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【3章開始】距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる  作者: 歩く魚
二兎芽莉彩/天王洲セラ

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90.二兎芽莉彩の日常

「それでね、雑魚先輩たちと勉強会することになったんだよねぇ〜」


 そう言いながら、両手で持っているコントローラーを操作する。

 画面……モニターに映っているのはデフォルメされた派手な髪のキャラクター。私の分身だ。


『おっと、鬼連勤明けに来てみたら随分ザコザコ島が近代化してるじゃないか』


 届いたコメントにクスッと笑みを浮かべる。


「豚さんこんばんはぁ〜。確かに似てるけど、今日は島を開拓するんじゃなくて住民たちを弄ぶゲームやってるんだぁ〜」


『メリッサの得意分野すぎる……っ!』

『俺も弄ばれてぇけどなぁ先輩がいるからなぁ』

『飼われてるだけ幸せだろうが』


 私の配信スタイルにしては、驚くほどにアンチが少ない。

 たとえ沸いても一瞬で駆逐されてしまうのだ。


「とりあえず今日はぁ……メリッサとセンパイの関係を進めようかなぁ」


『前回はどうなったんだっけ』

『あれだよ、ライバル1がセンパイに一目惚れして告白したんだけど振られた』

『マジか大チャンスじゃん』


 そう、前回はまき——ライバル1をレースから脱落させることができたのだ。

 私がメリッサとセンパイをくっ付けようとしてもなかなか上手くいかず、ライバル1ばかりイベントが進むものだからヒヤヒヤした。


「まぁ、もう一人倒さなきゃいけない人がいるんだけどねぇ」


『出たよライバル2』

『俺たちのコメントを読んでるんじゃないかって思うぐらい読みが鋭いんだよな』

『探してたセンパイが家に連れ込まれてた時はビックリした』


 ライバル2も難敵だ。現実世界をそのまま反映しているかのように。

 作らなければよかったんじゃないか、と聞かれればそれまでだけど、配信者としての自覚もある。


 豚さんのみんなは私の恋を応援してくれているし、盛り上がりを出す上では彼女たちを参戦させずにはいられなかった。

 ……そのせいで絶賛苦戦中ではある。


「ちょっと息抜きに他の住民を見てみようかな。セントモさんとかテンノーンとか」


『セントモさんは分かるけど、テンノーンって誰?』

『前回作成された女の子。金髪のお嬢様みたいな見た目』

『メリッサがアニメ以外の女キャラ作るの珍しくね?』


 確かに、どうして彼女を参加させる気になったのかは分からない。

 悟先輩とは浅くない因縁がありそうだったし、今後関わることはない気がする。

 それなのに、何故か作った方がいい気がしたのだ。


「ま、テンノーンには適当に恋愛してもらおうかなぁ。豚さんたちも早く恋人作ったほうがいいよ?」


『さすがメリッサ。一撃一撃が重いぜ』

『つい先週彼女に振られた俺を呼んだか?』

『彼女いたのかよおめでとう』

『いやもう過去形なんだけどね……っていうかメリッサ、勉強会の話もっと聞かせてよ』


「なんかね、思ったよりライバルたちが自滅してくれるおかげで、先輩と話す機会が多かったの!」


『うおおおおおおおおおお!』

『メリッサ最強! メリッサ最強!』

『ママァァァァァァァァァ!』


 最後の赤ちゃんは見なかったことにして話を続ける。


「先輩たちの勉強範囲ぐらいなら私にもできるからぁ〜、楽勝って感じぃ?」


『こんなメスガキなのに勉強もできるなんて、俺に勝てるところがないぜ!』

『なんで競ってんだよ草』

『でも良かったわ。勉強頑張ったんだな』


「ふぅん、優しいんだねぇ豚さんたち。特別に出荷は今度にしてあげる」


 ありがとうございますで埋め尽くされるコメント欄。

 ……と、その時。一つ異質なコメントが目についた。


『メリッサ、なんかテンノーン暴れてね?』


「え?」


 それを聞いて、街を歩いていたはずのテンノーンを探す。

 すぐに見つかった。彼女は服屋の前で誰かと話している。


「なぁんだ、別に暴れてなんか——」


 言葉が止まる。テンノーンが喋っている相手は——センパイだった。


【——そうなんです。つまり——が——で——ということです]

【へぇ、テンノーンさんは面白い方ですね。ぜひ私と仲良くしてください!】


 その言葉と共に、二人の好感度が急激に上がっていく。


『おいおい、これヤバいんじゃないの……?』

『このままじゃセンパイが取られちまう!』

『ま、まぁゲームの中だから、ね?』


 言葉を失う私を慰めてくれる豚さんたち。

 私自身もゲームだと理解している。理解しているけど……もっと恐ろしいことが起きる予感がしていた。

他にはどんな住民がいるのか気になりますね


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