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支配された帝国【番外編】、淑女養成学院  作者: 鎖乃れいな
第3章〜学院の生徒として〜

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第89話〜舌に刻まれる連隊責任〜

 今日も朝から、由羅様に気合を入れ直していただき、いつものようにクラスメイトの気合入れ、高強度トレーニングとこなし、やっと今日最後の授業、アラン様による外国語の時間となった。


 (昨日、お兄ちゃんに検品し直してもらって作り直した自己紹介。合格できるといいな……)

"Hello, my lovely 'Products'."

(こんにちは。僕の可愛い商品たち。)

"Let's start the self-introductions, beginning with No. 1."

(早速1番から自己紹介をしてもらおう。)

"Sarasa, interpret for me."

(さらさ、訳して。)

"As you wish, sir."

(かしこまりました。)


 アラン様が優雅な動作で教壇に立つと、教室の温度が数度下がったかのような静寂が訪れた。さらさはその横で、主人の言葉を正確な英語へと紡ぎ出す。

 いよいよ、昨日『62点』と切り捨てられた私の、再構築された自己紹介が披露される時が来た。私は意を決して立ち上がった。

"As you wish, sir."

(かしこまりました。)


 "…I, specimen number 1, intend to obey any and all of my Masters' commands. I look forward to serving you."

(私、検体番号1番は、ご主人様のどんなご命令にも従う所存です。よろしくお願いいたします。)

私が自己紹介を終えると、アラン様は優雅に歩み寄り、震える私の顎を鞭でクイと持ち上げ、至近距離で見つめた。


 "......Splendid. "

(……素晴らしい。)

"The effort to accurately voice those obscene syllables while trembling with shame... it is truly pleasant to the ear, No. 1."

(恥辱に震えながらも、その卑猥な音節を正確に発声しようとする努力……実に聞き心地が良いですよ、1番。)


 アラン様は満足げに微笑んだ。しかし、その瞳の奥には冷徹な教育者の光が宿っていた。

"However—"

(――だけど。)

アラン様はそこで言葉を切り、教室を見渡した。

"Your passing does not mean your liberation. While you, the class leader, have mastered such exquisite 'language befitting a product', look at the others in this class."

(君の合格は、君の解放を意味しないよ。級長である君が、これほど見事な『商品としての言葉』を身につけたというのに、クラスの他者ときたらどうたい。)

"That miserable pronunciation... it will bring shame upon the Ryugain name."

(あの惨めな発音……あれでは龍雅院家の名に傷がつく)


 アラン様は私の耳元に唇を寄せ、毒を注ぎ込んだ。

"During Golden Week, I shall grant you an 'official duty'. While exposing that fully ripened body of yours, you are to thoroughly instruct the defective goods in this class."

(ゴールデンウィーク、君に『公務』を与えるよ。その熟れきった肉体を晒しながら、クラスの欠陥品どもを徹底的に指導しろ。)

"In one week, if they are not able to speak of their own private parts in English without hesitation, just as you do, then as a matter of collective responsibility..."

(一週間後、彼女たちが君と同じように、自らの恥部を淀みなく英語で語れるようになっていなければ、連帯責任として……)

"The training you begged for shall be conducted by me personally, using the most barbaric methods imaginable. Shall we enjoy this, Number 1?"

(「君が強請った躾は、私が直々に、最も野蛮な方法で行うことになるよ。楽しもうね、1番?」)

"As you wish, sir."

(かしこまりました。)


 "Next, No. 2. Give it a try."

(次、2番、やってみて。)

"As you wish, sir."

(かしこまりました。)

2番は、非常に美しい発音で自己紹介を披露した。その後、順番に自己紹介が進められていったが、結局、今日合格を勝ち取ったのは私と2番だけだった。


(ゴールデンウィーク中にしっかり仕込まないといけない。頑張らないとね…)


 "That's all for today's class. No. 1, I’m counting on you for your 'official duties'."

(今日の授業はここまでだよ。1番、『公務』よろしく頼んだよ。)

"As you wish, sir."

(かしこまりました。)


 アラン様が教室を去った後も、重苦しい空気が場を支配していた。級長として課された重責と、失敗した際の『躾』への恐怖が、私の心に重くのしかかった。


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