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魔王を倒した英雄~300年後に飛ばされ世界を統べる~  作者: 乱丸
第二章~王都、旅立ち編~

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後始末

ロニエスだよ。

 僕はね、歴代で一番ヨシュア王に似ていると言われているのさ。

 嬉しいよね。

でも、玉座には興味ないんだよね。

 魔法が好きだから、今の魔法師団は最高さ。

玉座は兄上にまかせるよ。


実は妹もいるんだ。

 お転婆で、お姫様なのに剣の稽古ばかりしているんだ。

 カミールさんのお嬢さんと仲がいいんだよ。

 そのうち登場するかもね。

 

楽しみにしていてよ。

昨夜の戦闘の疲労で?昼近くまで全員が爆睡している。

 アリストは、ようやく長い時間眠れるようになった。

 戦場では眠る事が危険だった。

 戦場に出れば、何日も眠らず戦い続ける。死だけが永遠の眠りを与えてくれる。

 野営では短時間の睡眠で見張りの交代をする。

 拠点に戻っても、昼夜どこかで戦闘がある。飛び起き、救援に増援、支援と対策会議。

 安心して眠れる日々は遠い世界。

 いつの日か、短い時間で目が覚めてしまう様になった。

 だが、ようやく長い時間眠れるようになり、今日は惰眠をむさぼっている。

「アリスト様。お客様ですわ。起きて下さいまし」

「ん~アリューシュ。もう少し寝かせてくれよ」

「ロニエス殿が来ておられますのよ。起きて下さいまし」

「もうそんな時間か。仕方ない、起きるよ」

 渋々起きだし、歯を磨き、顔を洗う。

 そう。この歯ブラシと言う物。木の棒の先に馬の毛が付いている。

 これで歯を磨く。この時代で初めて体験した。

 それと、気が付いた事がある。

 今更だが、夜の明かりだ。

 300年前の明かりと言えば、ロウソクの火かライトの魔法だ。

 今は違う。明かり専用の魔道具で夜の明かりを取る。

 暗くなると自動で明かりが灯る。光が差し込むと消える。

 今まで、当たり前の様に明るいので気にならなかった。

 昨日、気が付いた。恥ずかしいので内緒にしている。

凄いな、今の魔道具は。

おっと、ロニエスが来ているのだった。

一階の食堂に行くと、ベイル達とロニエスがテーブルで紅茶を飲んでいた。

外にはルベウスと騎士が立っていた。

「アリスト、遅いぞ」

 ベイルが笑顔で手を振った。

 ラタールの翼の全員がアリストの事情を理解していた。

「ロニエス殿、待たせてすみません」

 ロニエスは笑顔で軽く首を振り、立ち上がり一礼する。

「昨夜はありがとう御座いました。無事、賊を捕らえられました。押収した記録簿で、これから大掃除が出来ます」

 笑顔のロニエスが包帯でぐるぐる巻きになっている。

 これから貴族や富豪たちの粛清が始まるのだろう。

 しかし何故、包帯巻きになっているのだ。

「それは良いですが、お身体大丈夫ですか」

「いや、お恥ずかしい。今、上位治癒魔法を使える者が不在でね」

 恥ずかしそうに笑うロニエス。 

 ベイルが耳打ちしてきた。

「お前の斬撃を避ける為、アリューシュに吹き飛ばされたみたいだぜ」

 な・ん・だ・と!

 アリューシュを見る。

 気まずそうに目線をそらすアリューシュ。

 ヒューヒューと鳴らない口笛を吹いている。

 ぐぬぬっ。

 いや、アリューシュのせいでは無いのだ。

 あんな狭い空間で大技出した俺が悪いのだ。そうだ。そうに違いない。

「なんか、申し訳ありません」

「いえいえ、おかげでこちらの被害は最小限で済みましたから、あはは」

 何となく、怖がられている様な気がする。

「所で、違法奴隷達はどうなったんだ」

「ベイル、言葉使いが失礼ですよ」

 クルーシに注意された。

「あ、すみません。敬語って苦手なので」

「構いませんよ。私も堅苦しいのは嫌いなので」

 ロニエスは気さくに笑う。

「悪いな。なるべく気を付けるよ」

 全然気を付けていないぞ、ベイル。

「それで、違法奴隷はどうなったんだい」

 レイラもか。似た者同士だな。

「皆さまの迅速な手当で大勢の者が命を取り留めました。ただ、残念ながら20名以上が手遅れでした」

 ロニエスは視線を落とした。

「もう少し早く、手を打てれば・・・」

「仕方ありませんわ。まさか、あんな酷い事をしているとは想像できませんもの」

 アリューシュはロニエスの肩に優しく手を置いた。

 助からなかった者には可哀そうだが仕方がない。

 300年前の回復ポーションより質は上がってはいるが、限界はある。

 上級治癒魔法を使える者も数人だと聞いた。

 アリューシュとクルーシが使えるのは中級治癒魔法だ。それでも希少らしい。

 回復系は余り進化していない様だ。

 魔族との戦闘が少なくなった弊害なのだろうか。

「助かった者は治癒院で保護しているよ。完治した者から元の場所に帰してあげる手はずだよ」

「獣人はどうなるのかしら」

「アリューシュ殿。ご存じでしょう。獣人には奴隷以外、居場所はありません」

「そうですわね」

 アリューシュの瞳に悲しみが見えた。

 ロニエスは少し慌てた様に話し出した。

「しかし、良心的な奴隷商人に渡る様に手配致しますので、ご安心を」

「お願いしますわ」

 重い空気の中、ベイルが沈黙を破る。

「そう言えば報酬は、せっかくの王都だ。観光しようぜ」

 沈黙の後に笑いが起きた。

 ベイルの持ち味だな。

「おお、すまないね。今日は報酬を届けに来たのだった」

 ロニエスは金貨の入った袋をテーブルに置いた。

「報酬は金貨120枚です。少ないかな」

「いやー十分ですよ。贅沢で来るぜ。な、レイラ、クルーシ」

「王都の最新のドレスでも買おうかな。なあ、クルーシ」

「そうね、私フリルの付いた可愛いのが欲しいわ」

「出たな、クルーシの少女趣味」

「レイラには似合わないから、うらやましいのかしら」

「私だって似合うわよ。趣味じゃないだけさ」

 場が和む。

「では、私は仕事があるので戻ります」

 ロニエスは立ち上がる。

「そうそう、アリスト殿。王はいつでも来て下さいと、仰せでした」

「では、明日お伺い致します。王にお伝えください」

「承知致しました。お伝え致します」

 ロニエスは笑顔で一礼して、戻って行った。

「アリスト。王都観光に行こうぜ」

「本当に行くのかベイル」

「ねぇ、レイラ。美味しくて有名なケーキ店があるそうよ」

「お、クルーシいい情報だね。最近、甘い物食べてないよ」

「では、私が案内しますわ。皆で行きましょう」

「流石は姉さん」

「アリューシュ、ステキ」

 女性2人は大喜びだ。

 俺も甘い物なんて、10年以上前に食べたきりだ。


ちょっと楽しみだな。



ちょっと王と会って来るよ。

 

また、何かあったのか。


いや、少し話をするだけさ。

 それより、早くエルフの国に行く方法を考えないとな。


そうだな。早く行きたいぜ。

(お、今日はお仕置き官はいないな)ほっ 

 

私も久しぶりにお姉様に会いたいですわ。


エルフって、みんな美形だよな。

 露出度も高いし、たまんねーぜ!


あら、誰かが覗いていますわ。ね、ベイル。


キラン


( ゜д゜)ハッ!


転移・・・・


出来ないだろう。諦めろ。




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