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魔王を倒した英雄~300年後に飛ばされ世界を統べる~  作者: 乱丸


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13/19

Sランク冒険者

グライムは心配性だな。

 まぁ、安心して待っていなさい。

 ふふふふっ。

 冒険者ギルドに1人のエルフが入って来た。

「おい、あれってSランクのアリューシュじゃないか」

 一瞬で冒険者達がざわつく。

「アリューシュだ。初めて見たが、噂以上に美しい」

「う、美しい」

「Sランクで超絶美人なんて反則だぜ」

「エルフ特有の透けるような白い肌。黄金の輝きを放つ長い髪。まるで虫けらを見るような冷たい視線。くそー、たまんねぇぜ」

「ばか、お前じゃ相手にされねぇよ」

「なんだよ、夢見ても良いじゃねぇかよ」

 周囲に笑いが起きる。

「でもよ、人族嫌いだって聞いたぜ」

 立ち止まり、男達に目をやる。

「バカ、声がデカいって」

 男達は静まり返った。

 そんな男達を無視し、ルーシーに声をかける。

「グライムは執務室かしら」

「はい、お待ちになられています」

「ありがとうですわ。ルーシー」

 アリューシュは執務室の戸を叩く。

「グライム、入りますわ」

「おう。アリューシュ、無事で何よりだ。ま、かけてくれ」

 アリューシュはソファーに腰かけた。

「念話でお伝えした通り、ドラン方面のアジトは3つ。一つは私が潰したのですわ。テーゼ方面のアジトは2つ。一つは本拠地ですわ」

「全く、危ない事を、強者は言う事を聞かないな」

「あら。でもこれ以上の被害を出したくないと思いまして、つい」

「ついね。まぁマクレース辺境伯が、国境警備隊から兵を向かわせたから安心してくれ」

「テーゼ方面にも」

「まだだ。連絡待ちだ」

「あら、珍しく慎重ですのね」

「情報が洩れぬ様に慎重に事を運ばないと、逃げられてしまう」

「騎士団の内通者は判明したのかしら」

「ユリウス騎士団長が調べている」

「これだから人族は信用できないのですわ」

「そう言うな。ユリウス騎士団長が信頼できる兵で出陣準備を整えてくれている」

「そうですの。所で、何方を向かわせたのかしら」

「ああ、優秀な新人に頼んだ」

「新人」

「実力は確認済みだ。ゴブリン・ロードを単独で倒した」

「そんな強者が新人ですの」

「ああ、信じられんがな。それも人族だ」

「信じられませんわね。でも、貴方の言う事は信じますわ」

「ありがとう。君も騎士団と同行して欲しいのだが」

「本拠地はアーセルの森の奥。秘境に建つ廃城ですものね」

「冒険者も近寄らぬ魔の森か」

「騎士団だけでは不安ですわね。けれども、気乗りがしませんわ」

「そこを、何とかお願いできないか」

「それよりグライム。この首飾りを見て下さいまし」

 アリューシュは魔石の付いた首飾りをテーブルの上に置いた。

「魔石の付いた首飾りだな」

「この魔石に魔力探知を阻害する術式が組み込まれていますわ」

「なんだと、そんな物があるのか」

「ええ、賊の全員が付けていたのですわ」

「やはり、ただの盗賊ではなかったな。裏に大物が・・・」

{グライムさん}

{うお、アリストか}

{どうしました}

{すまん、念話をする者は余りいないのでな、驚いた。何かあったか}

{ギアの峠で商人隊が襲撃されました。例の盗賊集団でしょう}

{また犠牲が出たか。生存者は}

{12人です。7人は何とか生きている状態です。騎士団と治癒士の手配も頼みます}

{了解した。直ぐ向かわせる}

{女性が2人さらわれました。救出に向かいます。ここには魔物避けの結界を張っておきました。後はお願いします}

{おい。救出ってお前、無茶はやめ}プッ

「切りやがった」

「念話ですの」

「ああ、テーゼ方面を任せたアリストからの念話だが、アイツ一方的に切りやがった」

「アリストと言うのですか、英雄と同名ですわね」

「単独でさらわれた人を救出に行くと言っていた。まったく無茶な事を」

{おい、アリスト}

「あらあら、興味が湧いてきましたわ」

「やめてくれよ、アリューシュ。わがままは1人で十分だ」

{おい、返事しろよ}

「ヤロー応答しないつもりか」

{お前、無視してるんじゃねー}ブツ。

「あいつ、念話を遮断しやがった」

「ウフフフッ。ますます興味が湧きましたわ」

「笑い事じゃないぞ、アリューシュ。相手はかなりの大きな組織だ。一人で突っ込むつもりだぞ。死に行くようなものだ」

「あら、どうしますのグライム」

「すぐに騎士団に出て貰う」

「間に合いませんわよ」

「しかし、他に手の打ちようが」

「私が参りましょう」

「行ってくれるのか」

「アリストですか。興味が出ましたの。それに、私より早く行ける者はいませんのですから、仕方ないですわね」

「転移か。確かに、使える者は少ないな」

「でも、過剰労働ですわね。報酬は倍額、頂きまずのよ」

「報酬はしっかり払う。アリストを止めてくれ。騎士団に直ぐに向かってもらう」

「止める?騎士団は必要ないですわ」

「まさか、暴れるつもりなのか」

「行くからには、好きにさせて貰いますわ」

「おいおい」

 これだから強者は困るのだ。

「いくらお前でも、無茶だ」

「あら。アリストも、お強いのでしょ」

「ああ。お前に匹敵する強さだと思う」

「あらあら、楽しみになりましたわ。騎士団には明日の朝、来る様にお願いしますわ」

「明日の朝か」

「ええ、情報が洩れても手遅れなのですわ。朝には終わっていますもの」

「本気か。何百人も居るのだろ」

「問題ないですわ」

「はぁ~、仕方ない。本拠地の場所は分かるのか」

「私が何年、生きていると思っているのかしら」

「そうだな。危険だと判断した場合は引き返してくれ」

「フフフ、お任せなさい」

 アリューシュは席を立ち、執務室を出て行った。


 グライムはため息を付き天井を見上げた。

これは、大物貴族が裏にいるな。貴族の勢力闘争には関わりたくないのだがな。

 グライムはもう一度ため息を付いた。


やはりエルフは容姿端麗なのだな。

 そうですわね。私は特別美しいのですわ。

むむ、その話し方は・・・お前か。

はーい。アリューシュちゃんですよー。

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