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支配された帝国【番外編】、淑女養成学院  作者: 鎖乃れいな
第3章〜学院の生徒として〜

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第79話〜国語、言霊の蹂躙とご褒美の連鎖〜

 「昨日は、クズのせいで『通読』までしか出来なかったわね。今日の授業内容を変更して、『解釈』から始めるわよ」

 夢様は冷徹に言い放ち、教科書の文章を独自の『家畜哲学』で読み解いていく。それは、哲学という、お堅いものからは程遠いけれど、私たちにはお似合いな代物だった。

 

こうして解釈を続けていると、恥ずかしい、情けない、を通り越し、頭の中は『惨めな』気持ちで一杯になる。考えれば考えるほど、自分を貶める言葉ばかりを集めざるをえず、生まれてきて申し訳ない想いが溢れてきた。夢様によると、自分本来の姿を受け入れるために、自分自身の言葉でありのままの自分を表現することが大切だそうだ。思考を止めることは許されない。


 解釈が終わったところで、夢様は時計を睨んだ。

「では、ここからが今日やる予定だった内容よ。クズのせいで途中までしか出来ないでしょうけど、始めるわよ」

カッ、カッ、カッ。夢様の板書はいつも素早く小気味いい。

縦書きで『古典〜歴史的仮名遣い』と大書され、13の問題が書き出された。


 「歴史的仮名遣いの直し方を学びましょう。『ぢ、づ、む』は『じ、ず、ん』に変えることが出来るわ。前に出て例題を解いてもらおうかしら。問題は『なんぢ』、『よろづ』、『申さむ』、『むし』、『いづれ』、『あづまぢ』。10番、2番、56番、178番、113番、86番、解いてみなさい」

 「かしこまりました」

 さらさちゃんたちは黒板に向かった。


 「第一待機姿勢! 10番、2番、56番、86番、113番は正解よ。178番、あなたねぇ……。『んし』て何よ。予習していないわね。お仕置よ」

夢様は、178番の首輪を1度緩め、きつく閉め直した。

 「……っ、申し訳ございません!」

「全員席に戻りなさい。他の5人には、ご褒美をあげなくてはね」 

「んん……ありがとう……ございます」

 

 「次、『は、ひ、ふ、へ、ほ』は『わ、い、う、え、お』に変わるわ。13番、4番、57番、87番、前へ出て答えなさい。問題は『いふ』、『つはもの』、『にほひ』、『かほり』」

四人は正解し、ご褒美を、貰い小さな悲鳴をあげて喜んでいた。


 「次、『わ、ゐ、う、ゑ、お』は『わ、い、う、え、お』に変化するわ。1番、45番、180番、前に出て問題を解きなさい」

問題は『ゐなか』、『こゑ』、『をかし』。私が解くのは『ゐなか』だ。

 (『ゐ』は『い』に変化するから、『いなか』ね。優里、大丈夫かしら? あの子のせいでお仕置きは嫌よ)

優里は、今回は間違えずに正解した。

「三人とも正解よ。これは最初だろうと変化するわ。1番、よくできたわね」

「ありがとうございます」

「三人とも席に戻ってよろしい。あなたたちにもご褒美をあげなくてはね。特に1番にはね」


 席に戻るのが怖かった。椅子に座った瞬間、激しい電流が全身を貫いた。

 「んんぁ……ありがとう……ござ……い……ます……んん……」

 私だけ、強制的に椅子の電流まで流されたようだ。こんなご褒美はいらない。けれど、拒むことは許されない。


 「今日はここまで。明日は歴史的仮名遣いの続きから行います」

 チャイムが鳴り、夢様が教室を後にした。私は熱を帯びた体を震わせながら、次の地獄へと備えるしかなかった。



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