城砦都市ドラン~よくある出来事~
いやー、ワイバーンには参ったよ。
死ぬかと思ったぜ。
何とかなったな。
私の・お・か・げ・ですね~
・・・・・
・・・・・
さぁ、さ (;'∀')
ドランに着きますわ。
お、おう。気を取り直して行くぞ。
城砦都市ドラン。
活気のある町だが、武具屋や治療院などが多い。
荒くれ者ぽいヤツも多く見かける。
この先は不毛地帯を挟み魔族領だ。厳しい戦いが多いのだろう。
だが、警備の兵士や騎士も多く治安は良い様だ。
辺境伯のおひざ元だけは在る良い町だ。
訪れた冒険者ギルドもダルーシより大きい。
「ラタールの翼さんですね。こちらの宿泊施設で待機をお願い致します。明日にでも連絡者が赴きます」
受付嬢にメモを渡された。
「了解です」
ベイルはメモを手に取り、冒険者ギルド内を見渡す。
「柄の悪いのが多いな。ここは」
「この辺りは高ランクの魔物が多く、高額報酬の依頼が多いのです。下位の魔族も出ますし」
受付のお姉さんが申し訳なさそうに頭を下げた。
「あ、いや、別に文句を言ったつもりじゃないんだ。すまん」
ベイルがあたふたしていると、エリゼルーエ達が戻って来た。
「ベイル、何しているの。受付嬢を困らせたらダメじゃない」
「誤解だって、俺は何もしていないぞ」
また、あたふたしている。
ベイルは女性に弱い。
エルゼリーエはため息交じりで首を振った。
「討伐した魔物の換金が終わったわよ。かなりの高額だったわ。はい、半分ね」
エルゼリーエは買取り金の半分をベイルに渡した。
「おう、手続きまかせて悪いな」
「いいのよ、ついでだし」
「お前達はダルーシに戻るのか」
「依頼人がダルーシに帰るまで、5日程滞在するわ」
「そうか。じゃ、一旦お別れだな。またダルーシでな」
「ええ」
「お、綺麗なエルフじゃん」
「他の女も良い感じだぜ」
後ろから何やら、不穏な声が聞こえたのだが。
「見ない顔だな。ここは初めてかい」
「俺達が色々案内してやるぜ。朝までな」
あらら、あっという間に男共に絡まれているよ。
いかにも女好きそうなやつらだ。
白亜の剣は美人ぞろいだし、うちの女性陣も負けてないからな。特にアリューシュは。
よくあるイベントだ。
「俺達はこのギルドのエースパーティーだぜ。良い思いをさせてやるからよ」
男がクルーシの手を掴み、引き寄せる。
「やめて下さい。迷惑です」
クルーシが捕まれた手を振りほどく。
「チィ、気の強い女だ」
エレナが前へ出る。
「お呼びじゃないよ。消えな」
体格なら男に負けない迫力だ。
男の中からリーダーらしい風格の者が前に立つ。
「威勢がいいな。デカい女は好きだぜ」
「あんた、好みじゃないよ」
「いいな、お前。俺はリーダー、レンだ。女は素直な方が可愛いぜ」
「女を舐め過ぎだ。クズ野郎」
一触即発の雰囲気が漂う。
「悪いな、兄さん達。俺の仲間なんだ。勘弁してくれ」
ベイルが穏便に済まそうと、間に入った。
大柄な男がレンを押しのけベイルの胸ぐらを掴む。
「男は呼んでねぇんだよ。死にてぇのか」
そのままベイルを突き飛ばす。
「うお」
尻もちを突くベイル。
「ベイル、大丈夫かい」
エレナが駆け寄る。
「ああ、大丈夫だ」
ギルド内に緊張が走る。
「あんたら、やる気かい」
エレナが大柄な男を睨む。
「気の強い女だ」
そう言いながら、大柄な男はアリューシュを見てニヤつく。
「レン、あのエルフは俺にくれよ」
「また、お前はエルフ好きだな」
「ああ、エルフとは滅多に楽しめねえからな。たまんねぇよ」
「私に・・言っているのかしら」
アリューシュが冷たい視線を向け、覇気が噴き出し始めた。
青ざめた受付嬢が慌てて止めに入ろうとする。
今、アリューシュに近づくのは危なそうだ。
「お嬢さん。大丈夫だから心配ないよ」
「でも、あのエルフさんはアリューシュさんですよね」
「ああ、よく知っているな」
「ええ、ギルドでは有名ですから。昔、同じような事があって・・・」
「あって?」
「建物が崩壊したと言う話が」
え。
「死人は出なかった様ですが、全員再起不能になったと・・・」
アリューシュ・・・
「そうか・・・・なんかスマン」
「彼らはAランクパーティーなのですが、問題ばかり起こしますので、困っていて」
「わかった。少々お仕置きしてやるよ」
「危険ですよ」
「大丈夫さ」
受付嬢は不安そうな顔で俺を見ている。
起き上がったベイルが大柄な男の前に立つ。
「あんたら、いい加減にしろ」
ベイルとエレナがやる気になっている。
「ベイル、エレナ、おどきなさい」
アリューシュが前に出た。
ベイルとエレナの顔がみるみる青ざめて行く。
「アリューシュ、落ち着けよ」
「お黙りなさい。ベイル。吹き飛ばされたいのかしら」
噴き出す覇気にあてられ、ベイルはへたり込む。
アリューシュは大柄な男を睨み付けた。
「害虫は嫌いですのよ」
覇気を感じないのか、よほどの強者なのか、大柄な男は平然とうすら笑いを浮かべた。
まぁ、前者だろうな。鈍そうな顔をしている。
「クククッ。好きにさせてやるぜ」
アリューシュの目が殺意に満ちて来た。
「虫けらは、毛虫でも相手にしているがいい」
アリューシュ、言葉がキツイ。
「生意気なエルフが、痛い目見たいのか」
だめだ。鈍すぎる。痛い目見るのはお前だぞ。
レンなんか、腰が引けて震えているぞ。
アリューシュに掴みかかろうとした大柄な男に、エリゼリーエの拳が飛んだ。
吹き飛ぶ大柄の男。
あ、先を越された。
「私達の相手をするには1万年早いのよ」
エリゼリーエも凄いな。あの覇気の中で普通に動けるとは。
殴られた大柄の男は、起き上がり剣に手を掛ける。
「くそ、ぶち殺して・・・」
蹴りを入れてみる。
「ぐはー」
テーブルをなぎ倒し、壁に激突した。
場内がざわつく。
大袈裟に飛んでいくな。軽く蹴ったつもりなのだが。
「お前、彼女に感謝しな。もう半歩踏み込んでいたら死んでいたぞ」
アリューシュがキラキラした瞳で俺を見る。
「アリスト様。私の為に」
違うぞ。相手の為だ。
「きさま~」
周りの者が殺気立つ。
残り4人か。
威圧してみた。
「ひぃぃぃ」
3人は腰を抜かし崩れ落ちる。
レンは耐えたか。しかし、震えている。こいつ等大丈夫か。
レンが震える手で剣を抜き構える。
「お前は何なのだ」
声、震えてるし。
一瞬でレンの背後を取ったアリューシュの大鎌が、レンの首にかかった。
恐怖で動けない様だ。
「アリスト様に剣を向けるなど万死に値しますわ。狩ります」
おいおい、生首とか悲鳴確定だぞ。
「た・・助けて・・くれ」
震えながら命乞いを始めた。
「手遅れですわ。貴方の死体は魔物の餌にでも致しましょう」
アリューシュ。怖いって。レンは失神寸前だ。
「もう許してやれ」
「了解ですわ」
アリューシュは大鎌を引き、レンを突き飛ばす。
「くそ、覚えていろよ」
捨て台詞を残し、大柄な男を引きずり逃げて行った。
定番の悪党のようだ。
「アリスト、ありがとう」
「アリューシュ、かっこよかったわ」
「すてきー」
などと言いながら白亜のメンバーから抱き着かれる2人。
怯える冒険者達。
まぁ、いいか。
幸か不幸か、これで白亜の剣に手を出す者はいないだろう。
クズが役に立ったな。
公用で出かけていたギルドマスターが帰り、状況を収集。俺達に謝罪した。
どこのもバカはいるようね。
素晴らしいパンチでしたわ。
まあね。その辺の男には負けないわ。
あんなの、アリストと比べ物にならないわよ。
私はアリストイチオシよー
お前は対象外だろう。チンチクリン(笑)
ムッキー!
チチがデカいだけの牛女は黙っていちょうだい。
切り刻んであげるわ。
また、やめろよ。
ボカン!
ピューーーーーーキラン
あらあら、また、お星さまになりましたわ。




