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 アゼル兄作、コロクタのなめろう……これもこの世界にはない単語だな。

 コロクタのたたきが完成し、周囲に芳醇な香りが蔓延する。

 ぶっちゃけ血と出来立ての人肉の臭いがアゼル兄の周囲から広まっていく。



 ……アパームのあんちゃん、青筋浮かばせてますね。

 怒り狂う気持ちは分かるのですが、これは許して欲しいかな。


 ……っと、カールラ姉様がアゼル兄の背中にダッシュして近づき始めた。

 ちょっとだけ待って!



「カールラ姉様、ストップ!

 何となくアゼル兄を抱きしめようとしているのは分かるけどちょっと待って!」


「何よニフェールちゃん!

 邪魔しちゃいやよ!!」


「血を拭く時間くらい待ってあげてよ!

 さっきの攻撃したらどうなるか想像つかない?」



 身体の前面は血塗れ肉塗れになるでしょ?



「あ……」



 ここまで言えば姉様も感づいたようだ。

 大人しく止まってくれる。



「アゼル兄、こっち向いて。

 どうせ服がむごい状態になってるんでしょ?

 脱ぐ時に髪とかに肉片付くの嫌じゃない?

 斬るからまっすぐ立って両腕を広げて。

 ついでに顎上げてくれるとうれしいな」


「……そういうことか。

 すまんが頼む」



 そう言って、顎上げて手を横に伸ばした体勢で待ってくれる。



「カールラ姉様、ちょっと離れてね。

 フッ!」



 サクッ! サクッ!



 あっさりアゼル兄の服を十字に斬り裂き、後ろに回って汚れまくった服を外す。

 あ、当然肌は傷ついてませんよ?

 そんなのつけたらカールラ姉様に叱られますから。

 ……まさか流れる血を舐めたりしないよね?


 それと、ズボンは斬ってません。

 そういうプレイはちょっと……。



 ついでにマーニ兄をチラッと見ると、頷いて部下を走らせてます。

 多分、簡易的な上着でも用意してくれるのでしょう。



「はい、これで終了。

 カールラ姉様、はいこれ」


「ん? ハンカチ?」


「一応服は強制的に脱がしたけど念の為見てあげて。

 もしかすると肉片とか血が髪とかについてるかもしれないから。

 服の方は肉片と一緒に処分してもらおうかな」



 そう言って、服の残骸を集めてアパーム殿の……あぁ、やっぱりブチ切れてる。



「ニフェール、お前これ――」


「――アパーム殿、落ち着いてイメージしてみてください」



 騒ぎ出す前に機先を制してこちらの話を聞いてもらう。

 アゼル兄だから出来ちゃうだけで、感情的な部分は分かってもらえるはず。



「例として、オーミュ先生との結婚式。

 どこぞの糞共が邪魔をしに来た。

 その後、そいつら捕まって誰に恥じることも無く処刑可能となった。

 追加で、この時だけアゼル兄並の戦闘力が付与された。

 さて、アパーム殿?

 この場合、あなたは何もしないのですか?」


「絶対ぶち殺す。

 ……お前、うちの嫁から嫌われてないか?」


「過去に『歴史の試験難しくするわよ!』とか言われましたね。

『遠慮なく』と答えたらブチぎれられましたが」



 なお、確か正確には――

「こ、こんのクソガキがぁ!

 歴史の試験めっちゃ難しいのにすんぞ?!」(8章31話)

 ――とか仰っておられましたが、それをこの場で言うのは流石に……。



 少しまともな発言に変えたのは優しさですが、どこまで感づくことやら。



「……はぁ。

 ったく、お前を敵にはしたくないな。

 とりあえずあそこのコロクタのたたきは……地面ごと削り取った方がいいな。

 どう考えても変なシミが残っちまいそうだ」


「ですね。

 ついでにこの服も一緒に処分お願いします。

 あのままこれ着させておくのは流石に恐怖の的にしかならないんで」


「だな。

 そう言えば、あのまま上半身裸でいさせるのか?」


「いえ、マーニ兄が部下を走らせているので、多分何か服を用意するのでしょう。

 こちらの作業が終わる頃には間に合うでしょうね」



 呆れつつも理解してもらえたようで、死体処理等に動いてくれた。

 なお、マーニ兄の部下が持ってきた服を着るときにカールラ姉様が舌打ちした。

 ……陛下の御前で上半身裸で居続けるのは流石に、ねぇ。


 分かるよね? カールラ姉様?

 自分の好みを追求する場じゃないよ?



 そして片付けも終わり、周囲としては最後の処刑対象。

 僕にとってはメインイベントの禿が連れてこられた。


 樽運びされて適当に置かれた禿は、まずはこちらに罵声を浴びせかけて来た。



「こんの化け物共がぁ!

 なんだよさっきのぶっ飛んだ奴はぁ!」


「ただ剣を上段から斬るのを繰り返しただけじゃん。

 何怯えてるんだよ。

 まさか、何やったか分からないとか言わないよな?

 自称、凄腕の暗殺者なんだろ?」


「ぐっ……。

 あんなの誰だって見えねえよ!」



 ……おい?

 騎士共、そこで頷くな?



「単純にお前の実力が無いだけじゃん。

 何偉そうに寝言抜かしてんだよ。

 全く……お前が弱いからって他者に文句言うの止めろよ。

 恥ずかしく無いの?」


「うるせぇ!

 人外の真似なんてできる訳ねえだろうが!」



 いやだから騎士共!

 そこ納得しちゃダメ!

 アパームのあんちゃん、アンタもダメだって!


 あぁ! アゼル兄、そこで凹まないで!

 カールラ姉様、ゴメン、慰めといて!



「あまりグチャグチャ言うなよ。

 というか、そろそろ処刑始めるぞ?」


「はっ!

 さっきの、お前の兄貴だったか?

 アレと同レベルのことするんだろ?

 兄弟そろって化け物扱いされているとはなぁ!」


「長兄は【魔王】、次兄は【死神】、そして僕は【狂犬】だよ?」


「はぁ?」



 何唖然としてるの?

 お前が喧嘩売ったジーピン家がどれだけ危険か処刑される前に覚えとけよ。



「お前は、ちょっかい出しちゃいけない一家に喧嘩売ったんだ。

 こうなる覚悟はできてるんだろ?

 さ、処刑の為の準備を始めようか」



 そう言って、こいつの後ろに回って、軽く肩に手を掛ける。

 キョトンとしているが、何されるか想像つかないのか?

 頭の方もダメなのか、こいつ。


 ま、いっか。

 体感すれば嫌でも頭に叩き込めるだろ。




 グ シ ャ ッ !




 両肩を握り潰すと、一瞬無音の後に――




「ぎゃあああぁぁぁ!!」




 ――絶叫が聞こえて来た。



「どうした?

 叫ぶには気が早いぞ?

 まだまだやることあるからな?」


「ふざけるなぁ!

 拷問だってここまでされてねえよ!」


「単純に拷問担当が甘すぎじゃね?

 さぁ、次はどこにしようかね……」



 そう言って、腕・肘・二の腕を砕く。

 延々と叫び出すが、まぁ気にしなくていいか。


 そのまま続いて足・脛・膝・太腿と砕き続けると、なぜか泣きながら騒ぎ出す。



「お、お前には人の心が無いのかよ!」


「暗殺者がそれ言うなよ。

 お前に殺された人たちも同じこと思ったんじゃねえの?」


「知るかよ!

 もうやめろ!

 こんなことして喜ぶ奴なんていねえよ!!」


「お前に殺された人たちは大歓声を上げてると思うぞ?

 当然だよな?

 自分を殺した奴が泣き(わめ)くレベルでボコられてるんだ。

 胸がスッとしてるんじゃないのか?」


「死んだ奴なんて誰が気にするんだよ?!」


「殺された人の親族とか?

 友人とか?

 いないはずないじゃん。

 それとも親族・友人まで含めて全員殺したの?」


「そんなの知るわけねえだろ!」



 だよな。

 その辺りまで全て潰していたら、どこかで僕にぶち当たるもの。

 そうしたらここに連れてこられる前に処分していただろうね。



 そのまま骨盤周辺をじっくりと砕き、背骨を少しづつ頭側に向かって握り潰す。

 途中で肋骨があるので、そこもちゃんと砕いてあげる。


 見ている貴族も禿を哀れに見ている奴らがいる様だ。

 まぁ、そいつらは家族を暗殺者に殺されてないんだろう。



 さて、身体の骨を頭蓋骨以外は砕き尽くしたと思う。

 後は……最期の処刑だな。



◇◇◇◇


 ニフェールが全力で禿を潰しにかかっている。

 どう考えても人からモノに変えようとしているのが分かる。


 違法薬物製造していた所を襲撃した日に友を殺されている。

 話ではカリムたちが投げナイフを対処していた所に禿がクロスボウで襲撃。

 一人は即死だったが友の方は少し心臓からずれていたようで少し話せたそうだ。



 母上曰く、全力で号泣してたそうだ。



 その時のあいつの悲しみを考えると、止める気はない。

 だが、まだ何か考えているはずだろうが……予想つかん。



「ねぇアゼル、ニフェールちゃんこのあとどうするつもりなのかしら?」



 カールラに聞かれてしまったが、アイツの行動を想像するのは無理だぞ?

 いくら兄でも無理な物は無理だ!



「分からんよ。

 とはいえ、怒りの感情だけで動くとは思えん。

 それだったらわざわざ両手首両足首を斬って捕縛なんてしないだろう。

 禿の心を折ってから殺そうとしているのは分かるんだがな」


「そうよねぇ、そこだけは自信持って断言できるのだけど……」



 だよなぁ。

 とは言え後何やらかすんだ?


 確かカル達を連れてきてるから見せて絶望させるのは分かるんだ。

 そして終わる?

 そりゃないよなぁ……。


 ニフェールが禿を処刑する理由は幾つかあるが……。

 貴族として陛下を弑そうとした件。

 カル達が迷惑かけられた分の仕返し。

 そして、友を殺された件の仕返し。


 身体中の骨を折りまくったのは陛下を弑そうとした件だろう。

 同じようなことを考えている奴らへの警告という意味もあるな。

 

 カル達については確かこっそり隠れて見れるようにしていた。

 ってことは、ギリギリで顔出させて嫌がらせするんだろう。

 まぁ、ニフェールらしい手だな。



 で、友を殺された分は?

 それと、お前自身の色々な感情をぶちまけないのか?


 お前は十分頑張った。

 だからこそ、ちゃんと気持ちにケリ付けられるようにしてほしいんだが……。



「……ねぇ、アゼル。

 ニフェールちゃんが腕捲りし始めたけど、何かするって聞いてる?」



 腕捲り?

 ……それも見た限り利き腕だけ?



「何も聞いてないが……カル達の仕返しに付き合うには違うな……。

 多分、隠れている所からいきなり顔出して禿に嫌がらせするだろう。

 以前、暴動の裁判で強盗の長を火炙りにした時も似たようなことしてたろ?

 となると……友か自分の憂さ晴らしか……。

 シンプルに殴ると言うのもアリか?」


「殴るって……あなたみたいに挽肉量産するの?」


「量産って……。

 以前騎士共の頭踏みつぶしてたろ?

 作戦名『葡萄踏み』だったか?

 あれみたいなことするんじゃないのか?」


「あぁ……アレね」



 呆れつつも納得したようだ。

 さてニフェール、お前何やらかす?



◇◇◇◇


 なんかアゼル兄の方からこの後の予想がボソボソと聞こえてきてるけど……。

 大したことしないから期待し過ぎないでね?


 さて、禿の髪……は無いから頭……だと滑りそうなので首を掴む。

 そのまま持ち上げると、禿が身体は動かせないが文句だけは言い始めた。



「なんだよお前、どれだけ俺をボコれば気が済むんだ!」


「いつまでも気が済まないよ?

 でも、僕もずっと付き合ってはいられない。

 だから、そろそろ終わらせようか」


「はっ!

 どうせ簡単には終わらせないんだろ?」


「当然だな、簡単に終わらせては誰よりも僕が納得できないよ。

 それにお前のために最後のイベント用意したんだからね?

 ちゃんと一通り開催しないと準備の意味が無くなっちゃう」


「それが貴族共に俺の死に方を晒すって訳か!

 中々イイ性格してんなぁ、お前!!」


「当然じゃん。

 お前の死を見て、僕たちに暗殺者なんて送る奴らの未来を理解させないとね」



 そう言って、テュモラー侯爵の方をチラッと見る。

 表情を変えないように苦労しているようだね。

 でも、苛立っているのはバレバレだよ?


 今は待っててね?

 パーティの日にちゃんとお相手してあげるから。


 でも、今は禿を相手したいんだ。

 もういい歳しているんだから、待つこと位できるよね、おじいちゃん?



「……お前、他にも狙っている奴いるだろ?」


「おや、嫉妬か?

 大丈夫だよ、今はお前のことしか考えてない」


「そういう意味じゃねえよ!」



 全く、かまってちゃんなんだから……。



「友人を守れなかったあの日から今日という日をどれだけ待ったことか。

 それだけお前を想ってたってのに、信じてもらえなかったなんてな……」


「だからそっちじゃねえって言ってんだろ!

 ……俺以上に殺したい奴いるんじゃないのか?」


「いるよ? でもその日は今日じゃない。

 今日は……お前だけだよ」



 あれ? なんか諦めたっぽい?



「お前が真面目に……いや、真面目に話してコレなのか?」


「失礼な!

 どういう勘違いをしているかは分からんが、変な所は無かったと思うが?

 ……なあ、まさか性的な想像してたのか?

 僕はそういう趣味は無いぞ?」


「……なぜそう考えた?」


「クラスメートとか友人の一部が少々……危ういと言うかなんと言うか……」



 フェからはじまる未来の上司とかですね。



「……俺の人生で初めてお前に同情したぜ。

 まぁ、何とか逃げ通せ」


「ヤバければ殴り倒すけどね」


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