襲撃
アルテシアは賢い女の子だな。
後数年たてば・・・・・・
あら、「数年経てば」なんでしょう
いや、なんでも・・・・・って、誰だよ。
「何かあれば商会にお越し下さい。お力になれると思います」
「ありがとうございます」
「アリスト様、お気を付けて下さい。できれば、また楽しいお話をお聞かせ下さいまし」
「はい。また、お会い出来た時にでも」
「では私どもはお先に行かせて頂きます」
「お気を付けて」
「アリスト、またどこかで会うだろう。楽しみにしているぞ」
「クレイズさん、お気を付けて」
馬車は走り出した。
「さ、俺も行くか」
道中魔物の出現はあったが、盗賊の蔭は無い。
魔力探知にも反応が無い。
途中小さな村があったが、盗賊の情報は得られなかった。
村には少数だが騎士も駐屯している。襲われる確率は低いだろう。
定期馬車はこの村で休息を取っている。
こちらより、カミールさんの方が危険か。
少し急ぐか。
広い街道は徐々に狭くなり、山岳地帯に入った。
ここまで情報が少ないのは、よほど警戒心が強いか統率の取れた組織だな。
日が高くなった頃、ギアの峠に差し掛かった。
この辺りから岩肌がむき出しの岩山が連なっている。
道が狭く、崖沿いの街道も多い。
襲うには絶好の場所だ。
魔力感知に商隊以外反応はない。
しばらくすると商隊の反応が乱れ、一つ一つ消えていく。
襲撃か。
身体強化を掛け走る。
転移魔法では場所を特定し、転移する。動いている者の前にタイミングよく転移するのは難しい。
「何処から来た」
ギアの峠の中腹あたり、強まった風に紛れて漂って来る。
「血の匂い」
村を過ぎてから俺を追い越した者は居なかった。エマルドの商人隊か。
「あの護衛隊が簡単に殺られるとは思えないが」
血の匂いが濃くなる。
煙が見えた。
荷馬車は破壊され燃え上がり、多くの護衛が倒されている。
グレイスと数人が盗賊に囲まれ戦っていた。
まずい。
とっさにシャイニング・アローを放った。
光の矢が盗賊達を貫いていく。
悲鳴が上がり、盗賊達は混乱する。
「なんだ。どこからの攻撃だ」
状況が一変し、騎士達が息を吹き返す。
「今だ、一気に叩け」
クレイズの号令で護衛達が攻勢に転じる。
俺は一気に戦場に駆け込む。
「加勢する」
一撃で5人の盗賊が斬り裂かれる。
ガルフの剣凄いな。魔剣並みの威力がある。
「アリスト」
「クレイズさん、無事だったか」
「お嬢様がさらわれた」
「遅かった」
こいつらが例の盗賊団だな。魔力探知に反応しないのは、どんな仕掛けだ。追うより情報を聞き出した方がよさそうだ。
残る盗賊は後6人。一気に行くか。
強化した速度で次々に斬り裂いていく。
こいつで最後だ。
鈍い音を立て剣は受け止められ、瞬時に反撃の剣が迫る。
後方に飛び、間合いを取る。
「チィ、避けたか」
男は不機嫌そうな顔でアリストを見る。
「何だ、お前は。いい様に暴れやがって。全滅じゃねぇか」
「仲間が殺られたのに、冷静だな」
「仲間だと。ただの手駒だ」
「手駒ね。さらった娘はどこだ」
「なんだ、騎士団にでも雇われたのか」
「そんな所だ。で、娘は何処へ連れて行った」
「クククッ。知りたいなら俺を倒して見せろ。この、神速のバミューダを」
「神速ね。かかってこい、ザコ」
「余裕だな。俺も身体強化は得意だぜ。死ね」
身体強化をしたバミューダは一瞬で間合いに入って来た。
バミューダの神速の剣を紙一重でかわす。
バカな、かわされた。
バミューダは一瞬で青ざめ、冷たい汗が噴き出る。
横からアリストの剣が迫る。
まずい.まずい、俺の反応より早い。
右肩から斜めに斬り裂かれていく。
「ぐあぁぁっ」
崩れ落ちたバミューダに剣を突き付ける。
「バ、バカな。俺が一撃で・・・」
「娘はどこだ」
「アジトには・・・俺より強い・・者がいるぞ・・」
「どこだ」
「行くが・・よ・・い。アーセルの森・・城跡」
「なぜ魔力探知に反応が無い」
「クククッ・・・ボスは強いぞ・・・」
バユーダは息絶えた。
・・・・・・・城跡か。
しまった。
俺の油断だ。魔力感知に反応しない事など無かった。
反省しなければ。
亡くなった戦士に黙とう。




