第97話【器・Ⅱ】〜〜悪魔の耳、淵の椅子と叔父の肖像〜
(さて、本当の主、神代大元帥様の所へご報告に参りましょう。)
わたくしは教官室を出ると皇居へと向かいます。学院から皇居までは車で2時間ほどです。いまからいって、ご報告をし、戻ってきても大和が尋ねて来るであろう放課後まで多く見積って2時間ぐらいでしょうか。少ないですけど、龍雅院家いえ、違いましたね。神代家の執事たるもの、2時間でお嬢様の教育を終えるなど、朝メシ前にございます。わたくし、悪魔で執事でございますゆえ。道中、お嬢様の教育プランでも考えておくと致しましょう。
神代大元帥閣下のお部屋に着くと、既に人払いを済ませてくださっていました。
「旺志郎様、お時間いただきありがとうございます。『神の器』の成長についてご報告にまいりました」
「構わぬ。座りなさい」
「ありがとうございます」
席を勧めてくださったので、私は用意されていた、かつて人間だった椅子へと腰を降ろしました。この椅子には、何度か座っていますが、相変わらずいい座り心地です。
「先程、愛理様が作られた例の薬で全校生徒の前で『儀式』を開催しました。ここから半月かけ、器を完成させますので、予定より早くお渡し出来るかと思います」
「ハハッ。そうか。3ヶ月ほど早まるか。流石だ真冬…いや、聖蓮」
旺志郎様は満足気に笑った。
「ありがたきお言葉にございます。ですが、この程度の事、神代家の執事たるもの、朝メシ前にございます」
わたくしはうやうやしく一礼する。
「聖蓮、『神の器』を完成させろ。叔父の慈悲を少しでも滲ませてみろ?お前も新たな器にしてやるからな。もう下がれ」
「仰せのままに、我が主」
わたくしはもう一度、うやうやしく一礼し、部屋を退室した。
さて、可愛い姪っ子の完成度はどの程度でしょうか。『叔父』であるわたくししか信用出来ないように仕上げてあげるとしましょう。




