辺境伯爵からの依頼
正体もバレたし、気が軽くなったぞ。
俺達は気が引けちゃうよ。
私、魔法もまだまだで恥ずかしいわ。
何て言っても、魔王を倒した英雄だからね。
あらあら、みなさん、楽しみましょう。冒険者なのですから。
他の奴には内緒だぞ。
めんどくさいからな。
冒険者を満喫していた俺達に、ギルドマスターから呼び出しがあった。
盗賊討伐から20日程経っている。
ギルドの会議室。
「先日捕まえた盗賊から情報を得て、騎士団内部の内通者を一掃出来た。アリスト、アリューシュ改めて感謝する。良くやってくれた」
「報酬は頂きましたので、感謝はいりませんのよ」
「そう言うな、アリューシュ。マクレース辺境伯様から感謝の親書も頂いたのだ。それで、頼みがある」
「あら、追加依頼ですの」
「追加依頼というかだな、マクレース辺境伯からラタールの翼へのご指名だ」
「貴族がらみは面倒だから辞退ですね」
「おい、アリスト。まだ話もしていないぞ」
「聞かなくとも、厄介事でしょう」
「まぁ聞け。騎士団の内通者は5人。その中に副団長が居たのだ」
「おいおいマジかよ。ギルドマスター、それはマズいだろう」
「その通りだ、ベイル。有力貴族が裏で糸を引いている可能性が出て来た」
「そうなると、かなりの組織になりますね。冒険者ギルドの範囲ではないですよ」
「アリストの言う通りなのだが、マクレース辺境伯は事を表には出したくは無いのだ。騎士団への影響が大きく、民の信頼も失墜してしまうだろうからな。それに、後ろに隠れている者に警戒されてしまう。内通者は辺境伯の王都への訪問と偽装して、献上品と一緒に護送する。王都騎士団に引き渡し完了だ」
「で、その護送を俺達に」
「察しがいいな、アリスト。勿論、今回の事の重大さを考えての指名だ。辺境伯から直接褒美もでる。ギルドの信頼もかかっている。拒否権はないぞ」
「仕方ないな、皆」
「ベイルの判断に従うよ。な、アリューシュ」
「もちろんですわ。ねぇ、レイラ、クルーシ」
「面倒だけど仕方ないね」
「仕方ありませんね」
「国境都市ドランの冒険者ギルドに行ってくれ。話は通してある。馬車は用意した。情報が洩れている可能性もある。そうなると内通者を消しにかかるだろう。ドランに向かう道中も油断はできない。油断せず、準備が出来次第出発してほしい」
「それはいいが、グライムさん。この前、渡した魔道具の解析はどうなっていますか」
「アリスト。あの魔道具は今、学術研究院で調べている。解析には時間が掛かるらしい」
「そうですか。解析の報告の連絡は下さい」
「ああ、分かっているよアリスト」
「ギルドマスター聞いてもいいかい」
「なんだ、ベイル」
「ドランから王都までは長旅だ。俺達の他に同行する者はいるのかい。護送ルートなどの詳細はどうするんだ」
「同行者は信頼の厚い騎士が数人だと聞いている。詳細は合流してからだ」
ベイルは立ち上がった。
「了解した。じゃぁ皆、準備して出発だ」
準備と昼食をすまし、町の外に出た。
ギルドが用意した馬車と、もう一つ2台の馬車が並んでいた。
「遅いわよ、ベイル」
「お、エリゼリーエじゃないか。なんだ、白亜の剣は仕事か」
「ドランに行く荷馬車の護衛よ。貴方達もドランに行くらしいわね。偶然だわ」
アニスがこちらに手を振っている。満面の笑みだ。
「なんで俺達がドランに行くのを知っているんだよ」
「フフフッ。ルーシーが口を滑らしてさ。依頼でドランに行くって」
ルーシー、この護衛依頼受けるわ。
荷馬車の護衛ですね。承りました。そう言えば、ラタールの翼さんもドランへ行く依頼を受けていたと・・・
そうなの。
えー、アリストと一緒に行けるじゃん。
こら、アニス。騒ぐな。
ハッ。今のは聞かなかった事にして下さーい。(汗)
「こんな、感じでね」
「相変わらずどこか抜けているよな、ルーシーは」
「可愛いじゃない」
「確かに可愛いけどよ」
クルーシの蹴りが飛ぶ。
「いてー」
「腑抜けた顔をしてないで、行きますよ」
「ハハハッ。相変わらず手厳しいなクルーシは」
「エリゼリーエ、通常運転ですよ」
「どんなだよ」
ベイルが愚痴り、皆が笑う。
「所でベイル、貴方達はどんな依頼なの」
「極秘なんだ。うちにはSランクがいるからな」
「なるほどね」
「たのむぜ、エリゼリーエ」
「了解よ。では、ドランまで一緒に行きましょう」
ベイルが小声で相談してきた。
「ドランまでならいいだろう」
「ああ、大丈夫だろう」
「よし、一緒に行こう。ドランまで3日だ。宜しく頼む」
そして、馬車2台はドランに向けて出発した。
城砦都市ドランか。久しぶりだな。
でも、道中が少し不安だよな。
ベイル、不吉な事を言わないでよ。
本当だぜ、嫌な予感程当たるからな。
あらあら、皆さん問題ないですわ。
英雄がいますのよ。
おー、頼りにしてるぜ。
おいおい(;'∀')
仮にもBランク冒険者だよな。
てへっ




