表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
支配された帝国【番外編】、淑女養成学院  作者: 鎖乃れいな
第3章〜学院の生徒として〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/116

第84話〜家庭科、供物の装束と剥き出しの忠誠〜

 7時間目、家庭科。実習室の空気は、他の教室とは一線を画す静謐な緊張感に包まれていた。

「『商品』の皆さん、本日から二部式着物の制作に入ります。これは貴女たちが将来、主君の奥向きでお仕えする際の正装。同時に、主君が『いつでも、瞬時に』貴女たちを暴き、慈しむための機能が求められます」

志乃様の厳しい視線が教室を射抜く。


 私たちは配布された反物と裁縫道具を手に、作業台に向かった。制作には厳格なリメイク項目が定められている。

「襦袢の目的は肌を隠すことではありません。主君の視線を、最も価値ある部位へと誘導することにあります。各自デザインした通りに仕立て直しなさい」

 私は震える手で布を補強し、刺繍を入れた。

(こうすれば、胸の重みで形が崩れず、私の大きく熟した果実が強調されるだろう…でも…私は家畜…なんだからしょうがないよね…)


 「1番、その縁取りの補強は良い判断です。主君が指先で弄ぶ際、その刺繍の感触が快感のアクセントにもなるでしょう」

「ありがとうございます、志乃様」

 志乃様の言葉に、背筋が凍るような羞恥が走る。


 「二部式の裾よけは、座った際、貴女たちの不浄の場所に、冷たい畳の感触、あるいは主の体温を、常にそこで感じ続けるよに、極限で薄く仕立て直しなさい」

下着の着用を許されない私にとって、この裾よけはもはや衣服ではなく、羞恥を増幅させるための『枠』でしかなかった。


 「ご主人様が望まれた瞬間、一秒を待たせず産まれたままの姿になれるよう、すべての結び目は、マジックテープおよびスナップボタンへ換装しなさい」

私は上衣の丈を極端に短く裁断した。帯を締めた際、胸の膨らみが下から溢れんばかりに零れ落ちる計算だ。シースルーのセーラー服以上に、この着物は私の肉体を『差し出す』ことに特化している。


 「志乃様、襦袢と裾よけ、完成いたしました」

私は、出来上がったばかりの襦袢を肌に纏い、志乃様の前に跪いた。

「……よろしい。1番、おケツをよく見せなさい」

「かしこまりました」


 志乃様の冷たい指先が、私のお尻刻まれた、『1』の烙印をなぞる。裾よけを薄く仕立て直したため、主君の贈った『所有の証』が鮮明に浮かび上がるように調整されていた。


 「美しいですよ、1番。貴女の心はどれほど壊れようとも、その指先が縫い上げたこの衣は、貴女が龍雅院家の完璧な家畜であることを雄弁に物語っています。御当主様もお喜びになることでしょうね」

「……ありがとうございます、志乃様」


 お兄ちゃん……理事長が好むであろう、胸の膨らみが強調された意匠。私は、自分を壊した男に最も美しく『使われる』ための服を、自らの手で完成させてしまった。


 心は死んでも、指先までもが『商品』としての本能に従っている。その矛盾が、私の身体をまた、じわりと熱くした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ