第94話〜展示歩行の朝、屈辱のトートバッグ〜
月曜日の朝。私は自室の姿見の前に立ち、そこに映る『自分』だったものを見つめていた。ご主人様方の『躾』により、私の肉体構造はもはや普通の少女のものではなくなっていた。愛理様が投与した薬剤のせいで、私の意思とは無関係に、骨盤が左右に弧を描いて揺れ続けているのが何よりの証拠だった。
「1番。検品は終わったか? 展示品が時間を守れないなど、あってはならないことだ」
背後で大和様が冷徹に告げ、私の首輪に最短のリードを繋いだ。
「よし、出発だ」
大和様の合図と共に、私の『展示登校』が始まった。部屋から寮までの短い廊下でさえ、薬のせいで腰が激しく揺れ、太ももが擦れ合う。そのたびに口に咥えたバッグが揺れ、口内に嫌な革の感触が広がる。大和様は、まるで名馬を引くように堂々と、無惨な姿の私を連れて歩いた。
寮の玄関ホールに入ると、そこにはすでに1組のクラスメイト全員が集められていた。彼女たちは全員、後ろ手に拘束され、一本の太い『親鎖』で芋虫のように一つに繋がれている。そして私と同様、全員が自分のトートバッグを口に咥えさせられていた。ホールの両脇には、彼女たちのパートナーである執事見習いたちが整列し、冷ややかな視線で『自分の所有物』の無様な姿を監視している。
「1番、引率を開始しろ。……一歩でも乱れたら、その場でリードを引くからな」
「かしこまりました」
大和様がリードを短く持ち直す。
私は列の先頭に立ち、クラスメイトたちを率いて歩き出した。私の後ろには1班から6班が続き、最後尾は副級長の美紀が務めている。
ガチャリ、ガチャリ……。静まり返った学院の敷地に、親鎖の重苦しい音だけが響く。全裸で腰をくねらせながら歩く私と、その後ろでバッグを咥えて数珠繋ぎになった家畜たち。その異様な行列の横を、パートナーたちが軍隊のような足取りで並走していく。
(ああ……。皆、制服越しに私の背中の火傷を見てる……。バッグを咥えて、言葉も奪われて……)
教室までの道のりは、永遠のように感じられた。
道中ですれ違う他クラスの生徒や教師たちの視線が、私の『左右に揺れる腰』に、突き刺さり、級長としての威厳を完全に『淫らな展示物』へと変えていた。
教室へついて、ホット一息をついた瞬間、その一瞬の安息は、スピーカーから聞こえる由羅様の冷酷な声により破られた。
『緊急放送。全校生徒は直ちに体育館へ集合せよ。1年1組級長は、理事長室へ出頭せよ』
お兄ちゃんの無機質な声が響く。美紀ちゃんに『親鎖』を渡し、大和様にリードを引かれ、私は、事長室へと向かった。




