護衛騎士団(衝突)
騎士達は大丈夫か。
そのうち、死人が出そうだ。
あらあら、ベイルの本当はお優しいですのね。
騎士の中に可愛い女騎士が居るからでしょう(怒)
ドキ!
そ、そ、そんなん事はないぞ。
お、俺は心配してだな。
目がいやらしいよ。下心丸見えだよ。
アリスト、何とか言ってくれ。
確かに、あの女騎士は魅力的だな。
あら、アリスト様・・・・・・
しまった!心の声が・・・・
ジィーーーーーー
そんな目で俺をみないでくれーーーー!
(助かった) ベイル、心の声
野営地。
食事を済ませ。各々が明日の準備をしている。
俺も剣の手入れをしていた。
そこに、マクレース辺境伯が声をかけて来た。
「アリスト君。横、よいかね」
「はぁ、どうぞ」
執事のバーラダが紅茶を2つ持ってきた。
「この茶葉は領内で取れた特産品なのだよ。良い香りで、美味しいぞ」
「頂きます」
お、言った通りの美味い紅茶だ。。
マクレースは騎士達を見つめながら話し始めた。
「私はね、建国の王ヨシュア王を敬愛していてね。我が家はヨシュア王と共に建国をなし
最初の貴族なのだ」
名家というやつか。
「300年前の大戦後、復興を目指すエルシア王国では厳しい搾取と労働が強いられていた。貴族も例外では無かった。不満を抱えた貴族達が反旗を翻した。同時に民衆の暴動が起き、ヨシュア王は民衆に加担し国は内戦状態に陥った。革命は成功しエルシア王家は倒れたのだ」
不思議そうに聞いていた俺に笑顔を向けた。
「我が家に伝わる歴史だ」
「なぜ、私に」
「なぜかな。何となくだね」
マクレースは静かには話し始める。
「革命後、権力争いが起きた。アジミール公爵派とフシャルド伯爵派で争い、国を2分する事で決着した。だが、支配体制は前王家と変わらない。そこでヨシュア王は国を作る事にした。そして、平民を多く重用したのだ。ヨシュア王は大の貴族嫌いだったようでな」
確かに、貴族を嫌っていた。
「しかし、国を作るには資金と管理が必要だ。そこでわれら下級貴族の3家が資金協力をしたのだ。その頃、我が家は最下層の男爵家であった。私財を投げうって資金を調達し、建国に大きく貢献した。その功績によって辺境伯爵の名誉を賜ったのだ。ヨシュア王にとっては苦渋の決断だったのだろう。そして、我が家の家訓がある」
「家訓ですか」
「そうだ。一つ。貴族とは偏見を持たず民の生活と命を守る者である。一つ。貴族とは民に生かされている事を肝に銘じるべし。一つ。貴族とは民の代弁者であり特別な存在ではない。ヨシュア王の言葉だ」
ヨシュア、良い王だったのだな。
「私もその通りだと思う。だが、今の若い貴族や分家などは忘れているらしい。騎士達のほとんどは貴族出身なのだよ。今回はそんな騎士達の考えを正す良い機会だと思っている」
それは難題だな。
「どうですかね。騎士達次第ですよ」
「フフフ。期待しているよ」
俺の肩をポンと叩くと立ち上がった。
「私は先に休ませて頂くよ」
マクレースはバーラダを伴い、天幕に戻って行った。
ヨシュア、良い王だったのだな。
それから数日、何回か魔物と遭遇した。
騎士達は自分達だけで魔物を倒している。Bランク以上の魔物だとかなり苦戦する。けが人も多数出てしまう。
俺達はサイクロプス戦以来、ほぼ出番はない。
今日もAランクのコカトリスに苦戦している。
「あ、一人戦闘不能だ。ねぇ、お姉さま。助けなくて大丈夫」
「あら、レイラ。助けたくなりましたの」
「ち、違うわよ。目の前で殺されたら、後味がわるいでしょ」
「ウフフッ。レイラってお優しいですわね」
「だから、違うって」
レイラの顔が赤くなっている。
「今度は毒を貰いましたね。本当に大丈夫かしら」
クルーシも心配し始めたな。
「そうですわねぇ。もう少し連携をうまくすれば倒せますのに」
アリューシュの口調は穏やかだが、顔は明らかにイラついている。
ベイルは・・・・あくびしてやがる。
マクレース辺境伯の馬車には執事が結界を張っているので心配はない。
メイドも馬車を囲み戦闘態勢を取っているが、あきれ顔をしているように見える。
「あ、ガス吹いた。2人しびれた」
レイラが呆れている。
「残り6人。あ、女騎士が吹き飛んだ。お姉さま・・・ヒィ」
アリューシュの顔が死神と化す。
「使えないカス共ですわね。阿呆鳥如きに手こずりすぎです・・わ」
ここ数日の騎士の醜態に我慢の限界が来たようだ。
アリューシュがチラっとこちらを見る。
殺されそうな眼力だ。
黙って頷く。
アリューシュは大鎌を握り、一側飛びでコカトリスの前に立った。
「な、貴様。何しに来た。邪魔をするな」
ミカリスが怒声を浴びせる。
「黙れ、ゴミ」
「なっ!」
コカトリスが奇声を上げ、鋭い爪で襲い掛かる。
アリューシュがコカトリスの攻撃より早く動いた。
瞬足で懐に飛び込んだアリューシュの大鎌が、一撃でコカトリスを両断する。
騎士達は息を飲む。
「ベイル、コカトリスは高く売れますわ」
沈黙する騎士達をしり目に、微笑むアリューシュ。
「お、おう」
慌ててベイルが空間収納袋を持って駆け出した。
「くそっ。冒険者ごとぎが」
「邪魔をしおって!」
「余計な事を」
騎士達が罵声を浴びせる。
「負傷者を出しておいて愚痴ですの。お優しいお仲間ですこと」
負傷者は早々にメイド達が手当てをしている。
騎士達は押し黙り、言葉を返せない。
その後、野営地まで魔物と遭遇する事は無かった。
夜食の後バストミルに連れられ、数人の騎士がアリューシュの元に礼を言いに訪れた。
アリューシュは笑顔で答え、騎士達も笑顔になる。
数人の騎士は拒否した様だな。
バストミルも苦労する。
ミカリスはアリューシュを睨んでいる。
アリューシュはまるで相手にしていないが。
しかし、アイツは相当ひねくれているな。困ったものだ。
「バストミルさん」
「アリスト殿。何でしょう」
「ミカリスさんはなぜ、冒険者を嫌うのですか」
「すみません、不快な思いをさせてしまって。彼は伯爵家の3男なのですが、5年前一つ上の兄が死んだのです」
バストミルは深く息を吐いた。
「当時の報告書では、彼の兄の部隊が各村を巡回中、煙が上がっているのを確認し急行しました。駆けつけると村は盗賊に襲われ、冒険者達が村を守っていました。騎士達は冒険者と共に村を守り、奮戦します。しかし、状況が不利になり始めると、冒険者は逃げたのです。結果、騎士達は1人を残し殉職。村は甚大な被害を受ける事になりました」
よく見た光景だ。相手は魔族だったが。
「それからです。彼が冒険者を憎む様になったのは」
「冒険者に限らず、良い人もいれば悪人もいます。それは騎士でも貴族でも同じでしょう」
「そうですね」
バストミルは一礼し戻って行った。
気持ちは分かるが、恨むなら盗賊、悪事を働いた方に向けられるべきだ。
頭では分かっていても、感情が許さないか。
アリストはため息を付き、夜空を見上げるのだった。
恩着せがましく余計な事をしおって。
大人しく見ていればいいのだ!
キィー
私、我慢の限界ですわ。
迷惑ですわ。捨ててしまいましょう。
捨てるって、まぁまぁ落ち着けよ。
では、私がしっかり教育して差し上げますわ。
フン、生意気な女だ。
ヒョイ(頭を掴み持ち上げる)
私の二つ名は死神ですのよ。うふっ
ヒィー
た、助けてくれー
ご愁傷様。




