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【連載版】狂犬の……  作者: いずみあおば
10:東奔西走
366/422

45

 そんなことを考えながらラーミルさん達と合流。

 商業と生産に僕の正体をばらすことを提言。



「……いや、いつもながら無茶苦茶な提案だと思うぞ?」


「まぁ、ニフェール様らしいとも言えるけど」



 カルとルーシーが呆れている。

 そこまで?


 今までも結構似たようなことやってたじゃない?

【妖魔】の婆さんに正体晒したり、パン爺さんに正直に答えたり?



「とりあえずの考えとしては、強盗・詐欺師には教えない。

 娼館・商業・生産には教えて、こちらの後ろ盾になってもらう。

 乞食は強盗とは別に仲良くしておきたい。

 こんな感じかな?」


「とはいえ、強盗も詐欺師もいつかは教える可能性高そうだが?」


「それは現状の奴らがどれだけまともなギルドになるかによるよ。

 ザイディのような奴と関わりたく無いしね」


「あぁ、そりゃそうだ」



 カルはある程度納得したかな?



「ニフェール様、教えるのはギルド全員ってわけでは無いんでしょ?」


「当然、ギルドの長だけかな。

 側近的な人は現時点では外す。

 だって、知らない人だし」


「こちらが相手を知り、かつ信用できそうかどうかってことよね?」


「うん、そこが最重要。

 信用できない奴に教える訳にはいかないよ」



 ルーシーも受け入れられそうかな?



「ニフェールさん、商業と生産に教えるにしても、何を期待されてます?」



 一番の味方、そして一番の難敵、ラーミルさんが動いた。



「まずは、修道院の件で彼らのギルドに属する者たちの一部が関わっているはず。

 なのでそちらの情報を貰えないか交渉したいと思います。

 ちなみに、下手な行動を取ったら長自体が関わっているとみなします。

 当然、潰す対象になりますね」


「怖っ!」



 カル、ラーミルさんとのお喋りの時間に割り込むんじゃねえよ!

 お前にはルーシーがいるだろ!



「逆に全面的に協力頂けるのであれば、少し金出して協力頂こうかと……。

 まぁ、値段は不明なんですけどね」


「……協力ですか?」




「ええ、修道院の件ではどうしても移動して領地での調査が必須となります。

 ですが、食料などの荷を運びつつ移動は手間。

 なら、事前に運んでおいてもらったら?」



 ……この時点でラーミルさんだけが反応した。

 ……胸がキュンキュンしているのでしょうか?

 ……僕を捕食したがっているような視線がザクザク刺さってくる。



「各街に商人ギルドで数日分の飯を用意しておいてもらう。

 僕らや騎士たちは王都制圧後に荷を持たずに馬、もしくは馬車で突撃」


「それって……」


「途中の街で配置しておいた商業ギルド馬車から飯を貰う。

 もしくは、生産ギルドの側で馬たちの様子を見てもらう。

 蹄鉄とかね?

 一通り食事食べたらすぐに隣の街に移動。

 これ繰り返せば、荷馬車という邪魔者も無いし最速で移動可能じゃない?

 馬車の乗り心地は最悪かもしれないけどね」



 キョトンとしているのがティッキィ、カリム、ナット。

 まだ理解が追い付いて無さそう。

 とはいえ、少しは理解しかけているようで、イヤ~な予感がしているようだ。

 ……大体その予感で合ってると思うんだけどねぇ。


 ほぼ理解したっぽいのがカル、ルーシー。

 どう見ても頬引き攣ってるよ?


 そして、我らがラーミルさんは……スイッチ入っちゃってます。

 僕が見切れない速度で近づきハグ。

 胸に頬を(うず)めにきました。


 いや、元々ラーミルさんのすることに逆らう気は無いんです。

 でも、ラーミルさん……カールラ姉様化してません?

 ロッティ姉様化でも可。



「おい、ラーミル様の動き見えたか?」


「いや、全く。

 ……学園淑女科という所は女性に戦闘訓練を課す所なのか?」



 カルとティッキィの会話が全てですね。

 僕も見切れなかったし。


 あの後、ラーミルさんが落ち着くまでパフられておりました。

 幸せってこういうことを言うんだな……。



「あ~、ニフェール様、顔に力入れろ?

 蕩けすぎてデッサン狂いかけてるぞ?」


「おっと危ない。

 で、この移動のやり方って今後も使えるんだよね。

 事前に準備、戦力は軽装で移動。

 多分騎士あたりは同じ手を使いだすかもね」


「あぁ、確かに」


「で、これをやるためには商業・生産の協力が不可欠と思ってる。

 なので、手を組みたい」



 少し考えてカルが許可を出す。



「……いいんじゃね?

 否定するには有用性が高すぎだ。

 多分、ジャーヴィン侯爵辺りが泣き(すが)ってくるぞ?

 ちゃんと説明しておけよ?」


「当然、そこは明日にでも伝える。

 むしろ、いつギルド側に伝えようかなぁ……」


「まずはジジババに伝え、場を取り持ってもらうか。

 そして、強盗殲滅と合わせて話したらどうだ?

 その後、詐欺師共に報酬支払わせて襲撃ってとこだな。

 最低でもババアに伝えないといい年して拗ねそうだぞ?」


「あの二人、いい年って範疇を超えてないか?

 まぁ、言いたいことは分かった。

 とりあえず明日の放課後に王宮で報告してくるから明日夜に婆さんへ伝えよう。

 あ、明日行くメンバーは僕とカルで十分かな……ルーシーも行く?」


「……行くわ」



 ちょっと悩んでたが行くことにするようだ。

 移動中、僕は空気と化すから遠慮なくイチャついてね?



 その後話し合い解散し、少しイチャついてから寮に戻る。

 ……あ、ジル嬢の説得どうなったんだろ?

 明日聞いてみるか。



 そして次の日。

 昼飯時を待っていると、ホルターが。



「ニフェール、今週末空いてるか?」


「空けようと思えば可能だが……ペスメー殿を交えての話か?」


「あぁ、そろそろやっとかないとな」



 セリナ様の事を親御さんに説明するために協力体制を整えるという話。

 と言っても基本は親御さんがどんなタイプの人なのかによるからなぁ。



「構わないよ。

 場所はペスメー殿の家かな?」


「ああ、義姉さんも参加してもらう」



 義姉さん?

 あぁ、ペスメー殿の奥さんか。



「分かった、当日案内は頼んだぞ?

 王宮の時みたいに暴走するなよ?」


「分かってるよ、初めてじゃねえからそれは何とかなるはずだ」



 本当にそうなって欲しいんだけどねぇ。




 午前中の授業を受け、昼飯時。

 昨日と同じく皆集合。



「んで、皆さん確認は?」



 話を聞くと、フェーリオはシェルーニ様も含めてOK。

 レルカ&クレイもOK。

 そしてジル嬢は……。



「母上とは話しまして父上を説得するのに協力してもらえることになりましたわ。

 今日の夜二人掛かりでどうにかします」



 ……あれ? 放課後王宮に、夜にチアゼム家に僕行きますよ?



「ちなみに放課後に王宮行きますけど、黙ってた方がいいです?」


「そうですね、相手に有利な状況を与える気はありませんから」



 ……怖っ!

 フェーリオ、顔青いぞ?

 お前は今後ジル嬢と一緒に生きていくんだろ?

 尻に敷かれるのは覚悟の上だろうけど、この位は慣れとけよ?



「なら後日結果を教えてくださいね?

 各自、スケジュールとか決まったら教えます」


「なぁ、関係者と会うことはできないか?」



 レルカ……表情で何を期待しているのかバレバレだぞ?

 ついでにそれやるとお前の妹が暴走するぞ?



「……検討はしておくけど、聞かせるべきでない部分もあるからなぁ。

 無理にやるのなら二部制とか三部制とかにしてだろうな。

 すぐに答えは出せないけど、そこは諦めてよ?

 他にもやることあるから」


「分かった、すまんな」



 ……気づいてないのか?

 ラシー嬢にニミー嬢お前のことをが物凄く睨みつけてるぞ?

 まぁ、後で泣かされてくれ。



「後は……ジル嬢、今日の夜そっち行きます。

 内容は言えない件で」


「あぁ、カル達の件ですね。

 かしこまりました、お待ちしてますわ」



 そのまま授業を終え放課後。

 とりあえずはマーニ兄の執務室に移動。



「なぁ、ニフェール。

 カル達からよく許可出たな?

 俺的には嫌がるだろうと思ってたんだが」


「むしろ、説明したら否定要素が無いって言われちゃったんだけど?

 まぁ、その話は皆集めて説明したいんでジャーヴィン侯爵の執務室に行かない?

 多分薬用意して待ってくれてると思うし」



 何、その呆れた顔は?



「それが想像つく時点で加減してやれよと思うんだがなぁ」


「そう言われてもねぇ、相手潰すのに手加減するわけにもいかないし。

 あ、この場合の相手は『胃薬友の会』じゃないからね?」


「いや、流石にそこまでねじ曲がった性格だとは思っちゃいないけどよぉ。

 でも確実に恨んで来るだろ?」


「そこは厄介事と侯爵たちの間に僕がいるからどうしてもねぇ」


「あぁ、視点の位置関係上お前が矢面に立つ形になっちゃうのか。

 面倒なこった」



 仕方ないよ、関わっちゃったんだし。



 その後、ペスメー殿達三名を引き連れジャーヴィン侯爵の執務室に。

 即刻チアゼム侯爵たちやラクナ殿、団長たちまで呼ばれる。



「侯爵、フットワーク軽いですね」


「当たり前だろう?

 儂だけが苦労するなんて耐えられん。

 少しでも多く巻き込まなくてはな」


「うっわ、性格悪すぎ……」



 ペスメー殿達もヒいてるよ?



 そんなこと話していると皆集まった。



「さて、団長たちはこちらの三名の参加は初めてですね。

 最近暗殺者ギルドのこと教えて巻き込みました」


「あぁ……」



 何、団長殿?

 その「あたら若い命を死なせてしまった……」的な嘆きは?!



「少々反応に不愉快な点が見受けられますが、まずは置いておきます。

 で、最近動いた状況を説明させていただきます」



 そう言って、一通り説明を始める。

 どんどん意識が飛んでいってる団長。

 頭抱える副団長。


 お二人はまだまだ僕との対応に慣れてらっしゃらないようで。

 ラクナ殿の様になってくださいよ。


 見てください、あのどんな無茶な話でもとりあえずは受け入れるという姿。

 どっしりと何が起きても揺らがぬ姿勢。

 真似して頂きたいものです。


 まぁ当人は諦めの極致に達しているだけだと思いますけどね。



 他の方々は……あぁ、ラクナ殿ほどじゃ無いけど慣れた方が多い様で。

 一番頭抱えているのはペスメー殿。

 この辺りは仕方ないかな。



「ニフェール。

 とりあえず商業と生産の長にばらすのは理解した。

 それと領地への移動補助として彼らを使うアイディアはアリだな。

 これ使えば馬車でも荷馬車の倍から三倍位の移動速度で行けるか?」


「ジャーヴィン侯爵、馬車については何とも言えません。

 倍程度なら十分可能だと思いますが、三倍はなんとも……。

 余程道が整備されているのならともかく、凸凹の多い道だと無理ですね」



 国の方でそこまで整備してないんじゃないの?

 うちの領地までだって無理だと思うよ?



「多分、仮に三倍速を狙うにしても王都からの移動初日位じゃ無いかと。

 それ以上は倍速で進むのが関の山かな?」


「それでも構わん。

 というかこの手法、騎士団に真似させてくれ!

 スホルムの件だってこの手を使えばもっと早く往復できたんだろ?」



 いや、まぁ、そうなんですけどね。

 でも簡単には使えないと思うなぁ。



「まず、スホルムの件は出立決定してから王都を出るまで数日ありましたね。

 その時点でこの手を使ってもうまくいかなそう……」


「へ、何故だ?」


「荷馬車の移動速度自体は変わらないですから。

 スホルムまでの一週間分全て荷馬車を用意するとなると結構苦労しそう。

 その場合、最低限五日前には移動開始しておく必要がありますね。

 じゃないと、王都出発してすぐに追いついてしまいますから」


「……初日に三日分移動、二日目に二日分移動。

 この時点で五日分か……。

 荷馬車は初日に六日目の所に到着、二日目にスホルム到着?

 それに、確かスホルムでの行動は午前中からにするために途中野営したな。

 となると、荷馬車側で野営場所準備も必要だったか。

 確かに余程予定がきっちりしていない限り使えんな……」



 理解が早くて助かります。



「それに、スホルムや今回の件は相手が気づかないという利点があります。

 ですが、例えば制圧や戦争で使おうとすると荷馬車が襲われますね。

 守備部隊付けるでしょうけど、焼け石に水じゃない?」


「確かに……」


「これが有効になるのは、確実に相手が気づいていない状態。

 そして、相手が気づかないギリギリのところまで一気に近づくこと。

 もしくは、襲撃される可能性が無い道を急ぐ時じゃないかな?

 敵国と交渉して停戦合意したら自国内を最速移動するような感じ?

 条件が結構厳しいと思う」



 侯爵が悩んでいるけど、いきなり使いこなしたらそっちの方が驚きだよ。



「ふむ、確かにその通りだな。

 まぁ、使える手口として頭には入れておく。

 荷馬車が安全に進める状態であるという条件を加味した上で使う。

 こんな感じかな」


「でしょうね。

 まぁ、この手口使う分にはお好きにどうぞ。

 で、今日娼館ギルドに相談してきます。

 多分OK出るでしょうから、後日話し合いとなるでしょうね」



 チアゼム侯爵が不安そうに聞いてくる。



「商業・生産の各ギルドは協力するか?」


「長自身が修道院の件に関わってなければ協力してくれると思う。

 自分たちで処罰しなければいけないのを王宮側に任せられる。

 そして、移動補助の件で国から金が入る。

 損は無いですよね?」


「まぁ、確かにな」


「ついでに生産の長は暴動の日に人質になっていたのを僕が助けました。

 少しでも恩に感じていれば協力すると思いますよ。

 なんせ、助ける際に襲撃者をぶん投げて壁にヒビ入ったの知ってますんで。

 まさか自分が同じ目に遭いたくないでしょうし」



 そこ、ビーティ殿!

 今更ビビらないの!



「ということで、今日娼館ギルドと話し合います。

 できれば数日中に商業・生産ギルドと交渉しちゃいたいですね。

 んで、可能なら修道院経由で仕事している商会が分かるとなお良し」



 パン爺さんの調査、それと商業ギルドの情報。

 これをすり合わせしとけば高精度な情報となり得るし。



「……なぁ、ニフェール。

 お前経由で今後も情報もらえないか?」


「へ?

 副団長が王宮側窓口やってんでしょ?

 パン爺さんに情報頼めばいいじゃん」


「いや、そっちはそっちで必要だ。

 だが、商業ギルドとの交渉窓口はいくつあってもいい」



 ん~、気持ちはわかりますけどねぇ。



「商業ギルドに不利益をもたらすような依頼はまず無理でしょうね。

 今回はギルド側に不利益をもたらす輩がいるから王宮と手を組んで潰す。

 似たようなパターンならともかくギルドを王宮側の部下のように扱うのは……。

 嫌がられると思いますよ?」


「そこは分かる。

 なので基本使わないルートではあるが、最悪の場合は使うぞ?

 例えば国の存続に関わるとか、陛下の名を穢すような輩を潰すときとかな?」



 まぁ、その辺が妥当かな?



「ええ、その方向で交渉してみましょう。

 なんで、騎士への納品安くしろとか無茶な量の納品とかは受け入れませんから」



 そんなムッとしないで。

 気持ちは分かるから。



「侯爵がそんなこと言わないとは重々理解してます。

 とはいえ、僕たちの苦労を知らずに無茶しか言わないような輩もいるでしょ?

 そう言うのから守るためには侯爵と僕で防がないといけないんですから」


「……そうだな、どちらのギルドにも見限られないようにしとかんとな」


もしかすると、次回か次々回で更新休むかも……。

事前作成分が消えかけてます。

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