マクレース辺境伯
辺境伯ってどんな人物だろうな。
それより、飯は豪華なのかな。
もう、レイラは食いしん坊なのだから。
私よりベイルだろう。ヨダレが垂れてるよ。
みんな、お気楽だな。
あら、私もお食事は楽しみなのですわ。
気持ちが良い日差しが差し込む朝、ギルドマスターとマクレース辺境伯爵の使いが宿屋に尋ねて来た。
「改めて、ギルドマスターのフェルナンドだ。こちらはマクレース辺境伯爵様執事」
「バーラダと申します。以後宜しくお願い致します」
バーラダは銀髪の初老の執事だ。その洗練された動きは美しさを感じさせる。
「ラタールの翼のベイルです。レイラ、クルーシ、アリューシュ、そしてアリストです」
「ご挨拶ありがとう御座います」
バーラダは恭しくお辞儀をする。
「早速ですが、マクレース様のお屋敷にお越し下さい」
「外に馬車が用意してある。さあ、行くぞ」
フェルナンドに促され、全員外に出た。
「見てみろよ、クルーシ。凄い馬車だよ」
「こんな豪華な馬車に乗れるなんてお暇様みたいだわ」
用意された豪奢な馬車に、レイラとクルーシは大はしゃぎだ。
大喜びの2人と共に馬車に乗り込み、辺境伯爵邸へ向かった。
マクレース邸宅は町の南側、小高い丘の上に建っている。
門には警備兵が立ち、広い中庭で騎士団の訓練が行われていた。
敷地の奥に大きな館が見える。右手に別館、左手に兵舎が並んでいた。
執事に促されて、応接室に通された。
「マクレース様。お連れ致しました」
バーラタは恭しく一礼する。
テーブルの奥に品のある40才半ばの男性が座っている。
男は立ち上がり、笑顔を見せる。
「遠路、よく来てくれた。マクレースだ」
金髪で短めに整えた髪。威厳を漂わせる靴髭。精悍な顔つき。名家の貴族と言える風貌だ。
「まずは謝罪させてもらいたい。今回の件、我々貴族の不始末に冒険者の君達を関わらせてしまった。許してほしい」
フェルナンドが慌て驚いている。
「閣下、辞めて下さい」
「フェルナンド、色々迷惑をかけて済まないな」
「いいえ、なにも問題は無いですよ。閣下」
「何度も言っているだろう。閣下はやめろ」
笑うマクレース。
「俺達平民に謝るなんて、本当に貴族か」
ベイルが、小声でつぶやいた。
レイラもクルーシも頷いている。
高慢な貴族が多いのだろう。今も昔も変わらないのだな。
「しかし高名な冒険者Sランクのアリューシュ殿に会えるとは、光栄の至りだよ」
「ありがとう御座います。辺境伯爵様」
アリューシュは優雅な動きで会釈した。
「腹も減っているだろう。先ずは、食事でもしてくれ。バーラダ」
バーラダが手を鳴らすとメイド達が食事を運んできた。
テーブルに高級そうな豪華な料理が、次々に並ぶ。
ベイルが代表して礼を述べる。
「ありがとう御座います」
「遠慮せず食べてくれ。しっかり食べないと仕事に力も出ないからな」
そう言って笑うマクレース。
「見た事のない料理だぜ、美味すぎだ」
「こんなの食べた事無いよ。口の中でとろけるよ」
「美味しすぎて、幸せだわ」
などと言いながら満面の笑みで食事をする3人。
「美味いかね。それは嬉しいな。料理長も喜ぶだろう」
マクレースも笑顔だ。
「アリスト様。あまり貴族らしくない人物ですわね」
「アリューシュもそう思うかい。民には人気があるそうだよ」
「食事も美味しいですし、良い領主なのかも知れないですわ」
エリゼリーエ達もそう言っていたな。
「アリスト殿とアリューシュ殿、今回世話になった。礼を言う」
アリューシュと2人で軽く頭を下げた。
「謝礼金と今回の報酬は後でバーラダから渡すとしよう」
「ありがとう御座います」
俺も頭を下げる。
「しかし、本当に黒い髪なのだな。アリスト君」
「はい。かなり珍しい様ですね」
「おや、知らないようだね。この大陸には黒い髪の人族は居ないのだよ」
「私の両親が遠方からこちらの大陸に移住しようです。両親は私が幼い頃、事故で他界したと聞いております」
「それはすまない。辛い話をさせてしまったね」
「いいえ。もう昔の事なので大丈夫です」
「うむ。人魔大戦以前には黒い髪の人族はそれなりにいたらしいが」
「そうなのですね」
「ハハハ。つまらない話をしてしまったね。所でベイル君。最近のダルーシの町はどうかね」
「最近は・・・・」
この後は、たわいのない会話をしながら和やかに食事を済ませた。
そこに、騎士が10名入って来た。
「ラタールの翼の諸君。紹介しよう。同行する騎士達だ」
辺境伯に促され、金髪の若い騎士が前に出る。
「今回、同行させて頂きます騎士団の長を務めさせて頂きますバストミルと申します」
慌ててベイルが立ち上がる。
「ラタールの翼のリーダー、ベイルです。宜しくお願いします」
バストミルか。若いが風格がある。
「我々は準備がありますので、失礼致します」
バストミルと騎士達は一礼し退出した。
「あれは、私の息子なのだよ。部下からも民からも信頼が厚い様でな。嬉しい事だよ」
「立派なご子息ですわ」
「アリューシュ殿に褒めて頂けるとは、ありがたい」
マクレースは笑顔で頷く。
「準備が整い次第出発しよう。諸君は客室でしばらく待機していてくれ。バーラダに詳細を伝えにいかせよう」
辺境伯の指示に従い、客室で待機した。
クルーシとレイラは豪華だった食事や高価な家具などを見て盛り上がっていた。
直ぐにバーラダがメイドを伴い訪れ、依頼の詳細を説明しに訪れた。
詳細の説明後、控えていたメイドが金袋をテーブルに置く。
「アリスト様、アリューシュ様、こちら報奨金で御座います。ベイル様、依頼料に御座います。宜しくお願い致します」
バーラダとメイドは深々と頭を下げ退出した。
「皆、高額報酬だぜ」
依頼料の中身を確認したベイルの声が上ずる。
「辺境伯様すげー」
「ギルドの報酬の10倍ね」
レイラとクルーシも目が金貨になっている。
「おーい。もう出発するぞ」
「アリスト、一生遊んで暮らせるぜ」
ベイル、その金額じゃ無理だ。働け。
今回は作者からの報告ですわ。
よろしくですわ。
毎日、一話でも更新しようと思っています。
日にちが開いてしまう事もあると思いますが、ご了承お願いします。
がんばります。




