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魔王を倒した英雄~300年後に飛ばされ世界を統べる~  作者: 乱丸
第一章~始まりの冒険者編~

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粉砕のヴァルザイム現る

ベイルだ。

 俺の戦斧はミスリルでできている。

 高額だった・・・・

 持ち手の長さは中尺(1・5メートル)で大型の刃と小型の刃が左右に付いているのさ。

 これで、魔物だろうが魔族だろうがぶった切ってやるぜ。


あら、魔族ですわ。


ひぃ~

 ぴゅーーーー


あら、ベイルが消えましたわ。

粉塵が舞い上がり、笑い声が響いた。

「アハハハハハッ。全て吹き飛んだか」

 煙が薄れゆく中、その姿が露になる。

「おい、何しやがる」

 漆黒の黒い髪、青い肌。2本の角に赤い瞳。クソ生意気な顔つき。人型の上位魔族か。

「魔法障壁か。中々やるではないか。俺様の魔法を防ぐとは」

 魔法障壁で包まれた外側は、大地が大きく抉れている。

 通常の結界は、魔法攻撃も物理攻撃も両方防ぐ。しかし、強度はそこそこだ。

 魔法障壁は魔法攻撃に特化した防御結界だ。魔力消費が大きいのが難点だが。

それでも俺だけであったら全員守れたかどうかだ。強力な一撃だった。

「何がおこった」

「なんだよ、今のは」

「魔法障壁、これで助かったのか」

 騎士達は動揺し、ベイル達は3人で固まって震えている。

 メイド達は身構えている。

 騎士より優秀な気がして来た。

 ミカリスが上空を見上げ呟いた。

「なんだ、あれは・・・」

 ミカリスの声は震えていた。

「魔族」

 バルトミスも声が震えている。

「何で魔族が、しかも上位種だ」

「死ぬ、殺される」

「終わりだ。全員殺られる」

 騎士達は絶叫し絶望に襲われた。

 頭を抱えてうつむく者。

震えながら崩れ落ちる者。

マクレース辺境伯が天幕から覗き見る。

「アリスト殿。何が起きている」

 声は震えている。

「魔族です。しかも、かなり上位の」

「まさか、上位魔族がいるなんて」

「辺境伯爵様はここに居て下さい。バーラダさん、頼みましたよ」

「貴方様よりお強い方はここにはいらっしゃりませんでしょう。マクレース様をお守り下さいまし」

 バーラダは深々と頭を下げた。

 この執事、騎士よりも度胸が据わっている。

 メイド達がマクレース辺境伯の天幕を取り囲む。


魔族はニヤ付いた顔で俺達を見下ろす。

「さて、ゴミムシ共。ここまで死人が出ていないとは驚きだ。だが、ここで死んでくれ」

「お前が死ね。クソ魔族」

「ほう、黒い髪。汚れた一族がまだ生き残っていたとは」

 魔王との一戦以来だな。魔族と戦うのは。

「さすがに貴様は俺様に畏怖の念を抱いてはいない様だ」

 また黒い髪に汚れた一族か。

 まぁ、今は考えている場合ではないな。

「使えないゴミを殺しに来たのか。一連の首謀者はお前達魔族だな」

 魔族は薄ら笑いを浮かべる。

「いいだろう。どうせ皆殺しだ。教えてやる」

 魔族は獲物を見る様に俺達を見た。

 騎士達から絶望の悲鳴が上がる。

 ベイル達は・・・失神寸前だ。

 魔法障壁を解き魔族に向き合う。

「我らは協力してやっているのだ」

「協力だと」

「利害が一致したのでな」

「魔族が人族と手を組むなど信じられん」

「魔族も変わったのだよ。同族を売り、利益を得る。愚かな人族だ。利用されているとも気付かんとは」

「何を企んでいる」

「企むだと。ワハハハッ。魔族が再び頂点に立つのだ。人族など労働力か下位魔族の食料だ」

「労働力に食料か」

 魔族はアリューシュに不気味な目を向ける。

「エルフは目障りだ。特にそのエルフは邪魔だ。今のうちに殺す」

「やはり魔族は敵だな。殺す」

 口元に笑みが浮かぶ。

 感情が、弾ける様な感覚になる。

「俺様を殺すと言ったか。汚れた者よ、面白い」

 アリューシュが横に立つ。

「アリスト様。狙いは私ですわ。私が」

「いいや、アリューシュ。俺がやる」

「ですが」

「心配するな。戦いが始まったら結界を張り、皆を守ってくれ」

「分かりましたですわ」

「おい魔族。俺が殺してやる」

「汚れた一族が。いいだろう、貴様から殺してやる」

 魔族は魔力を膨張させて行く。

 ワイバーンを煽った魔族とは違うな。

 体に巻き付いた鎖の先に鉄球か。あれが武器か。

 空中戦はあまり得意ではないが。

 あの魔族よりはマシだろう。

「俺様は粉砕のヴァルザイム。全て粉砕してくれるわ」

「アリューシュ。頼んだぞ」

「はい」

 大地を蹴り、ヴァルザイムに斬り込む。

 アリューシュが再度魔法障壁を張った。

「俺様を楽しませてくれ」

 魔力を帯びた鉄鎖球が5本向かって来る。

 剣で弾く。

 重い。剣に魔力を通していなければ粉々になっていた。

「砕けんのか。やりおる」

 周囲に魔法陣が複数浮かんだ。

「チィ」

上昇して避ける。

 魔法陣が次々と爆発。

「これも避けるか。面白いぞ。これはどうだ」

 鉄鎖球が不規則な動きで迫る。生き物の様だ。

 通常鉄鎖球一つ操るだけで上出来だ。5本を自在に操り、同時に魔法攻撃まで繰り出すとは。

 魔族の魔法技術は侮れん。

 上下左右、後方から迫る鉄鎖球。

 後方から迫る鉄鎖球を剣で弾き、4つをかわす。そこに魔法陣が浮かぶ。

 誘いこまれたか。

 周囲を囲んだ無数の魔法陣が爆発した。

 球体の結界を張り防ぐ。

「結界で防いだか。だが、いつまで持つかな」

 鉄鎖球と爆裂魔法の同時攻撃が連続で迫る。

 迫る攻撃を高速で飛び、振り切る。

 行く手を阻む様に火柱が上がる。

 後方から迫る鉄鎖球。

 高速移動でかわし続ける。


「空中戦なんて初めて見たわ。でも上位魔族相手に一人で戦うなんて」

「でもよクルーシ、情けないけど俺達じゃ役に立たないぜ」

 クルーシとベイルは悔しそうに戦いを見上げている。

「お姉様、アリストが押されているよ」

「あら、レイラ。アリスト様は大丈夫ですわ」

「でも、あのままでは」

「アリスト様は私達から離れる様に誘導していますのよ」

「あ、本当だ。じゃぁ」

「ええ、アリスト様はまだ攻撃をしていませんのよ」 


アリューシュは優しい笑みを浮かべた。


魔族だー

 お、お、俺の・・・戦斧で・・・・た、た、たたき斬って・・・や、やるぞ。

はいはい。

 大人しく見てなよ。


もう、アリストに任せれば大丈夫でじょ。


おう、まかせろ。

 でも、何か黒い感情が湧き上がる。

 血の気が多くなる。


あらあら。では、私の美脚をご覧あそばせ。


チラッ

 ツゥーーーー(鼻血が)

 お、血の気が引いた。


ジィーーーーーーーーー

 (6つの眼光が)


やめてくれーーーーーーー

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