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「ちなみに、アミル殿。

 あなたの所の副隊長は北部出身ですね?」


「あ、あぁ……ってまさか?」


「情報源から聞いた限りでは黒に近いと考えられてます。

 とはいえ、今回の件で動くかどうかは確証ありませんけどね」



 アミル殿は「うっそだろ……」とかブツブツ言っているがとりあえず放置。



「……ニフェール殿、いくつか質問だ。

 先ほど第一・第四・第七が怪しいと言ってたな?

 第一は既に動いていて第七はかなり怪しい行動をとっている。

 これを信じたとして、第四は?

 それと、この場に呼ばれてない第三と副隊長呼ばれてないうちは?」



 あ~、レッティ殿。

 他はともかく、副隊長呼ばれなかったのは不安なのかな?



「第四が何しているかはまだ把握しきれてません。

 とは言え、第一の頃に副隊長だった人物が第四の隊長になったこと。

 調査した限りでは第四にも北部の騎士が集まり始めていること。

 これらから第四も危ういと見てます。

 とは言え、今回にどこまで関わるかは不透明ですけどね」



 第一や第七の様な目的が分からないからなぁ。

 元第一だからメインは修道院対応だったんだろうけど。

 第四に移って何してるのやら。



「次に第三とレッティ殿の第六ですね。

 第六は正直分かってないというだけです。

 隊長であるレッティ殿はマーニ兄の部下として一時期動いておられた。

 なら分かるのでは?

 下手な行動を取ったら【死神】の鎌が首に添えられることを」


「あぁ……イヤというほど分かっているつもりだ」


「おぃ!」



 マーニ兄、諦めな?

 ペスメー殿からもビビられているような説明されてたしなぁ。



「そんな人が大それたことするとは正直思えないんですよね?

 自殺志願者でもない限り」


「……納得した。

 だが、副隊長を呼ばなかったのは?」


「簡単に言うと、調べるのに手が回ってないだけです。

 むしろ、第一・第四・第七が怪しすぎて後回しになってます。

 とは言え、レッティ殿だけは先程の通り大丈夫だろうと判断しました。

 で、最後に第三ですが……先日の打ち合わせ見て呼びたくなります?」



 隊長の面々はその言葉を聞き、全員「あ~……」と呆れた声を出す。



「あぁ……確かに無いな。

 というか、また言い争いになりそうだ」


「その通り。

 ほぼ敵対状態だってのに安心して情報提供なんてできないじゃないですか?

 むしろ敵の敵は味方だとばかりに北部に情報流しそうで怖い……」



 この発言で第三を省いた理由は納得してもらえた。

 本気で酷かったからなぁ、アレ。



「まぁ、噂では上昇志向らしいですけどその分先走りそうですね。

 ならここで話した情報を渡さずに必要な所に配置という方が安全かと」


「確かになぁ……」



 レッティ殿、納得いただけて何よりです。



「で、わざわざ皆さんをお呼びした理由ですが……。

 怪しい部隊を可能な限り重要な場所に配置しないようにお願いしたい」


「……言いたいことは分かる。

 だが、人員的に難しいのでは?」



 おや、副団長殿?

 それを僕に言いますか?

 そこ考えるの騎士団でしょ?


 ジロッと睨むとビクつかれてしまった。

 そこまで怖がらせてないんだけどなぁ。

 ……まさか、開始時に顔色悪かったのこのせい?



「ジャーヴィン侯爵、先日の会議の後に軽く話した内容、お伝えしなかった?」



 確か……陛下たちの傍・調理場と食事の運ぶルート・パーティ会場。

 後は王宮と王都に入る門だったかな?



「伝えたぞ?

 流石にあの考えを儂だけ認識してても困るからな。

 団長と副団長には伝えておいた」


「なら副団長殿、その考えを元に配置検討しました?」


「一応してみた。

 だが、どうにもうまくいかん。

 陛下たちの傍は団長やマーニ隊長等に頼めばいい。

 食事のルートもそこまで人数は不要だろう。

 だがパーティ会場と王宮・王都に入る門。

 これを封鎖するには……」



 え?

 そこまで人数足らないの?

 嘘でしょ?



「いくら何でもおかしくない?

 たかが一日全力で守れって言うこともできないってこと?

 そんなこと言ってたら別の案件も何もできないじゃん!

 ちゃんと本当の理由を説明してくださいよ!!」


「いや、事実なのだ。

 言いたいことは分かるがな。

 ただ、こちらもつい最近に知った情報があってな。

 それと絡ませると無理という判断を下すしかない」



 そう言って、ゆっくりと副隊長は説明をし始めた。



「まず、騎士団の総員で考えたら先程の場所だけなら十分人員はいる。

 だが、第一・第三・第四・第七が危険分子となった。

 これを減らすと残りは第二、第五、第六。

 普段の半分しか使えない。

 ここまでは分かるな?」


「ええ、でもそれだけいれば一日だけなら十分警備できるでしょ?」


「あぁ、ここまでならな。

 だが追加がある」



 はっ?

 え、追加って何?

 チラッと周囲を見回しても皆も分かっていないようだ。




「簡単に言うと、騎士が一斉にとある日に休みを取り始めた」


「「「はぁ?」」」




 副団長が「わかる! よく分かるぞ!!」と言わんばかりの表情を見せる。

 え、ちょっと、冗談でしょ?



「一応言っておくと、全て事実だ。

 調べた限りだが、上司が北部出身の場合に部下が休みを取っている。

 休んだ部下は北部以外の人物が多い」


「……それって、特定の日だけ北部出身と他地域出身の割合が入れ替わる?」


「今の感じだとそうなる。

 これ自体は個々の部隊では分かりづらいが、全体を見て気づいた。

 ちなみに先日の暗殺の話を聞き、嫌な予感がして調べてみて発覚したんだ。

 それまで全く気付かなかった……」



 マジか……。

 とは言え、気づいたのはかなりありがたい。

 副隊長、ちゃんと働いてるんですね。



「ちなみに、北部以外の戦力が多く残る部隊って?」


「第二・第三・第五・第六だ。

 だが、第三は半分近くが休暇を取っており、第六も三割程度が休む。

 故に、戦力としてはあまり期待できない。

 むしろ第二と第五はほぼ影響なかったのはむしろ驚きだったが」



 マーニ兄とペティック隊長が答えてくれた。



「休暇は交代で取らせているからそのせいか?

 だが、その特定の日って多分パーティ予定日だろ?

 騎士なんてそんな休む余裕ない日じゃないのか?」


「ですねぇ、うちも同じですけど。

 他隊長の所は違うのです?」


「いや、そんなことは無い。

 最低でも第一部隊は当日全員仕事のはずだぞ?」



 ラクナ殿の発言にレッティ殿、アミル殿も「うちもだ」と同調する。



 ってことは、隊長に報告せずに休みとってる?



「第一の場合はお二人に許可を取らずに休む手段が確立しているのでは?

 だって、出勤予定を無視して動いていたじゃない」


「あ……そういうことか」



 ラクナ殿が頭を抑えながら納得してくれた。

 そりゃそうだよなぁ、今までの実績があるから何とでもなるし。



「第七の場合は副隊長が許可を出している可能性が高いですね。

 北部の人だし」


「……うそだろ?」



 あぁ、ショックから立ち直れていないようだ。



「第六の場合はちょっと分かりませんね。

 第七の様な副隊長が北部の人パターンか、第一の様な抜け穴だらけの状態か。

 どちらにしてもかなり不味いですね……」



 う~ん、確認が数点必要だなぁ。



「副団長、一般的な話だけど隊の中で休暇を申請した場合に誰がチェックするの?

 隊長? 副隊長? それとももっと下の立場の人?」


「まず当人の直属上司に報告、その後書類を上司経由で副隊長や隊長に提出だな」


「となると、直属上司や副隊長が勝手に隊長のサインを書いて許可出したら?」


「休暇取れるな。

 だが、それは完全にアウトだ。

 公的書類の偽造、それも隊長や副隊長のサインの偽造。

 騎士を馘首(クビ)になるだろうよ」



 え、つまりそういうこと?

 となると、僕は囮確定で本気で陛下を含めた王家を滅ぼしに来るのか?


 マーニ兄も同じ考えに至ったのかな?

 表情硬くなってるし。



「つまり、クビになる覚悟でやらかしに来た?

 確実に王家を殺せるように事前準備をしてきたということ?

 そのために北部と他地域のバランスを変えてきた。

 パーティ当日に北部の騎士たちは反乱を起こす?

 いや、違うな……」



 そんな程度じゃ無いな。

 わざわざ僕の名を使って暗殺者を呼び出す位だ。

 反乱の形は取らないで国を乗っ取る方法……って、まさか?



「チアゼム侯爵、王家の血が入っている貴族って?」


「薄くても良ければ、侯爵以上の家がそうだ。

 濃い家は王家に大公様、一応公爵様もか?

 つまり、王家以外に大公様、公爵様、そして儂等の家を潰せば自動的に……」


「テュモラー家が王家の血を引く唯一の存在になると。

 それなら王家の血を残すためにも侯爵が王となり血を残すってところ?

 殺したのは暗殺者だからテュモラー侯爵が文句言われる筋合い無いし。

 最悪失敗しても問題無い……いや、その場合は反乱ルートに入る?」



 うっわぁ、本気でメンドクセェ!

 侯爵方も顔真っ青になっている。

 そりゃそうだよなぁ、これじゃ僕でも同じ表情するよ。



「ちなみに、各家の血族纏めて処分しないと話にならないから……。

 フェーリオやジル嬢、フィブリラ嬢も暗殺対象になりますね。

 最悪だ……」



 悲壮な表情でジャーヴィン侯爵がこちらを向く。




「……いい手はあるか?」


「……殺られる前に殺る?」




 ……とてつもなく心惹かれておられるようです。



「まぁ、対処としては暗殺者共を先行して消す。

 ついでにテュモラー家の屋敷にいる人物皆殺し。

 この辺りでしょうか」


「おいっ!

 最初の一つ目はともかく、二つ目はマズいだろ!」



 レッティ殿、真面目ですねぇ。

 でも、少々考えが足りませんねぇ。



「まず、ありそうなのが東部からの暗殺者に加えて北部からも連れて来ること」


「おい、確か北部は動かせないとか言ってなかったか?」


「ええ、ちゃんと犯罪者たちの規則に従えばですね。

 従わなかったら?」


「あ……」



 相手は犯罪者なんだから言うこと簡単に聞いてくれるはずないじゃん。

 むしろ積極的に破る可能性だってあるのに。

 加えて、テュモラー家が勝利を得たなら膨大な利が舞い込んでくる。

 そりゃ「規則? 何それ? 美味(うま)いの?」とか言い出すでしょうよ。



「副団長、念の為ですが現状のメンバーで会場警備までは大丈夫です?

 王宮や王都の門は諦めると仮定すれば何とかなります?」


「それなら何とかなる。

 とは言え、門は北部出身者に任せる形になるから反乱になったら終わりだが」


「ん~、現状どうしようもないですからねぇ。

 いくら陛下を守れても貴族に死人が出たら別の反乱起こるんじゃない?

 むしろテュモラー家が煽る気がするんだけど?

 それならまだ重要な場所だけでも守るしかないんじゃないかな?」



 現時点で思いつくのはこのくらいかなぁ。



「纏めると、パーティ会場を含めた一部だけ集中的に守る。

 北部の奴らは皆パーティ会場の外に出す。

 暗殺者は可能ならば事前に消しておく。

 当日は暗殺者が来た場合に備えて体制を作る。

 仮に暗殺できずに反乱に移行した場合は王宮で戦闘。

 こんな感じ?」


「そうだな……ニフェール、お友達の協力は得られるか?」



 お友達……カル達の事? もしかすると婆さんの方もかな?



「どういう形での協力を考えてます?

 情報収集なら既にお願いしてるけど?」




「パーティ当日にこちらの協力者として潜り込ませるとか?」




 え゛?

 カル達に侍従侍女の仕事させろと?



「それ、むしろ罪を擦り付けられませんか?

 あちらの暗殺者も知っている人物が王宮にいたら怪しむでしょ。

 そう考えるとちょっと無理かな?」


「あぁ、そのパターンがあるか……。

 いい手だと思ったんだがなぁ」


「言いたいことは分かるんですけどねぇ。

 ちょっと厳しいかな。

 変装するにしても……厳しい気がする」



 事前にカルあたりを東部の奴らと会わせて説得させる予定だからなぁ。

 難しいよねぇ。

 特に金に堕ちそうな奴らだし。



「むしろ王宮傍に待機させて逃走を図った時点で追走させる。

 で、居場所確認した上で襲撃とか?

 それなら大丈夫じゃない?

 後は……王都の治安維持に協力させるとか?」


「成程……噂の情報源にやってもらえばなお良しか?」


「あ、そっちもアリか。

 そうだね、お願いしてみるよ」



 それならカル達をチアゼム侯爵家に待機させとける。

 いつでも動けるように出来るしね。



「それと、相手が反乱パターンに移った場合は……マーニ兄、暴れて?」


「いや、お前も働けよ! というか、両侯爵!

 ジーピン家に無条件で暴れる許可をくださいよ!

 以前スホルム対応の時にくれたでしょ? あんな感じの奴!

 それ無しに動こうとすると正直面倒だから!!」



 あ、確かに。

 スホルムの様な無条件許可があれば……。

 ヤバくなっても母上が全てをぶち壊してくれるね。

 ……いや、当人にはそこまで言いませんよ?



「確かにアレがあれば……アダラーやキャルも暴れられるな?

 分かった、この打ち合わせが終わったら陛下にすぐにでも許可を頂こう。

 ちなみにニフェール?

 パーティの際のジーピン家の配置はどうするつもりだ?

 守る面々増えたろ?」



 へ?



「どうって言われても……パッと思いつくのはマーニ兄は陛下たちの傍。

 他の騎士からも王家の護衛役を用意して守って欲しいな。

 アゼル兄はうちの両親と一緒に両侯爵一家の護衛……あ、いや、違うな。

 他にも守る人増えたんだっけ。

 なら両侯爵はうちの両親に任せた方がいいか。

 アゼル兄は宰相殿一家と公爵家と……ディーマス家」


「ディーマス家?

 あぁ、処刑後だからストマとその姉か」


「ええ、とはいえ、あいつらが大人しく宰相殿の傍に移動するかは知りません。

 そこはアイツの判断に任せます。

 そして、大公様ご一家はアムルだろうなぁ……」


「あぁ、どうせアムルはフィブリラ嬢から離れんだろ。

 ならそのまま護衛させといた方がいい」



 僕も同じ認識ですね。



「で、一応こちらの弱点になりそうな面々。

 ベル兄様とかロッティ姉様のご家族とかティアーニ先生とか?

 そのあたりは可能な限りうちの両親かアゼル兄の所に居てもらいます。

 そんなところかな?」



 ……あれ? レッティ殿とアミル殿?

 なんで困惑しているの?



「いや、ニフェール殿の配置が一切言われてないからまだ続くのかと思ってな」


「ええ、流石に何もしないとか言わないでしょうし」



 ……え、もしかして忘れてるの?



「あの、僕暗殺者から狙われてるのお忘れで?

 守るべき人と一緒に居たらそこ集中的に狙われるじゃないですか。

 可能な限り誰からも離れて、誰にも邪魔されない所で待ち構える予定ですよ?

 じゃないと面倒なことになりますし。

 あ、テュモラー家の傍にいるのもアリかな?

『お前等の計画知ってんぞ』って感じでプレッシャー与え続けるとか?」



 状況知らない奴らが群がって来られたら、そいつら危険に晒してしまうしね。


 ……何唖然としてるの?

 両侯爵の表情見てみ?

 普通に納得してるでしょ?


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