第69話〜甘美な発音と矯正される口付け〜
第69話〜甘美な発音と矯正される口付け〜
「Good morning, my 'Products'.(おはよう、「商品」の諸君)」
教室に響いたのは、低く心地よい響きを持ったアラン様の声だった。その耳に優しい音色とは裏腹に、彼の視線は黒板の前で蹲踞を続ける私と優里の無様な姿に注がれている。
「I'd like to start the lesson right away, but Sarasa, what exactly is this... object, which I might even call a piece of art?(早速授業を始めたいのだけど、さらさ、この芸術品ともいえるオブジェは一体なんだい?)」
アラン様は、まるでギャラリーの展示品を眺めるような優雅さで問いかけた。
「Yes. Here are Number 180, who failed to obey Lady Yume's command during the previous class, and Number 1, who is being punished for collective responsibility."
(はい。先程の授業で、夢様の命令に従えなかった180番と連帯責任でお仕置きされている1番です)」
さらさが淡々と答える。
「That is quite surprising. How long were the two of them ordered to remain in this position?(それは驚きだね。ふたりはいつまでこの姿勢でいるように命じられているんだい?)」
「この授業の始まりまでです」
"Is that so? Then, I shall punish you both for stealing precious time away from me."
(「そうかい。では2人に僕からも大切な時間を奪ったお仕置をしてあげよう」)
その宣告が下された瞬間、教室内には凍りつくような冷気が張り詰めた。アラン様の青い瞳が、さらさと私を逃げ場のない檻の中に閉じ込めるように鋭く光る。
"Is that so? Then, I shall punish you both for stealing precious time away from me."
(「そうかい。では2人に僕からも大切な時間を奪ったお仕置をしてあげよう」)
その宣告が下された瞬間、教室内には凍りつくような冷気が張り詰めた。アラン様の青い瞳が、さらさと私を逃げ場のない檻の中に閉じ込めるように鋭く光る。
そして、アラン様は、私と優里の身体をお仕置き道具として持ち歩いている、ビリヤードのキュウーのような短い棒で撫でた。
「Then both of you may return to your seats.(2人とも席に戻りなさい)」
「Yes, sir.」(かしこまりました)
私たちが席に戻ることを許された時には、新しい『家畜の印』が掌に赤黒く残されていた。
席につき、安堵したのも束の間、アラン様はさらに深い地獄の入り口を指し示した。
「 Let’s begin the lesson. Sarasa, come to the front and support me again today.(では授業を始めるよ。さらさ、今日も前に来て僕のサポートをしてくれ)」
「The vocabulary words I will teach today are 'chest circumference', 'waist circumference', 'hip circumference', 'height', 'weight' and 'keuschheit'.(今日教える単語は『胸囲』、『腰囲』、『尻囲』、『身長』、『体重』そして『純潔』だよ)」
アラン様が発する英単語は、うっとりするほど美しい響きだ。しかし、教えられているのは就職試験のためのスペック。私たちはその『美学』に飲み込まれるように、発音の練習を繰り返させられた。
「Repeat after me. 'Chest circumference', 'waist circumference', 'hip circumference', 'height', 'weight', 'Keuschheit'.(繰り返して。『胸囲』、『腰囲』、『尻囲』、『身長』、『体重』『純潔』)」
一人ずつ、発音のテストが始まる。アラン様の指導は執拗だった。45番の響が『尻囲』の発音をわずかに誤ると、アラン様は短いキュウーで机を叩き、発音を矯正させる。
「Your 'F' sound has improved, but your 'R' sound is still poor. Vibrate your tongue like this.(『F』の発音は良くなったね。だけど、まだ『R』の発音が悪いよ。このように舌を震わせなさい)」
アラン様がキュウーで響の身体を突き、振動させた。
「うぅっ...」
「Come now, don't just moan—say it.(ほら、呻いて無いで言ってごらん)」
強制的な振動を受けながら、響は屈辱に顔を歪めて何度も単語を繰り返した。
さらに、161番の菜々ちゃんにはより過酷な『矯正』が待っていた。
「That's completely wrong. Purse your lips more, as if you're going to kiss. Hip circumference.(全然違う。もっと口をキスするみたいに窄めて。『腰囲』」)
」
何度やり直してもアラン様の納得は得られない。
「That won't do. Keep your lips pursed like that until the class is over."(ダメだね。授業が終わるまで、口を窄めていなさい」)
「Excellent. Your 'v' and 'r' sounds are perfect. This class is generally quite talented.(いいね。完璧だ。このクラスは概ね優秀だね)」
アラン様は満足げに微笑み、教壇を指で叩いた。
「From tomorrow, we will finally begin the self-introductions. Everyone must prepare the self-introduction I explained yesterday by tomorrow.(明日からは、いよいよ自己紹介をしていくよ。全員、明日までに昨日説明した自己紹介を作って来るように)」
チャイムが鳴ると、アラン様は優里と菜々ちゃんから手早く拘束具を回収し、優雅な足取りで去っていった。




