闇奴隷商人の館
しかし、アリューシュが王族だったなんてな。
びっくりだぜ。
お姉様なら、納得だよ。
強くて、美しくて、気品に溢れてる。
くぅ~最高だぜ。
あらあら、褒めすぎですわ。
でも、私のお姉様はもっと強くてよ。
人魔大戦の英雄の一人ですもの。
うっそーすごおーい。
私、お姉様のお姉様に早く会いたいわ~
俺も早く合いたいぜ。
(ちょー美人さんなんだろうな。ぐふふっ)
あら、ベイル。お顔がいやらしいですわ。
怒 怒 怒 怒!
むんず。
ひぃ~クルーシ。お仕置き部屋だけは勘弁してくれ~
ベイル、災難だな。
でも、アイツそんな美人だったっけ。
性格もきついし。
あら、アリスト様もお仕置き部屋に行きたいのかしら。
( ゜д゜)ハッ!
さ、さぁ、悪党退治だな。
気合入れていくか。
ヨシュアの子孫との対面で、ヨシュア本人に会えるとは思わなかった。
マクレース侯爵も驚いていたな。
その後の会話がぎこちなかった。そのうち慣れるだろう。
懐かしい気分になり、王城を後にした。
王の用意してくれた、高級宿屋に向かい食堂で夜食を済ませた。
「うそー。アリューシュって王族だったのー」
「クルーシ、声が大きいですわ」
「あ、ごめんなさい。アリューシュ。でも女王様の妹って」
「流石はお姉さま。上品の質が他者とは違うもの」
レイラ、驚かないのだな。
ベイルは固まっている。
「今まで通りでお願いしますわ」
「いいんですかい」
「ええ、ベイル。私は冒険者のアリューシュですもの」
「そうか。良かったよ。王族とか、接し方がわからねぇからな」
ベイルは安堵の笑顔を見せる。
そこに年配の騎士が入って来た。
「失礼致します。王国騎士団、副団長ルベウスと申します」
いかにも真面目そうな40才程の騎士が平伏する。
周囲の客達が驚いている。
視線が痛い。
「アリューシュ様。ラタールの翼の皆様、お迎えに参りました」
アリューシュの事を聞かされたのか。真面目だな。
「ルベウス殿、私は冒険者のアリューシュですわ。他の方と同等でお願いしますのよ」
「はっ。承知致しました」
ルベウスは立ち上がり一礼した。
「では、ご協力お願い致します」
「じゃ、皆行こうぜ」
ベイルに促され、ルベウスに付いて行った。
王都東地区。この辺りは貧困街らしい。
古い建物。朽ちかけた家。清潔感とは程遠い路上と異臭。
いつの時代もこんな場所はあるのだな。
大通りから外れた路地裏。暗がりの中、明かりの漏れている大きい館がある。
表向きは普通の奴隷商人。裏では違法な人身売買か。
欲に眩んだ成れの果て、か。
「あそこが闇奴隷商の拠点になります」
建物の影に潜み、ルベウスが指示をだす。
騎士30人が音もなく明かりの漏れた館を囲む。
セルギスの言う通り、若い騎士が多く、十代の騎士もいる様だ。
浮足立っている者もいる。経験不足・・・ね。
予想敵数は20人前後。内、用心棒が15人。奴隷が50人。
俺の提案で突入するのはラタールの翼とルベウス以下騎士5人。
「ルベウス殿、隠し通路などは抑えてありますか」
「隠し通路は1本確認し、抑えてあります。アリスト殿」
お、魔力を隠蔽して近づく者がいるな。敵意は無さそうだ。
「ルベウス殿。そこの暗闇にいる人物はどなたですか」
ルベウスは驚き振り返った。
「これは殿下。なぜここに」
殿下?
「ルベウス殿。お邪魔してすまないね」
「伯爵邸の方に行かれたのでは」
「あちらは部下に任せたよ」
殿下と呼ばれた男はこちらを見る。
「ご挨拶が遅れ申し訳ない。魔法師団、師団長のロニエスと申します」
こちらに向かい一礼する。
「ご機嫌麗しく、アリューシュ王女様。こう見えて私、第二王子でして」
アリューシュの手を取り、手の甲に親愛の口づけをした。
顔を上げニコリと笑うロニエス。
アリューシュの笑顔が引きつっている。
第二王子が魔法師団長なのか。まだ20才位だろう。王族だからか、実力なのか。
しかし、軽いノリの王子だな。
「で、こちらがラタールの翼の皆さんですか。宜しく」
王子だと聞いてベイル達3人は直立不動で一礼する。
ロニエスは俺をチラっと見て、目礼した。
一応、俺の事は聞いている様だな。
赤い髪の第二王子か。整った顔だが、軽薄そうな顔付きだな。
ヨシュアを軽薄男にしたような感じだ。少し不愉快な気分になる。
「さて、ルベウス殿、突入するのでしょう。私も行きます」
「殿下に危険な事はさせられません」
「ルベウス殿、殿下は辞めてくれよ。堅苦しくていけないよ」
「はっ。ですが、ロニエス様には外で待機をお願い致します」
「嫌だ」
「嫌だって、貴方。子供じゃないのですから」
「ほら、待機している騎士もラタールの皆さんも待ちくたびれていますよ」
「しかし」
「はい、皆さん。行きますよ」
ロニエスは堂々と建物入り口に歩いて行った。
慌てるルベウスの肩に手を置き、首を振る。
「諦めましょう、ルベウス殿」
「アリスト殿」
気を取り直してロニエスに続いた。
「アリストよ。本当に正面から行くのか」
「なんだ、ベイル。怖気づいたか」
「バカいうなよ。想像より荒々しいと思ってよ」
「そうだな。見せしめのつもりで派手にやるのだろう」
「他の悪党への見せしめってか。なるほどね」
「気を付けろよ。奥に何か凄いのが居るぞ」
「本当かよ。魔族か」
途端に青ざめるベイル。
「魔族よりは弱そうだぞ」
「なんだよ。楽勝じゃん」
急激に自信を取り戻すベイルであった。
「魔法の罠が張ってあるね」
扉の前に立つロニエスが笑顔でアリューシュを見た。
やれ、って言っているよ。この人。
アリューシュが諦めた様な顔で頷いた。
「小賢しい事ですわ。クルーシ、やっておしまいなさいですわ」
面倒事をクルーシに投げやがった。
だが、クルーシは嬉しそうに杖を掲げた。
「まかせて。フレイム・バースト」
おーい、その魔法じゃ館ごといや、ロニエスごと吹き飛ぶぞ。
大音響と共に館の半分が崩壊した。
ロニエスには防御結界を張ったので問題ないが。
クルーシを見る。
「てへ」みたいな顔をしている。
ロニエスは目が点になり、から笑いをしている。
館内は大混乱だ。
まぁ、奴隷達は地下牢にいるので問題はないが。
ため息しか出ない。
ルベウスと騎士達は、館内に突入して行く。
続いてベイルとレイラが突入した。
追う様にクルーシとロニエスが突入。
最後に俺とアリューシュが渋々突入する。
クルーシは加減を知らないよな。
ロニエスが粉々になる所だったよ。
はははは
クルーシさんの魔法は凄いですね。はははは
おーいロニエス、大丈夫か。
はははははは。大丈夫です~ははははは
壊れちゃったよ。
しかーし。その顔で腑抜け顔は許せん。
ヨシュアが腑抜けの様にみえるぞ。
ん・・・・・アイツも普段はあんな感じだったっけ。
ふざけるなよ、むっつりスケベ。
だいたい、なんなんだ。あの子孫は!
俺の顔で腑抜けるなー
おいおい、過去の人がほいほい出て来てはダメですよー。
よっちゃん。ぷーっ、くすくす。
よっちゃんはやめてくれ~
はいはい、もう突入しますわよ。
次回も楽しみにして下さいまし~




