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 ラーミルさんやカル達と一緒にマーニ兄の所へ……と思ったらいなかった。

 その場にいたペスメー殿にどこに行ったか聞く。

 どうも、まだ陛下たちとの話し合いが終わってないようだ。



「どうもかなり厄介なことらしくてな。

 執務室に戻ってきたら五分も経たないうちに急ぎ会議室に向かっていったよ」



 あぁ、内容が内容だからなぁ。

 確かにそうなるか。



「……参加した方がよさそうかな?」


「だな、多分あちらでも困っているんじゃないか?」



 カルと話すと同じ考えをしていたようだ。

 まぁ、この件をいきなり言われても皆頭抱えるだろうしね。



「ペスメー殿、話し合いしている会議室へ案内願います。

 すぐに終わらせるとは確約できませんが、少し尻叩いてこようかと」


「……案内と部屋の前にいる護衛達に頼んで中に来客の連絡を頼む位だな」


「十分です。

 どこでハマっているのか知りませんが、僕らが向かうことで話が進めばと」


「……かなりの確率で中にいる奴らの一部は泣き始めそうだ」


「歓喜の涙ですね♪」


「ぜってぇ(ちげ)ぇ!」



 カル達、何故ペスメー殿の方に納得するんだ?

 上司として悲しいぞ?



 その後、皆で会議室に向かうと……声だけでバトってました。

 というか、廊下にまで聞こえる声で何やってんだよ……。



「もっとまともな報告をしてくれ!」

「夢物語を言われても意味無いだろ!」

「現実的に見て本気で起こりえると思うのか!」



 言いたいことは分かるんだけどねぇ。

 まだ会議室から離れたところなんだけどなぁ。

 ここまで丸聞こえって……。



「……すまん、騎士の恥ずかしい様子をたっぷり聞かせてしまってるようだ」


「まぁ、今更な気がしますがね。

 第八で嫌というほど見せつけられているから、まだ可愛げがあるかなって思う」


「あぁ、そうだな。

 アレを越える愚かさってのは確かに難しいな」



 ええ、アレは多分誰も想定できませんでしたしね。



 改めて扉に近づき護衛達にペスメー殿が説得を始める。

 とは言え、あっさり許可が出た様だ。



「何説明したんです?」


「『お前ら、この生産性のない会議さっさと終わらせる人物連れて来た。

 邪魔するのならあと何時間ここで突っ立ってるんだろうな?』ってな。

 現実を理解しているよ、こいつら」


「ちなみにどの部隊で?」


「今日は第六だな。

 うちの前の副隊長が隊長になった隊だよ」


「おっ、なら少しはジーピン家の行動に付き合える?」


「今の第六の隊長であれば難しいな。

 確か、マーニ隊長が入った直後だったからなぁ。

 ぶっ飛び過ぎた実力を見せつけられて落ち込んでた。

 普通は嫉妬とかするのが一般的なんだが……まぁ、あまり期待するな。

 下手に追い詰めると騎士辞めちゃいそうで怖い……」


「しょぼ~ん……」



 ナット、そこでクスクス笑わないでおくれ。

 流石に悲しい。



 そのまま扉を開け、会議室に入る。

 一斉に僕たちに視線が向き、天使と悪魔を見るかのような反応を見せる。


 天使の反応はマーニ兄、両侯爵、王族に宰相。

 悪魔の反応は他騎士たち……って、ねぇラクナ殿に団長と副団長?

 あなたらそう言う反応するの?

 ちょっと酷くない? 全く……。



「マーニ兄、状況報告」


「さっきの話をしたら信じようとしないのが複数。

 両侯爵たちと説得するが、未だに納得せずってところだな。

 で、お前は何しに来た?」


「元々はマーニ兄が王宮に戻った後に入ったジーピン家内の情報の共有。

 でも、なんかハマってるようだったんで助けに来たつもりなんだけど?」


「助かるのは事実だが、殺すなよ?」


「肉体の事? 精神の事?」


「どっちもと言いたいところだが、肉体の方だけにしておくか」



 おや、精神はボコってよろしいということで?

 チラッと両侯爵を見ると……親指で首掻っ切ってるし。

 よっぽどウザかったんだろうな。



「さて、陛下以下、一部の方々は今更かもしれませんが……。

 ニフェール・ジーピンと申します。

 そちらにいるマーニ・ジドロ第二部隊隊長の弟で学園騎士科二年生です」


「ほぅ、学園生如きがこの場に何しに来た?」



 あれ? この声……。



「あの……どなたか知りませんが、もっと声小さくした方がいいですよ?

 扉の前どころかもっと手前の廊下からも丸聞こえでしたけど?

 確か、あなたの声色は……『もっとまともな報告をしてくれ!』でしたか?

 他の人に聞かせたくないからここの会議室使ったんじゃないの?

 こんな大声で話したら意味無いと思いますけど?」




 ブ フ ォ ッ !




 あ~あ~、マーニ兄笑い過ぎ。

 陛下、何親指立ててるの? GJ?



「な……な……」


「というか、僕は自己紹介しましたけど、あなた誰?

 名も名乗らず文句だけいっちょ前って……あれ?

 なんか似たような記憶が……」



 確か……ラクナ殿?

 チラッと見ると、思い出したのか顔真っ赤にして手で顔を隠している。


 マーニ兄、ニヤニヤすんな!

 ラクナ殿、追及しないでおいてあげるよ。

 貸し1ね。



「まあいいや、で、あなたはどちら様?

 名前出したくなければ部隊の番号だけでもいいですよ?」


「フン!

 私は第三部隊隊長、アキュム・コロナリーだ!」



 ……第三部隊隊長?



「もしかしてあの恥さらしのディアル・インクションを部下にしていた人?!

 国に使えるべき騎士が一貴族に従うなんてありえないことを指導した人?!」


「待て!

 私はそんなこと指導していない!」


「そんなこと指導していないんじゃなくて、何も指導しなかったんじゃないの?

 特に騎士として常識である『陛下に尽くす』ってのを教えてないんでしょ?

 そうじゃなきゃあんな愚かな副隊長が育つはずないもの!」




 ガ タ ガ タ ッ !

 ブ フ ッ !




 両侯爵、ラクナ殿、マーニ兄、アウト~!

 カルたちは頑張ってるな、まだ判定上セーフだぞ。



「そのおかげでどれだけこっちが苦労したのか理解できてなさそうですね。

 まぁ、だからこそあんな愚か者を作り上げちゃったのかもしれませんけど。

 さて、話を戻しますが、アキュム殿。

 何が分からないのです?

 マーニ兄か両侯爵か分かりませんが、事実を説明しただけと思いますが?」


「学園生如きを暗殺されるなんて寝言を抜かされて黙っていろと?」


「暗殺者に狙われるなんてそんな騒ぐことですか?

 うちの長兄の結婚式の時に大量に処分してますけど?

 それが別の街から遠征に来るってだけなのに何を騒ぐのです?」



 なぜか唖然とするアキュム殿。

 確か、この人上昇志向が強い人じゃなかったっけ?

 それなのにこんな程度で驚いてどうするんだ?



「お、お前は暗殺者に襲われるのが日常なのか?!」


「日常とは言いませんが、別に驚くほどでは無いでしょ?

 僕は色々な所で恨みを買ってますからねぇ。

 この国で違法薬物ばら撒こうとした奴とか?

 暴動起こした奴らとか?

 他にもいますけど、そう言う奴らが暗殺者を雇うのはありえますからねぇ」


「な……な……。

 陛下! このような危険人物を王宮に入れてはいけません!

 こいつが入ってくるだけで暗殺者が王宮を狙ってくるではありませんか!」



 はぁ?

 え、マジで言ってんの?


 両侯爵やマーニ兄を見ると、一斉に頭を抱え始めた。

 寸分の狂いも無く同じ動きを見せられると、ちょっと怖い……。



「……一応聞くけどマーニ兄?

 この人たちにちゃんと説明したんだよね?

 まさか、しても(●●●)この発言?」


しても(●●●)の方だ。

 というか、あれだけちゃんと説明したのに何でこんな……」



 マーニ兄、気持ちは分かる!

 人の努力を無にする行動をされると、ショックが倍増しなんだよなぁ。



「アキュム殿、マーニ兄から聞いているはずですけどもう一度。

 暗殺の本当の目的は僕ではない可能性が高いです。

 多分陛下、最低でも王家の方々を消す方向で動くかと」


「なぜ、そんなことを言い出す?

 その根拠はどこにある!」


「副団長殿が頼りにしている情報源からですね。

 まぁ、僕が狙われたという話だったのでこっちに直接連絡が来ただけですけど。

 信用できる情報源かどうかは副団長にお聞きください」



 この言葉を聞いて、ギョロっと副団長を睨むアキュム殿。

 おいおい、一応上司なんだろ?

 その対応酷くね?



「リノル副団長、こいつが言ってるのは事実ですか?」


「情報源が信用できるかであればイエスだ。

 ついでに言うと、彼の方が情報源に近しいようでな。

 最低でもこの件はこちらに情報が届く前に彼に話が行ったようだ」



 まぁ、犯罪者ギルド側の人間と認識されてるからねぇ。

 ただの情報屋としての接点しかなければそれなりにしか対応されないでしょ?



「そりゃあ僕の命が掛かっているから先行して教えてくれたんじゃない?

 そこで話を聞いて僕は囮だと判断しただけだし」


「なぜ貴様に直接情報が届くのだ!!」


「そりゃ仲良しだからだよ?

 そんな驚くような話じゃないでしょ?

 というか、その辺りはこちらの都合なんで文句言われても困りますねぇ。

 まさか、僕個人の交友関係が気に食わないとか?

 騎士団がなぜそんなとこまで口出ししたがるのか分かりませんね」



 何唖然としてるのかな……。

 情報屋が理由なく情報をくれるはずないじゃん。

 そこに利があるから情報をくれるんだよ?

 王都のトップクラスでヤバい奴を味方につけられるのなら別に安いでしょ?

 自分で言うのもなんだけどさ。




「貴様の情報を寄越せ!」




 馬鹿ですか、こいつ?

 陛下以下……って、僕が知らない隊長たちも同じように頭を抱えている。



「自分で情報源見つけられないからってよくもまぁ、そんな恥さらしなことを。

 学園生の力を権力で奪うなんて恥ずかしく無いの?

 というか、あなたが副団長になればいいんじゃない?

 僕と同じルートから情報得てるはずだし」


「くっ……」


「ただでさえ、第三以下副隊長一斉処分とか色々やらかしているのにねぇ。

 そんなに『自分たちは無能でなにもできましぇ~ん!』って伝えたいの?

 くだらない事言ってないで自力で王都内の情報網構築しなよ。

 よくそれで隊長になれたね?」



 おっ、顔真っ赤になってるぞ?

 あれ? なんで騎士の大多数の人は笑ってんの?

 マーニ兄は……笑いの理由が分かってない感じ?



「ラクナ殿、僕何か笑われること言ったかな?」


「いや、そうじゃない。

 以前、お前らがスホルムに遠征に行って王都が暴動発生直前の時だな。

 ディアル元第三部隊副隊長は王都の情報を全く得られてなかった。

 それで団長に叱られたんだが、アキュム隊長も似たようなことするとはな。

 あの時打ち合わせに参加していた面々はそれを思い出したのだろう」



 チラッとラクナ殿が周りを見ると、皆頷いていた。



「成程ね、だからマーニ兄は反応し辛そうだったのか。

 その時いなかったしね」



 というか、そんなネタにクリーンヒットするとは僕も予想外だよ。

 変な所で似てるんだね、アンタら。



「話を戻しますけど……。

 陛下たちが狙われている可能性が出た時点で対応検討ってしたの?」


「いや、そこまで話は進んで無いな。

 まずこちらが伝えた情報の真偽にこだわっているんだよ」



 マーニ兄の答えに呆れる僕。

 冗談にしても笑えないよ?



「情報の真偽は確かに大事だけどさ、王家の皆様の命ってもっと大事じゃないの?

 情報の根拠がどうとか言う前にパーティ時に守れるような検討しないの?

 王家の方々の命ってそんなに軽いものなの?」


「だから情報の真偽によって――」




「――偽情報とここで判断した挙句、パーティで暗殺されたらどうするの?」




 いや、そこで一斉に黙るんじゃないよ。



「こんな情報が飛び交う位なんだから王家の方々を弑したい相手がいるんでしょ?

 もしくはそう言う噂を立てて国内の不満を煽るとか?

 そう言う奴らがいること知らない?」



 アキュム殿に問うと「フンッ!」と鼻で嗤いやがった。



「その位知っとるわ!

 貴族派の侯爵共が王家を見下しているのは周知の事実。

 弑して王になろうとしてもおかしくはない!」


「なら、なぜ守ろうとしないの?

 ディーマス侯爵は牢屋にいるけど、テュモラー家はピンピンしてるでしょ?

 普通に襲撃の可能性あると何故思わないの?」


「……なぜ、お前がディーマス侯爵が牢屋にいること知っている?」


「捕らえるきっかけとなった件がうちの長兄の結婚式ですよ?

 当然関係者ですし、捕らえているのも知ってます」



 この程度で何泡喰ってんだ?



「ちょ、ジャーヴィン侯爵!

 なぜこいつに教えるのです?!」


「教えるも何も……結婚式での襲撃にその前の違法薬物の件。

 他にも多々あるが、ニフェールのお陰で事前に把握して潰せたんだぞ?

 加えて結婚式はジーピン家が関わっている。

 知らせない理由がないだろうに」


「いや、それでも……」



 侯爵も呆れているようだが……いつもこんな感じなの?

 正直ウザいんだけど。



「ねぇ、あなたは何を言いたいの?

 他者が情報持ってきたことが悔しいだけなら黙っててほしいな。

 あなたの我儘の為にここにいる方々の大事な時間を取らせてるんだけど?

 そこ、理解してる?

 あなたは消費した時間の分、陛下や侯爵方の仕事肩代わりできるの?」


「あっ……」



 自分の駄々こねが他の方の時間を奪いまくっているのをやっと理解したようだ。

 って、気づくの遅ぇよ!


【コロナリー家:中立派貴族:男爵家】

 ・アキュム・コロナリー:騎士団第三部隊隊長、男爵家当主

  → 急性冠症候群(acute coronary syndrome)から


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― 新着の感想 ―
隊長だからめいっぱい好意的に言うが。 勉強のできるバカだな。 理屈倒れのシュターデ◯と同義。 まあシュタ◯デンは基本はできてるので言われるほど無能ではないが。
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