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【3章開始】距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる  作者: 歩く魚
二兎芽莉彩/天王洲セラ

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84.白昼夢

「……つまり、こういうことか? 光源氏はちびっ子だった若紫を引き取って、自分の理想の女性として育て上げて妻にしたと?」

「そうなるわね。実際には正式な結婚をしたわけではなかったけど、世間からは正妻扱いされていたらしいわ」


 まずは涼に古文を教えてもらうことになり、授業で読んだ範囲を開設してもらっていたが……。


「マジかよ……とんでもねぇ変態じゃねぇか」

「ま、まぁ、今と昔じゃ常識も違うから……」


 隆輝がビビってるのも納得ではある。

 光源氏と若紫の年齢差は十歳ほどらしく、彼はJCくらいの彼女に手を出したことになる。今だったら手錠確定である。


「でもぉ〜、魅力的な人は誰かに取られちゃうかもしれないですしぃ、マーキングしておく必要があるのは今でも変わりませんよねぇ……」


 隣に座っている二兎の言葉。

 何故か納得と後悔が同居しているような響きだ。


「僕は過去よりこれからが大切だと思うな。だって、ライバルを全員倒して奪っちゃえばいいんだし」

「そんな戦闘狂みたいな……」


 アイドルとして売れるまでに熾烈な戦いがあったのだろう。

 彼女は基本的には平和主義だが、競うことへの抵抗が全然ない。


「私も葉音と同じ考えだけど……悟を自分好みに育て上げられると思えば悪くないわね」

「おい悟、この人なんかヤバい思想に目覚めてないか?」


「あぁいや、もちろん今の悟への不満は欠片も無いわよ? でも色々な貴方が見たいじゃない」

「それは僕も賛成、大賛成! 年下の悟くんを甘やかしたいっ!」


 巻島さん、捕まりますよ。


「先輩が同じクラスになるのは良いですねぇ〜。もっと情けない姿が見れそうですしぃ」

「今よりも俺をいじめるつもりか? 胃に穴が――」


 その時、俺の脳裏に「あり得ない現実」が差し込まれる。

 本をパラパラと捲っていたら、見覚えのない栞を見つけたような感覚。


『あれぇ〜? 悟くん、今日も課題忘れたのぉ〜?』

「アニメの一挙放送があって、気付いたら朝だったんだよ……」

『だからクマが酷いんだ? はぁ……ほーんとダメだねぇ悟くんは』


 俺の前の席に座る二兎――芽莉彩はクスクスと笑う。


「頼む! 写させてくれ!」

『えぇー、どうしよっかなぁ〜。この前も見せてあげたしなぁ〜』

「そこをなんとか!」


 両手を合わせて頼み込む。


『じゃあ……今日の放課後は悟くんの奢りでパフェね? その後はゲームやりに行こっかなぁ〜』

「ぐっ……金欠だが背に腹はかえられない!」


 そういえば、先週も芽莉彩は俺の家に来てゲームをしていた。


「――――い――――で――か――」


 そして、俺たちは流れで――


「……先輩!」

「おおおっ!?」


 勢いよく肩を揺らされてようやく、自分が白昼夢の中にいたことに気が付いた。


「どうしたんですか?」

「い、いや……ちょっと時間旅行をな」

「……ボケ始めたんですか?」

「まだ大丈夫だわ!」


 俺は向こう数十年は現役でいるつもりだ。

 ヒーロー制度とかできたら志願するし。


 それにしても妙に現実味があるというか、まるで俺が昔から二兎のことを知っていたかのような安心感。


 しかも、夢の中の二兎は間違いなく俺に気がある。

 好意という背景があるなら生意気さも可愛いというか、新たな扉が開きかけてしまう。


「先輩のちっちゃい脳みそが疲れちゃったみたいなんでぇ〜、一回休憩にしましょうかぁ。飲み物買ってきますねぇ」


 二兎は一人で図書室から出ていってしまう。


「古文の範囲は一通り終わったし、あの子の言う通り休憩にしましょうか」

「そうしよー! 僕はマネージャーへの連絡を思い出したから、ちょっと電話してくるね。十分ぐらいで戻ってくるから!」


 女子たちは日頃から勉強に慣れ親しんでいるため、特に疲れている様子もない。


「隆輝、まだまだいけるか?」

「おうよ! どんとこいだぜ!」

 

 先生よりも身近な存在に教えてもらえたからか、隆輝も魂を保持していられる。

 白昼夢にさえ注意すれば勉強会は上手くいきそうだ。


「ナントカ活用はさっぱりだけど、光源氏はジャパンってことだよな!」


 ……不安かもしれない。

あり得ない現実と称してssをぶち込めば良いことに気が付いた。


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