サイクロプス襲来
何か、騎士団が張り切ってるよ。
ゴブリンだけならほっときましょう。
楽勝だろ。
私の大鎌は小物では満足致しませんの。
その大鎌、名前があったのか。
しかし、なんだその物騒な名前は・・・・
俺まで狩らないでくれよ。
うふっ。
現れたゴブリンに、騎士達は素早く対応する。
「マクレース辺境伯爵様をお守りしろ。ケリュス、ミカリス、私と前に出るぞ」
的確に指示を出すバストミル。
執事のバーラタがマクレース辺境伯の馬車に防御結界を張った。
メイド達が素早く周囲を囲む。
バーラダは結界魔法を使えるのか。まぁ、強そうだしな。
「おい、冒険者。俺達を守ってくれるのだろうな」
魔物の出現に罪人たちが慌て出した。
罪人は魔法封じの手枷、重力増加の魔石付き足枷を付けられ、馬車内に繋がれている。
不安な気持ちも解るが。
「ふざけんな、絶対守れよ」
「ボケ、カス、死ぬ気で守れ」
守る気がでない。本当に元騎士か、口が悪すぎる。
「黙れ、クソ共が。魔物より先に始末するぞ」
レイラがまたキレた。
子供の喧嘩だな。
だが、魔物はゴブリンだけじゃない。魔力探知には右の森から2体近づいて来ている。
アリューシュは当然の様に右の森を警戒している。
騎士達はまだ気づいていない。
前方は戦闘に入った。
「アリスト。ゴブリンだから多少数が多くても大丈夫だよな、アイツらだけで」
「問題ないよ。それより右の森からデカいのが来る」
「マジか。レイラ、クルーシ、右の森から大物が来るぞ」
ベイルが指示を出し、2人が警戒態勢に入る。
前方の戦闘は騎士が圧倒している。
騎士団前衛の3人は良い腕だ。
馬上から弓を放っている者の腕も良い。
早々にゴブリンを掃討した。
「魔物なんてこんなものだろう」
「ああ、冒険者など必要ないな」
などと、大声で話している。
「あいつら、わざと聞こえる様に言いやがって」
「ベイル、集中しろ。もうそこまで迫っている」
「おう」
ベイルの返事と同時に騎士の1人が叫んだ。
「隊長。右の森から2体来ます。大物です」
騒めく騎士団。
バストミルが指示を出し陣形を整える。
少しの静寂の後、木々がかき分けられ、大地を揺らし巨体が姿を現した。
「グオォォォォ」
「サイクロプスだー」
騎士団の目前に現れた。
ゴブリンはこいつ等から逃げて来たのか。
サイクロプス。一つ目の巨人。知能は低めだが、こん棒を振り回し巨石を砕く力は脅威に値する。稀に土系の魔法を使う個体がいる。ランクはB+だ。
サイクロプスはこん棒を振り上げ、騎士に向かって叩き付ける。
素早く避ける騎士達。
叩き突いた衝撃で大地が抉れ、噴石が飛び散る。
噴石がマクレース辺境伯の馬車に迫り結界で弾かれた。
もう1体のサイクロプスは俺達の前に現れた。
「サイクロプスって大きいわ」
クルーシは好奇の目で見ている。
彼女は緊張感がない・・・・よね。
「感心している場合じゃねぇぞクルーシ。一撃頼む」
「ベイル、巻き込まれないでよ。フレイム・バースト」
爆裂魔法がサイクロプスを直撃する。
サイクロプスはよろめきながら、こん棒を振り下ろす。
こん棒を戦斧で受け止めるベイル。
両足が地面にめり込む。
「グッ。強烈だ」
耐えるベイル。
レイラが横から足を狙う。
サイクロプスの左足を一撃で斬り落とした。
「グガァァ」
バランスを崩し、膝を付くサイクロプスにクルーシの2発目の爆裂魔法が炸裂する。
爆炎を斬り裂きベイルの戦斧が一閃した。
サイクロプスは斬り裂かれ、沈黙した。
爆裂魔法は目隠しの効果を考えての選択だ。良い連携だ。
レイラの動きは見違えるほど。早くなった。
ベイルの指揮能力も良くなった。
強くなったな。
アリューシュも感心して見ている。Bランク程度の魔物なら心配ないな。
「どうだ、アリスト」
どうだ、と言われてもな。ドヤ顔はやめろ、ベイル。恥ずかしいぞ。
レイラとクルーシはアリューシュに「よしよし」されている。
・・・・・・
で、騎士団はどうかな。
混乱している。連携も取れていない。騎士団の実力なら苦戦する魔物ではないだろうが。
騎士の2人は魔法を使える様だな。だが、狙った場所に当たっていない。
放った魔法がようやく当たった。
怯んだ隙を付き、矢を放つ。
大きいな目を矢が貫いた。
「グギャァァァ」
「今だ、一気に叩け」
バストミルの号令で全員が斬りかかる。
サイクロプスの攻撃で弾き飛ばされる騎士が2人程居たが、何とか倒した。
「あいつら、何やってんだ」
ベイルが呆れた様につぶやいた。
吹き飛ばされた2人は回復ポーションで回復させている。
死ななかったようで何よりだ。
騎士達は個々の実力は高い様だが実戦が足りない。あんなに浮足立っていれば実力の半分も出ないだろう。
「貴様等もサイクロプスを倒したのか。どんな汚い手を使ったのだ」
ミカリスが嫌味を言いに近づいて来た。
「どんな手を使おうと、倒して生き残ればいいのさ」
レイラが吐き捨てる様に言う。
「ハッ。これだから冒険者などクズなのだ」
「フン。この程度の魔物なんて楽勝だけどね。貴方達は苦戦したのかしら。随分と汚れているわよ。ぷ~くすくす」
レイラ、煽りはSランクだ。
「キサマー。私を愚弄するのか」
「やめろ、ミカリス」
バストミルが止めに入った。
ミカリスは舌打ちをし、先頭に戻って行く。
「皆さんすまない。根は良いヤツなのだが、気位が少々高すぎてな。それとマクレース辺境伯爵様を守って頂きありがとうございます」
バストミルは頭を下げ戻って行った。
「あれで少々なのか。ね、クルーシ」
「あれはダメね。使い物にならないわね」
クルーシも酷いな。
マクレース辺境伯は笑っている。何を考えているのやら。
その後も騎士との険悪な状態が続き夜を迎えた。
サイクロプスよー
お顔が可愛いわ~
可愛いの意味が分かんねぇよ。
デカくて怖いだろう。
一つ目なんてキモイよ。
まぁ、騎士達は手こずったみたいだけど。
クスクス。
ムキッキー
ふざけるな。俺の必殺技を見て驚け。
ふーん。見せてみ。
いいだろう。
必殺 シペシュウムこう・・・・・・ドカッ!
М○○星雲の使者か!




