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魔王を倒した英雄~300年後に飛ばされ世界を統べる~  作者: 乱丸
第二章~王都、旅立ち編~

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悪党オヤジとキメラ

レイラだ。

 今日は私からのプチ情報だよ。

 

 私の武器は細身の長剣だ。素材はミスリルだ。 

 これは冒険者だった父親の形見なんだ。

 大事に使っているよ。


両親は2人共、幼い頃に死んじまったよ。 

 2人共冒険者だったんだ。

それ以来、クルーシの家で引き取ってもらった。

 感謝してるよ。


近いうち、クルーシと一度帰らないとな。

 心配してるだろうからね。


私達の村は、ダルーシの南の山の裾野にある。

 ラタール村だ。いい村だぜ。

剣技は我流だけど、ベイルとクルーシと3人でかなり修練を積んだよ。

 村を襲う魔物なら、1人で倒せる様になったさ。

  

15才の時にクルーシとベイルの3人で冒険者になった。 

 ちなみに、プロポーションならアリューシュにも負けてないわよ。ふふっ。


さぁ、突入だよ。

    応援しているわよ。

 チュッ!

(投げキッス)

半壊した館に入ると騎士団と悪党が対峙していた。

「貴様、騎士団ごときが。ただでは済まんぞ」

 いかにも悪党ぽいオヤジが喚いている。

 ルベウスは冷徹な笑みを浮かべる。

「貴様が頼りにしているリスヴェル伯爵なら、もう拘束されているぞ」

「なに、バカな」

「第一級国家反逆罪で死罪だな。伯爵も、貴様も」

「ふざけるな。お前達、こいつ等を殺せ」

 用心棒をけしかけ、地下に向かって駆けだした。

「首謀者を逃がすな。帳簿も確保しろ」

 ルベウスが叫ぶ。

 騎士達のいく手を阻む用心棒。

 剣と剣が打ち合う。

 ロニエスが風魔法を放つ。

 敵魔導士が魔法障壁で防ぎ、魔法の打ち合いが始まった。

 どんどん館が崩れて行く。

 あ~あ、大丈夫かこの建物。

 その隙を付き、ベイルとレイラがコソコソと悪党オヤジを追った。

 地下か。そこに凄いのが居るな。

敵魔導士が召喚魔法で魔物を召喚した。

 グランド・ウルフが3体現れる。

 おー、召喚魔法か。敵にしておくのは惜しいな。

 いやいや、感心している場合じゃない。

 仕方ない。

「アリューシュ、クルーシ、任せたぞ。騎士を守ってくれ」

「はい」

 地下に向った。


 階段を降りると腐臭が漂って来る。

 通路を曲がると地下牢が広がっていた。腐臭が濃くなる。

 地下牢は想像以上に酷い惨状だ。

 人族、エルフ、ドワーフ、獣人。全ての種族が揃っている。

 痩せ細り瞳は生気を失い、生きているか死んでいるかも分からない。

 腐った死体と共に牢にいる者、手や足が腐りかけている者。

 見るに堪えない。

 地下牢の奥まで悪党オヤジを追って行ったベイルとレイラが、全速力で戻って来た。

 半泣き状態だな。

「うぎゃー。あれはムーリー」

 どこかで見たような光景だ。

 2人を大きな獣が追って来る。

 キメラか。

「ギャハハハハ。これで貴様等も終わりだ」

 遠くで悪党オヤジが叫んでいる。

 足を止めるか。

 キメラに向かって走り出し、飛び蹴りを喰らわした。

「ぐおおお」

 キメラはよろめき、しりもちをつく。

 ベイルとレイラは「うそ~」みたいな目で俺を見る。

 悪党オヤジは大口を開けている。顎が外れそうだ。

 お座り状態だ。中々素直なキメラだな。

「コイツは俺が倒す。ベイル、レイラ。悪党オヤジを捕まえてくれ」

「お、おう。任せろ」

 2人は再び悪党オヤジを追いかけ出した。

 キメラは起き上がり、俺を睨み唸りを上げている。

 2人には目もくれない。

 そんな姿でも危険度は分かるのだな。

 グリフォンを母体にキラー・スネークの尾、頭は3つ。グリフォンとライジング・ウルフにデビルグース。

 こんな物を作ったのか。

 唸り声に苦しみを感じる。

 流石に魔物でも苦しいのだろう。

「楽にしてやるぞ」

 被害が及ぶ前に、牢屋に結界を張る。

 キメラは咆哮を上げ、ライジング・ウルフの頭が雷撃を放つ。同時にグリフォンの頭が火球を吐いた。

 攻撃を飛んで避ける。雷撃が床を粉砕し、火球が壁を抉った。

 頭上からキメラに斬りかかる。尾のキラース・ネークが正面から牙をむく。

 体を捻り、牙をかわし切断する。

「ぐがぁぁぁぁ」

 キメラは後方に飛び、追撃を避ける。

羽根を拡げると魔法陣が浮かび上がり、風の刃が無数に襲い掛かる。

 魔法障壁で防ぐ。

 鋭い爪が追い打ちをかけて来る。

 攻撃は空を斬り、大きな音と共に床を抉った。

 建物全体が振動した。

「グリフォンにしては異常な力だな。デビル・グースの力か」

 これ以上暴れると建物が崩れかねない。

「終わりにしよう」

 剣に魔力を込める。

「真空烈波」

 振り下ろされた剣から巨大な真空の刃が迸る。

キメラと建物を真二つに斬り裂いた。

「あ・・・」


 悪党オヤジを追うベイルとレイラ。

 突き当りの部屋へ追い詰めた。

「レイラ、開けるぞ」

「おう」

 2人は部屋に飛び込む。

「何だ、ここは」

 ベイルの顔が不快に歪む。

「拷問部屋ね」

 レイラは目を伏せた。

「酷い事しやがる」

 ベイルは血まみれの獣人を抱かかえた。

 獣人は息をしていない。

「つらかったろうな」

 ベイルの表情は怒りへと変わった。

「クソ野郎、何処に隠れやがった」

「ベイル、あそこ」

 レイラが拷問器具の後ろに隠し扉を見つけた。

「野郎、そこか!」

 ベイルが戦斧を一閃。

拷問器具と扉を同時に粉砕し、飛び込んだ。

 そこは隠し通路になっていた。

 その時、大きな音と共に床が震える。

「なんだ、今の」

 ベイルは振り返った。

「ベイル、前。前見て」

 前を見ると、通路の奥から騎士に追われた悪党オヤジが走って来る。

「レイラ。あのクソ野郎、騎士に追われ戻って来たぜ」

 悪党オヤジが迫る。

「あの野郎は、俺がぶちのめす」

ベイルが身構えた時、衝撃波と共に真空の刃が目の前を通過する。

 真空の刃は悪党オヤジの鼻先をかすめ、建物を切断した。

 悪党オヤジは青ざめ、失禁し固まった。

 追って来た騎士も固まった。

「今の、なに」

「なんだろうね~」

 ベイルとレイラは顔を見合わせ固まるのだった。


 館内一階。

 用心棒は倒され、悪党オヤジの部下はことごとく捕まった。

「クルーシ、大丈夫かしら」

「ええ、ちょっとしたかすり傷です」

 クルーシは治癒魔法で傷を回復させる。

 アリューシュは騎士達にに声をかけた。

「皆さんも無事ですわね」 

 ロニエスが反応する。

「アリューシュ殿。私は優秀な魔法使いですからね。あんな魔法使いは敵ではありません」

 ロニエスは鼻高々である。

「しかし、アリューシュ殿はさすがですね。用心棒など相手になりませんでした。して、地下にはアリスト殿が向かいましたか」

「アリスト様が行かれたので、問題は有りませんわ」

 アリューシュは笑顔で答える。

 不意に地下から大きな音が響き、建物が揺れた。

 半壊した一部が崩壊する。

 ルベウスが慌て部下に指示を出す。

「証拠品を押収しろ。残りは地下牢の人々を解放するのだ。急げ」

 アリューシュも地下に移動しようとした時、足元から迫る危険を察知した。

「全員壁際に避けて下さいまし」

 アリューシュの叫びに、騎士達が反射的に壁際に飛ぶ。

 捕まった者達も飛ぶ。

 クルーシも飛ぶ。

 ロニエスだけが、反応しない。

「鈍感ですわ」

 アリューシュが風魔法をぶっ放す。

「あれ、どうし・・・ブハッ」

 ロニエスが吹き飛んだ。

 同時に足元から真空の刃が床を裂き、建物を斬り裂く。

「うわー」

「ひぃー」

「何だ、これは」

 驚愕の悲鳴と共に、騎士達は床に這いつくばる。

 捕まえた者達は瓦礫と同化している。

 クルーシは目が点になっている。

 ロニエスは壁にめり込んでいる。

 アリューシュはへたり込んだ。

「あらあら、少しやり過ぎですわ。アリスト様」


避けた天井から、満天の星空が見えた。


      


悪党オヤジってなんだよ。

 適当だな。


いや、億頭オヤジがピッタリ似合う風貌なんだよ。

 な、レイラ。


うん、うん。


しかし、キメラにはびびったぜ。


あんなの、見たことない魔物だよ。


俺は、何故かな。デジャブを感じたぞ。


あはははは

 忘れてくれ。


そんな事よりですわ。あの技はやりすぎですわ。(怒)


いや、すまない。つい。

 もう少し、威力の低い、(真空波)にするべきだったよ。


本当ですよ。

 私、壁にめり込んだのでしから。

 あんなの初体験です~


あまり、体験したくないですわね。


うんうん。

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