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魔王を倒した英雄~300年後に飛ばされ世界を統べる~  作者: 乱丸
第一章~始まりの冒険者編~

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ワイバーン襲来

私の出番ね。

 見ていなさい成長の成果を見せてあげるわ。


おいおい。あまり張り切るなよ。

 直ぐに暴走するのだから。


何か言いましたか、ベイル。


いいえ (;'∀')


ふふふっ。私は負けないわ。

         勝負よ、クルーシ。


受けて立ちますわ。アニス。


不安だ・・・・・・・

「ワイバーンの大群を確認。すごい数よ。こんなの見た事が無い」

 アニスの声は震えている。

 巨大な塊の如く、迫り来る黒い影。

「なんなの、何が起こっているの」

「エリゼリーエ、しっかりするのですわ」

「アリューシュさん」

「私がこちらに来ましたから、ご心配は無用ですわ」

「それは心強いです」

「商人の皆様は馬車の中央へお願いしますわ」

「はい」

 商人と従者の3人は馬車の中央で固まった。

「結界を張りますわ。中にいれば安心ですのよ」

「はい、お願いします」

 商人は青ざめ、アリューシュは馬車に結界を張った。

 エリゼリーエは馬車の先頭に向かう。

「御者は私が守る。エレナは後方へ、全員ワイバーンに集中して」

「了解」

「あら、流石に良い動きですわ」

 アリューシュは感心しながら馬車の屋根に立った。

「皆さん、来ますわよ」


「御者は俺が守る。皆は好きに暴れてくれ」

「好きに暴れろ、だって。レイラ、クルーシ」

「アリストが言うんだ。好きにしようぜ、ベイル」

「これは死ぬな。ワイバーンが1000体はいるぞ」

「死んだらそれでいいじゃない。冒険者だし。クルーシ、屋根の上行くよ。デカいのかましてくれよ」

「ええ、かましてやるわ」

 2人は屋根に上がった。

「チッ、びびっちまったぜ。情けねぇ。俺も上に行くぞ」

 ベイルも屋根に上がった。

 怖がるのは良い事だぞ、ベイル。恐怖を知ってこそ強くなれるからな。

「来るぞ」

 上空を埋め尽くすワイバーンの大群。

 制御を失った様に次々に突撃してくる。

「ストロング・ファイヤートルネード」

 アリストが最初の一撃を放つ。

 炎の帯が渦を巻き、広がりながら上昇する。

 空を覆う巨大な炎の竜巻が100近いワイバーンを焼き尽くす。

次々に火球となり降り注ぐ。

「クルーシ、アリストに一番取られたよ。次、いっちゃって」

「流石ですねアリスト。レイラ見ていなさい」

 後方の馬車から無数の氷槍が打ち上がる。

 アニスが高笑いしながら魔法を連発していた。

「私の見せ場よー」

「アニス、無茶しすぎよ」

「バカ言わないで、イレーネ。アリストにいいとこ見せるのよー」

 ギャハハハハッ。

 氷槍に羽を貫かれたワイバーンが次々に落下する。

 だが、半数は堅い外皮や結界で防がれた。

「やはり硬いわね。防がれているわよ」

「生意気ね。ならば、増やすだけよー」

 氷槍がさらに増えた。

 そして、アニスは倒れた。

「むにゅー。魔力・・・一気に出し過ぎた」

「だから言ったのに、何やってんの」

「イリーネ、しばらくお願いね」

「この、天然バカ娘」

「イリーネ、アニスはいつもあんな感じなのかしら」

「ええ、だいたい」

 アリューシュはため息を付いた。

「無茶苦茶ですわ」

 羽を貫かれたワイバーンがバランスを崩すながらアニスに襲い掛かる。

 アリューシュの大鎌がワイバーンを斬り裂く。

イリーネが3本の矢を同時に放つ。魔力を込めた矢は、正確に3匹を貫いた。

立て続けに矢を放つイリーネ。

イリーネは栗毛の長髪で細身の体だ。

その華奢な身体で、大型の弓を使いこなす。しかも槍も凄腕だと聞いた。

才女だな。

マリエールの放つ光の矢がワイバーンを貫いていく。

魔法攻撃をかいくぐって、後方から襲い掛かるワイバーン。

エレナの扱うロングアックスが猛威を振るう。

次々に叩き落されていくワイバーン。

「出遅れた・・・・」

 クルーシは落ち込んだ。海の底に沈んだ様に落ちた。

 ワイバーンは鋭利な爪と、硬質なくちばしで容赦なく攻撃してくる。

 ベイルとレイラがクルーシを守りながら応戦する。

「クルーシ、凹んでる場合じゃないよ」

 レイラの言葉に、クルーシが反応した。

 クルーシから魔力が立ち登り、髪の毛が逆立ち始めた。

「へ・・・ク、クルーシ」

「私の成長を見せつけるはずだったのよ。それを・・・・・」

 レイラはクルーシから地鳴りの様な音が聞こえた様な気がした。

 気がしただけだが。

「レイラ。有能な魔法使いは誰・・・かしら」

「もちろん、クルーシしかいないわよ」

「そうよね。あんなチンチクリンに劣るなんてありえません」

 クルーシから魔力が噴出し、髪が総立ちになる。

 やばい。目がいっちゃってる。

「ベイル、伏せてー」

「え」

「うにゃぁぁぁぁ」

 クルーシは叫びながらアリストと同じ魔法を放った。

 天空に炎の渦が舞い上がる。

 炎がベイルの頭上に広がり、髪が燃えた。

「どわー頭がぁぁぁ」

 倒れ込み、慌てて火を消す。

「あちぃ、あちぃ。レイラ、アイツあんな魔法使えたか?制御出来てない・・・よな」

「あんな大魔法、見た事ないわよ」

 レイラは頭を抱えて丸まった。

 クルーシは倒れ込み、笑っている。

 あれ、俺の魔法より威力あるだろう。制御出来てないし。炎の渦がどんどん低くなってる。馬車まで燃えそう。

 エリゼリーエ達なんか逃げ回ってるよ。

 ワイバーンも逃げ回っているけど。

 魔力を放出し、炎の渦を押し上げる。

 クルーシの魔法の才はかなりの物だが、キレたら危険。取り扱い注意だな。

 炎を回避したワイバーンが羽を広げ魔法を放った。

 広げた翼から真空の刃が降り注ぐ。

 俺とマリエールが広範囲魔法障壁を同時に展開する。

 灰色の髪にグラマラスな体型のマリエール。

結界魔法や強化魔法が得意の支援系魔法士だ。光系の攻撃魔法も使えるみたいだな。

反応も早い。

白亜の剣は良いメンバーが揃っているな。

弾かれた真空の刃が周囲の木々を斬り倒す。

アリューシュがウインドスラッシュを放つ。

ワイバーンの固い外皮を斬り裂く。

クルーシはゆっくり立ち上がった。

「アリューシュまで。足りないわ」

 杖を高々と掲げた。

「ハイ・エンどぉぉぉりゃぁぁぁぁ」

 叫んでるし。

 高密度の魔力弾を連射し始めた。

「あはは、絶好調よー」

 魔力弾が時折あらぬ方向に飛ぶ。

 ベイル達も白亜のメンバーも逃げ惑う。

 アリューシュだけは涼しい顔で避けている。

 流石だ。

 ラタール翼も白亜の剣も、魔法使いに難があるな。

 この後もアニスの暴走とクルーシの制御不能の大魔法により、大混乱。

しかし、ドタバタしながらも多くのワイバーンを倒した。

 死人が出なかったのが不思議だ。

 クルーシは魔力切れを起こし、行動不能状態。

 張り合ったアニスも同様の状態。

 残ったワイバーンは散り散りに逃げて行く。

 その夜、アニスとクルーシは説教と罰を賜る。

全員の夕食を作り片付ける、刑に処されたのだった。

3日目。

 昼前にゴブリン10体とグランドウルフ8体を討伐した。

 昨日にくらべれば天国の様な戦闘だ。

夕暮れ前に城砦都市ドランに無事、到着した。

 あの後、魔族の影はなかった。アイツの存在感は八魔将軍に匹敵した。

 あれほどの魔族が生き残っていたとは。何を考えている、魔族共。



 魔族領。中央地区、ゲールディア砦。

「帰りましたか、サルザード」

「うむ」

「エルフの女はいかがでした」

「噂通りの強者です。脅威に成りえるでしょう。ただ・・・あの男」

「男、気になる人族が」

「いましたね。ですが、手を出すとヤツがうるさいですからね」

「ウフフ、怒るわね。彼は暴れたくて仕方のない様でしたし」

「面白くなりそうですよ、バリーゼ」


何とかなったな、レイラ (;'∀')

 

そ、そうね (;'∀')

 いつもの事だしね。


いやいや、もう少しさ。冷静にと言うか平常心と言うか、さ。

 アリューシュ。何とかならないのか。


無理ですわ。

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