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 建国祭、と一言で言っても単純に浮かれるだけじゃない。

 王都の民は実際浮かれまくるか、このタイミングが稼ぎ時になるかで別れる。


 貴族は国内貴族全員集合。

 前回の建国祭からの爵位変更の周知報告。

 そして貴族の家族も参加してのパーティ。


 大きくはこんな感じかな。



「ニフェール、陛下が玉座について最初にディーマス家の処分でいいんだな?」


「うん。

 正確に言うと、一連のディーマス家の行動について叩き潰す予定。

 なので、教師二人・禿・ディーマス家兄弟の順。

 この件は基本的に僕が喋るけど、アゼル兄は被害者として発言お願い」


「被害者?」


「結婚式に暗殺者送ってこられたんだから被害者としか言いようがないでしょ?

 後、その時はカールラ姉様も一緒にね」


「ええ、任せて♪

 人様の結婚式邪魔するんだからきっちり仕返ししとかないと♡」



 ヤル気マンマンで安心ですね。

 殺す気マンマンかもしれませんが。



「後残りの面々は基本オマケだから適当にあしらう予定。

 まぁ、強盗ギルド関連で捕まってるから話すことも無いしね。

 禿は……まぁ、僕が潰すけど」


「怖っ!」



 アゼル兄、人の事言えないでしょ?

 自分だって式の邪魔されてブチ切れていた癖に。

 今回の提案した時にイイ笑顔だったでしょ?



 各自準備も整い、陛下が来られた所で建国祭開催。

 あ、僕とカールラ姉様は別室で連絡待ちです。

 最初くらいは本来の流れで進める予定だそうです。


 ちなみに、ストマとルドルフもこの場にいます。

 ディーマス家の処分時に参加してもらう予定。

 緊張しているけど、大丈夫だぞ?

【狂犬】の牙はお前等を狙わないから……今の所はな。



◇◇◇◇


 謁見の間に今までとは比較にならない位に人が集まっている。

 まぁ、建国祭だから貴族は皆王都に集まる為仕方ないのだが。


 儂、アラーニ・ジャーヴィンは有象無象の貴族共を見つつ他の事を考える。



 あの辺りの一団は東部の奴らだな。

 旗頭であるディーマス家が見当たらずに右往左往しておる。

 今日会えるからもう少し待ってろな?



 その近くには北部の奴らか?

 テュモラー家からはオステオが来たか。

 メシロマが来るかもしれないとは思っていたが御大自らとはな。


 余程今回の暗殺に自信があるのだろう。

 その相手がジーピン家じゃなければな。



 西部、儂が面倒見ている奴らも、他と同様に集まっておるな。

 って、アゼル?

 そこでもビビられているのか?


 一応隣接領地の者もいるんだから話しかけ……そうだ! いけ!

 そいつはお前の領地から王都側の隣の奴だ!

 ちゃんと仲良くして……って、ダメかぁ……。


 というか、皆アゼルを見た途端回れ右するのは如何なものかと思うんだがなぁ。

 余程【魔王】の噂が怖いのか?

 それとも子爵となったのが妬ましいのか?


 カールラが嫁いだところだから、あまり苦労させたくないんだがなぁ。



 南部の奴らは……あれ? ここはバラバラだな。

 グループが二つ……いや三つ?


 一つ目は東部よりの奴らだな。

 東部の奴らと同様に右往左往している。

 こいつらは分かる。


 二つ目は宰相に伝手のある奴らだな。

 こいつらは特に変わったことはしてなさそうだ。


 三つ目は……あぁ、そう言うことか。

 ニフェールが調べた、えっと……確か、二番手三人組だったか?

 そいつらの実家が集まっていた。

 確か北部と接点が多いと言うはずだから、今回の暗殺も関わってくるか?



 文官系貴族の奴らはあまり集まってないな。

 むしろ色々な貴族に近づいているな。

 情報収集か? それとも王家派を裏切るとかか?



「アラーニ、何見てる?」


「おぅ、ヘルベス。

 陛下が来るまでここにいる奴らがどう動いているのか見ていたよ。

 ついでにアゼルが孤立しかけているのもな」


「あぁ、貴族の動きは大体想像通りなんだが……アゼルはなんでだ?

 普通に考えてカールラが嫁いだ時点で仲良くなろうとするんじゃないのか?

 侯爵と繋ぎが取れるんだろ?」


「儂も同じ考えだったんだが……なぜか近寄らないんだよなぁ。

 何か西部の者たちの中で裏切りとかの動きがあるのか?

 正直理由が見え……おや?」


「どうした?」


「アゼルに近寄る人物が数人……あぁ、ラーミルの兄、ベルハルトだな。

 それとあれは……サバラとクーロか」



 成程、今の貴族で一番アゼルに接点があるな。

 ニフェールの婚約で接点あるし、アゼルの結婚でも顔出している。

 スホルム対応の時にも接点があったかもしれんな。


 それにサバラとクーロは今後もニフェールに頼る所が出てくるだろうからなぁ。

 実家であるジーピン家とは仲良くしたいところだろう。


 アゼルも助かったとばかりに四人で話し始めた。

 そういや、ベルハルトもボッチ系なタイプだったか?

 話す相手がいない二人が揃った感じか?


 加えて、集まった面々が全てニフェール絡みか?

 ……もう少しお友達増やそうな?



「義父としては不安か?」


「まぁなぁ、カールラが幸せになって欲しいし。

 ただ、見ているとあまりにも周囲の離れ方が尋常じゃないからなぁ。

 儂の所にも何の情報も入ってきていない。

 シェルーニに聞いてみるか」


「あぁ、お前の長男か。

 ……確か次男は領地だよな?

 そっちにも聞いた方が良くないか?

 何となくだが、嫌な予感がする」



 嫌な予感?



「……裏切りってことか?」


「そうだな、今のご時世だと北部に付こうとしているとか?

 今回の暗殺の件といい北部のジジイは暗躍を楽しんでいるようだな」


「あんのジジイ、遊ぶなら自分の地方だけでやれよ……。

 だが、以前西部で怪しい情報が聞こえてきた記憶があるぞ?

 うちやジーピン家に近い奴らは関わってなかった気がしたんだが」


「つまり、ジジイの手がウネウネと伸びたんだろ?」


「触手じゃあるまいし……。

 とは言え、その可能性は高そうだな。

 これは裁判とパーティ以外にも面倒事が続きそうだ……」



 二人で溜息を吐いていると、陛下がお出ましになった。

 最敬礼をして玉座に座られ、宰相のセレバスが会議開催の宣言を行う。


 さて、まずはディーマス家の大掃除からか。

 どれだけの貴族から絶叫が聞こえることやら。


 すこしウキウキしていると、なぜか隣から呆れた声でツッコまれた。



「アラーニ、悪いこと考えてるだろ?」


「お前ほどじゃないよ、ヘルベス」



 お前の顔も鏡で見てみろ?

 学園生の頃にアダラー加えて三人でバカやる時の顔だぞ?


 まぁ、その後女性陣に叱られるんだがな……アダラー以外は。

 アダラーだけは拳で分からされてたが。



 セレバスが一通りこの後の会議スケジュール概要を説明し、本番開始。

 初手が裁判ということで騒ぐ奴らもいたが、そこは放置しておくか。

 どうせ、裁かれる奴を見た時点で大騒ぎになるしな。



「さて最初の裁判だが、以前違法薬物製造を行い拠点を潰された組織があった。

 今年の夏辺りだな。

 そいつらの中でうまくこちらの包囲から抜けだした輩を捕まえた。

 一人は貴族子弟に薬を売りつけたこと。

 もう一人は薬を使って精神を壊し暴れさせたこと。

 この二人は兄弟で、王都の犯罪者ギルドに所属していた」




 ザ ワ ッ !




「だが、どういう流れかは不明だが二人とも学園騎士科で教師として働いていた」




 ザ ワ ッ !

 ザ ワ ザ ワ ッ !




「その点も含めて裁判を行う。

 では、二人とも連れてきてくれ」



 騎士に連れられてきた二人は憔悴しきった表情をしていた。

 まぁ、ディーマス侯爵程ではないが長期間牢屋生活だったからなぁ。



「さて、カーフ・コトロフとニコライ・コトロフ。

 二人とも罪を認めるかね?」


「誰が認めるかよ。

 この国では学園教師をいきなり捕縛するのかよ!」


「そうだ!

 何を根拠に俺たちが犯罪を犯したとか言ってるんだ!」



 や~っぱり否定から入ったか。

 想定通りではあるが、こうも想定通りだと呆れてしまうのぅ。



「根拠?

 貴様らが犯罪者ギルドに所属していたこと。

 貴族子弟を(そそのか)し、違法薬物を盛ったな?

 そして異常な肉体と精神となった子弟に暴れるよう指示していたこと。

 確かこの辺りは一通り説明したが?」


「それを誰が言ったってんだ?

 確か学園生が言ってたと思うが、そいつの発言をなぜ信じる?

 たかがガキの発言は俺たちの発言より重いってのか?!」



 その通りだ、と言ってしまえれば楽なんだがなぁ。



 セレバスからヘルプの視線を受けたので、やむなく挙手をして発言する。



「ふむ、お前等は自分たちは何も悪いことしていないと言うことか?」


「当然だろ!

 俺たちの行動の何が悪い!

 仮にお前らが言うようなクズな行動取ってたとしよう。

 そしたら、まず学園教師になんてなれねえだろうが!」


「そこは簡単だ。

 教師となる面接時だけ嘘ついて誤魔化す奴もいる。

 実家や寄り親等の伝手で入る奴もいる。

 お前等は知らないか?

 最近王都で暴動が起こったのを」


「その程度は知ってらぁ!」



 知っててその発言しているのか?




「その時に暴動を扇動した奴らのうち、二名は元学園教師だったが?」


「へっ?」




 ……本気で知らなかったのか?



「何を驚いているのか知らんが、事実だぞ?

 なので、教師だから信用できるなんてことはありえない。

 第一、カーフ・コトロフよ。

 お前はなぜ学園を辞めさせられたか忘れたのか?」


「はっ!

 領主科の学生が俺の強さに嫉妬したからだよ!」




 ……はぁ?


 え、ちょっと、マジデナニイッテンノ?



 チラッと直接関係した危険人物を見ると、唖然とした表情で固まっている。

 そりゃ唖然とするわな。




「大人しく俺から剣術学んどけばいいものを!

 俺に歯向かうなんて理解できねえよ!!」



 こっちも理解できねえよ!

 適当なことほざいてんじゃねぇ!!



 どこぞの大鎌使いは頭抱えてるし、どこぞの大剣使いはまだ唖然としてるし!

 これ、どうやって……って、アレしかないよなぁ……。



「あ~、宰相。

 こいつらはこちらの優しさは不要なようだ。

 なら、悪夢を見せてやろうと思うのだがよいかな?」


「ええ、構いませんよ。

 というか、こんな小物に時間をかけるのは腹立たしい。

 遠慮なくやっちゃってください」



 宰相、一応司会担当なんだからもう少し言葉遣いを……。

 まぁ、よっぽど嫌だったんだろうけどな。



「では、アイツを連れてきてくれ。

 ついでにうちの娘もな」



◇◇◇◇



 そろそろ一つ目の裁判は終わってるかな?

 禿の時から参加の予定だから、もうそろそろかと思うんだが。


 そんなことを考えていると、ノックの音がしてどなたかが入ってきた。

 確か、王城の侍従さんだよな?



「失礼します。

 カールラ・ジーピン様、ニフェール・ジーピン様。

 ジャーヴィン侯爵から参加要請が参りました」


「かしこまりました、すぐに伺います。

 ……ちなみに今は誰の裁判なのでしょうか?」


「最初の裁判ですね」



 ……えっ?

 最初って、あの兄弟の奴だよね?

 時間かかる要素ってなかった気がするんだけど?



「分かりました。

 カールラ姉様、覚悟決めといて。

 かなり面倒なことになってそう……」


「ええ、分かったわ。

 すぐ行きましょうか」



 侍従さんに連れられて到着した謁見の間には……って、ナニコレ?

 なんかイキっている兄弟とブチ切れ直前で我慢しまくっているアゼル兄。

 頭抱える侯爵方や宰相、マーニ兄。



「……とりあえず、カールラ姉様はアゼル兄の隣へ。

 落ち着かせてもらえると助かります。

 さて、現状説明してもらえます?」



 チラッと侯爵方を見ると、ジャーヴィン侯爵が説明をしてくれた。


 で、あの兄弟がイキってアゼル兄が侮蔑レベルの発言に耐えてる?

 耐えてると言うか……ブチギレる準備していただけじゃないの?



「ジャーヴィン侯爵、アゼル兄が爆発寸前であること気づいてた?」


「その前段階のあの二人が訳分からない発言して唖然とした時点で危険と思った。

 だからお前を呼びに行かせたんだよ。

 だが、予想以上にブチギレかけていたようでな。

 呼びに行ってお前らが来るまでに一気に臨界直前まで……」



 まぁ、アゼル兄からすれば兄貴の方は【魔王】覚醒させた教師。

 そんなクズがイキって無い事無い事ブチ撒けたらそりゃキレるよね。



「で、まずはカーフ殿?

 確かニータ家にあなたが呼ばれた件。

 あの時にお話したと思いましたが?

 うちの兄一人に騎士科総出で攻撃した挙句壊滅させられたこと。

 まさかお忘れで?」


「ぐっ……」


「その程度の実力であなたに剣術を学んどけばいい?

 雑魚の戯言に振り回された兄の苦労を少しは理解して頂きたいものですね。

 第一、僕に三本勝負でまともな戦いにならなかったじゃないですか。

 兄は僕より強いのに……。

 僕程度に遊ばれる程度の実力でよくそんなこと言えますね。

 恥って言葉ご存じ?」



 周辺の貴族から苦笑・哄笑、色々な笑いの声が聞こえる。

 あぁ、兄弟揃って顔真っ赤。



「というか、あなたがやったことって違法薬物の製造拠点の護衛でしょ?

 なら捕まり処刑されて当然なんだけど?

 何をそんなに騒いでいるの?

 いくら泣き叫んでも、あなたが死ぬのは変わらないのに」


「ふざけんな!

 俺たちが犯罪者ギルドに所属してたなんて証拠はあるのか?!」


「強盗ギルドは……ザイディか。

 あ、この前処刑したから呼べないね。

 なら娼館ギルドの婆さん……【妖魔】を呼べば納得する?」



 ……あれ?

 何で唖然としているの?



「お、お前、何でそんな奴らの名を……」


「あ、僕って犯罪者ギルドと不戦協定結んでるんだ。

 なんで犯罪者側でも話が通じる相手から色々情報もらえるんだよ。

 代わりに僕の気分で滅ぼさないって条件でね」



 なんか、顔真っ青になってるけど?

 婆さんと知り合いだと伝えたらこうなったんだよね?

 なら僕のせいじゃないよね?



「な、何だよそれ!

 お前、学園生だろ?

 そんな伝手どうやって……」


「以前の暴動で強盗ギルド壊滅させたらあちらから提案して来たよ?

 だから色々な人に伝手があるんだ。

 ちなみに、僕と初めて顔合わせたとき覚えてるかな?」


「あ、あぁ」


「あの時に、あなたの声が違法薬物の拠点で聞いた声と同じことに気づいてね。

 急いで僕の伝手使ってあなたの情報をとある人物に確認してもらったんだ。

 ほら、三本勝負の戦いしてた時。

 あれ、裏で調査と侯爵方に連絡してたんだよ。

 そうじゃなきゃたかが学園生にここまで対応できるわけないじゃん」



 カーフの方は愕然として、もう何も言えそうにない。

 んじゃ次は……あのおバカ教師か。



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― 新着の感想 ―
全く往生際が悪いなあ、と思ったとこでオルスを思い出す。 やったことは許されんが最後はきっちり襟を正したぞ。 執事に覚悟負けする戦闘職って(笑)
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