が寄って来るらしい。
利用する為だそうだ。
なるほど、面倒くさい事だ。
「私、転移何て初めてだよ」
「私もよ。ワクワクしちゃう」
女子2人は遊び気分だな。まぁいいけど。
ベイルだけ青ざめている。
「じゃ、行くぞ。転移」
「おーここはダルーシか」
「本当に、一瞬だね」
「なにか、ふわふわした感覚だったわ」
3人は大はしゃぎだ。
「ここはダルーシの裏路地だ。もうそこがガルフさんの店だよ」
「すげー」
更に大はしゃぎする3人。
「はいはい、皆さん行きますわよ」
アリューシュが先にスタスタと向かって行った。
「待ってくれよ。アリスト、ガルフさんは俺が説得するからよ」
ベイルは慌てて駆け出した。
「ガルフさん、いるかい」
ベイルが声をかけ、店内に入る。
「何じゃベイルか。今日は何用じゃ」
「今日はガルフさんに話があるんだ」
「話じゃと。武器なら安くはせんぞ」
「違うよ。たぶんいい話だよ」
「いい話じゃと」
ガルフはメンバー全員を見る。
「ん、そこのエルフの嬢ちゃんは」
「お久しぶりですわ。ガルフ」
「おうおう。アリューシュの嬢ちゃんかい」
「80年ぶりくらいかしら。でも、お嬢ちゃんはおやめくださいまし」
「いや、すまんのう。もう癖になってしもうたわい」
「私の方がお姉さんですのよ」
笑う2人。
ポカーンとする3人。
「アリューシュ、知り合いだったのか」
「アリスト様。ガルフは幼い頃からの友人ですのよ。この大鎌もガルフに鍛えて貰った一品ですわ」
「どうりで、素晴らしい出来だと思ったよ」
「どれ、大鎌を見せてみろ」
「あら、無償で見てくれるのかしら」
アリューシュは大鎌にかけられた布を外し、ガルフに預けた。
ガルフの顔は真剣だ。
「あなたの自信作ですわ。刃こぼれ一つなくてよ」
「フン。これは使い手が良いのじゃ。何も問題はない」
「あら、褒めて下さるなんて珍しいですわね」
「フン。ワシも褒めるぐらいはするぞ」
「うふふっ」
「レイラ、お前の防具も見てやろう。少し傷んでおるようじゃ」
「本当かい、ガルフさん。ありがとう」
レイラは喜んで防具を外しガルフに渡した。。
武具の状態を見ながらガルフは問いかけた。
「で、話は何じゃ」
「実は・・・・・」
ベイルが勧誘を始めた。
「なるほどのう。それでワシを、か」
「ああ。ガルフさんにとってもいい話だろう。設備も資材も使い放題だぜ」
ガルフはレイラの防具を補修しながら考え込んでいる。
「カミール商会と言うたのう。悪い噂は聞かんが」
「だろう。良い話じゃねぇか。報酬も言い値で払うってよ」
ガルフは神妙な顔で答えた。
「金の問題ではないのじゃ」
「ガルフさん」
ベイルは思う。
きっと、大量生産では魂を込めた物を作れない。とか、自分が信頼した相手にしか作らない。て、言うのだろうな。
ベイルは少し感動を覚えた。
しかし。
「人の言う事を聞くのが嫌なんじゃ」
「はぁ」
「偉そうに命令されると腹が立つんじゃ」
「いやぁ、そこは。さぁ」
「だいたい、好きな時に酒が飲めないだろうが。作りたい時に作る。飲みたい時に飲む。そこは譲れん」
ダメだ、このじじい。
いや、気を取り直して。
「あそこの旦那はさぁ、話が分かる人だと思うぜ」
ベイルを無視して、ガルフは淡々と防具を修復する。
「終わったぞ。傷ついたら、また持ってこい」
「ありがとう。ガルフさん」
レイラは防具を抱かかえ、深々と頭を下げた。
見守るベイルはため息を一つ付いた。
「我がまま言う年じゃないだろう。思う存分腕が振るえるんだぜ」
「ベイル、年とはなんじゃい。ワシはまだ若いわ」
渋い顔のガルフ。
ベイルは、また思った。
確か300才超えてたよな。十分じじいだろ、と。
アリューシュが不敵な笑みを浮かべ、ガルフに近づいた。
「ガルフ。良い事を教えてあげますわ」
「なんじゃ、アリューシュ嬢。アンタの頼みでも聞かんぞ」
「ふふっ。ちょっとお耳を拝借下さいまし」
アリューシュが耳元で何か囁いた。
ガルフの表情が変わる。
いや、変わるというより驚愕している。
アリューシュは微笑んでいる。
ガルフの俺を見る目がおかしい。
神を崇拝するようなつぶらな瞳。
似合わん。やめてくれ。
「よし、ベイル。その話、受けた」
「おお、本当に受けてくれるのかい」
「本当じゃ。店を閉めるぞ。今すぐ行くのじゃ」
「急に乗り気になったな」
不思議そうなベイル。
「おっと、その前に、お前らの武器も点検してやろうかの」
そう言って豪快に笑った。
無茶苦茶機嫌が良くなったぞ。
「アリューシュ。何を言ったのだ」
「うふっ。ガルフは330才ですの。それで、アリスト様の事を少し」
アリューシュが意地悪い笑顔を見せる。
「アリスト様のお役に立ちたいそうですわ」
ガルフの爺さんの勧誘も成功したぜ。
これで、出発を待つばかりだぜ。
アリストが行きたい所があるらしいから、次回はそこにいってくるぜ。
俺達は自由な冒険者だからな。行きたい所へ、みんなで行けばいいだろう。
少し しんみり しちゃうかもだぜ。
がまんしてくれよ。
以上、ベイルでした。




