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魔王を倒した英雄~300年後に飛ばされ世界を統べる~  作者: 乱丸
第一章~始まりの冒険者編~

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英雄アリスト 

この時代に来た意味は有るのだろうか。


ありますわ。


それは、何だ。何の為だ。


それは・・・・


(ごくり)


内緒ですわ。話したら面白くないですもの。


・・・・・


うふふっ。

真実を確信したアリューシュは考えた。

「ですが、魔力暴走の爆発に巻き込まれて・・・時空が歪んだのでしょうか。それとも何者かの意志が働いていたのか」

「分からない。なので、歴史書を見ていたのさ」

歴史書から分かった事はいくつかあった。300年前に残った2国の内の一つエルシア王国。王国再建の中、無理な圧政を続けた王制に内乱が起きた。内乱は30年に渡り、王国は崩壊し3つの国に分裂した。

だが、200年前に魔族の残党が蜂起し、一つの王国は滅亡した。

残った2国が、この国ミルガルド王国と隣国アジミール王国だ。

この混乱の時代に、他に2つの王国が誕生した。

もう一つの生き残った王国は国を再建し、更に拡大させ大国キルディア帝国となった。

少数になったドワーフは人族と同居を選び、エルフの一部は人族と一部は旧エルフ領にいくつかの集落を作り暮らしているらしい。

獣人族は崩壊とだけ記載されている。

ガルフの話では獣人族はすべて奴隷だ。

この王国ではあまり見かけないが。

驚いたのは、この国ミルカルド王国を建国させたのは大魔導士ヨシュアだった。

更に、冒険者ギルトを立ち上げたのは親友のクロムだ。

あの地獄の様な世界を生きぬいてくれた事が嬉しかった。

 そして、絶滅寸前だったはずの魔族。50年程前から魔族の被害が増えてきている。

「この時代に降臨されたのも、何か意味があるのですわ。今後もお供をさせて頂きますわ」

「俺には分からないさ。ただ、この事は内緒にしておいてくれ。周囲に知れると何かと面倒事が起きるだろう」

「そうですわね。承知致しましたわ」

「外のお前達も頼んだぞ」

 扉の外に向かって声を掛けた。

 少しの間をおいて、ベイル達3人が気まずそうな顔をして入って来た。

「不覚ですわ。私とした事が話に集中して魔力探知を怠っていましたわ」

「仕方ないさ、アリューシュ。ここは俺達の家だからな」

「いいえ。大戦時でしたら油断は死に直結致しますわ。戦士失格ですわ」

 落ち込むアリューシュ。

「あの時とは違うさ。もう少しこの時代を楽しめよ」

 で、ベイル達を見る。

 3人は居場所の無い様な感じで、縮こまっている。

「ベイル。どこから聞いていた」

「え、あ、その・・・ほぼ、最初から」

 ベイルの全身から汗が噴き出ている。

「落ち着けよ。隠していた俺が悪いんだ。すまなかった」

 頭を下げる。

「やめてくれアリスト。立ち聞きした俺達が悪い。それに、こんな話は簡単には出来ない事もわかっているよ」

 レイラもクルーシも頷いている。

「俺の過去がどうであろうと、皆で過ごしてきた俺に変わりはない。今まで通りで頼めるか」

「ああ、もちろんだとも。アリストはアリストだ」

「ありがとう。これからも宜しく頼むよ」

「しかし、アリストが本物の英雄だったとはな」

 ベイルの目が輝いている。

「銅像と似ているとは思ってたけど、本物とはね。驚いたよ。なぁクルーシ」

「ええ、ビックリですよ」

 2人も目が輝いている。

 常識を大きく外れているのに、3人共平然と受け入れた。

 俺の方が信じられんよ。

「何ですの。何か嬉しくなりましたわ。アリスト様の武勇伝を聞きたい人、挙手して下さいまし」

 アリューシュの提案に全員が挙手した。

「おい、アリューシュ。様はやめろ」

「過去の真実を知るのも大切ですわ。私もお話しますわ。ね、アリスト様」

 言っている事はまともだ。

「クルーシ、お酒でも飲みながらね」

 飲みたいだけじゃないのか。

「いいですね。持ってきますね」

「おいおい、クルーシ」

 クルーシは酒を取りに、部屋を出て行った。

「アリスト、今日は朝まで飲もーぜ。ねぇ、皆」

 レイラもノリノリか。

 正体を明かした今なら、聞いてもいいか。

ずっと気になっていた物がある。

「なぁ、皆」

 全員が俺を見る。

「あの窓にはまっている、透明の物はなんだ。300年前には無かったぞ」

「窓にはまっているって、あれの事」

 レイラは窓を指さした。

「ああ、あの透明な硬い物だ」

「あれはガラスだよ。高価だからね、貴族や金持ちの屋敷くらいしかないけどね」

「あれがガラスなのか。ガラスは不透明で白く濁った物では無いのか」

「白く濁っている。そうだよね。アリストが居た時代から300年だものね。そう言うのもあるけど、透明な物もあるんだよ。知らない事は何でも聞いてよ」

「レイラの言う通りだぞ。知らなくて当然だ。時代は進化しているからな。俺が何でも教えてやるぜ」

「ベイルだって村から出て来た時は、知らない事ばかりでオロオロしていたもんな」

「それを言うなよ、レイラ」

 笑いが起きる。

 クルーシが戻り、酒を酌み交わす。

 少し、心が軽くなった気がした。

 俺の話やアリューシュの話に、時には悲しみ、時には歓喜する。

 その中で、300年前の大戦で生き残った英雄は3人。

 大魔導士ヨシュア、戦士クロム、エルフの魔剣士アリュシアだ。

 他の英雄たちは死亡か生死不明らしい。

 驚いた事にアリューシュの姉はアリュシアだった。

 アリュシアはエルフ領内の村落を魔族から守っているらしい。

 ただ、この100年くらいは会っていないそうだ。

 念話も魔素濃度の濃い場所を挟む為、障害が出るらしい。

 アリュシュアに会いに行こう。

 驚くだろうか。喜んでくれるだろうか。生死を共にした盟友よ。


 次の日は全員二日酔いで、使い物にならなかった。


ベイル、立ち聞きは良くないぞ。


へへへ、すまんな。

 でもよ、同じパーティだろ。隠し事は無しだぜ。


確かに。


これから、大冒険の始まりだな。


何か、先行きが不安だ。


あらあら、楽しみですわ。

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